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第117話 マクシムとのお茶をフェルディナントが邪魔してくれたので、仕方なしにフェルディナントも一緒に誘いました

私はフェルデイナントから与えられた宿題をやった。判らないところはベンヤミンにも手伝ってもらった。寝る時間も削ってなんとか二日間でやり上げたのだ。

出来た後は私は疲れきってしまった。

いつもこれをフェルディナントらがやっていると思うとフェルディナントには頭が上がらなかった。

でも、こけれだけ手伝えたから良いだろう!

与えられた課題を無理してやったのだから、今度こそ、マクシム様との時間を少しはもらえるだろう。

私は安心していた。

そして、書類をまとめてサーヤに持っていってもらったのだ。


「カーラ様。信じられません!」

しかし、サーヤはまたしても眉を上げて帰ってきたのだ。

「どうしたの? サーヤ。また断られたの?」

私が驚いて聞くと、

「マクシム様はカーラ様とお話ししたいようでした。でも、色々と仕事がおありみたいで、フェルディナント様がすぐにうんとは頷いて頂けなかったのです」

「でも、私はちゃんとフェルディナント様から出して頂けた課題をやったじゃない!」

私がむっとして言うと、

「さようでございます。私もその点は必死に言いました。でも、フェルディナント様は疲れ切ったご様子で

『サーヤ殿。カーラ様がマクシム様とお茶されたいのは判りました。しかし、私もここ3日間ほとんど寝ていないのです。それだけの余裕があるのならば臣下のために、少しはお手伝いして頂いても宜しいですか』」

そう言われてしまったそうだ。

まさか目に隈を作っているフェルディナントの申し出を断る訳にはいかず、書類を持ち帰ってきたらしい。

その書類の量は前回の倍近くあった。

私はそれを見て愕然としたが、もらってきたものは仕方がない。


「これをやればマクシム様とお話しが出来るのね」

「今度は何があっても私がマクシム様とのお茶会の予定を立てて参ります」

サーヤが請け負ってくれた。


「判ったわ。始めるわ」

「姫様、私もお手伝いします」

サーヤが進んで手伝ってくれた。


私はまた判らないところをベンヤミンに聞きながら必死にやり上げたのだ。


さすがに今回の書類の量は多く、サーヤ達に手伝ってもらったが、中々終わらなかった。

私とサーヤの睡眠時間も減らして、出来た時には私もサーヤも目に隈を作っていた。


明け方に出来た後は二人でそのまま寝てしまったくらいだった。


翌朝少し日が上ってから、私はサーヤに起こされたのだ。

「申し訳ありません、カーラ様。少し寝過ごしました」

サーヤが謝ってくれた。

「仕方がないじゃない。フェルディナント様の課題が大変すぎるんだもの。サーヤのせいではないわ」

私は寝不足気味の頭を振って言った。

別の侍女の世話で食事をしつつ、サーヤに書類をフェルディナントの所に持っていってもらった。

サーヤは相当疲れていたし、マクシム様とのお茶会の予定さえ決めてきてくれれば休ませても良いだろうと私は思ったのだ。


でも、中々サーヤは帰ってこなかった。

いい加減に心配になった時だ。

サーヤは一人では持てないほどの大量の書類をベンヤミンに手伝ってもらいながら帰ってきたのだ。


「どういう事なのサーヤ?」

私は幾分気がささくれ立っていた。

「申し訳ありません。姫様。一応フェルディナント様の所に行ってお話ししてきたのですが、フェルディナント様は更に色濃い隈を目に作っておられて、昨日は徹夜されたそうです」

サーヤは説明してくれた。

「『サーヤ殿は私にも休憩が必要だと思われませんか?』そう言われたら私には反論しようがありませんでした」

サーヤを責めても仕方がないだろう。

「カーラ様。私も手伝いますから、頑張りましょう」

ベンヤミンにまでそう言われと、もうどうしようもなかった。

次は私が一緒にフェルディナントの所に行って交渉しよう。

私は心に決めたのだ。

それから侍女や騎士達にも出来ることを振り分けて、私はベンヤミンとサーヤと一緒に必死にしたのだ。

その日はさすがに寝ないと体が保たなかったので寝たが、翌日は深夜までやり、翌朝は早朝から必死に書類を片付けた。

その翌日にやっと書類が出来上ったのだ。

私は半徹夜だった。

「私は貫徹です」

ベンヤミンには悪いことをしたなと思いながら、私は騎士達にも書類を持たせてフェルディナントとベンヤミンの所に行ったのだ。


「フェルディナント様。やっとこの書類をやり上げました。今度こそ、マクシム様とお話しする時間を下さい」

私は少し強めでフェルディナントに申し入れしたのだ。

「カーラ様。カーラ様は不眠不休で働いている部下にも休憩を与えようとはされないのですか」

哀れみを誘うようにフェルディナントが言ってくれた。

「フェルディナント様も休憩すれば良いではないですか」

私がそうあっさり言うと

「そこは、あなたもお茶をどうですか? と誘って頂けるところではありませんか」

フェルディナントが言いだしてくれた。

ひょっとして今まで許可が出なかったのはフェルディナントを誘わなかったからなのか?

私はその一つの原因に突き当たったのだ。

私はマクシム様とお会いして色々お礼を言いたかったのだ。出来れば二人きりで。

でも、このままではいつまでだってもマクシム様とのお茶は出来ないみたいだ。

「判りました。明日の15時に私のテラスでのお茶にフェルディナント様とマクシム様をお誘いいたしますわ」

私は諦めてそう言ったのだった。


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