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第100話 起死回生の進の作戦

〇富士山山頂  火口




ザビーネは俺に向って余裕の笑みを見せ瓶の元へ到着する


「何か企んでいたのだろうけど、ざぁ~んねぇ~ん」


ザビーネは優雅な所作で床に置いてる瓶を手にして目の前に掲げ恍惚の表情をする・・・



「いまだぁぁぁぁ!!」




「風神級長津比売にかしこみかしこみ申す・・・導たもう、我が名は龍道 五月なり・・・・神風ナツヒメ!」


五月の風神の魔法で布津御霊を構えてる由利は数メートル吹き飛び火山岩に背中から叩きつけられ、短く息を吐き出しそのまま昏倒した


「!?なんで動ける!!っ!?」


ザビーネが五月に気を取られてる間に、雫の背後で拘束していた星奈が力なく崩れる


「!?何っぃ」


雫の背後には、ピンクの美しい髪にキリンの様な角を持つ巫女服を着た美少女が立っていた


「なっ誰!?」


「オロチィィ!!」


俺の呼びかけに背後の崖下から筋肉隆々の大男が飛び上がり上空からザビーネ目がけて竜術を撃ち込む


「御意!!暴風斬」


オロチのかざした手から紋様が浮かび無数の風の刃が竜巻の様になり、ザビーネを閉じ込め切り刻む


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」


竜巻の中からザビーネの絶叫と切り刻まれたザビーネの肉と真っ赤な血が暴風斬の影響と威力で広範囲に飛び散る


「五月ぃぃぃ!!」


俺は五月の元に駆けより刺さってるナイフを抜き抱き起す


「いてててて、ちょっと進痛いって・・・っふふふ」


「雫っ!」


「我求めるは万物の癒し神秘の光を我にハイ・ヒール」


五月を聖なる光が包みこみ背中の刺し傷が塞がっていく、傷が治り痛みが治まった五月は俺の肩をポンと叩き自分の足で立ち上がると服についた砂を払い


ギュ―――


俺に抱き付いた


「五月ぃ!?」


「進、怖かった・・・・でも信じてた・・・有難う」


俺の胸の中で震えてる五月の肩を抱きしめる


「んっんっうん!!」


背中から咳払いが聞こえ五月は慌てて俺から離れると、呆れた様な表情の紅が腕を組んで立っていた


「ちょっと気を抜き過ぎ・・・アンタらねぇわたっ!?・・父上?」


何か言いかけた紅の頭を軽く叩き中年の大男が俺たちの前に現れ片膝をついて頭を下げる


「この度は奥方様がご無事で何よりです、この姿では初めてお目にかかります、私はドラゴンロード進様の従者として契約しました、竜王 オロチと申します、こちらは娘の紅、奥方様方には以後御見知りおきを」


「!?はぁぁぁぁぁ?」「やだぁ奥方様だってぇ~もうぅ~どうしましょア・ナ・タ♡」


驚いてる五月に、恍惚の表情で俺を見つめる雫


「なに言ってんのよ雫そんな事言ってる場合!?オロチを従者にしたって!?進、アンタ何しての!?」


「い、いや・・これには深い事情がだな・・・」


「!?お待ちください!主様、魔族の反応は未だ消えてません!!」


「「「!?」」」


オロチの放った暴風斬の効果が弱くなり竜巻の中心には人影が立っている


「ぐぅぅぅ、お前らぁぁぁぁぁ!!」


ザビーネは命は助かったがその体は切り刻まれ右腕は千切れて無くなっており、左足の太もも半分肉が抉れ立っているのが不思議な程、ボロボロになっていた


「流石、魔族・・・何という生命力・・・だが!」


「!?お待ちください主様!!」


オロチは急に俺の前に飛び出しボロボロの姿のザビーネの方を見て酷く動揺していた


「ミ、ミレーネ・・」


「!?父上?そ、そんなまさか!?」


「・・・・・・・・・・・」


オロチは紅の問いに答える事なくザビーネを見つめたまま固まっている







「そんな・・・まさか、あの魔族が私の母上・・・・」







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