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卞壼   直言のひと

王導おうどうさまや高僧・尸黎蜜多羅しりみったらに、

その厳格さを恐れられていた人、卞壼べんこん 。



王導さまは言っている。


刁協ちょうきょう殿の察しの良さ、

 戴淵たいえん殿の厳格さ、

 卞壼べんこん殿の孤高ぶり!」


……お前割と褒めてないだろ。



ともあれこれまでもその厳格ぶりが

いろいろなところで

あげつらわれていた卞壼さん、

ご自身も人物評価をなさっている。


例えば春秋時代の晋の名士、羊舌肸ようぜつきつ

高位には就いてはいなかったものの、

その広い学識で政策アドバイザーとして

広く尊敬を得ていた人だ。


かれについては、こう言っている。


「その朗々たる様は、

 まるで広々とした邸宅のようである」


立場に依らず、ただ正しいことを言う。

直言の士、卞壼さんにとって

憧れだったのだろうか。



また郗愔ちいんについて言っている。


「郗愔様には三つの矛盾がある。


 上には方正に仕えるが、

 下からのおべっかを好む。


 身を清らかに治めるが、

 はなはだ計算高い。


 自ら読書を好むのに、

 他者の勉強を憎む。


 以上三点である」




王丞相云:「刁玄亮之察察,戴若思之巖巖,卞望之之峰距。」

王丞相は云えらく:「刁玄亮の察察、戴若思の巖巖、卞望之の峰距」と。

(賞譽54)


卞令目叔向:「朗朗如百間屋。」

卞令は叔向を目すらく:「朗朗たるは百間なる屋が如し」と。

(賞譽50)


卞望之云:「郗公體中有三反:方於事上,好下佞己,一反。治身清貞,大脩計校,二反。自好讀書,憎人學問,三反。」

卞望之は云えらく:「郗公が體中に三反有り、事が上に方ぜるも己を佞が下にせるを好む、一反なり。身を清貞に治むるも大いに計校を脩す、二反なり。自ら讀書を好むも人の學問を憎む、三反なり」と。

(品藻24)




卞壼

その直言があらゆるところから恐れられてて面白すぎる人。蘇峻そしゅんの乱で父親共々玉砕して果てた。ところでこの人、名前が「壺」→「つぼ」ではない。「壼」→「宮廷の廊下、あるいは軋みの音」である。割といろんなところで混同されているが、わかるかそんなん。

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