目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

王導29 スケープゴート

王導おうどうさま、

占いの達人、郭璞かくはくに占ってもらった。

そしたら郭璞の形相がヤバい。


「丞相に、雷が落ちますよ」


「ファッ!?

 ちょ、何それ避けられんの!?」


ビビりまくりの王導さまに、郭僕は言う。


「配下に命じて、西にお向かわせなさい。

 数里行った所に、柏の木があります。

 これを丞相ほどの背丈に切るのです。


 そしてこれを、普段丞相が

 お休みでいらっしゃるところに

 置いておくのです。

 さすれば、禍は避けられましょう」


郭璞の占いの的中率はヤバい。

なので王導さま、慌ててそれに従った。


数日後、雷が鳴ると、

みごとその柏の木に直撃!


粉々になった木を見て、配下や家族は

王導さまの身が守られたことに大喜び。


だが、そこに居合わせた王敦おうとんは言うのだ。


「おーおー、お前の罪を

 柏の木になすりつけたわけだ」




王丞相令郭璞試作一卦。卦成、郭意色甚惡、云:「公有震厄。」王問:「有可消伏理不?」郭曰:「命駕西出、數里得一柏樹。截斷如公長、置床上常寢處。災可消矣。」王從其語、數日中、果震柏粉碎。子弟皆稱慶。大將軍云君:「乃復委罪於樹木。」


王丞相は郭璞をして試みに一卦を作さしむ。卦の成るや、郭の意色は甚だ惡し。云えらく「公に震厄有り」と。王は問うらく「消伏の理有りや不や?」と。郭は曰く「駕に命じ、數里の西に出で、一なる柏の樹を得、截斷し公が長の如くし、床上の常に寢る處に置かば、災いは消ぜん」と。王は其の語に從う。數日中にして、果たして震は柏を粉碎す。子弟は皆な慶を稱す。大將軍は云く「君は乃ち復た罪を樹木に委ぬるか」と。


(術解8)




大将軍がおいしいところかっぱらっていきよった。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?