俺は、ザビーネの使用した晴明の宝珠により劣勢に追い込まれたオロチを援護するべく飛び出した所
完全な死角から由利さんにより投げ付けられた布津御霊と結界魔法により作られた白い半円のドームに完全に閉じ込められた・・・内側から全力の攻撃も結界は砕けないし外にいる五月や雫に念話を試みるも全く通じない
オロチを封じるために犬飼会長が手配してくれ託してくれた、国宝の宝剣 布津御霊を奪われた上この様な失態・・自分の思慮の浅さを悔やんでも悔み切れない
《ジャミングにより・・一部のスキルが使用%&###ま?!”に$*ZZどうします》
!?
そんな俺の頭の中に、システムの声が聞こえたと思った瞬間目の前が真っ暗になった・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・久しぶりだな、でも今回は有難いぜ」
周囲には何も無い真っ暗な空間に俺は今浮いている・・・ここは久々に訪れる狭間の世界
〇狭間の世界
「今回ばかりはどんな嫌味な忠告でも素直に受け入れるぜ」
『殊勝だな、進よ』
〈やあ、よく来たねもう一人の僕〉
振り向いた先の俺の目の前には、光る玉と前の世界の俺が立っている・・・コイツ等は何時も俺が危機的状況になってから呼び寄せやがる
『それは致し方ない、この世界は・・そうだな我の世界で言う所の【チート】と言うやつだ』
「てめぇまた人の頭を覗きやがって、って今は其れ処じゃない!!頭を覗いたなら解ってるんだろ状況を!」
『当然だ、この世界では人格は分かれ別々に話をしているが、普段は融合した一人の龍道 進だ』
「だったら、何時もみたくおせっかいな助言を頼む!!早くしないとオロチが、皆が!!」
『落ち着く良い、この狭間はお前の世界とは異なる次元・・・現実世界での時間とは無縁』
〈進君、世界は非常に危険な方向に向ってる、オロチの事だけでは無い・・君の世界すべてに関わる事だよ〉
珍しく前の世界の龍道 進が饒舌だ・・俺は、目の前の自分から発せられる異様な雰囲気に事態の深刻さを感じ取り喉の奥に溜まった唾を飲み込む
『魔族の女・・・ザビーネと言ったか、あれが自らの身体に接種したのが竜族の血・・・オロチの娘の血だと言う事は分かるな』
「あ、ああ・・・」
『本来ならば、あの世界では他種族同士の血が交わる事自体が禁忌・・・許されない事なのだ』
「そ、それはおかしいだろ!?そもそもオロチの奥さんは魔族な訳で・・」
『・・・少し見直したぞ、よく覚えていたな・・如何にも竜族は繁殖力が極端に低い・・その為その個体数は極端に少ない』
「そ、それで他種族から選ばれた、竜の巫女を妻に向える・・・そうだったよな?」
『その通りだ・・・つまり
「!?たっ確かに!?一体誰が竜の巫女を選ぶ?・・・神か!?」
『正解だ・・・いや実際は三人の種族神、つまり人神、魔神、龍神だ』
「それ、龍道 進の記憶にあるぞ・・・小学校の授業で教わる世界創造の神話の話だな」
『神話・・・そうではない三神は実際に存在する』
「なっ!?実在するのか?」
〈かの世界の三神について、僕から少し話をしよう・・・・それはこの世界に三つの種族誕生した太古の神代の話だよ・・・〉
◇
それはこの世界が誕生して最初に生まれた命・・・・・大いなる力と命を司る龍の命、貴き知識と精神を司る魔の命、深き心情と成長を司る人の命
三つの命はその使命に相応しき身体を得る、すなわち龍神、魔神、人神である三神の始まりであった・・・・
三神は各々が自らを崇め
各眷属はそれぞれ繁栄し長い年月を経てその数は着実に増えて行った・・・・しかし
増えていく眷属達は世界の中で限られた土地を巡り争い傷つけ合い互いに命を奪い合う様になった・・・・その事を嘆いた三神は其々の眷属に戒めを課す事にした
竜族はその大いなる力と生命力、長寿を得るに至り引き換えに子孫を残す能力を殆ど失う戒めを課された
魔族はその全能の知識と大量の魔力と魔素から下僕を作る力を得るに至り、引き換えに竜族程では無いが繁殖期以外では子孫を残せなくなり、高い魔力を維持する魔素無しでは生きて行けない戒めを課された
人族はその向上心と成長による文明と新たな物を生み出す力、そして高い繁殖力を得るに至り、引き換えに100年に満たない短い寿命と他の種族に比して弱い力と生命力、魔力しか与えれない戒めを課された
そして3種族同士の血脈の契りを固く禁じる事となる・・・
三神により交わされた「三神の誓」により、世界は均衡を保たれる・・・・その中で戒めより解かれる神の慈悲
竜族に於ける・・・他種族からの配偶者選定システム【竜の巫女】
魔族における・・・魔素の生成が出来る頂上先導者システム【魔王】
人族における・・・上級を超えるタレントへの覚醒システム【超級タレント】
それらは、三神の合意で発令される神だけに許された神託であった
が、ここに居たり世界の均衡は破られようとしてる・・・
竜族はその絶大な力を持って他種族への不干渉という禁を破り、多くの人族を攻撃しその命を奪った
人族は底なしの向上心により、タレントという絶大な力をその無限の成長により、神の選定を必要としない転職で魔族や竜族に匹敵する力を有する個体が現れた
そして・・・・・・・
◇
〈そして魔族は・・・・他種族の血を取り込む事により種族神により課せられた血脈の契りの戒めを打ち破ろうとしてる・・・・〉