15分もすると、先ほどよりも少し痛みが引いた。
立ち上がる時、美津子と矢島に身体を支えてもらったためか、思ったよりも痛みを感じずに立つことができた。だが、それは痛みのなくなったということではなく、多少軽くなったという程度であり、動くたびに強い痛みを感じる。おかしくした時のような激痛ではないものの、身体を動かす時の恐怖になる。
歩けるかどうかを確認するため、支えられたまま足を踏み出すが、痛みに対する恐怖のために歩幅は短い。これでは10分くらいの距離でもどれくらいの時間がかかるか分からない。
だから、距離は短いけれどタクシーを呼んでもらい、それで病院まで行くことにした。乗降の時にどうなるか分からないので、最初の予定を変え、矢島にも同行してもらうことにした。さすがに家に帰る時には無理だが、病院まではお願いすることになった。もともと矢島自身で私を病院まで連れて行こうとしていたので、この点は問題ない。ただ、夜の部の準備があるので病院に一緒に連れて行ってもらったら、すぐに店に戻り、仕事の続きをやってもらわなければならない。そういうことを事前に打ち合わせ、矢島はタクシー会社に電話した。
1号店は駅に近いところにあるため、すぐにタクシーがやってきた。
事前に入り口近くに移動していたため、タクシーまでは比較的時間をかけずに動けたが、乗り込む時に腰を曲げることが辛く、そこで少し時間を取られた。美津子は先に乗り込み、矢島は前方に座席に座った。病院は歩いても10分程度のところにあるので、移動時間よりも乗り降りのほうに時間がかかる、という状態だった。
矢島は待合室まで私を支えてくれ、待合室の椅子に座るまで付き添ってくれだ。その間、美津子は受付を済ませ、私の横に座った。
「じゃ、俺はここで・・・」
矢島はそう言って立ち上がり、病院を後にした。
「大変だったね。今度はどれくらいで回復するかな。時間がかかるようだったら、また矢島君に迷惑をかけちゃうね。私も時々1号店に来て、手伝いするかな。あっ、でもそうすると中村君に負担かけちゃうね。そう考えると、ここはやっぱり矢島君に迷惑かけるけど、頑張ってもらうことしかできないかな」
美津子は一人でいろいろ心配したが、それぞれ責任者として店を切り盛りしているので、1号店のほうに時々ヘルプに入るということは難しいだろう。となると、私が早く回復するしかない、ということになる。
ただ、こればかりはいくら私が頑張っても何とかなるものではない。やはりきちんと治療を受け、言われた通りの生活をするしかない。その間は本当に皆に迷惑をかけることになるが、できないものはできないし、今、私ができることは治療に専念することと改めて自分に言い聞かせた。