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第52話 建築現場の激闘


 海トカゲ団を殲滅した、ショーンは、作業員らしき女トロールと対峙する。



「略奪者だったら、お前らも同時に襲っているぜ? それに俺達は、資材を貰いに来ただけなんだ? こんだけ、あるなら少し分けてくれないか」


「はっ? その言葉、信じると思う? アタシ等から見たら、アンタ等も海トカッ!?」


「ヒャッハハハハッ!! 奇襲作戦だ~~~~」


「前衛部隊は、どうした? 殺られたのかっ!」


 ショーンは、トリップソードを鞘に仕舞い、自分たちが略奪者ではないと、両手を上げて説明する。


 しかし、女性トロールは彼の言葉を信用せず、スレッジハンマーを、右肩に担いだまま睨み続ける。



 そこに、いきなり、右側から海トカゲ団のトラックが、鉄板を吹き飛ばしながら現れる。


 そして、すぐに後部から団員たちを下ろすと、ぶち破った場所を塞ぎに向かって行った。



「どうやら、アンタ等の相手をしている暇は無いようだね、こうなったら戦うしかないっ!」


「ヨランダ、無茶するなよっ! お前が死んだら、困るからなっ!」


「俺たちが、敵じゃない事を証明するチャンスだなっ!」


「また、新たな敵が出で来たわっ! ぐ、この距離じゃ魔法は射てないわっ!」


 ヨランダと言われた、女トロールは向かってくる海トカゲ団員たちを相手するべく、走り出した。


 緑色ヘルメットの白人男性は、電動釘打機を構えながら、敵に釘を発射しまくる。



 ショーンは、トリップソードを抜き取り、右手に握ったまま、海トカゲ団に向かっていく。


 マジックロッドのオレンジ玉を魔法で燃やした、リズは白兵戦に備える。



「おらっ! 撃ち殺してやるっ!」


「雷撃魔法を喰らえっ! くたばるんだよっ!」


「悪いなっ! 射撃なら俺も出来るんだっ!」


「こっちだよっ! バカタレどもっ!!」


 トラックの荷台に隠れながら、青いフリッツ・ヘルメットを被る海トカゲ団員が叫ぶ。


 奴は、アサルトライフルを撃ちまくり、味方を後方から支援しようとする。



 荷台に上がった、青いベレー帽を被る魔法使いらしき海トカゲ団員は、マジックケーンを振るう。


 そして、強烈な雷撃魔法を放ちまくって、ショーン達を攻撃してきた。



 対する、ワシントンは矢の先端を、腰から取り出した、赤いジャム瓶に浸ける。


 次いで、狩猟弓を構えると、ウイルス・アローを静かに射ち放つ。


 敵から見て、右側にある、五階建ての建築物からは、黄色いヘルメットを被る女性が鉄筋を投げる。


 こうして、連中の頭上に雨霰が如く、赤い鉄筋が、いくつも降り注いだ。



「ぐわっ! 腕がっ!」


「ぎゃああーー!!」


 アサルトライフルを撃っていた、海トカゲ団員は、ウイルス・アローが腕に当たってしまった。


 魔法使いの海トカゲ団員は、心臓を鉄筋に貫かれてしまい、絶命する。



「野郎どもっ! 混戦になれば、遠距離射撃は使えないちっ!」


「どんどん前に出てしまえば、こっちの物だっ!!」


「させるかっ! この野郎っ!」


「ういっ!? あーー? あ~~?」


 青髪の海トカゲ団員は、バデレールを片手に斬りかかってくる。


 ナイフを何度も投げつつ、野戦帽を被る黒人の海トカゲ団員も、真っ直ぐに走ってくる。



 しかし、ショーンは青いフードを被った白人女性の海トカゲ団員を斬りつけた。


 彼女は、薬が聞いたのか、敵味方を問わず、周囲に鉈包丁を振り回す。



「喰らえっ! 釘攻撃だっ!」


「俺のトンカチも喰らえってんだっ!」


「ぐあっ! だが、まだまだ…………」


「この程度でっ!」


「リー、ルーマス、みんなで殺るよっ! 大工をなめるなよっ!」


 白人作業員は、相変わらず、電動釘打機を射ちまくり、釘を何発か発射する。


 これを、体に何発か受けても、青いプーニーハットを被る赤アリ人間は、走る速度を緩めない。



 黄色いヘルメットを被る黒人作業員は、トンカチを、敵の頭を目掛けて、勢いよく振り回す。


 しかし、相手の吸血鬼らしき海トカゲ団員は、消化斧を使って、うまく防御する。



 ヨランダは、彼等を助けようと自ら前に出て、スレッジハンマーを振るいまくる。



「はっ! そんなんで、俺達が倒せるかよっ!」


「しまったっ!!」


「死になっ! 戦闘経験が、豊富な俺達と、お前らが戦って勝てると思ってんのか?」


「不味い、離れなきゃっ!?」



 カットラスを握る全身鎧を着ている海トカゲ団員は、白人作業員のリーを襲う。


 忍者刀を真っ直ぐ突きだし、忍者装束に身を包む海トカゲ団員は、黒人作業員のルーマスを狙う。



「させないわっ! このおおぉぉっ!」


「うわああ」


「喰らえっ! 高級ウニの味は、上手いか?」


「がはっ!」


 しかし、リズが横から燃え盛るマジックロッドで、全身鎧の海トカゲ団員を頭を殴った。


 忍者装束に身を包む海トカゲ団員は、背後から腹を目掛けて、スバスのウニ鉄筋を喰らってしまう。



「アンタら? 礼を言うよっ? さあ、アーヴィン、ジョスト、残りは僅かだから派手に戦おじゃないか?」


「おおっ! いくぜっ!」


「連中は派手に倒してやるぜっ!」


「頼もしいなっ? だが、俺たちも負けてられないっ!!」


 スレッジハンマーを軽々と振るう、ヨランダの勢いに合わせて、作業員たちも攻勢に出る。


 黄色いヘルメットを被る、アジア系のアーヴィンは、バールを振り回す。



 黄緑色のヘルメットを被る、リザードマンのジョストは、スパナを握り締めながら突撃する。


 彼等に負けまいと、ショーンも自らのトリップソードを構えつつ突進し始めた。



「不味い、形勢不利になったっ!」


「撤退だ、撤退っ!」


「クソがーーーー!?」


「退散なら、煙幕をっ? ぎゃあっ!」


 まだまだ、人数が多いとは言え、勢いを失った海トカゲ団員たちは、逃げた方がいいと判断した。


 リズに頭を殴られた、全身鎧の海トカゲ団員は、ショーン達が入ってきた入口を目指す。



 青い野戦帽を被る、バッタ人間とゾンビ族の海トカゲ団員たちも、慌てて走り出す。


 そして、青いモヒカン頭の白人である海トカゲ団員は、後ろからゾンビに噛まれた。



「やっと、効果が出たか?」


「ぎゃああ~~~~~ぐあ…………」


「ガウッ! ガアッ!?」


「二人とも、纏めて始末するにゃっ!」


「クソッたれっ! 絶対に逃げてやるっ!」


「そうは行かないよ…………この私が待ち構えてるんだから」


 ボウイナイフを握っていた、ワシントンは呟きながら敵の様子を眺める。


 ゾンビ化した海トカゲ団員は、モヒカン頭の海トカゲ団員を噛み続けている。



 その二人に対して、後頭部へ風打棍による連撃を、ミーは不意打ちで喰らわせる。


 これは、強烈な打撃に、圧縮された風刃魔法が加わり、凄まじい威力が脳髄を揺らした。



 最後に、青いバンダナを巻いている海トカゲ団員が走って逃げていた。


 しかし、フリンカが奴の右側から、ポイズンソードで、胴体を横凪に斬ってしまった。



「クソがっ! だが、本命はホテルだからなっ?」


「こちらは、もう充分時間は稼いだぜ」


 青いターバンの海トカゲ団員は、捨て台詞を吐きながら入口から出ていく。


 走る、青いパナマ帽の海トカゲ団員も、同じような言葉を呟きながら逃げていった。



 こうして、何人かの敵は逃がしてしまったが、ショーンま作業員たちは、見事に勝利を納めた。


 だが、双方とも、今の戦闘で疲れてしまい、追撃する体力は使い果たしていた。



「不味い、マルルン達が…………」


「そうだわ、彼等を助けに行かないとっ!」


「ホテルの側だよね? んあ?」


「どうやら、また新たな敵が来たようだな」


「ウガアアアア」


「グオオオオ~~~~」


 ショーンとリズ達は、慌てて疲れた体を動かして、ホテルの方へと向かおうとする。


 もちろん、ヨランダとリー達も同じく、援軍に向かおうと走り出した。



 そこに、彼等の前に今度は、ゾンビが群れを成して、ノロノロと歩いて現れた。


 当然ながら、その中には、マッスラーやフレッシャー等、強敵が多数存在する。



「いっちょ、派手に殺るかっ! アンタら、私達が道を開けてやるよっ!」


「ありがたい、俺達はホテルに向かった仲間を助けなければ成らないんだ」


「おお~~いっ! ヨランダ、助けてくれっ!」


「裏口を見張っていたら、大量のゾンビに襲われたんだっ!」


 ヨランダは、肩にスレッジハンマーを担ぎながら歩きだし、ゾンビの群れに向かっていく。


 そんな頼もしい彼女の背中を、ショーンは眺めながら自らも突撃する準備をする。



 しかし、そこに黄緑色のヘルメットを被る、白人作業員が、鉄パイプを持って現れた。


 また、黄色いヘルメットを被る、アラブ系の作業員は、スコップを地面に刺しつつ息を吐く。



「何だって、ライナー、アフマドッ! ぐっ! この数じゃ…………」


「どうする? ヨランダ?」


「ヨランダと言ったか? 俺達が後ろに救援に向かうっ!」


「ショーン…………マルルン達も気になるけど、彼等は見捨てられないからねっ!」


 白人作業員ライナー&アラブ系の作業員アフマドから話を聞いて、ヨランダは動揺する。


 リーは、彼女と相談しながら、目の前から押し寄せるゾンビ達を睨む。



 ショーンは、彼等を手助けするべく、マッスラーを警戒しながら話しかけた。


 同じく、スピットゲロー&ファットゲロー等が、群れの中に存在しないか、リズは探す。



「済まないっ! ここは、私達が引き受けるから、アンタ等か後ろに行ってくれっ!」


「分かった、後ろに行ってくるからなっ!! 援軍は任せてくれっ!!」


 ヨランダの言葉を聞いて、ショーンが走り出すと、仲間たちも彼に続いていった。

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