そのイケメンぶりはやばい。
服を着崩すと「ワイルドなイケメン!」
と言われ、
髪を解くと「エロいイケメン!」
と言われた。
言われてませんか。そうですね。
けど、服を着た宝石、
くらいのことは言われていた。
裴楷の前に立ったことのある人が言う。
「あのひとの前に立ってごらんよ!
お宝の山の上を
歩いてる気分になるから!
こうね、ピカーっと!
照らし出される気分になるんだ!」
そこまで言われる裴楷さん。
病床に臥せったとてイケメンである。
当然である。
病に倒れた裴楷を心配し、
壁向きで寝ていた裴楷、王衍が来たと聞き、
なんとか寝返りをうって向き直り、応対。
見舞いが済み、裴楷の元を辞去した王衍。
弱ったイケメンを思い出し、
こんなことを語っている。
「見たか、あの鋭い眼差し!
岩山に走った稲妻のごときだ!
あのタフなメンタルは、
身体が多少弱ったところで、
まるでへたりこまないのだな!」
裴令公有俊容儀,脫冠冕,麤服亂頭皆好。時人以為「玉人」。見者曰:「見裴叔則如玉山上行,光映照人。」
裴令公は容儀に俊有り、冠冕を脱ぎ、麤服亂頭せど皆な好し。時の人は以て「玉人」と為す。見ゆる者は曰く:「裴叔則に見ゆらば玉山が上を行くが如し、光映え人を照らす」と。
(容止12)
裴令公有俊容姿,一旦有疾至困,惠帝使王夷甫往看,裴方向壁臥,聞王使至,強回視之。王出語人曰:「雙目閃閃,若巖下電,精神挺動,體中故小悪。」
裴令公は容姿に俊有り、一なる旦に疾有し困に至らば、惠帝は王夷甫をして往きて看さしむ。裴は方に壁に向いて臥せど、王使の至るを聞き、強いて回り之を視る。王は出でて人に語りて曰く:「雙目閃閃、巖下の電が如し、精神挺動せど、體中は故より小や悪し」と。
(容止10)
ただ事でないイケメンっぷり。それにしても、雙目閃閃、巖下の電が如しは、裴楷が王戎に向けたコメントとしても登場しています。この辺が混線したのか、それともワンセットで呼ばれるだけあって、やはり裴楷の眼差しにも強い意思が感じられるものだったのか。