若いうちは政治家としての将来を
嘱望されていた。
「お前は我が一門の若者の中でも
図抜けているな。お前ならば、
あの
阮裕と言えば
才人を輩出しまくってる阮氏の名士だ。
王敦も、その才覚を認めながらも、
あまりにも才気煥発過ぎて
うまく扱えなかった、と言うほどの人だ。
また、
「王羲之殿の育成は国の重大事だ」
とまで言われている。
そのためか、甥の
王羲之について、
こんな碑文を残している。
「国を挙げ抜粋した」
とはいえ、席次は末席。
にもかかわらず、
牛の心臓をかっさばいて食ったため、
人々から見直されたそーな。
……?
大將軍語右軍:「汝是我佳子弟,當不減阮主簿。」
大將軍は右軍に語るらく:「汝は是れ我が佳き子弟なれば、當に阮主簿に減さざるべし」と。
(賞譽55)
庾公云:「逸少國舉。」故庾倪為碑文云:「拔萃國舉。」
庾公は云えらく:「逸少には國を舉ぐべし」と。故に庾倪は碑に文を為して云えらく:「國を舉げ拔萃す」と。
(賞譽72)
王右軍少時,在周侯末坐,割牛心噉之。於此改觀。
王右軍の少き時、周侯が坐の末に在りて、牛の心を割りて之を噉らう。此に於いて觀を改むる。
(汰侈12)
すごい。最後のやつのこの注がないとさっぱりわからないっぷり。
キーワードは篇名の「
われらが
https://kakuyomu.jp/works/1177354054884883338/episodes/1177354054886483772
これね。
このエピソードから、当時の宴席、席次次第で振る舞われるものが違う、と推測できるのだ。となると、わざわざエピソード中に存在が見える牛の心臓、これきっと、主賓クラス向けのもの。
王羲之、末席にいたにもかかわらず、そいつをペロリといっちゃった。しかも、いかにも「自分以外の」人間の礼儀にはうるさそーな、あの周顗さんが催した席で。となると、王羲之にとっちゃ、牛の心臓なぞ、特筆すべき贅沢品ではなかった、となりますね。
やべえぜ