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第42話 撤退自体は、完璧に成功したが


 ショーン達は、何とか無事に武器屋に戻って来たが、未だにゾンビ達は群れを成して襲ってくる。



「お前ら、まだ敵が来やがるっ! 撃て、撃て~~!!」


「ここは、俺も出るしかないか?」


 トラックの上で怒鳴りながら、ゴルバはアサルトライフルを連射しまくる。


 茶アリ人間も、荷台に上がると、指揮棒タクトから、神聖魔法による小さな光の玉を放つ。



「ここで、食い止めるんだっ!」


「奴等を、近寄らせないわっ!」


「絶対に食い止めてやる」


「とにかく、やってやるわよっ!!」


 赤いトラックが、右側から走ってくると、壁際に止まり、黒アリ人間が運転席から降りた。


 彼は、屋根に上がると、リピーターボウをゾンビに向けて、射ちまくる。



 荷台からは、黒装束のキョンシー女性が、コンパウンドボウから、矢を連続で放った。



 麦わら帽子を被るアジア系男性が、左側から走って来ると、壁上に飛び乗る。


 そして、マジックスタッフから、氷結魔法を群れに向けて、猛烈に乱発しまくった。



 雌の黄アリ人間も、壁に上がると、ピストルを連射しまくった。



「まだ、戦いは終わってないのかよっ! これじゃあ、ここもヤバいじゃね~~かっ!」


「だったら、戦うまでだっ!」


「ギャアアアア~~~~」


「グルルッ!」


「にゃあっ? ここにも、入ってきたにゃっ!」


「しまった…………安心している暇は無かったわ」


 自分たちが逃げてきた道を、ショーンとマルルン達が見てみると、まだ敵が攻めて来ていた。


 しかも、敷地内にまで、フレッシャー&ジャンピンガー達が侵入し始めた。



 慌てて、ミーは懐から取り出した、ナットを指弾で飛ばすと、棍を振り回しまくる。


 サヤは、薙刀を振るいまくり、相手の胴や手足を切り刻んでいく。



「うわっ! 不味い、ぬわわっ!」


「ショーン、このおっ!」


 当然ながら、ショーンにも、ジャンピンガーが飛びかかってきた。


 必死で、彼はバックラーを使い、相手を押さえ込もうとする。



 それを助けようとする、マルルンにも、フレッシャー達が、一気に突撃してきた。


 彼は、連中の連続攻撃を回避しながら、スパタを振るい、ラウンドシールドで殴打を防御する。



「ぐっ! このままでは…………」


「グアーー! ガッ!?」


「不味い、不味いぞっ!」


「ギャアッ!! ギャ…………」


「ショーン、大丈夫かい?」


「マルルン、危なかったな?」


 ジャンピンガーの力に押され、ショーンは首を噛まれそうになり、窮地に陥る。


 マルルンも、二体のフレッシャー達に挟まれて、かなり苦境に立たされる。



 だが、ショーンを襲っていた、ジャンピンガーは遠くから死体を横から投げつけられて、吹き飛ぶ。


 二体のマルルンを挟撃していた、フレッシャー達も、首にクロスボウから発射された矢が貫通した。



 フリンカとテアン達が、二人を救うために、行動していたのだ。



「フリンカ、助かったぞっ!」


「テアン、助かった…………」


「それより、ようやく戦闘も終わる見たいだね?」


「敷地内に侵入した連中は、撃退できたしな」


 ショーンとマルルン達は、窮地を救われたので、二人に感謝した。


 その言葉を聞きながら、フリンカとテアン達は、周囲を観察する。



「オラッ! オラッ!」


「ウギ…………」


「とりゃっ!」


「グアアァァァァッ!」


「ウガアッ?」


「ギャア、ア、ア、アッ!」


 店舗正面では、グレートヘルムの冒険者が、ロングソードで、フレッシャーを胴を真っ二つにする。


 バイカーヘルメットの女性冒険者は、ゴルフクラブで、ジャンピンガーを殴る。



 店舗の裏側では、ゴーレムが豪腕を振り回して、次々と敵をほふっていく。


 それに加えて、ドローン部隊が、下部に搭載した、マシンガンで弾丸の雨を降らせている。



 店の屋上からは、射撃チームが、ライフルやクロスボウを、彼方此方あちらこちらに射ちまくっていた。



「もう、終わりか? ん、屋上の連中だ?」


 ショーンは、今まで逃げてきていた道を見て、屋上両側に、誰かが立っている姿を目にする。



「燃えろっ! 燃えろっ!」


「射ちまくるぜ」


「これでも、喰らいなっ!」


「ダイナマイトだ、有りがたく受けとれっ!」


 バッグから火炎瓶を取り出した、紫アリ人間である、コドシャは地上に落下させまくる。


 そして、赤アリ人間であるガバルが、クロスボウで、マッスラーの頭を狙い射っていく。


 リザードマンである、エミリーは、アサルトライフルを、上から連射させまくる。


 冒険者である、白髪のロイクも、大きなリュックをから取り出した、ダイナマイトを投下しまくる。



「ギャアアアア~~!!」


「グオオオオッ!!」


 火炎と爆裂で、ゾンビの大軍団は、すぐに焼死体へと変わっていく。


 こうして、左右から爆発物や火炎瓶を、投げをとされた、群れは全滅してしまった



「終わったな…………お前ら、見張りを続けろっ! 派手な音を立ててしまったからな? 直ぐに、次の連中が来るかも知れん」


 ゴルバは、広い敷地内を見渡しつつ、部下たちに警戒命令を下した。



「ショーン、マルルン? お前らのせいで、負傷者は出るは、ゴーレムとドローンは落ちるわ? 最悪な状況だっ!!」


「分かってるって、そちらには、かなり迷惑をかけた…………今すぐ、食糧を取りに行くから、許してくれっ!」


「仕方ない…………迷惑も掛けたし、休む暇なく、戻るしかないな」


 怒鳴り散らす、ゴルバに対して、ショーンとマルルン達は、彼を説得しようと試みた。



「今ので、フレッシャーやジャンピンガーは倒せた? だから、通常ゾンビだけの道を進むっ!」


「だったら、早く行くんだなっ!?」


 ショーンの話を聞いてから、ゴルバは後ろに振り返り、見張りに戻った。



「参ったな~~これから、またゾンビと戦うのか?」


「仕方ないさ? 俺達は救援で呼ばれたんだからな」


 休む暇なく、ショーンとマルルン達は、装甲トラックにまで戻るしかない。


 ここに居ても、補給を受けられそうな雰囲気ではないからだ。



 その原因は、自分たちが起こした戦闘で、ゾンビを刺激したからである。


 ゴルバを含め、武器屋の人間たちに迷惑をかけたため、恩を返さなければ成らない。



 すると、必然的に彼等も、危険を承知の上で、行くしか選択肢はないワケだ。



「救援? そう言えば、最初はゾンビの殲滅が目的だったな…………それから、お前らの救出と食糧輸送が目的に変わってたな」


「きっと、無線を使って、沿岸警備隊と武器屋で話あったんだろう」


「ショーン、ここに居たのね? 探したわよ」


「マルルン、やっと見つけましたよ」


 ショーンは、目的が変わっていた事を思い出しながら、店の正面にある壁へと向かっていく。


 その右側を歩く、マルルンも両腕を組ながら、トコトコと足音を立てて歩いていく。



 彼等を追って、リズが後ろから声を掛けながら、小走りで着いてきた。


 ジャーラも、同じように近づいてきて、安心したような表情を浮かべた。



「お前ら、何処に居たんだ?」


「店の右側で、魔法を射ちながら、フレッシャー達を迎撃してたのよ」


「此方は、人員不足でしたので」


「なるほど、俺達とは反対の場所だな、そりゃ姿が見えないワケだ」


 壁上にまで、ショーンは高くジャンプしたあと、リズに質問すると、彼女は下から答える


 そして、何故そこに居たのか、ジャーラも理由を話すと、マルルンは納得する。



「にゃあ? それより、行くとするかにゃ?」


「グズグズしていると、また怒鳴られます」


「ショーン、生きてたか?」


「こっちは、爆弾が尽きてしまったぜ」


 そこに、ミーとサヤ達も現れると、次なる戦いを彼女らは覚悟しているようだった。


 また、ワシントンとスバス達も、何処に居たのか分からないが歩いて来た。



「ショーン、マルルン、一緒に行くのかい?」


「まだ、休めんないのか…………クロスボウの矢を補充したいんだけどな」


「負傷者の応急処置は終えたが、幸いな事に感染者は出なかったぞ」


「なに、なに? また、戦闘しに行くの?」


 フリンカは、ロングソードを構えながら、何時でも戦えると、すごく意気込む。


 テアンは、クロスボウの玄を引いて、矢を発射出きるようにする。



 今の戦闘で傷付いた、負傷者を見ていた、ゴードンは、ピストルから抜き取った弾倉を入れ換える。


 カーニャも、疲れた顔をしながらも、また暗黒魔法を射つ準備をしていた。



「ああ、それなんだが、少し待っててくれな」


 ショーンは、目の前にあるアパートを、よく観察して、敷地内に敵が存在しないか探す。


 幸い、そこには芝生があり、左側の囲いから道路には、大量にゾンビが蠢く姿を見つけた。



 また、反対側を見ると、敵の数がまばらであり、比較的に安全そうに思えた。


 こうして、彼は右側の道を通って、装甲トラックにまで戻ろうかと考えた。

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