〇富士山山頂 火口
地面をのたうち回っていたオロチは娘である赤龍の紅の声かけで少し落ち着いている様にも見えた
「オロチよ・・・・俺の声が聞こえるか?」
『ぐぅぅぅぅぅ』
「お前と話がしたい」
《竜王オロチに既定値のダメージを与えました、テイム出来ます、テイムしますか?》
!?
頭の中に再びシステムの声が聞こえてくる・・・
「テイムだと!?」
《ヘルプワードを受け付けました、テイムについて解説します》
《テイムとはプレイヤーが倒した敵に対し従属を促すスキルです、ドラゴンロード固有特技によりドラゴンをテイムする事が可能です》
《テイムした魔物は従者として使用可能です、ドラゴンは強力な魔物です従属する事で強力な従属魔物を得る事が出来ます》
《以上がテイムについてのヘルプ説明です、再度ヘルプをお聞きになりますか?》
「少し待ってくれ・・・」
《了解しました、五分後に再度通知する様に設定しました》
「・・・・・・・」
おれはシステムの通知を延期し再度オロチに呼びかける
「オロチよ、お前と話がしたい」
『・・・・ぐぅぅぅ我に留めを刺すかドラゴンロードよ・・・・口惜しいが此れも世の理・・・我の命を以って人界の勇士となるか・・・』
『ま、まってくれ・・父上を殺さないでくれ・・・殺すなら娘の我を!』
『・・・・・紅よ・・お前はこの地より去れ・・・何処かの地にて添い遂げる番を見つけ竜族の繁栄を・・・・元気で良い子を産み育てよ』
『!?父上!!なりません!!』
「・・・・オロチ・・俺はお前の命を取ろうなど考えてない・・・ただ人への危害を止めてくれればそれで良い」
『我に命を惜しんで、恨みを忘れよと・・・』
「・・・・・・その通りだ」
『見くびられたものだ・・・我は竜王オロチなるぞ、命が惜しくて矜持を曲げるなど名折れぞ・・・説得は無用早くとどめを刺すがよい』
「ふざけるなぁぁぁぁ!!」
ビリビリビリ
進の怒りで大気が震える
「何が矜持だ何が竜王だ、貴様はそんな名前だけの物よりもっと大事な存在だろうがぁ!!」
『竜王の誇りや一族の恨みを晴らす以上に大事な物が我にあると言うか?』
「ああ、そんな薄っぺらいものじゃない・・・・お前は一人の子を持つ親だ」
『・・・・・親・・・・』
「そうだ、お前には守るべき大事な物がある、違うか?」
『・・・・貴様の・・・いやドラゴンロードの言う通りだ・・・その事に気付けないから我はドラゴンロードに負けたのだな・・・・』
「だからオロチよ俺からの命令だ・・・・・生きろ・・・どんなにプライドを傷つけられ、誇りを失っても娘の為に生きる事を諦めるな」
『・・・・・解った・・・ロードの言う事を受け入れ人類への侵攻を諦めよう』
《五分が経過しました、再度通知いたします竜王オロチをテイムしますか?》
「少しま『竜王オロチはドラゴンロードに臣従する事を誓う』!?ちょっと待て!!《竜王オロチをテイム成功しました、以降オロチを従者として使役できます》なっ!?お、おい!!」
「おい!俺はまだ『主、従者オロチ・・・以降は主に従いこの命尽きるまでお仕えする事を誓います』っ!?オ、オロチ!?」
オロチは首を一つ失った状態で俺に七つの頭を下げ地面に伏した
『父上が・・・人間などに臣従するなど・・・』
『主よ、我に何か要求があるのでは無かったのでは?』
俺は懐に仕舞っていた瓶の事を思い出した
「!?オロチ、お願いだお前の血液を少しこの瓶に分けてくれ!」
『!?貴様ぁぁ竜族の神聖なる血をなんと心得る『紅!』!?父上!?』
『主よ我が血で良ければ如何様にも・・・・』
そう言うと俺の掲げる瓶に頭が消し飛んでしまった首を差し出しそこから流れる青紫色の血を手に持った瓶で受けとめる・・・・
「助かる・・・それと【龍の息吹(全体回復)】」
『!?傷が・・・・』『私の傷も!?』
オロチの吹き飛んだはずの頭と潰れた目が元通りに治っていく、そして赤龍の紅も電撃で焼けただれた皮膚が元通りに戻る
「・・・これで、元通り治ったはずだ、世話になった・・・これからは親子で静かに暮らせる事を祈ってる」
『お待ちください』
そうオロチが言うと同時にオロチと赤龍の姿が激しく輝く
「!?なっ・・何をする気だ!?」
光が収まると中から筋肉質な中年の男性と少女が姿を現す
「主様、この私もお連れください」
「・・・私も父上についていきます・・・」
え?オロチと紅?・・・