ショーンは、仲間達とともに武器屋へと退避するため、緊張感が漂う街の中を駆け抜けていた。
周囲には、自分とマルルンが率いるチームもおり、彼等との連携が不可欠だった。
「あと少しだっ! 一気に逃げるぞっ!」
「もう、着くのね…………長かったわ」
「お前たち、速く来ないと、ここを閉めるぞっ!!」
「ギャアアッ!」
「グルアアーーーー!!」
そんな苦境に陥っていた、ショーンとリズ達だったが、それも後僅かで終わりだと彼等は思った。
何故なら、正面に武器屋の入口と、ゴルバ達が見えてきたからだ。
だが、後ろからゾンビの群れが執拗に、彼等を追撃してきた。
その中には、フレッシャー&ジャンピンガーを中心に、自爆ゾンビまで存在している。
「マルルン、負傷者を守ってくれっ! ゴルバ、後ろの連中を攻撃してくれっ!」
「分かったぜ、ショーンッ!!」
「クソッ! ギドロとサーラ達がっ! やるしかないわなっ! 野郎ども、援護射撃してやれっ!」
ショーンの声が響くと、マルルンは剣と盾を構えて、殿を務めようとする。
出入口を塞ぐ準備をしていた、ゴルバ達だったが、まだ帰還してない仲間を助けようとする。
「不味いね、このまま一気に行くよっ!」
「済まないけど、頼むわ」
「これは、俺も急がなければ成らんな」
「肩に力が入らん、迷惑をかける」
フリンカは、白髪黒人女性のサーラを抱えながら、一直線に出入口まで向かっていく。
ゴードンも、緑色アリ人間のギドロを連れながら、早々に走り去る。
「マルルン、ショーン、先に行くからなっ! 後ろから援護するっ!」
「俺も、後方支援に回るっ! 先に行くから、援護を待ってろっ!」
「分かった、二人とも先に行けっ!」
「ここは任せて、私たちが敵を食い止めるわ」
クロスボウを構えると、テアンは一発の矢を放ち、フレッシャーを射殺する。
ワシントンは入口まで走っていき、そこから狩猟弓で、次々と敵を狙い射っていく。
前から迫るゾンビ達を相手に、ショーンは後ろに振り向く事なく答える。
マジックロッドから火炎魔法により、リズは炎鳥を作り、右から左に曲がるように飛ばす。
「グオオオオ~~~~!!」
「ガアアアアァァァァーー」
それを受けて、正面のゾンビは消し炭になったが、まだ後ろから敵は押し寄せてくる。
「来たなーー! ダークボールを喰らいなっ! うりゃっ!」
「広範囲に、氷結魔法を設置すれば」
「火炎魔法で、援護するわよ」
「爆弾を投げてやるっ! あと少しだ…………」
津波のように押し寄せてくる、ゾンビ達に対して、カーニャは何発も暗黒球を放ちまくる。
そして、自らに迫る敵には、マチェットを二刀流で構えて、交互に振り回しながら切り裂いていく。
氷結魔法を、マジックワンドで右から左へと放ち続けた、ジャーラは路上にギザギザのトゲを作る。
これは、車のタイヤをパンクさせる、スパイク・ストリップ見たいに構築された。
そこに、動く死者の群れたちが引っ掛かると、リズは火炎魔法を噴射した。
こうして、二人の連携により、最前列を走っていた者たちが崩れていく。
最後に、突撃してくる集団が、バラけながら駆け出すと、スバスが小型爆弾を幾つも投げた。
炸裂して、爆風により釘を発した拡散攻撃により、次々と不死者たちは倒れていった。
「よし、あとは任せてくれっ! リズ、スバス、ジャーラ、カーニャ、下がれっ!」
「俺たちが、最後の殿をやるっ! 四人は退避してくれっ!」
「分かったわ、向こうから援護するからね?」
「ここは、任せましたわ…………」
ショーンとマルルン達は、剣と盾を構えながら、大量のゾンビを迎え討たんと、姿勢を低くする。
リズとジャーラ達は、二人の言葉を聞いて、一気に武器屋へと向かって走る。
「グアアァァ~~~~!?」
「ギャアアアアアアアア」
「ギャッ!」
「ウギィーー!」
「後ろからの援護が始まったにゃっ!」
「射程距離に入ったのでしょう、さあ私たちも戦いますよ」
勢いよく突っ込んでくる、ゾンビ達も射撃を受けて、何体かは倒れる。
アサルトライフル、スナイパーライフル、クロスボウ等による一斉射撃が行われたからだ。
銃撃と矢を、掻い潜ってきた敵に、ミーは頭上で思いっきり、棍を振り回しながら攻撃する。
薙刀の刃で、動く死者を真上から真っ二つに裂いたあと、サヤは二体目を蹴り倒す。
「お前ら、はやくしろっ! もう、門は閉めるぞっ!」
「こっちの援護で、逆に敵を誘き寄せているようだっ! いつまでも、矢を射ってられんっ!」
「ショーン、援護するわっ! 下がり始めてっ!」
「分かってるぜぇっ! 今、コイツらを始末したら行くっ!」
ゴルバは、トラックの上から叫びながら、アサルトライフルを乱射しまくる。
ワシントンは、矢継ぎ早に、狩猟弓を射ちまくりつつ、怒鳴り声を上げる。
マジックロッドから、リズら大火球を放って、フレッシャー達を牽制する。
彼等の支援を受けながら、ショーンは白兵戦を挑むべく、感染者たちと対峙した。
「ギュアア~~~~!!」
「グゥオーーーー!!」
「邪魔だっ! 切り捨ててやるぜっ!」
「小柄な俺に、お前らの攻撃は当たらないっ!!」
「棍を振り回せば、私に近づけないにゃっ!」
「この私に、白兵戦を挑むなど、愚の骨頂です」
ジャンピンガーの飛びつきを、サイドステップで右側に回避する、ショーン。
彼は、お返しとばかりに、ショートソードで首を斬り飛ばす。
フレッシャーが右腕を振り下ろしながら、マルルンに襲いかかった。
だが、彼はスパタで左足を切り落としたあと、倒れた奴の後頭部に刃を差し込んだ。
プロペラの如く、ミーは棍を振り回しながら敵に突っ込み、左右に振り回しながら攻撃していく。
サヤも、横凪に薙刀を振るうと、今度は突きを繰り出し、向かってくるゾンビは左手で殴る。
四人の連携により、段々と敵は減っていき、やがては群れが全滅した。
「グオオッ!!」
「ガーーーー!」
「第二波が来ますわっ! これでは………」
「撤退するぞ、もう良いだろう? リズやワシントン達が援護してくれてるうちに逃げるとしよう」
「にゃんっ! 流石に限界だにゃっ! ヤバいにゃ~~!!」
「ああっ! もうダメだなっ! みんな、トンズラの時間だっ!」
「グアアアア」
「キャアアアア~~~~」
左側の道から、再び大量に、ゾンビ軍団が現れると、サヤは敵をキツい目線で睨む。
ショーン達の左右からは、射撃武器による支援が続けられている。
だが、それでも相手側の数が一向に減らず、逆に続々と増える様を、ミーは目にした。
その中には、マッスラーや自爆ゾンビに加え、女性型ゾンビが叫んでいる姿を、マルルンは見た。
「さあ、逃げるぜっ! スタコラサッサとなっ!」
「にゃあ~~~~!! もう、無理だにゃっ!!」
「俺達も遅れる訳には、いかんなっ!」
「戦略的な撤退は、恥では有りませぬ」
ショーンとミー達は、脱兎のごとく、入口に向かって、一気に駆け出した。
マルルンとサヤ達も、同じく
「お前ら、待ってたぞっ!」
「さあ、閉めるぞっ!」
「な、なんとか間に合ったにゃ」
「何とか間に合いましたね」
相変わらず、アサルトライフルを、ゾンビの群れに乱射している、ゴルバは怒鳴っていた。
その下で、トラックを運転している茶アリ人間も、ゆっくりと動かす。
入口を潜った、ミーは疲れた表情を浮かべて、棍を杖のように掴んで、敷地内に立つ。
サヤも、額から汗を
「ギリギリセーフッ!」
「間に合った…………」
「お前ら、危なかったな」
ショーンとマルルン達が、入口を通りすぎると、茶アリ人間は、トラックを移動させる。
こうして、バリケードが設置された事により、ゾンビが侵入する事なく、ここは封鎖された。