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ギックリ腰 5

 しばらくすると、私の名前が呼ばれた。まず腰の様子を確認するため、レントゲンを撮るとのことだった。そのため診察室ではなくレントゲンの撮影室に行くことになったが、横になると機械のガラスの部分が冷たい。季節的には暑いので心地良いくらいだが、もし寒い時期だったらこの冷たさは身が縮むような感じかな、と思いつつ言われた通りの状態でいた。

 ここでは特別なことは無く、撮影後はまた待合室に戻った。

 そこから少し時間が経つと、今度は診察室に入るように呼び出しがあった。恐る恐る2人で室内に入るが、医者は先ほど撮ったレントゲン写真を見ている。

 まずは問診だが、腰を痛めた時の様子を尋ねられた。今回の場合、ビール瓶のケースを持った時のことだったので、そのことを可能な限り詳細に話した。医者の方はレントゲンを見れば分かるといった感じで対応していたが、一通り話を聞いた後は診察室内のベッドに横になるよう促された。私は言われるまま横になろうとしたが、なかなかそれが難しかった。ここでは美津子と看護師の人に手伝ってもらい横になることができたが、医者は痛みの箇所の確認のためか、患部付近を触れていた。私の場合、奥田のところでお世話になっているため、触診についてはその度に体験しているが、ここでの様子は本当に触れて痛みの箇所を確認しているだけ、といった感じで、マニュアル的な印象だった。

 触診が終わると、また最初のように丸椅子に座り、医者から話を聞くことになるが、ここで診断名を聞くことになった。

「レントゲン写真を見る限り、骨のほうには問題なさそうです。急性腰痛症ということですが、分かりやすく言うとギックリ腰です。湿布と痛み止めの薬を出しておきますから、薬局でもらってください。安静にして、もし痛みが続くようであればその時にまた来てください」

「ありがとうございます。それでどれくらいで治りますか?」

「普段の生活の様子にも関係しますので絶対ということではありませんが、2週間くらいを考えておいてください。決して無理はしないでくださいね、安静第一です」

 以前の経験から大体のことは分かっていたが、以前ギックリ腰になった時も同じようなことを言われ、結局約1ヵ月かかった。だから今回も同じような時間がかかるだろうな、ということを漠然と考えていた。診断名については自分でも分かっていたし、以前の経験からその場合も対応も分かっていた。

 痛みが襲ってきた瞬間はもう立てなくなるのでは、といった心配も頭によぎったが、少し落ち着いてくるとだんだんこの後のことが見えてきた。

 この時点ではやはり矢島に迷惑をかける、ということが頭の中で大きなスペースを取ることになったが、先日も風邪を引き、同じようなことをやってしまった。

 いろいろを考えると腰の痛みを少し忘れるような感じになるが、診察が終わり、部屋から出ようとする時にはやはり来院時と同じような痛みが襲った。

 帰る時に薬を受け取ったが、今は帰って湿布をする、そして食事の後、痛み止めを飲む、ということで対応することにした。ここでもタクシーを呼んでもらい、家まで帰ることになったが、乗る時のヘルプは美津子一人だ。その点が心配ではあるが、何とか乗ることはできるだろうと思い、このまま帰宅することにした。


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