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第82話 大型レジャー施設……建設開始??

 さあ、それじゃあここに大型の総合レジャーのテーマパークを作る事にしよう。


 よし、作業開始だ!!


 オレはまず、この辺りに活火山、もしくは休火山等が無いかをトーデン、カンデンの二人に聞いてみた。


「そうですわね、この少し離れた場所にファイアドラゴンが住み着いている火山ならありますわね」


 ファイアドラゴンって、そんな物騒な奴がここにいるのか??


「そ、それってここの土地は大丈夫なのか?」

「問題ありませんわ。ここはドラゴンの嫌う何かがあるみたいですから、それにファイアドラゴンは巣に踏み込まれない限りは自ら表に出てこようとはしませんわ」


 なんだかどこかの引きこもりみたいだな。

 まあいい、ファイアドラゴンが来ないなら安心して作業する事は出来そうだ。


 地下水脈を掘れば温泉が噴き出してくるはず、それを元に温泉保養地を作り、かつての人間との戦いで使われた砦を改築する事でホテルに改修、そして肝心の絶叫マシンを作ってテーマパークを完成させよう。


 では、まずは地下から温泉の水脈を掘り当てないと。

 それが出来るのはコンゴウの高出力レーザーだけだ。


「コンゴウ、この地下をレーザーで貫いてくれ!」

「グゴゴゴゴゴ……!」


 コンゴウの目が赤く光り、エネルギーが集まった。

 そして、目から二条のレーザーが地面に向けて放たれ、地下深くまで地面を焼き砕いていった。


 およそ数百メートルといったところか、掘り進めた地下からは水の音が聞こえて来た。


 ゴボボボ……ゴポッ、ブシャァアアアッー!!


 成功だ! やはり火山の近くには温泉がある、これは異世界でも大して変わらない事のようだ。

 この温泉を元に保養地を建設、そして砦だった場所のホテル化改修、それに絶叫マシン建設となると、コンゴウだけではゴーレムが足りなそうだ。

 そうなると、やはりここは新たなゴーレムを呼び出す必要があるのか。


「カシマール、この辺りに話が出来そうな相手はいるのか?」

「いるのだ、五人程……人間側と魔族側、どちらかまでは分からないけど、ここが戦場だった時の将軍達みたいなのだ……」


 どうやらここは昔人間と魔族の激戦場だったらしい、その中でカシマールが会話出来た相手は五人程いたようだ。


 彼女に聞くと、彼等の名前は、ムコーガ、グリュック、ガリバー、マテック、ナメガの五人らしい。

 戦場で戦死したとはいえ、長い年月を経てその恨みはもう薄れているそうだ、それでオレはカシマールに頼み、この五人に力を貸してほしいと伝えた。


「良いのだ、この子達、お兄さんに力を貸してくれると言ってるのだ……」


 助かった、これでゴーレムを生み出す事が出来れば、作業は大幅に短縮出来そうだ。


「オレに力を貸してくれ、ムコーガ、グリュック、ガリバー、マテック、ナメガ!!」


 どうやらオレのスキルは前よりもレベルが上がっているようだ。

 以前は二体、三体しか同時に生み出す事の出来なかったゴーレムが、今回は一気に五体生み出す事が出来た。


 それもサイズがかなり大きめで、コンゴウには到底及ばないがそれでもどれもが二十メートルクラスの巨大ゴーレムだ。


 ムコーガ、グリュックはジェットコースターやフリーフォールを建設、コンゴウが大型の観覧車設置、ナメガとガリバーがバイキングや回転ブランコを、そしてマテックがメリーゴーランドや迷路を建設した。


 本来ならミラーハウスをやろうと考えたのだが、この世界のガラスはまだ透明度の高いものは作れないのと、メンテナンスが大変という事で普通のモンスターを配置した迷路を作る事になった。


 一通りのアトラクション系が完成すると今度は温泉の出た場所を建設する事になった。

 だが、以前はコンゴウ一体だけだったのが、今回は大型ゴーレムが五体も増えてくれたので、以前に比べて作業は半分どころか五分の一の時間でほぼ片付いた。


 このゴーレム達と魔族の兵士達が力を貸してくれたので、テーマパークの建設と温泉保養施設の建設は思ったよりすんなりと進み、一か月半程度で大型レジャー施設は完成した。


 さあ、それじゃあテーマパーク開設だ!

 ここの名前は何になったかと言えば、ネクステラランドになった。


 まあ、短絡的と言えば短絡的な名前だが、実際ここの開設に一番力を貸してくれたのは雷の魔王ネクステラなので問題はない。


 そして絶叫マシンの数々はどれもがネクステラの魔力によって動いている。

 彼の暴発していた魔力は全てが集められ、全力を放った雷の魔力は蓄積された後にそれぞれが導線で分波され、アトラクションを動かすエネルギーに使われた。


「「「「キャアアアアー!!」」」」

「「「「ウワァアァァアッッ!!!!」」」」

「「「ウギャアアアーッ!!」」」


 あちこちから絶叫の声が聞こえてくる。

 だが安全面には絶対の自信があり、なおかつスタッフは空を飛べる魔族が配置されているので万が一外に放り出されたとしても死ぬ事は無く、すぐに助け出されるようになっている。


 そして、一通り絶叫マシンやアトラクションを楽しんだ後は食事も楽しめるようになっている。

 この料理、魔族のイメージで見た目はおぞましいが味は何の問題も無い、まあテーマパークの食事って大体そんなものが多いよな。

 名前系の駄洒落だったり、キャラクターのイメージをしたカラーや具材だったりする事で本来の金額の三割から五割り増しというのが相場か。


 だが、ここでしか楽しめないものとなると、その金額でも払って楽しもうとするのが人のサガだろうな。


 ここで食事を楽しんだ後はかつての砦を改修したホテルで休めるようになっている。

 本当なら卓球とか出来るようにしたかったところだが、そういった器具を用意するのが難しそうなのでそこは諦める事にした。


 それでもこのレジャー施設はかなり好評だったようで、開設から三日で一万人以上がここを訪れた。


 一家族で銀貨10枚程度だとしても、これで10万枚の銀貨、金貨にすると1万枚以上の収入だ。


 これだけあれば今まで働いてくれた魔族の兵士達にも十分報酬を支払う事が出来そうだ。

 オレはどこかのブラックな連中と違い、働いてくれた相手にはきちんとそれだけの報酬を出して当然だと思っている。


 報酬をもらった魔族の兵士達は使い方が分からなかったようだが、それは人間が教えてあげる事でどうにか使う事が出来たようだ。


 この感じで人間と魔族がお互い理解できるようになっていくなら、このレジャー施設ももっと盛り上がっていくだろうな。


 オレはこの結果を報告する為、ネクステラの城を訪れた。

 すると、雷の魔王ネクステラは上機嫌でオレの事を迎えてくれた。


「コバヤシ、お前の言った通りじゃったな、まさかこれほど良質の恐怖の感情を得る事が出来るとは思わなかったぞ、じゃがたまに入ってくる謎の気の抜けるようなモノは邪魔じゃがな……」


 多分それは温泉でリラックスした時の感情だろうな。

 あの温泉に浸かれば、人間でも魔族でも関係なくリラックスしてしまい、気が抜けてしまうだろう。

 まあその部分は我慢してもらうしかないだろう、リピーターを増やす為にはどうしても必要な事だからな。


 大型レジャー施設が開設して一か月もすると、王国からの船は常に大入り満員になるようになった。

 それだけ多くの人がこのレジャー施設を訪れているという事だろう。


 まあ、嬉しい悲鳴というべきかな。


 だが、その悲鳴が嬉しいものでなくなったのはその少し後だった。


「コバヤシ、どうなっておるのじゃ?? 儂の力が、全く出なくなってしまったのじゃ!!」

「えー!! それは、どういう事ですか!!」


 オレが雷の魔王ネクステラの城に向かうと、そこにいたのは再び少年の姿になった彼だった。

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