しばらく回避を続けた時だった。ドロシーが意外なことを言った。
『上に来るわ!』
「え?」
俺は半信半疑ですかさず上にエアスラッシュを放った。
刹那、
ズン! と重い衝撃音が響き渡る――――。
完璧なタイミングでの一撃。
『ウヒョー! やった、やった! なんでわかったの!?』
歓喜にわく俺に、ドロシーの声が返ってくる。その声には、確固たる
『うふふっ! 下への攻撃態勢になって跳ぼうとしてたのよ。剣をわずかに振りかぶったので分かったわ』
必死の思いが紡いでいったドロシーの観察眼は、戦いの中で磨かれ、鋭く確かなものになっていたのだ。
『すごい! ドロシー最高!』
俺は心からの賛辞を送った。
『ふふっ。ありがと!』
その瞬間、二人の間に流れる
◇
『くるわよーーーー、右!』
ドロシーの声が、運命の糸を紡ぐ女神の宣託のように響き渡る。
『ほいきた!』
俺は瞬時に反応し、右手に魔力を込めた。
炎の球はまるで火球のように空を
出てくるなりファイヤーボールの嵐を食らった
『やったあ!』
ドロシーの喜びに満ちた声が響く。連続の攻撃成功は、まさに希望の光だった。
『ドロシー、才能あるよ!』
絶望的な状況をこじ開けるドロシーの執念、集中力に俺は舌を巻いた。
『えへへ……』
照れくさそうな返事に愛おしさが胸に溢れてくる。
俺のドロシーは可愛いだけでなく、すごく頼りになる自慢の奥さんだった――――。
これが本当の『夫婦の共同作業』というものなのだろう。俺は目頭が熱くなった。