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第98話 白い騎士様が助けてくれたけれど、ころちゃんになってしまいました

私は私に襲いかかってきたそのサルから必死に逃げようとした。

でも、私は両手足を縛られて、猿ぐつわまでされていたのだ。抵抗しようにも何も出来なかった。

「抵抗しても無駄だぜ。御姫さん。俺も王女殿下を抱けるなんて夢にも思っていなかったぜ」

そう言うとサル男は不気味な笑みを浮かべてくれたのだ。

そして、ゆっくりとサル男は私に近付いてきた。

「ううウワイデ」

来ないでって叫んでも聞こえなかった。

サル男は後ずさる私のスカートを踏んでくれたのだ。

私はそれ以上後ろに下がれなかった。

「さあて、どうしようか?」

「うううう!」

私は離してと叫んだが、男はにやけた笑みを浮かべて私に抱きついてきたのだ。


白い騎士様!

私は心の中で叫んだが、白い騎士様は現れてくれなかった。

サル男が私の体をまさぐってくる。

気持ち悪い。

もう、駄目だ。

助けて、マクシム様!

涙目になって、心の底から叫んでいたのだ。

「ううううう」

でも、猿ぐつわのせいで声は出なかった。

私はもう終わりだと諦めかけた時だ。


「カーラ!」

遠くでマクシム様の声が聞こえたような気がした。

「んんんんん」

私は白い騎士様!

と叫んだのだ。必死に男の手からの逃れようとした。

でも声は届かなかった。

いやらしい目をしたサル男は私を襲うのに夢中で全く聞こえていなかった。

「ふふふふ、抵抗する女をモノにするのもいい物だな」

サル男は私のスカートに手をかけようとしてくれた。


嫌あああああ!

私が心の底から叫んだ時だ。


ドカーーーーン

大音響と共に扉が吹っ飛んでいた。


そこには剣を抜いた白い騎士様、マクシム様が怒りに打ち震えて立っていたのだ。

「き、貴様、マクシム。なぜここに?」

サル男は慌てて逃げようとした。

「カーラから離れろ!」

次の瞬間、マクシム様がサル男を思いっきり蹴飛ばしてくんれた。


「ギャーーーー」

マクシム様に蹴飛ばされたサル男は、次の瞬間、壁に激突していた。そのまま、地面に落ちたサル男はピクリとも動かなくなった。


「カーラ、大丈夫か!」

マクシム様が私に駆け寄ってくれた。

そして、私を思いっきり抱きしめてくれたのだ。

「うううう!」

マクシム様! 私は叫んだが猿ぐつわのせいで声になっていなかった。


「すまん。辛かったろう」

マクシム様はそれを見て、慌てて剣を抜いて、縛っていたロープを切り裂いてくれた。

そして、猿ぐつわを切ってくれたのだ。


「マクシム様!」

やっと話せるようになった私はそう叫ぶとマクシム様に抱きついていたのだ。

マクシム様の大きな頑丈な堅い体に私は思いっきり抱きついたのだ。

「えっ?」

しかし、その瞬間マクシム様は驚いて固まってしまったのだ。

「な、何故私の名前を」

マクシム様がおどろいて私を見つめてくれた。

「獣人のブラームス等に教えてもらいました」

「何だと、ブラームスが来ているのか?」

マクシム様は驚いて私を見た。

私はお構いなしに、マクシム様に抱きついたのだ。

本当にマクシム様が助けに来てくれて良かった。

あのままだったら純潔をサル男に奪われるところだった。

私は今頃になって恐怖に打ち震えてしまって、マクシム様の胸の中で思いっきり泣き出してしまったのだ。本当に怖かったのだ。この恐怖心はマクシム様に抱きつくことで抑えるしかなかった。

「カーラ、もう、大丈夫だ」

マクシム様はそう言うと私を力強く再度抱きしめてくれた。

私はその胸の中で思いつきり泣いていたのだ。


「あっ」

でも、マクシム様は途中から慌てだした。

「カーラ、私は行かねば」

とんでもないことを言い出してくれたのだ。

「いや、離さないで。もうどこにも行かないで!」

私はそう言うと思いっきりマクシムに抱きついたのだ。

「いや、そういう訳にはいかない。カーラ」

マクシムが私を引き剥がそうとしたが、

「嫌! 絶対に嫌です!」

そういつもいつもマクシム様に逃げられる訳にはいかなかった。

私は力の限りマクシムに抱きついたのだ。

「いや、カーラ、本当に駄目なのだ」

マクシム様は慌てて私を強引に突き放そうとしてくれた。


「あっ」

でも、その時だ。

マクシム様が金色に光ると、あっという間に小さくなっていったのだ。

私は驚いてそれを見ていた。

そして、そこには獣人達が馬鹿にしていたように、本当にころちゃんがいたのだった。

私は驚いてころちゃんを見ていた。

ころちゃんは真っ赤になってどうしていいか判らなかったみたいだった。


「ころちゃん。あなた、マクシム様だったのね。ブラームスから言われた時は本当だとは到底信じられなかったけれど……」

私はそう言うところちゃんを思いっきり抱きしめたのだ。

ころちゃんがマクシム様だったと知って、私は少し恥ずかしかったけれど、それよりももう、絶対に離さないと心に誓ったのだ。

「でも、マクシム様。何故、今、ころちゃんになってしまったのですか?」

私が不思議そうに聞くと

「クーーーーン」

ころちゃん改めマクシム様は私を見て恨めしそうに泣いてくれたんだけど。

その時はマクシム様がころちゃんになった原因が、私がマクシム様に抱きついたからだとは知らなかったのだ。


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