東晋内で囲碁のトップランカーに
若くして名を連ねている人だ。
そんな江虨と、
王導さまも弱いわけじゃない、
が、どうしても二手程の
ハンデはないときつい。
けれども王導さま、互先をご所望。
さぁ、王導さまが初手を打つよ。
そしたら江虨、固まった。
「……? 何故打たぬのだね?」
王導さまが聞く。
すると江虨が答えた。
「いや、何と申しますか、
負け筋が見えないというか……」
これを見ていたある人がコメントした。
「この少年、相当やりますな」
王導さまも顔を上げ、返答する。
「碁に限らず、な」
江僕射年少、王丞相呼與共棊。王手嘗不如兩道許、而欲敵道戲。試以觀之、江不即下王曰:「君何以不行?」江曰:「恐不得爾。」傍有客曰:「此年少戲、迺不惡王。」徐舉首曰:「此年少非唯圍棊、見勝。」
江僕射は年の少きに、王丞相に呼ばれ共に棊す。王が手は嘗て如かざるに兩道許りなれど、敵道にして戲せんと欲す。試みに以て之を觀るに、江は即ち下さず。王は曰く「君は何をか以て行かざるか?」と。江は曰く「恐らくは得ざらんのみ」と。傍に有れる客は曰く「此の年少が戲、迺ち惡しからず」と。王は徐ろに首を舉げて曰く「此の年少は唯だ圍棊なるのみに非ず、勝れるを見ん。」と。
(方正42)
江虨
初出が曹操4。だれが覚えてんだよこの人のこと……と言う勢いでお久しぶりの出演です。しかし、これを人前でやらかしてるのって、現代人の観点から言うと相当にたちの悪い dis に見えるんですけどね。方正編って、ずいぶん現代人の感覚で言う「排調」が混じってますなー。