「
清談していた、あの頃。
実に良き時であったよ」
あんまりにもしつこいので、
思わず
「またその話ですか。
あなた様はこの江南の地で
広く受け入れられております。
何故そうも殊更に、
裴頠殿や阮瞻殿との時間を
取り返したいと仰るのですか」
王導さま、答えるよ。
「違うのだよ、
取り返したい、のではない。
あの時は、いくら望んでも
最早戻っては来ないのだからな」
王丞相過江、自說:「昔在洛水邊、數與裴成公、阮千里諸賢共談道。」羊曼曰:「人久以此許卿。何須復爾?」王曰:「亦不言、我須此。但欲爾時不可得耳。」
王丞相の江を過ぐるに、自ら說くらく「昔洛水の邊に在るに、數しば裴成公や阮千里ら諸賢と共に道を談ず」と。羊曼は曰く「人は久しく此こを以て卿を許す。何ぞ復た爾れるを須わんか?」と。王は曰く「亦た言わず、我が此れを須うと。但だ爾の時を欲せど得べからざるのみ」と。
(企羡2)
羊曼