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第66話 囚われのヒロイン達

「立花さんが前に由利さんから聞いていた高校の時に付き合っていた彼氏さんだったなんて・・・偶然にしては出来過ぎですね」


「俺も君の口から由利の名前が出たときは驚いたさ・・・それに黒原・・・時夜の名前も・・」


俺たちは今、立花さんの運転するボロボロの軽トラに乗って黒原邸に向って走ってる


「俺は由利さんが望んで時夜さんの元に嫁いだとは思えないんです・・・だから如何しても本人に会って本心を確かめないと・・」


「・・・・そうか・・・君も・・時夜に大事な物を・・・」


俺は疑問に思ってた事を立花さんに尋ねる


「立花さんは数日前に笹本ホテルの近くの海辺で白いワンピースの女性と話をしてませんでしたか?」


「!?・・・・そうか・・見られていたか・・・あれは俺の妹の麻美(あさみ)だ・・・今は黒原 麻美だがな・・・」


『特に由利の元カレへの制裁は驚いた・・時夜は元カレの妹を自分の2番目の妻に差し出させたんだ・・でないとこの先、家族全員地獄の生活が待っていると・・』


俺は鰐淵さんの言っていた話を思い出した・・・あの話の元カレが立花さんなのか・・・


「立花さん俺、貴方の話を少し知り合いから聞きました・・・妹さんの事は気の毒だと思います・・ですが元はと言えばあなた方が妬みや恨みから時夜さんを襲おうなんて愚かな事をしなければこんな事には・・・・」


「違う!!!!」


立花さんはハンドルを握る手に力を込めて大声で否定した


「俺たちはそんな事してない!!いや・・・確かに学生時分には時夜に嫌がらせはしてた・・それは否定しない・・だから俺が罰せられるのは自業自得だ・・だが俺たちはあの晩、時夜と嫁を襲おうなんてしてない!」


「??どういう事ですか?」


「あの晩・・俺たちは黒原の名前で呼び出されたんだ・・・とある倉庫に・・そこに黒いローブで顔を隠した女が現れ・・それから俺たちに向って何か魔法みたいなのを使ったと思ったら・・気付いた時は地面にうつ伏せてて・・警察に全員逮捕されてて・・時夜の証言で俺たちが時夜とその嫁を襲おうとしていたと・・・・」


「どうしてそれを警察に・・・」


「言ったさ!!!しかし・・証拠は何もない・・・暴行に参加した十数名には黒原家から制裁という名の地獄が待っていた・・・そして俺達家族は・・妹を時夜に差し出して・・・くそっ!!」


立花さんはハンドルを思いっきり殴る


「でも・・・進君・・君は間違うな・・・大事な物は何が何でも守り抜け・・・決して俺の様になるな・・・」


「・・・・立花さん・・」


軽トラが黒原の屋敷の前に停まる・・辺りはすっかり暗くなっていていた・・屋敷の門は硬く閉ざされている


「どうやって中に入るか・・・進君他の入り口を・・・


バギッ!!


「!?」


俺は門を片手で押すと内側の金具がはじけ飛び門が開いていく


「立花さんは帰ってください・・・この先は・・・・俺だけで行きます・・」


そう告げ屋敷の中に入っていく




〇黒原邸  地下


時間は数時間遡り進が謎の女の魔法により飛ばされ動揺していた五月と雫の隙を突かれ、女の手から出て来た黒い鎖に体を拘束されてしまい屋敷の地下室に連れていかれてしまった


「くっ!!私らをこんな所に連れてきてどうするつもり?」


「あなた・・あの時の魔族の女なのね・・・すすむんをどうしたの!?」


必死に鎖から逃れ様と後ろに縛られた腕で必死にもがく・・・・が


「あはっは、無駄無駄ぁそんな簡単に外れるはずないじゃない、きゃははは」


『五月・・スキルか魔法は使えない?私もさっきから試してるんだけど・・・』


『私も・・なんか魔力を集中するとこの鎖に吸われる様な・・』


マミと名乗った女(魔族?)は不敵に笑いながら五月と雫の元に来ると腰を屈め二人に顔を近づけると小声で話し出す


「ねぇ~あの龍道 進さんて、一体何者?この私が危険を感じるなんて普通の人間じゃないわよね?」


「なんでアンタなんかに教えなきゃいけないのよ!いいからこの鎖解きなさいよ!!」


「・・・・教えても良いけど・・私も聞きたい事がある・・」


「!?ちょっ雫!?正気ぃ!」


驚く五月をそっちのけで雫は怯えた様子も無く女を見据える


「へぇぇぇ・・・・・良い目ねぇ・・嫌いじゃないわ・・良いわ聞きたい事は何?」


ゴクッと雫は唾をのみ込んだのを五月は気づいた・・雫も緊張と不安でギリギリなのだと・・


「まず、貴方は人間では無く・・魔族・・・って事でいいのかしら?」


女は姿勢を戻し唇に指を添え私らを見下しながら不敵に笑うと


「ふふふ・・そうねぇ貴方の言う通り私は日本の北にある大陸の半島にあるアビスの魔都から来た・・ザビーネ・ヴィレ・・魔族よ、きゃはは」


「・・・・その魔族が東京の支社で暴れたウェアウルフから何を受け取ったの?」


「あら・・貴方の質問には答えたわよね?」


「私は聞きたい事があると言っただけ・・一つだけ何て言ってないわ」


「へぇぇ・・これは私とした事が・・まぁ魔族にとって契約は絶対だしね・・それにしても良く私のペットの事知ってたわね?まぁ良いわ」


「私が取りに行ったのは、あの街を守護していた結界の動力元の『結界石』よ」


「え?結界石はウェアウルフが装置と一緒に爆発させたんじゃ!?」


「ふふふ、カモフラージュね~ペットの狼ちゃんは装置と一緒に壊したと見せかけて隠蔽のアイテムボックスに隠して協会支社の近くに放り投げて爆発に巻き込まれない様にしたの」


「・・・あれはあの街の人間を巻き込んで復讐しようとしていた高崎とウェアウルフの利害が一致して引き起こされた事件ってだけじゃ無かったのね・・」


「そ、その結界石を使って何をする気!?」


「・・・・ふふ・・それは何れ解るわ、まぁ今話しても良いけど・・もう楔は解き放たれたしね・・ふふふふ・・あ、でもお喋りの時間も終りね来たみたい」


魔族の女はニヤリと笑うと、地下室のドアの方をチラッと見ると急に乱暴に開く


「おい!!マミ、これはどういう事だ!?何勝手に地下室をつかっ・・・て・・て・・ん?なんだその娘共は?」


奥から痩せてるのにお腹だけポッコリ出た釣り目と額にある大きな黒子が特徴的な如何にも嫌味な男が十名位の柄の悪い男を引き連れて偉そうに入ってきた、魔族の女は一瞬だけ邪悪な笑みを見せたが直ぐに妖艶な笑顔を作り振り返る


「ああ、時夜さんこの子達が屋敷に不法侵入してて声を掛けたら急に襲い掛かって来たから拘束してここに閉じ込めて事情を聴き出していたのぉ~」


「あぁぁん?俺の屋敷に無断で侵入するとはいい度胸だな?で?何が目的だ?」


「それがこのあいだ、由利さんの事で訪ねてきた龍道って人の知り合いらしくて、鳥居 五月ちゃんと蜂須賀 雫ちゃんって言うらしいわ」


「「!?」」


魔族の女に苗字まで名乗った覚えがないのにこの女は私達の事を知っている・・・ヤバい予感しかしない


「へぇぇよく見るとまだ青臭いがイイ女じゃねぇか・・学生か?」


「そうね・・彼女等は東京の名門女子高 聖堂女学園の2年よ」


教えてもいない、私らの個人情報までバレてる・・・五月は恐怖で背筋が凍る


「ひゅぅぅ――――いいすねぇ時夜さん、俺女子高生大好物なんすよ!」


「まぁ待て・・・なぁお前らあの冴えないオッサンより俺に乗り換えないか?俺の4、5番目の嫁として貰ってやるよ・・俺の嫁になりゃ不自由の無い暮らしをさせてやるぜ?」


「はぁ?あんたなんかに進のカッコよさが解るわけないでしょ?この不細工」


「私もすすむん以外に嫁ぐつもりは無いので、顔を洗って鏡を100万回見て出直してきてください」


五月と雫の態度に顔を真っ赤にして青筋立てて怒る時夜は顎で後ろの男共に合図すると柄の悪い男たちは歓喜して下卑た目で涎を垂らしながら私達の方へ近づいて来る


「私らに指一本でも触れたら許さないんだから!!」


「くさいので近づかないで下さい」


「お前らその小娘共に大人の怖さを身体でタップリ解らせてやれ」


「「!!?っく」」






《龍道 進のヒロインの純潔の危機を検出しました:緊急防御壁を展開します》












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