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第68話 進 VS ザビーネ

〇黒原邸 中庭


《ヒロイン達の危険状況を認識しました・・・伴侶たる龍道 進を呼びよせます》


そう頭の中に声が聞こえたと思った瞬間に足元に真っ白な光が広がり・・・・


「!?す、進?」


「すすむん!?何でここに!?」


背後を振り返ると、腕を拘束され身を寄せあっている五月と雫が座っていて俺を見て驚いている


「ふ、二人とも無事だったか!!」


二人に駆け寄り一緒に抱きしめる


「ちょっ・・・ちょっとぉ」


「ふふふ・・出会った頃を思い出しちゃうわ~♡」


「あらあら~これは一体どういう事?どうやって此処に来たのかしらぁ?龍道さん貴方やっぱり普通じゃない・・危険ねぇ~アハハッハ」


声のする方に振り返るとマミさんが不敵に笑っている、その奥には時夜さんが虚ろな表情で此方を眺めてる


「ま、マミさん?あ、貴方は・・・一体・・・」


「進!その女は魔族よ!!」


「ま、魔族!?」


振り返り五月の表情を確認するが、真剣な表情で冗談を言ってる様子は無い


俺はマミさんの前に立ちその表情を伺うと、妖艶な笑みはそのままその瞳が邪眼へと変化し怪しく輝く


「改めまして、私は日本の北にある大陸の半島にある、アビスの魔都から来た ザビーネ・ヴィレよぉ~よろしくね♡」


マミさん・・いやザビーネは魔族だと明かした瞬間にその身に纏う魔素が濃くなり人のそれを圧倒的に超えて周囲を威圧する


「進くん!!此処は一体!?それに・・・時夜とマミさん!?」


「!?慎吾さん!!ここは危険だ!!早く逃げろぉぉぉ」


部屋の奥で気を失っていて解らなかったのか、慎吾さんが此方に駆け寄ってくる、ザビーネは慎吾さんの方を一瞬だけ見るとニヤリと笑う


「アラアラお邪魔虫が未だいたのねぇぇ時夜・・・始末して」


ザビーネの声に反応した時夜が無表情に懐からナイフと取り出し慎吾さんに向って突進する


「!?と、時夜!!」


不意を突かれ身動きが取れない慎吾さんは驚き戸惑うだけだ


「危ないぃぃ!!」ドォン!!


慎吾さんは誰かに突き飛ばされ何とか時夜からの一撃を逃れる


「麻美!?」


慎吾さんは自分の足元に倒れ込む白いワンピースを着た麻美さんに気づく


「アラアラ、こんな時に麻美ちゃんまで・・・・もう良いわ・・麻美ちゃんの苦しむ姿も見飽きたし・・・殺しちゃって」


時夜は慎吾さんと麻美さんの方を向くと再びナイフを構え突進する


「!?」


・・・・・・!?麻美さんの白いドレスが部分的に深紅に染まる・・・・目の前には時夜では無く慎吾さんの背中が見える


そしてその背中には貫通したナイフの刃先が少しだけ見えていた・・・・その先から流れる様に滴る鮮血


「いやぁぁぁぁぁぁお兄ちゃん!!!!」


慎吾さんは笑顔で振り返り麻美さんの無事を確認すると、自分のお腹にナイフを突き刺してる時夜を抱きしめる


「・・・・・・・・・」


時夜は無表情ながらも慎吾さんの腕から逃れようともがいてる・・・・


「時夜・・・・すまなかった・・・お前にした仕打ち・・・これでチャラにしてくれ・・・俺の命で・・・だから妹は・・麻美は・・解放・・し・・て」


そのまま慎吾さんの声は聞こえなくなる・・・しかし時夜の身体を掴んだまま時夜が暴れた勢いで時夜に覆いかぶさる様に倒れ込む


「・・・・う・・・そ・・・嘘・・嘘嘘嘘嘘・・・・いやぁぁっぁ!!」


白いドレスの殆どが真っ赤にそまった麻美さんは慎吾さんの姿を見て絶叫し、糸の切れた人形の様にその場に倒れた


「ぷっっ・・・くくく・・きゃははは何あれぇぇあははは、気持ち悪ィ~人間の兄弟愛?理解できないぃぃ兄弟の為に自分の命を投げ出すとかぁぁ頭悪すぎぃぃアハハハハハ」



ピシッッ・・・地下室のコンクリートの壁にヒビが入る・・・


「おい・・・その汚い口を塞げよ・・・・潰すぞ?」


「!?・・この迫力・・・ヤバいわね・・・この私が恐怖で背中が寒くなっちゃう・・・」


「でも・・・・ヴィーダ・ウル・ビス・チャータ(我の命に従う傀儡と化せ)」



《ドラゴン・ロードに状態異常は無効です》



「俺に状態異常は効かない・・・無駄だ」


「!?アンタもなの!?・・・厄介だわ・・じゃぁヴィーダ・ウル・ダルド(我の命に従い対象を破砕せよ)」


しかし進が腕を横に振ると「ドーン!!」と横の壁が爆発する


「!?私の呪文を弾いた・・・嘘・・・何それ・・・笑えないんだけど・・・」


「ヴィーダ・ウル・ダルド(我の命に従い対象を破砕せよ)」「ヴィーダ・ウル・ダルド(我の命に従い対象を破砕せよ)」「ヴィーダ・ウル・ダルド(我の命に従い対象を破砕せよ)」


ザビーネが連続で呪文を撃ち込むが進が腕を左右に振るたびに呪文は弾かれ地下室の壁で爆発する


「本物の化け物ね・・・ヴィーダ・ウル・ゼルべダ(我の命に従い対象を切断せよ)」


キィン!!


進が同じように腕を振ると今度は金属音がしてザビーネの頬に切り傷が出来る


「はぁ?あり得ないんですけど・・・アンタの身体・・どうなってんの?ここまでとは・・呆れちゃうわね・・」


言葉と裏腹に余裕を感じさせるザビーネは両手を上げて呆れたと溜息を付く


「気が済んだか?・・・お前は潰す・・・【爆炎 (持続)】」


進がザビーネに手を翳すとザビーネの足元から青い炎の柱が燃え盛る


「ぎゃぁぁぁぁ何これぇぇ普通の炎じゃないぃぃあついぃぃぃ」


「レジスト(耐熱)したか・・・流石魔族・・・だが俺の爆炎は俺が解除するまでお前の足元で燃え続ける・・・何時までレジスト出来るかな?」


「・・・・ふふふ・・・直ぐに収まるわよ?・・・ほら・・・入り口を見なさい」


ザビーネは燃え盛る青い炎の中から入り口のドアを指さす・・・


・・・・・・!?


入り口を見ると、星奈さんを背後から羽交い絞めにして喉元にナイフをあてている人影が此方に近づいてくる・・・・




・・・・・・・・由利さん??















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