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第68話 お父様のところで置き手紙について相談したらころちゃんが白い騎士の使い魔ではないかと言われて赤面しました

私は皆が起き出す時間になると、サーヤと騎士の案内でお父様の部屋にお邪魔したのだ。


「これはカーラ、どうした風の吹き回しなのだ? 私と朝食が食べたいなどとそなたが言い出してくれるとは思ってもいなかったぞ」

テーブルについているお父様はご機嫌だった。


「実はお父様に折り入ってご相談したいことがございまして」

私はお父様の前に席に座るなり、人払いをお願いした。


「どうしたのじゃ?」

お父様はいぶかしげに私を見つつも給仕を下げてくれた。


「実はお父様、朝起きたらこのような手紙が部屋におかれていたのです」

私は白い騎士の手紙をお父様に差し出した。


「なになに、『宰相反乱時、南の皇子頼れ。あなたの白い騎士より』じゃと!」

お父様は目を見開いていた。


「これが朝起きたら、机の上にありまして、どうしたものかと相談にあったのです」

私はお父様の目を見ていった。

「うーむ、ここに書かれている白い騎士とは何者なのじゃ」

お父様が誰何してきた。

「おそらく、破落戸どもに私が襲われた時に助けてくれた騎士様かと存じますが」

私が答えていた。

「そうか、カーラの命の恩人なのじゃな。その者がわざわざ教えてくれたのか?

しかし、宰相が反乱を起こすというのか?」

お父様は信じられないという顔をしていた。


「そういえばここ数日間王宮に顔を見せておらんの」

お父様が思い出したように言い出した。それはとても不吉な事だった。

宰相は家に籠もって反乱の準備を着々と整えているのかもしれない。


「陛下、お食事中失礼します」

そこに騎士団長が飛び込んできた。

「これはご歓談中でしたか」

騎士団長は私を見て慌てたようだったが、

「構わん、どうしたのだ?」

「それが、昨日の深夜にカーラ様の子犬を見つけて騎士達が捕まえようとしたのですが、逃げられたようで」

「ころちゃんをどこで見たのですか?」

私は驚いて聞いていた。

「中庭辺りです。フェルディナンド様の騎士が追いかけてくれていたので、こちらも捕まえようとしたのですが、逃げられまして」

騎士団長が申し訳なさそうに言いわけしてくれた。

「その後にこのようなものが残っておりました」

騎士団長が文字の書かれた紙を差し出した。


そこには

『宰相の反乱に注意 白い騎士より』

とでかでかと書かれていたのだ。


お父様が自分の持って来た紙と並べた。


「なんと同じ筆跡ですな。これはどちらで手に入れられたのですか?」

「カーラの部屋に置かれていたそうじゃ」

騎士団長の問いにお父様が答えてくれた。


「カーラ様の子犬は戻られましたか?」

「いえ、ころちゃんは朝から行方不明なのです」

騎士団長の問いに私は首を振った。


騎士団長の話を聞く限りはころちゃんが手紙を残したとしか考えられなかったが、手紙はどこから手に入れたんだろう?

私にはよく判らなかった。


「宰相が反乱を起こす準備をしていると思うか?」

お父様が騎士団長に確認したが、

「まさか、そのような大それた事をするとは思ってもしませんでしたが、ここ数日宰相閣下は風邪と称してお休みしておられるのは事実です」

騎士団長は腕組みしてくれた。


「カーラ様を襲った破落戸どもですが、どう考えても宰相の手のものと思われます。無理矢理、カーラ様を宰相の息子のところに連れて行って思いを遂げさせようとしたものと思われます。それがバレそうになって切羽詰まって反逆しようとしているのでしょうか?」

「かもしれん。そうか、ノース帝国が良からぬ企みで宰相を後ろから煽っておるかじゃ」

騎士団長の問いにお父様が答えられた。


「白い騎士と申すのはカーラ様を助けられた騎士様の事ですか」

「そのようじゃな。でも何故これほど我らに手を貸してくれるのかは判らぬが……カーラ、以前にどこかで白い騎士様にお会いしたことがあるのか?」

お父様が聞いてきたが、私は記憶には無かった。


「以前にお会いした記憶はございません」

私が正直に答えると

「そうか、会ったことはないのか」

お父様は腕組みして考えこんだ。


「後は、カーラの子犬がどう絡んでいるかじゃの」

「やはり白い騎士様ところちゃんは関係あるのでしょうか?」

私が聞くと

「それは確証はないが、いなくなったのはカーラの子犬だけみたいじゃからの。何らかの関係があるとみるしか無かろう」

お父様がしっかりとした口調で肯定してくれた。


「カーラ様の子犬が白い騎士の使い魔ということは考えられませんか」

「えっ、使い魔って魔術師が使役する魔物のようなものですか?」

思わず私は聞いていた。

「そうです。使い魔は手紙を届けたり、周りの情報を手に入れた入りするものと聞いたことがあります。我が国には使い魔を繰る魔術師はおりませんが、異国ならばいる可能性はあるかと。伝説の大魔術師が使い魔を使っていたとの記録もございます」

私は騎士団長の言葉を真っ赤になって聞いていた。

そんな、ころちゃんには子犬だと安心して、白い騎士様が大好きだと話してしまったでは無いか。ころちゃんが白い騎士様の使い魔だったら、私の白い騎士様への思いが全て騎士様に伝わっていることになる。

私はそう考えたら穴があったら入りたかった。












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