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263. 姫は『見習う』ようです

263. 姫は『見習う』ようです




 バレンタインから数日後。オレはいつものように朝配信を終え、作業をしている。


 そう言えば朝配信でも、『ましのんのバレンタインてぇてぇ告白ボイス』が観たいというコメントが多かったな……まぁ実際オレと彩芽ちゃんは付き合っているんだし、悪い気はしない。もちろん収録するのは恥ずかしいから嫌だが。


 そんなことを考えながら作業をしていると、ディスコードにメッセージがくる。相手は『どっちのましろでSHOW!』でもコラボした、Fmすたーらいぶ4期生の皇ジャンヌちゃんからだ。


「今お時間よろしいですか?通話大丈夫ですか?か。なんだろう?」


 オレはマイクのスイッチを入れ、ジャンヌちゃんに通話する。


「もしもし?」


 《あっもしもし。ましろ先輩、忙しいところすいません》


「どうかしたのかな?」


 《実はコラボをお願いしたくて……そのご連絡です》


 コラボか。オレ……姫宮ましろに通話するのはまだ勇気がいるだろうに……ジャンヌちゃんからせっかく誘われたんだもんな、断る選択肢はないな。


「いいよ」


 《本当ですか!ありがとうございます。一応明後日の21時からなんですけど、大丈夫ですか?》


「うん明後日ね。その時間は大丈夫だよ」


 《良かったぁ。ましろ先輩が予定あったら、企画出来なかったので》


「企画?なんの企画をするの?」


 《ポアロ先輩も参加するんですけど、この前のバレンタインてぇてぇ告白ボイスあったじゃないですか?すたライフの》


 ……なんか嫌な予感しかしないが。


 《あれの考察をですね、僭越ながらてぇてぇを守るようにと神託を受けたという設定の私がですね、やろうと思いまして。面白いとは思うんですけど……ダメですかね?》


「ちなみに他の人は来るのかな?」


 《リリィママとあると先輩は予定が合わなくて、ポアロ先輩は『いいよ』ってすぐに返事くれました。どっどうですかね?》


 考察とかされても恥ずかしいだけだが、ジャンヌちゃんは自分の仕事をしようとしているだけだし、それを恥ずかしいって理由で断るのは更に先輩としてダメだよな。これも仕事だと割りきろう。


「もちろん参加するよ」


 《本当ですか!ありがとうございます!では明後日21時からお願いしますね!『ましポア』てぇてぇ観れるなんて……私テンション上がってます!》


「いやてぇてぇしないからねw」


 そして通話は切れる。まぁ……後輩が喜んでるならよしとしよう。それにしても日咲さんは考えないですぐに返事するんだもんな……


 この前、自分で配信で言ってた『用がない限り絶対行くのがFmすたーらいぶのライバーなんだよ!』って、あれはあながち間違ってないのかもしれない。そういう所本当に同じVtuberとして尊敬する。


「オレもまだまだ見習うところがいっぱいあるよな……っと、とりあえず作業しないと」


 そう言ってオレは作業を再開するのだった。


 そして約束のコラボ配信日。時間は20時40分。準備をして待機ルームのボイスチャットをつなぐ。


「こんばんは」


 《あ。ましろ先輩こんばんは》


 《姫来たんだw》


「なんで来ないと思ってたの?w」


 《いや、姫は恥ずかしいかなと思ってたんだけどさw》


「恥ずかしいけどwジャンヌちゃんの配信だしね?それに企画は面白そうだからさ?」


 《ありがとうございます。頑張るのでよろしくお願いします!》


 《うん。気楽に行こうよジャンヌ。今日はジャンヌが主役だからさ。適当にポアロと姫を弄っとけw》


 《はい!頑張ります!》


 今回の企画は、『徹底解説!神託を受けし聖少女、皇ジャンヌのてぇてぇ講座!』というもので、雑談を交えながらこの前のバレンタインてぇてぇ告白ボイスのアニメーションの解説をするというものだ。そして時間になり、ジャンヌちゃんの配信が始まる。ここは先輩として盛り上げないとな。

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