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第百五十七話

「すごーい!はやーい!」

マールはケラケラと笑いながら、ルーネでの移動を楽しんでいるようだった。


マールは終始ご機嫌で川に到着するとマールが川に飛び込む。


「つめたくてきもちー!にぃにぃも入ろうよー?」


「今行くからちょっと待ってね」

アルージェはルーネに周囲の警戒をお願いしてから、川に飛び込む。


バシャンと水飛沫が上がり、マールはキャッキャっと笑う。


「よし、マール面白いもの見せてあげる!」

アルージェは魔力を操作して、川の水を使って魔法を見せる。


「まずはこれ!」

以前風呂場でやったように、水で龍を作る。


マールの周りをくるくると廻る。


「すごーい!かっこいい!」


次に水で花を形作る。

そして、何匹も水で蝶を作るとヒラヒラと辺りを舞う。


「すごいきれーい!ちょうちょがいっぱい!」

マールはきゃっきゃっと楽しそうにはしゃぐ。


「にぃにぃ!私もそれやりたい!」


「えぇ、出来るかなー?」

アルージェはマールの魔力を探る。

そこまでの魔力総量ではないが、魔法を行使するには問題なさそうな位には魔力があるのを確認する。


「分かった。なら少しだけだよ?」

マールにまずは魔力操作の方法を教える。


「今からマールの体に僕の魔力を流すから、なんか動いてると思ったらそれを動かしてみて」

アルージェはマールと手のひらを合わせて、魔力を少しだけ流す。


「痛くない?」


「うん!なんか体がポカポカする!」


「なんか動いてるのはわかる?」


「うん!」

マールは目を閉じて、少しだけで黙り込む。


「出来た!」


「えっ?早くない?」

アルージェがマールの魔力の動きを見ると、確かに動いているのがわかる。


「えぇ・・・、僕あんなに痛い思いして頑張ったのになぁ・・・」


「これで出来る?」

マールがキラキラとした目でアルージェを見つめる。


「んー、それでやっと基本だからなぁ。続きやってみようか」

アルージェはそのままマールに新魔法体系での魔法行使方法を教える。


初めはウンウンと唸っていただけだったが、コツが分かったようだ。

その日の内に水を出すことはできないが、その場にある水を動かせるようになった。


「できないよ!」

マールはなかなかアルージェのように水を動かすことが出来ないので、少し不機嫌になる・


「あはは、でもマールはすごいよ僕だってスグにできるようになったわけじゃないんだ。毎日コツコツとやってできるようになったんだよ」


「そうなの?ならマールも毎日頑張る!」


「おぉ!えらいぞー!」

アルージェがマールの頭を撫でて褒めるとご機嫌になる。


「そろそろ暗くなってきたから、戻ろっか!」

アルージェが提案するとマールは元気よく返事をする。


帰りもルーネに跨って、家に帰る。


家に着くとマールが家の中に走っていく。

「戻ったよー!」

マールはそのまま家事をしていたサーシャに抱きつきに行く。


「あら、戻ったのね。ん?なんだか機嫌がいいわね。何か有ったの??」


「んふふ、内緒!」

マールは終始機嫌が良かった。


「戻りましたー」

アルージェもルーネを労ってから家に入る。

部屋に入ると部屋の端っこでフリードが未だにショックを受けていた。


畑の方に食卓が移動されていて、そのテーブルの上には豪勢な料理が並んでいた。


「えぇ!?こんなに大丈夫?」

アルージェがサーシャに聞く。


「何言ってるのよ!アルがせっかく婚約者を連れて帰って来た、めでたい日なんだから!」


「それならいいけど・・・」


「ルーネちゃんがいるとどうしても部屋が狭くなるから、今日は外でパーっと食べましょ!ほらフリードもいつまでもいじけてないで、早くご飯食べましょ!」


「パパ!ご飯食べよー?」

マールがフリードの近づき話しかけると、フリードは笑顔になりマールと手を繋いで食卓に向かう。


食事中わかったことなんだけど、どうやらミスティがマールから距離を取られていたのは本当だったようだ。

ミスティがアルージェを取る悪い人だと思っていたらしい。


だけど、誤解を解くとマールはミスティにもしっかり甘えていた。


ミスティは初めは戸惑っていたが、マールの可愛さにメロメロになっていた。

マールは生粋の人たらしのようだ。


ミスティは悪い人だと思っていたが、エマのことはそんな風には思っていなかったようだ。

どちらかといえば大人しいように見えるので、あまり悪い人には見えなかったんだろう。


食事も終わり楽しく話していたが、そろそろ眠くなってきた。


「ふぁぁぁ」

アルージェは大きく欠伸をする。


ミスティがアルージェの欠伸に気付く。

「アルージェ、もう眠いのか?」


「そうですね。ちょっと川で遊んだので、体力持っていかれたのかもしれません」


「そういえばそうだったな。お義母様、アルージェがそろそろ眠いみたいです」


「あら!そうね。いつの間に時間も経ってるし、今日はそろそろお開きにしましょうか」

サーシャは立ち上がり食器を片付け始める。


「流石にこの人数家で寝るのは難しそうだな。どうしたものか」

フリードが顎に手を置き考え始める。


「あっ、それなら大丈夫だよ。家の裏を少し借りてもいい?」


「あぁ、別に構わんがどうするんだ?」


アルージェは家の裏に移動する。

魔力を練り始めて、土と水を操作して簡易的な家を作る。


「おぉ、こりゃすげぇな。本当にアルは魔法が使えるのか」

フリードは出来た家を見て感心する。


「僕達はこっちで寝袋とか使って寝るから、部屋は心配しないで大丈夫だよ」


「確かにこれだけ頑丈なら雨が降らない限りは安心だな」


「んじゃ、ほんと限界だから寝るね。おやすみ」

アルージェが土製の家に入っていく。

ルーネ、ミスティ、エマ、マイア、秘密結社らびっといあーがゾロゾロと家に入っても余裕な程の大きさだ。


アルージェは寝袋に包まって、睡魔に体をあずける。


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