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第41話 撤退成功


 ショーンは、仲間達とともに武器屋へと退避するため、緊張感が漂う街の中を駆け抜けていた。


 周囲には、自分とマルルンが率いるチームもおり、彼等との連携が不可欠だった。



「あと少しだっ! 一気に逃げるぞっ!」


「もう、着くのね…………長かったわ」


「お前たち、速く来ないと、ここを閉めるぞっ!!」


「ギャアアッ!」


「グルアアーーーー!!」


 そんな苦境に陥っていた、ショーンとリズ達だったが、それも後僅かで終わりだと彼等は思った。


 何故なら、正面に武器屋の入口と、ゴルバ達が見えてきたからだ。



 だが、後ろからゾンビの群れが執拗に、彼等を追撃してきた。


 その中には、フレッシャー&ジャンピンガーを中心に、自爆ゾンビまで存在している。



「マルルン、負傷者を守ってくれっ! ゴルバ、後ろの連中を攻撃してくれっ!」


「分かったぜ、ショーンッ!!」


「クソッ! ギドロとサーラ達がっ! やるしかないわなっ! 野郎ども、援護射撃してやれっ!」


 ショーンの声が響くと、マルルンは剣と盾を構えて、殿を務めようとする。


 出入口を塞ぐ準備をしていた、ゴルバ達だったが、まだ帰還してない仲間を助けようとする。



「不味いね、このまま一気に行くよっ!」


「済まないけど、頼むわ」


「これは、俺も急がなければ成らんな」


「肩に力が入らん、迷惑をかける」


 フリンカは、白髪黒人女性のサーラを抱えながら、一直線に出入口まで向かっていく。


 ゴードンも、緑色アリ人間のギドロを連れながら、早々に走り去る。



「マルルン、ショーン、先に行くからなっ! 後ろから援護するっ!」


「俺も、後方支援に回るっ! 先に行くから、援護を待ってろっ!」


「分かった、二人とも先に行けっ!」


「ここは任せて、私たちが敵を食い止めるわ」


 クロスボウを構えると、テアンは一発の矢を放ち、フレッシャーを射殺する。


 ワシントンは入口まで走っていき、そこから狩猟弓で、次々と敵を狙い射っていく。



 前から迫るゾンビ達を相手に、ショーンは後ろに振り向く事なく答える。


 マジックロッドから火炎魔法により、リズは炎鳥を作り、右から左に曲がるように飛ばす。



「グオオオオ~~~~!!」


「ガアアアアァァァァーー」


 それを受けて、正面のゾンビは消し炭になったが、まだ後ろから敵は押し寄せてくる。



「来たなーー! ダークボールを喰らいなっ! うりゃっ!」


「広範囲に、氷結魔法を設置すれば」


「火炎魔法で、援護するわよ」


「爆弾を投げてやるっ! あと少しだ…………」


 津波のように押し寄せてくる、ゾンビ達に対して、カーニャは何発も暗黒球を放ちまくる。


 そして、自らに迫る敵には、マチェットを二刀流で構えて、交互に振り回しながら切り裂いていく。



 氷結魔法を、マジックワンドで右から左へと放ち続けた、ジャーラは路上にギザギザのトゲを作る。


 これは、車のタイヤをパンクさせる、スパイク・ストリップ見たいに構築された。



 そこに、動く死者の群れたちが引っ掛かると、リズは火炎魔法を噴射した。


 こうして、二人の連携により、最前列を走っていた者たちが崩れていく。



 最後に、突撃してくる集団が、バラけながら駆け出すと、スバスが小型爆弾を幾つも投げた。


 炸裂して、爆風により釘を発した拡散攻撃により、次々と不死者たちは倒れていった。



「よし、あとは任せてくれっ! リズ、スバス、ジャーラ、カーニャ、下がれっ!」


「俺たちが、最後の殿をやるっ! 四人は退避してくれっ!」


「分かったわ、向こうから援護するからね?」


「ここは、任せましたわ…………」


 ショーンとマルルン達は、剣と盾を構えながら、大量のゾンビを迎え討たんと、姿勢を低くする。


 リズとジャーラ達は、二人の言葉を聞いて、一気に武器屋へと向かって走る。



「グアアァァ~~~~!?」


「ギャアアアアアアアア」


「ギャッ!」


「ウギィーー!」


「後ろからの援護が始まったにゃっ!」


「射程距離に入ったのでしょう、さあ私たちも戦いますよ」


 勢いよく突っ込んでくる、ゾンビ達も射撃を受けて、何体かは倒れる。


 アサルトライフル、スナイパーライフル、クロスボウ等による一斉射撃が行われたからだ。



 銃撃と矢を、掻い潜ってきた敵に、ミーは頭上で思いっきり、棍を振り回しながら攻撃する。


 薙刀の刃で、動く死者を真上から真っ二つに裂いたあと、サヤは二体目を蹴り倒す。



「お前ら、はやくしろっ! もう、門は閉めるぞっ!」


「こっちの援護で、逆に敵を誘き寄せているようだっ! いつまでも、矢を射ってられんっ!」


「ショーン、援護するわっ! 下がり始めてっ!」


「分かってるぜぇっ! 今、コイツらを始末したら行くっ!」


 ゴルバは、トラックの上から叫びながら、アサルトライフルを乱射しまくる。


 ワシントンは、矢継ぎ早に、狩猟弓を射ちまくりつつ、怒鳴り声を上げる。



 マジックロッドから、リズら大火球を放って、フレッシャー達を牽制する。


 彼等の支援を受けながら、ショーンは白兵戦を挑むべく、感染者たちと対峙した。



「ギュアア~~~~!!」


「グゥオーーーー!!」


「邪魔だっ! 切り捨ててやるぜっ!」


「小柄な俺に、お前らの攻撃は当たらないっ!!」


「棍を振り回せば、私に近づけないにゃっ!」


「この私に、白兵戦を挑むなど、愚の骨頂です」


 ジャンピンガーの飛びつきを、サイドステップで右側に回避する、ショーン。


 彼は、お返しとばかりに、ショートソードで首を斬り飛ばす。



 フレッシャーが右腕を振り下ろしながら、マルルンに襲いかかった。


 だが、彼はスパタで左足を切り落としたあと、倒れた奴の後頭部に刃を差し込んだ。



 プロペラの如く、ミーは棍を振り回しながら敵に突っ込み、左右に振り回しながら攻撃していく。


 サヤも、横凪に薙刀を振るうと、今度は突きを繰り出し、向かってくるゾンビは左手で殴る。



 四人の連携により、段々と敵は減っていき、やがては群れが全滅した。



「グオオッ!!」


「ガーーーー!」


「第二波が来ますわっ! これでは………」


「撤退するぞ、もう良いだろう? リズやワシントン達が援護してくれてるうちに逃げるとしよう」


「にゃんっ! 流石に限界だにゃっ! ヤバいにゃ~~!!」


「ああっ! もうダメだなっ! みんな、トンズラの時間だっ!」


「グアアアア」


「キャアアアア~~~~」


 左側の道から、再び大量に、ゾンビ軍団が現れると、サヤは敵をキツい目線で睨む。


 ショーン達の左右からは、射撃武器による支援が続けられている。



 だが、それでも相手側の数が一向に減らず、逆に続々と増える様を、ミーは目にした。


 その中には、マッスラーや自爆ゾンビに加え、女性型ゾンビが叫んでいる姿を、マルルンは見た。



「さあ、逃げるぜっ! スタコラサッサとなっ!」


「にゃあ~~~~!! もう、無理だにゃっ!!」


「俺達も遅れる訳には、いかんなっ!」


「戦略的な撤退は、恥では有りませぬ」


 ショーンとミー達は、脱兎のごとく、入口に向かって、一気に駆け出した。


 マルルンとサヤ達も、同じく飛蝗バッタのように、すばやく飛び出していった。



「お前ら、待ってたぞっ!」


「さあ、閉めるぞっ!」


「な、なんとか間に合ったにゃ」


「何とか間に合いましたね」


 相変わらず、アサルトライフルを、ゾンビの群れに乱射している、ゴルバは怒鳴っていた。


 その下で、トラックを運転している茶アリ人間も、ゆっくりと動かす。



 入口を潜った、ミーは疲れた表情を浮かべて、棍を杖のように掴んで、敷地内に立つ。


 サヤも、額から汗をにじませながら、腰を曲げてしまった。



「ギリギリセーフッ!」


「間に合った…………」


「お前ら、危なかったな」 


 ショーンとマルルン達が、入口を通りすぎると、茶アリ人間は、トラックを移動させる。


 こうして、バリケードが設置された事により、ゾンビが侵入する事なく、ここは封鎖された。

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