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ガン 23

 次の日、2人はまた御岳の病院に行くことにしていた。ただ、午前中は面会時間ではないので、その間は昼間に行けるところをブラブラしようということになっていた。ちょっと遅めの朝食をとり、10時ちょっと前にチェックアウトした。

「高山さん、どこに行きましょうか?」

 堀田が尋ねた。

「ゲームセンター以外で…」

 ちょっと含むような言い方で、堀田のほうを見ながら高山が言った。堀田はその言葉に苦笑いをしている。

「分かってますよ。帰る日に問題を起こしたら、先生に申し訳ありませんから…」

「まあ、昨日のようなことがしょっちゅう起こることはないだろうけど、今日は健全モードで行こう」

「そうですね。じゃあ、昨日歩いている時に話が出た、昔の城跡を公園にしたところに行ってみましょうか」

「いいね。そうしよう」

 堀田の提案に、高山も乗った。地図によると、公園は今いる場所から歩いて15分くらいのところだ。広さから考えて、ゆっくり散策し、どこかで昼食をとるという予定で考えれば、ぴったりのところだ。公園から御岳が入院している病院も、地図で見るとそう遠くはない。2人にとっては、最適の選択だった。

 予定していた時間で公園に着いたが、ここは市内の観光地の一つになっており、M市の人だけでなく、観光客も来ている。思ったより人出が多い。

「人が多いですね」

 堀田が言った。普通の公園だと思っていたのに、実は観光客も来るほどのところだったと、来てみて初めて知り、内心喜んでいた。それは高山も同様だった。

「そうだね。ここに来て正解だった」

 2人は案内板を見て、めぼしいところを歩いて回った。

 じっくり見ようとすると、観光地なので結構見どころがあり、広さに比べて時間がかかることに気付いた。本来の目的は御岳の見舞いにあるので、後半はちょっと早足で公園の中を歩くことになった。

 それでもせっかく来たのだから、ということで、昼食の時間を削り、公園内の売店でパンと飲み物を買い、ベンチで軽く済ませた。おかげで時間がない割には見るべきところを見ることができ、観光としてはそれなりの満足感があった。

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