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第69話 一か八かの賭け

〇黒原邸 地下室



ザビーネは進の爆炎のスキルにより燃え盛る青い炎の中から入り口のドアを指さす・・・


・・・・・・!?


入り口を見ると、星奈さんを背後から羽交い絞めにして喉元にナイフをあてている人影が此方に近づいてくる・・・・



・・・・・・・・由利さん??


「由利さん!?」「由利さん?」「女狐?」


星奈さんは喉元のナイフから少しでも遠ざかろうと首を伸ばしていて苦しそうだ


「星奈さん!?これは・・・・一体・・!?まさか!!」


「ふふふ・・・ご明察ぅぅ~由利さんは私が精神操作で操ってますぅぅきゃははは」


俺は炎の中で楽しそうに笑うザビーネを睨み付ける・・・・


「はぁぁそろそろ温まってきたからそろそろ止めて貰える?・・・じゃなきゃ・・わかるわよね?」


由利さんが星奈さんにナイフの先を押し付けると、小さな傷が出来て少し首筋に血が流れる


「ま、まて・・・解った・・・」


俺は爆炎を解除すると青い炎は一瞬で消える


「ふぅぅ熱かったぁぁほんと・・私の綺麗な肌に火傷の痕でもついたらどうしてくれるのよ・・・たく・・」


ザビーネは所々焦げてる自分の黒いドレスを手で払っいながら不満を言っている


「・・・解放したんだ・・・星奈さんと由利さんを開放しろ・・」


「ふふふ・・・どうしようかなぁ~?・・・解放しても良いんだけどぉ・・・そうだ!それじゃ私のお願い聞いてくれる?」


「くっ・・・何だ・・・」


「後ろの子猫ちゃん達を始末してくれる?」


「!?」


「!?・・・・」「ホント・・外道ね・・・」


「それは・・・出来ない・・・」


俺の回答に不満なザビーネはつまらなそうに、溜息をつき進へ興味を失った様に手を振り振りした


「あっそ・・じゃいいや・・・由利殺しちゃって」


由利さんの身体がビクッと震え星奈さんの顔が絶望に染まる


「由利ぃぃ正気に戻ってぇぇ私が分からないの!?由利ってばぁぁ!!」


由利さんの目の奥に少し光が戻って揺れた気がしたが直ぐに死んだような目に戻り、由利さんのナイフを持つ手がゆっくり動き星奈さんの首筋に真っ赤な線が出来る


「待ってぇぇ!!進!!やりなさい、私らに攻撃しなさい!!」


五月の叫びにザビーネは興味を取り戻しニヤニヤと笑みを零しながら笑いだす


「ヒュー――良いじゃない、そういうの見たかったのよねぇぇ」


しかし俺はその提案を受け入れられない


「ダメだ!そんな事出来るわけがない!!いや俺には出来ない!!」


『そうよ、進には出来ない・・・私らに危害を加える事は・・・だからこれは賭け・・私に考えがある・・さっき魔族に使ったスキルを私らに撃ちなさい』


俺の頭の中に五月の声が聞こえる・・・何でこんなテレパシーの様な事が出来るのか・・今はそんな事を考えてる場合ではない


『そんな事出来る訳ないだろ!!何言い出すんだ!!』


『ふふふ・・そういう事ね五月・・すすむんは私らに危害を加える事が出来ない・・そう・・すすむん出来ないのよ』


『雫まで・・・何を言って・・・』


『良いから!!それとも進は私らを信じられないの!?私らの絆はそんなもんなの?』


『・・・・・解った・・・俺の中に二人に対する絶対的な信頼感がある・・・頭では拒否しても魂は五月の言う事が正しいと分かってる・・・』


『早く!!』


「どうなってもぉぉぉ――――くそぉぉぉぉ【爆炎!!】 (持続)」


俺は五月と雫に向って爆炎のスキルを撃った、二人が青い炎の柱に包まれる


「きゃはははは、やったぁぁやったわねぇぇ良いわよぉぉ龍道、アンタ最高よぉぉきゃはははっは、どう?愛する者を自分の手で消し炭にする気持ちはぁぁ」


俺はその場に膝から崩れる・・・俺は・・・俺は・・・


《龍道 進のヒロインに対する攻撃は無効です:ダメージは与えれません》


!?


【スリープ(睡眠)】


雫の声がしたと思ったらナイフを持っていた由利さんがその場で倒れる、コンクリートの床にナイフが落下して金属音と同時に星奈さんが解放される


「ごほっっ!!はぁはぁはぁ!?由利ぃぃ?由利ぃぃ・・・て・・寝てる・・・」


「なっっ!!何ぃぃ?何が起こってるの!?」


状況が理解できないザビーネが驚いている


「雷神武御雷にかしこみかしこみ申す・・・導たもう、我が名は龍道 五月なり・・・・神雷ミカズチ!」


地下室だが天井に黒い雲が現れザビーネに落雷が落ちる


「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」


地下室内にザビーネの絶叫がコダマする・・・・・・落雷が収まると口から黒い煙を吐き出し白目を剝いたザビーネがその場に倒れる


「上手く行ったわね・・・」


「全く・・・一時はどうなる事かと思ったわよ・・・」


爆炎が収まり現れた五月と雫には火傷どころが服が焦げたりもしてない・・・


「ふふ、やっぱ私らと進の絆は無敵ね!!」


「そうねぇぇ」


「二人とも無事で・・・!?そうだ!!慎吾さんと麻美さん!!!」


俺たちは急いで慎吾さんの元に駆けより抱き起しお腹のナイフを抜くと


「我求めるは神聖な癒しの風、聖櫃の光輝く壇上に、奇跡の柱を奉らん、エクスヒール」


【竜の息吹】


・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・


しかし・・・慎吾さんは既にこと切れており息を吹き返す事は無かった・・・・


「くっそぉぉぉ俺のスキルは何の役にも立たないじゃないかぁぁぁ!!」


悔しさを地下室の床にぶつけると、地下室の床にヒビが入る・・・・


「・・・・・・ここは・・・」


背後から声が聞こえ振り返ると、そこには目を覚ました・・・黒原 時夜が此方を呆けた様子で見ていた


















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