目次
ブックマーク
応援する
2
コメント
シェア
通報

585. 『Vの軌跡』ネット番組対談配信②

585. 『Vの軌跡』ネット番組対談配信②




 配信を開始して1時間。初めて聞く社長の話しに驚きながらも、司会の人の進行に従って質問を答えていく。


「ライバーの人数も増えて箱としての配信も多くなり、会社も大きくなっていったと思いますが……ここで4期生が加入するんですね?」


「そうです。4期生はライバーオリジナルユニット曲プロジェクトと共に発表しました」


「聞きづらいのですが……これも質問が多かったので。『個人勢の夢花かなえさんをそのまま加入させたのはなぜ?』という質問です。この時、良くも悪くも少し話題になりましたよね?大体のかたは『転生』という形をとると思いますが……これに関してはどうなんでしょうか?『転生』の選択肢はあったのでしょうか?」


「その件は良く聞かれますが、会社側としては選択肢はありませんでした」


「それはなぜでしょうか?」


「夢花かなえを採用した理由です。私は昔から自分の直感を信じています。彼女の『素晴らしい光るもの』が、転生してしまうと失われてしまう。こちらもリスクを覚悟で、そのまま『夢花かなえ』として加入させました」


 かなえちゃんのルナちゃんとの関係性か。そこに光るものを見いだして、今では『かなルナ』も『ましのん』と並んでガチ恋カップリングとして人気だからな。


「なるほど。そんなかなえさんに質問ですが、かなえさんはその当時個人勢としてもチャンネル登録者が8万人ほどいましたよね?わざわざ企業に在籍するリスクを考えたんですか?」


 《そうですね。確かにその当時は個人勢でやっていくのも手だったかもしれません。ただ、かなえがVtuberになりたいと思ったのは、Fmすたーらいぶの先輩で、歌も上手くてカッコいい黒夜ルナ先輩に憧れたからなんです。かなえは元々地下アイドルをやっていて、『すたフェス』のような大きなステージにも憧れていました。そしてそこでキラキラ輝くルナ先輩を見て、こんな素敵な先輩と同じ事務所で頑張っていきたいと思ったんです》


「周囲の反対はありましたか?」


 《正直ありましたし、アンチもどんどん増えてました。でも事務所が守ってくれていたので》


「4期生のコンセプトなんかはあったのでしょうか?」


「4期生からはスカウトをなしにしました。業界全体のVtuberの人数も個人勢を合わせてもかなりの人数になっていましたし、有名であろうがチャンネル登録者が多い経験者など一切関係なしにオーディションをすることにしました。4期生のコンセプトは『多才な人』、企画の内容を色々バラエティーにとんだ物を作り出すために、今までにいないライバーかつ面白そうな能力を兼ね備えている人を採用しました。これは正直にお話しますが、『Vパレスプロダクション』さんのバラエティー枠に対抗するための準備でもありました。結果4期生が増えたことで、新たに春の大型企画も出来ましたし、ゲームだけではなく、アニメや漫画関係のエンタメにも強くなりました」


 そう言えば来年から土日の20時から公式チャンネルに『バラエティー枠』が出来ると一ノ瀬さんも言っていたな。確かに『Vパレスプロダクション』さんはどの曜日を観ても、なんかしらの公式企画配信をやっているからな。ライバーの人数も多いし、しかも男女混合の事務所だからな人気も露出もある。


「やはり『Vパレスプロダクション』さんの影響は大きいですか?」


「もちろんです。私たち『Fmすたーらいぶ』はまだまだ挑戦者ですから。そして新たな『Make world!』さんも、歌関係に特化して知名度をあげている。その中でも私たちなりの強みを活かして、スタッフやライバー全員で日々活動しています」


 前に白鷺ステラさんが自身の雑談で言っていたが、『Vパレスプロダクション』は色々なことをやる芸能事務所。『Fmすたーらいぶ』はアイドル事務所。確かにそうなのかもしれない。しかしお互いの良いところを吸収して成長しようと努力する。箱は違えどそれが今のV業界を盛り上げるためのスタイルなんだろうな。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?