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第71話 黒原 時夜の分岐点

〇黒原 時夜の回想


「御免なさい~なんだか凄く辛そうにしてるから思わず声を掛けてしまってぇ~私 マミって言うの、貴方は?」


宛も無く失意の中夜の街を彷徨っていた俺に声を掛けてきた女をよく見ると、今まで見たこともない美女だった・・漆黒のドレスをお洒落に着こなし、ドレスからはみ出しそうなバストに引き締まったウエスト、身体に張り付いたドレスがはち切れそうな魅惑的なヒップ、長いウェブかかった黒髪が片目を隠しているが見えてる瞳は長いまつげで少し垂れ目が妖艶な輝きを放つ、真っ赤なルージュを引いた唇と横の黒子は男を惑わす為に存在してる様だった


「お、俺・・ですか?」


クスクスと妖艶に笑いながら俺の腕に自分の豊満な胸を押し付け優しく頷き微笑んだ


「そそ、俺君は何て名前?」


「お、俺は、黒原 時夜っていうん・・だ・・」


「そっか時夜くんだね~私君の事気にっちゃった♡、二人きりになれるいい場所知ってるから、今から私と飲まない?」


こんな美女に誘われて傷心中の俺が断れるはずもなく、マミに手を引かれるまま路地裏にある人気の無いバーで二人、酒を酌み交わす


「そっか~時夜君はその幼馴染みの二人が好きだったんだね~」


「あぁぁ~うっぐっ・・すきぃぃ?ギャハハハ、そんな訳ねぇぇだろぉぉ?あんな尻軽のウッックッ・・股の緩い女ぁぁ興味ねぇぇよ!!」


既に何杯目かも分からないグラスを一気に飲み干しマミの肩に手を回し抱き寄せる


「ウフフ、そうねぇ~時夜みたいないい男にはそんな浮気女相応しくないわよね~」


「あっっったったり前よぉぉぉ!ぎゃははは、マミは良く分かってるイイ女じゃねぇぇかぁぁ尻軽のアイツらとはくらべものにならねぇぇ!」


マミは目を細め微笑むと、俺に口づけをする


「!?うぅぅぅ!?」


「ウフフフ、もしかして初めてだった?・・・ねぇ?もっと私の事・・・知りたくない?フフフ、色々と♡」


そう上目使いで俺の事を見つめながら自分の胸元を俺に見せる


「あ、ああ、そうだなぁマミがどうしてもって言うなら・・・もう少し付き合ってやるよ」


それから俺はマミと名乗った怪しくも美しい女の極上の身体で身も心も骨抜きにされた、それから毎日の様にマミと会い増々マミの極上の身体に溺れていった


「なぁマミ・・・・」


ベッドに横たわり頭の後ろで手を組んで天井を見上げる俺の横で下着を着けてるマミの名前を呼ぶ


「ん?どうしたの?時夜、まだ満足できなかった?」


「いやそうじゃなくて・・・マミ・・俺と結婚してくれ」


もはや俺はマミ無しでは生きて行けない程、マミと言う女に依存していた


「フフフ、それも良いわねぇ」


そう答えたマミは俺に口づけで返事をする、それから俺は親父にマミを紹介し結婚する事を告げる


「親父、俺マミと結婚する事にしたから」


しかし親父はマミをチラッとみると溜息をつき、黙って部屋から出て行った


俺はマミに部屋で待つように言い親父の後を追う、自分の書斎に入ろうとしてる親父を呼び止めると、何も言わず振り返り俺を殴りつける


「!?なんだ!?急になにするんだ親父!!」


「この馬鹿者!!お前の目は節穴か!!!あの女がお前の事を好いて近づいたと思っているならお前の頭は風船より軽い本物の馬鹿だ!!」


親父の言葉に怒りを通り越し殺意を覚える


「ふざけんな!!俺は黒原 時夜だぞ!!誰も俺を馬鹿にさせねぇぇ!!」


「!?」


ワザとじゃなかった・・・事故だった・・・俺はオヤジに飛び掛かっただけだ・・・しかし親父が倒れた場所が悪く廊下の柱の角に後頭部を思いっきりぶつけた拍子に親父一瞬身体をビクッと震えさせ目を見開いたままピクリとも動かなくなった


「??親父・・・親父?お、おい・・・ふざけるなって・・あはは・・おい・・おきろって・・笑えねぇって・・」


そこにマミが薄っすら笑いながら現れる


「あらぁ邪魔なゴミがタイミング良く居なくなってくれて良かったじゃないぃ~時夜、フフフ」


マミの言ってる事が理解できない


「え?何言ってんのマミ・・親父が大変なんだ!ふざけてる場合じゃ


「ヴィーダ・ウル・ビス・チャータ(我の命に従う傀儡と化せ)」


マミはオヤジに向って怪しげな魔法を唱える


「!?何をする気だ!!」


しかし俺の腕の中でこと切れたはずの親父は急に上半身を起こし立ち上がると、虚ろな目で俺たちを見つめ


「お前たちの結婚を認める・・・・黒原家の家督も時夜に譲る・・・いまから顧問弁護士にその事を伝える」


急に起き上がったと思ったら今まで反対していたマミとの結婚を急に認めると言いだした


「お、親父!?急にどうした?さっきまで俺たちの結婚に反対を・・


「お前たちの結婚を認める・・・・黒原家の家督も時夜に譲る・・・いまから顧問弁護士にその事を伝える」


「ど、どうしたおかしいぞ親父ぃぃ」


親父の肩を掴み前後に揺らすが虚ろな表情のまま・・・・


「お前たちの結婚を認める・・・・黒原家の家督も時夜に譲る・・・いまから顧問弁護士にその事を伝える」


「お前たちの結婚を認める・・・・黒原家の家督も時夜に譲る・・・いまから顧問弁護士にその事を伝える」


「お前たちの結婚を認める・・・・黒原家の家督も時夜に譲る・・・いまから顧問弁護士にその事を伝える」


「・・・・・マミ・・これはどういう事だ?・・お前親父に何をした!?」


マミを睨み付け怒鳴るがマミは不敵に微笑むだけで何も言わない、そうしてる間にも親父は本当に弁護士に電話して家督と不動産、会社の権利すべて俺に譲ると伝えてるみたいだ・・当然顧問弁護士は電話口で親父の真意を問いただしているみたいで、電話で済む話では無いと言い今すぐ家に来る様だ


「これで、すべて時夜の物よ?喜ばないの?」


俺はマミと言う女が急に恐ろしくなってきた


「何を言ってる・・・親父がおかしくなったんだぞ?早く元に戻してくれ!!」


「ふふ、おかしな事を言ってるのは貴方だわ時夜、お父さんは貴方が殺したんじゃない・・ほらそこの柱に頭をぶつけて、貴方が殺したんでしょ?」


「殺した?俺が?親父を?・・・はははそんな訳ないじゃないか?親父は・・・ほら今電話してるじゃないか?死んでる人間が電話出来るわけないだろ?」


「ああ、あれは私が死体を操ってるのよ?」


「え?・・・マミ・・・お前は一体・・・・」


マミに恐怖を覚え後ずさりする俺・・・しかしマミの目が蛇眼に変わり怪しく光ると俺の身体が金縛りみたいに動かなくなる


「まぁこんな所か・・・面倒だからアンタもう良いわ・・・」


そういうとマミは俺の額にその鋭くとがった爪を突き刺した、一瞬だけ痛かったが直ぐに痛みは消え・・・・なんだか気持ちが軽くなる


「・・・・ああ、邪魔な奴が死んでくれて良かった・・・これでマミと結婚出来るし黒原の家の物も全部俺のものだ・・親父には適当な所で退場してもらおう」


「ふふふ、それでこそ私の時夜だわ~ぁ♡アハハハハ」


それから弁護士には親父と俺が同伴で必要な引き継ぎ書類を用意してもらい手続きと財務処理は滞りなく済んだ、俺は不動産業を引き継ぎ今まで俺を馬鹿にしてきた連中を、まとめて地獄に叩き落とす復讐を実行する事をマミに告げる


「あら、それはいいわねぇ貴方ぁ私も協力するわぁ」


マミはそう嬉しそうに言うと黒原の名前で俺の挙げた名前の連中を呼び出し全員を傀儡にし、俺とマミが二人きりの時を狙って襲わせる、あえて人目に付くように・・・


連中が束になってもマミの相手になるはずも無く惨めに地面にひれ伏すと狙いすました絶好のタイミングで警察が登場する


「ま、まってくれ!!俺たちは覚えてない!本当だ」「俺は時夜や時夜の嫁を襲ったりしてない!!」


「これだけ大勢が証言してるんだ!!言い訳は署で聞いてやる!!全員連れてけ!」


くくくく・・これで俺をコケにした連中まとめて地獄に落としてやるぞ・・・・


「示談金は500万で、アンタらの住む黒原の物件の家賃は来月から30万だ」「・・・を解雇するんだ・・断ったら・・判るよな?」


連中から金をむしり取り、住むところを奪う、働き先に圧力を掛け親と本人を解雇させ生活出来ない様にする、何人もが先祖代々の土地を手放し逃げる様にこの町から去っていった


「なぁ立花さん・・俺に対する謝罪の気持ちはないのアンタの息子が仕出かした事だろ?俺の心の傷を癒すのに誠意を見せて欲しいんだが?」


「しかし・・息子は今留置所で・・自分はやってないと・・・」


「はぁ?大勢がその時の様子を見てるし、なんなら動画を撮ってる連中もいるじゃないか?その動画はどう説明する?明らかに大勢で俺と嫁を取り囲んで襲おうとしてるじゃないか?」


俺の差し出したスマホの動画を見てられず顔を背けてしまう立花両親・・その奥で俯き膝の上で硬く拳を握ってる慎吾の妹・・・俺は最高の復讐を思いつき口元がニヤける


「ああ、そうだな俺も鬼じゃない・・そうだな・・・そこの娘さんを俺の嫁にくれよ」


「「「!?」」」


「そ、そんな事出来る訳がないだろ!!」「そうよ!慎吾の事と麻美は関係ありません!!」


俺に反論する両親の奥でガタガタ震える妹の麻美・・・これは・・・いいじゃないかぁぁくくくく


「俺は別にどっちでもいいぜ?金払ってもらってこの家を出てってもらうでもな、くくく、あ、そういやお父さん貴方、昨日会社から解雇されましたよね?」


「!?っ・・・やはり君の差し金か・・」


「はぁ?勝手に決めないでほしんだけどぉ?でもまぁそうなんだよねぇぇアハハハハ笑えるぜぇ俺を見下して楽しんでいた立花の悔しがる顔が目に浮かぶ様だぁぁ!!」


「・・・・・時夜君・・いや黒原様・・・どうかもう少し支払いを待ってもらえませんでしょうか?」


そう言うと立花の父親と母親は俺に土下座してきた・・・最高だぜぇぇこれが力・・これが権力・・・もっと早くこうすれば良かった


「お父さん・・・お母さん・・私・・・黒原さんの所に行きます・・・」


「!?麻美ぃ!!」「待ちなさい!!」


「待って、何を待つの!?何かいい方法が有るの!!無いじゃない!!お金もない仕事も無い住むところも無くなる・・・これも全部全部お兄ちゃんのせい・・・私の人生も・・家族も・・全部お兄ちゃんの無責任な行動で、もう無茶苦茶よ!!」


「・・・・・麻美・・・・くっ・・・」


「まぁそういう事だ、俺も義理の両親に惨い真似は出来ないからなぁ~あははは、示談金と家賃は暫く待ってやるよぁ~麻美の俺への尽くし方しだいでなぁくくく」



・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・


俺はこの地で王様だ、何でも思い通りだ・・・・しかし最近気になる事がある・・やたら額に出来た黒子が時々ひどく痒くなる


「時夜さん・・・その額の黒子・・なんだか大きくなってませんか?」


そんな事を言う麻美を無視して、車を出させる・・・











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