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第40話 ころちゃん視点 フェルディナントがカーラに食べさせようとしたので、阻止するために犠牲になりました

「では、カーラ様、参りましょうか?」

フェルディナントが馬車に俺たちを案内してくれたが、この胸くそ悪い男はずっとカーラを見ていた。


「わんわん」

俺のカーラを見るな!

俺は怒ったのに、

「ころちゃん静かに!」

カーラに注意されてしまった。

フェルナンドはひょうひょうとしている。本当にむかつく!

馬車に乗る時に思いっきりフェルディナントにガンつけてやったが、奴もにらみ返してきてくれた。


馬車の中では終始フェルディナントはご機嫌だった。俺はカーラに抱かれて、ふん、見てみろと自分の優位性をフェルディナントに見せつけてみたが、フェルデイナントは俺を無視して、カーラに町並みについて質問してくれていた。


最初は大聖堂だった。この王都で一番古い建物らしい。大聖堂に着くとフェルディナントがエスコートしてカーラと俺を下ろしてくれた。カーラの手をフエルディナントに触れさせるのがとても嫌だったけれど仕方がない。

その時に、フェルディナントはカーラを見てにこりと笑ってくれたのだ。

俺のカーラを見るな。汚れる!

俺が睨み付けるとフェルディナントもにらみ返してくれた。

しかしねそこに大司教が迎えに来てくれて、俺達はにらみ合いを止めるしか無くなった。

大聖堂を案内してくれた大司教の話は退屈で俺様は寝てしまったのだ。まあ、大司教の前ではフェルディナントもカーラに不埒なことは出来ないだろう。


「今日はどうもありがとうございました」

「わんわん」

カーラの挨拶に会わせて俺もよくやったと褒めてやったのだ。


次はフェルディナントの御用達のレストランだそうだ。

次こそは気合いを入れて立ち向かわなくては!



「殿下ようこそお越し下さいました」

そのレストランでは従業員総出のお出迎えだった。

さすが皇子なだけはある。でも、俺様も獣人王国の皇子だった時はこうだったのだ。今は違うけれど……

何かとても悔しかった。


それにむかつくことに、犬にはカリーはよくないからと、俺だけ別メニューだったのだ。すじ肉の煮込んだものだ。

なんだこの馬鹿にした料理は……俺は頭にきた。

「フェルディナント様。すみません。本来犬用なんてそのような物はないですよね」

カーラはフェルディナントに謝ってくれたのだ。こんなくだらない料理のために謝るんじゃないと俺は思った。それに俺は獣人が獣化しただけだから絶対にカリーも食べられるはずだ。もっともそれは言えないから黙っているしかなかった。

「いや、まあ、カーラ様のご要望に応えるのもエスコートしている私の勤めですから」

フェルディナントのその答えにもとてもむかついた。

カーラは美味しそうに食べていた。俺はカリーなんて食べたことがない。そんなに美味しいんだろうか?


「ころちゃんはだめだからね」

そう思ったらカーラに釘を刺された。

「クーン」

「おなか壊したらだめだから」

俺が食べたいと言ってもカーラは聞いてくれなかった。


「いつもそうやつて一緒に食べているのですか?」

フェルディナントが聞いてきたので、俺は自慢げにフェルディナントを見てやった。

「そうですね。父もいろいろと忙しいので、一人で食べる時は一緒に食べる時が多いです」

「そうですか? 一人で食べる食事は味気なくはないですか?」

でも、フェルディナントは俺を全く無視してカーラと話し出したのだ。

「まあ、そうですね。ただ私にはころちゃんがいますし、侍女のサーヤとかもおりますから、どちらかというと賑やかかと」

「そうですか。それはとてもうらやましいですね。私の場合は一人で食べる食事はわびしくて」

フェルディナントはさみしそうに呟いた。

こいつ、カーラの母性本能に訴えようとしていやがる。

カーラにさみしいとアピールして、食事を一緒にしようと言わそうとしているのだ。何と浅ましい奴だ。


「もし宜しければ……」

「わんわん」

俺はカーラが余計な事を言わないように、カーラの言葉を邪魔して吠えてやったのだ。

そして、更にカーラの考えをそらすために、カーラの膝に乗って顔を舐めてやつたのだ。

「ころちゃん、ちゃんとお座りして食べなさい」

カーラが注意してきた。

ふふん、

これでカーラの頭の中から一緒の食事の件は消えてくれたはずだ。ざまあみろと俺様はフェルディナントを見下ししやったのだ。


「辛さはどうですか? 辛かったですか?」

でも、フェルディナントは俺様を無視して、カーラに話しかけてくれた。

「いえ、もう少し、辛くてもいけたかも知れません」

「そうですか。もし良ければ辛口も一口食べてみますか?」

フェルディナントの野郎はそう言うやスプーンを変えてフェルデイナントが一口分すくって、スプーンをカーラの口元に持つて行きやがったのだ。これは食べさせというやつではないか。俺は絶対に許さないと思ったのだ。


ガブっと横から飛び出してきてそのフェルディナントが差し出したスプーンをがぶっと食べたのだ。

「えっ、ころちゃん大丈夫?」

辛い! これは何だ!

俺の顔が真っ赤になって俺は辛さに死にそうになった。

カーラが慌ててスプーンを取り上げてくれたが、俺は舌が麻痺して死にそうだった。


「キャイーーーン」

俺は鳴いたのだった。

でも、なんとか俺の犠牲でフェルナンドの野郎がカーラに食べさせしようとしたのは阻止したのだった。


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