海トカゲ団を殲滅した、ショーンは、作業員らしき女トロールと対峙する。
「略奪者だったら、お前らも同時に襲っているぜ? それに俺達は、資材を貰いに来ただけなんだ? こんだけ、あるなら少し分けてくれないか」
「はっ? その言葉、信じると思う? アタシ等から見たら、アンタ等も海トカッ!?」
「ヒャッハハハハッ!! 奇襲作戦だ~~~~」
「前衛部隊は、どうした? 殺られたのかっ!」
ショーンは、トリップソードを鞘に仕舞い、自分たちが略奪者ではないと、両手を上げて説明する。
しかし、女性トロールは彼の言葉を信用せず、スレッジハンマーを、右肩に担いだまま睨み続ける。
そこに、いきなり、右側から海トカゲ団のトラックが、鉄板を吹き飛ばしながら現れる。
そして、すぐに後部から団員たちを下ろすと、ぶち破った場所を塞ぎに向かって行った。
「どうやら、アンタ等の相手をしている暇は無いようだね、こうなったら戦うしかないっ!」
「ヨランダ、無茶するなよっ! お前が死んだら、困るからなっ!」
「俺たちが、敵じゃない事を証明するチャンスだなっ!」
「また、新たな敵が出で来たわっ! ぐ、この距離じゃ魔法は射てないわっ!」
ヨランダと言われた、女トロールは向かってくる海トカゲ団員たちを相手するべく、走り出した。
緑色ヘルメットの白人男性は、電動釘打機を構えながら、敵に釘を発射しまくる。
ショーンは、トリップソードを抜き取り、右手に握ったまま、海トカゲ団に向かっていく。
マジックロッドのオレンジ玉を魔法で燃やした、リズは白兵戦に備える。
「おらっ! 撃ち殺してやるっ!」
「雷撃魔法を喰らえっ! くたばるんだよっ!」
「悪いなっ! 射撃なら俺も出来るんだっ!」
「こっちだよっ! バカタレどもっ!!」
トラックの荷台に隠れながら、青いフリッツ・ヘルメットを被る海トカゲ団員が叫ぶ。
奴は、アサルトライフルを撃ちまくり、味方を後方から支援しようとする。
荷台に上がった、青いベレー帽を被る魔法使いらしき海トカゲ団員は、マジックケーンを振るう。
そして、強烈な雷撃魔法を放ちまくって、ショーン達を攻撃してきた。
対する、ワシントンは矢の先端を、腰から取り出した、赤いジャム瓶に浸ける。
次いで、狩猟弓を構えると、ウイルス・アローを静かに射ち放つ。
敵から見て、右側にある、五階建ての建築物からは、黄色いヘルメットを被る女性が鉄筋を投げる。
こうして、連中の頭上に雨霰が如く、赤い鉄筋が、いくつも降り注いだ。
「ぐわっ! 腕がっ!」
「ぎゃああーー!!」
アサルトライフルを撃っていた、海トカゲ団員は、ウイルス・アローが腕に当たってしまった。
魔法使いの海トカゲ団員は、心臓を鉄筋に貫かれてしまい、絶命する。
「野郎どもっ! 混戦になれば、遠距離射撃は使えないちっ!」
「どんどん前に出てしまえば、こっちの物だっ!!」
「させるかっ! この野郎っ!」
「ういっ!? あーー? あ~~?」
青髪の海トカゲ団員は、バデレールを片手に斬りかかってくる。
ナイフを何度も投げつつ、野戦帽を被る黒人の海トカゲ団員も、真っ直ぐに走ってくる。
しかし、ショーンは青いフードを被った白人女性の海トカゲ団員を斬りつけた。
彼女は、薬が聞いたのか、敵味方を問わず、周囲に鉈包丁を振り回す。
「喰らえっ! 釘攻撃だっ!」
「俺のトンカチも喰らえってんだっ!」
「ぐあっ! だが、まだまだ…………」
「この程度でっ!」
「リー、ルーマス、みんなで殺るよっ! 大工をなめるなよっ!」
白人作業員は、相変わらず、電動釘打機を射ちまくり、釘を何発か発射する。
これを、体に何発か受けても、青いプーニーハットを被る赤アリ人間は、走る速度を緩めない。
黄色いヘルメットを被る黒人作業員は、トンカチを、敵の頭を目掛けて、勢いよく振り回す。
しかし、相手の吸血鬼らしき海トカゲ団員は、消化斧を使って、うまく防御する。
ヨランダは、彼等を助けようと自ら前に出て、スレッジハンマーを振るいまくる。
「はっ! そんなんで、俺達が倒せるかよっ!」
「しまったっ!!」
「死になっ! 戦闘経験が、豊富な俺達と、お前らが戦って勝てると思ってんのか?」
「不味い、離れなきゃっ!?」
カットラスを握る全身鎧を着ている海トカゲ団員は、白人作業員のリーを襲う。
忍者刀を真っ直ぐ突きだし、忍者装束に身を包む海トカゲ団員は、黒人作業員のルーマスを狙う。
「させないわっ! このおおぉぉっ!」
「うわああ」
「喰らえっ! 高級ウニの味は、上手いか?」
「がはっ!」
しかし、リズが横から燃え盛るマジックロッドで、全身鎧の海トカゲ団員を頭を殴った。
忍者装束に身を包む海トカゲ団員は、背後から腹を目掛けて、スバスのウニ鉄筋を喰らってしまう。
「アンタら? 礼を言うよっ? さあ、アーヴィン、ジョスト、残りは僅かだから派手に戦おじゃないか?」
「おおっ! いくぜっ!」
「連中は派手に倒してやるぜっ!」
「頼もしいなっ? だが、俺たちも負けてられないっ!!」
スレッジハンマーを軽々と振るう、ヨランダの勢いに合わせて、作業員たちも攻勢に出る。
黄色いヘルメットを被る、アジア系のアーヴィンは、バールを振り回す。
黄緑色のヘルメットを被る、リザードマンのジョストは、スパナを握り締めながら突撃する。
彼等に負けまいと、ショーンも自らのトリップソードを構えつつ突進し始めた。
「不味い、形勢不利になったっ!」
「撤退だ、撤退っ!」
「クソがーーーー!?」
「退散なら、煙幕をっ? ぎゃあっ!」
まだまだ、人数が多いとは言え、勢いを失った海トカゲ団員たちは、逃げた方がいいと判断した。
リズに頭を殴られた、全身鎧の海トカゲ団員は、ショーン達が入ってきた入口を目指す。
青い野戦帽を被る、バッタ人間とゾンビ族の海トカゲ団員たちも、慌てて走り出す。
そして、青いモヒカン頭の白人である海トカゲ団員は、後ろからゾンビに噛まれた。
「やっと、効果が出たか?」
「ぎゃああ~~~~~ぐあ…………」
「ガウッ! ガアッ!?」
「二人とも、纏めて始末するにゃっ!」
「クソッたれっ! 絶対に逃げてやるっ!」
「そうは行かないよ…………この私が待ち構えてるんだから」
ボウイナイフを握っていた、ワシントンは呟きながら敵の様子を眺める。
ゾンビ化した海トカゲ団員は、モヒカン頭の海トカゲ団員を噛み続けている。
その二人に対して、後頭部へ風打棍による連撃を、ミーは不意打ちで喰らわせる。
これは、強烈な打撃に、圧縮された風刃魔法が加わり、凄まじい威力が脳髄を揺らした。
最後に、青いバンダナを巻いている海トカゲ団員が走って逃げていた。
しかし、フリンカが奴の右側から、ポイズンソードで、胴体を横凪に斬ってしまった。
「クソがっ! だが、本命はホテルだからなっ?」
「こちらは、もう充分時間は稼いだぜ」
青いターバンの海トカゲ団員は、捨て台詞を吐きながら入口から出ていく。
走る、青いパナマ帽の海トカゲ団員も、同じような言葉を呟きながら逃げていった。
こうして、何人かの敵は逃がしてしまったが、ショーンま作業員たちは、見事に勝利を納めた。
だが、双方とも、今の戦闘で疲れてしまい、追撃する体力は使い果たしていた。
「不味い、マルルン達が…………」
「そうだわ、彼等を助けに行かないとっ!」
「ホテルの側だよね? んあ?」
「どうやら、また新たな敵が来たようだな」
「ウガアアアア」
「グオオオオ~~~~」
ショーンとリズ達は、慌てて疲れた体を動かして、ホテルの方へと向かおうとする。
もちろん、ヨランダとリー達も同じく、援軍に向かおうと走り出した。
そこに、彼等の前に今度は、ゾンビが群れを成して、ノロノロと歩いて現れた。
当然ながら、その中には、マッスラーやフレッシャー等、強敵が多数存在する。
「いっちょ、派手に殺るかっ! アンタら、私達が道を開けてやるよっ!」
「ありがたい、俺達はホテルに向かった仲間を助けなければ成らないんだ」
「おお~~いっ! ヨランダ、助けてくれっ!」
「裏口を見張っていたら、大量のゾンビに襲われたんだっ!」
ヨランダは、肩にスレッジハンマーを担ぎながら歩きだし、ゾンビの群れに向かっていく。
そんな頼もしい彼女の背中を、ショーンは眺めながら自らも突撃する準備をする。
しかし、そこに黄緑色のヘルメットを被る、白人作業員が、鉄パイプを持って現れた。
また、黄色いヘルメットを被る、アラブ系の作業員は、スコップを地面に刺しつつ息を吐く。
「何だって、ライナー、アフマドッ! ぐっ! この数じゃ…………」
「どうする? ヨランダ?」
「ヨランダと言ったか? 俺達が後ろに救援に向かうっ!」
「ショーン…………マルルン達も気になるけど、彼等は見捨てられないからねっ!」
白人作業員ライナー&アラブ系の作業員アフマドから話を聞いて、ヨランダは動揺する。
リーは、彼女と相談しながら、目の前から押し寄せるゾンビ達を睨む。
ショーンは、彼等を手助けするべく、マッスラーを警戒しながら話しかけた。
同じく、スピットゲロー&ファットゲロー等が、群れの中に存在しないか、リズは探す。
「済まないっ! ここは、私達が引き受けるから、アンタ等か後ろに行ってくれっ!」
「分かった、後ろに行ってくるからなっ!! 援軍は任せてくれっ!!」
ヨランダの言葉を聞いて、ショーンが走り出すと、仲間たちも彼に続いていった。