するとその語らいは夜から、
更には明け方にまで至った。
翌朝、王導さまの自宅に客があった。
応対に出た王導さまを見、客はビビる。
何せ髪はぼさぼさ、目元のクマはすごい。
「さ、昨晩お休みに
なれなかったのですか?」
客が聞くと、しかし王導さまは
ちょっと嬉しそうに答えるのだ。
「いやいや。昨晩は祖約殿と
語らい合ってしまってな。
あまりの楽しさに、
ついつい時を忘れてしまったのだよ」
(意味深)
王丞相招祖約、夜語、至曉不眠。明旦有客。公頭鬢未理、亦小倦。客曰:「公昨如是似失眠?」公曰:「昨、與士少語。遂使人忘疲。」
王丞相は祖約を招き、夜に語りて曉に至りても眠らず。明旦に客有り。公が頭鬢は未だ理まらず。亦た小しく倦む。客は曰く「公は昨に是れ眠れるを失せるに似たるが如し」と。公は曰く「昨にては士少と語り、遂には人をして疲るるを忘れしむ」と。
(賞譽57)
祖約
後に
この王導とのエピソードを見るかぎり、どっちかって言うと文人肌だったんでしょうねー。祖逖の弟という事でだいぶ割を食らっちゃったんだろうなと言う印象もある。