建築現場の裏から雪崩れ込んだ、ゾンビ達が、暴れ回っていたが、ショーン達が全て倒した。
「終わった、終わった」
「まだだっ! 物置小屋の中に、仲間たちが逃げたんだ、連中を助けないとっ!」
「中に逃げた、吸血鬼のワイリー、グールのレスター達が心配だっ!」
「だったら、開けないと」
「よし、やるぞ…………」
ショーンは、肩から力を抜いて、背中を丸めてしまい、だらしない格好で溜め息を吐いた。
激戦が終わり、大量の死体を前にして、かなり彼は疲れていたからだ。
黄色いヘルメットの黒人作業員は、窓から仲間が無事かどうか、心配そうな顔をしながら叫ぶ。
黄緑色ヘルメットを被る、白人作業員も、かなり疲れた表情を見せる。
黄色いヘルメットを被る、リザードマン作業員は、物置小屋のドアを開けようとする。
黄緑色のヘルメットを被る、青アリ人間も鉄筋を使って、開こうと試みた。
「はあ? まだ、中に居るのか…………」
「ショーン、外は見張っているから、確認してくれ」
二人の作業員が、ドアを開く様子を見ていた、ショーンは近づいていく。
ワシントンは、敷地内から周りの建物を警戒して、狩猟弓を構え続けていた。
「おっし、開いたぞっ!」
「二人とも、無事かっ! ワイリー? やはり、生きてたか?」
「ああ…………」
「どうやら、無事のようだぜ?」
黄色いヘルメットを被る、リザードマン作業員は、ドアを開けた勢いで後ろに転ぶ。
黄緑色のヘルメットを被る、青アリ人間も開いた途端、疲れた表情で鉄筋を杖にしながら立つ。
薄暗い物置小屋の中では、ワイリーらしき人物が、こちらに背中を向けていた。
どうやら、話に聞いた通り、彼は吸血鬼族らしく、肌が異様に蒼白い。
ショーンは、様子を確かめに、内部に入ろうとして、ゆっくりと歩きだした。
「ワイリーだな? おい、大丈夫なのか?」
「ああ、アアアア…………」
ショーンが肩を叩いて見ると、ワイリーは振り向いたが、すでに彼はゾンビ化していた。
しかも、作業員仲間であるレスターを食っていたらしく、遺体が足元に頃がっている。
「うわあっ! この野郎っ!!」
「ゲガガ…………ゴッ!」
ショーンは、ゾンビ化していた、ワイリーの
そうして、彼が力無く倒れると、急いで物置小屋から下がって出てゆく。
「グエエ、グアア」
「うわっ! 今度は、もう一人、ゾンビ化したのか? しかも、ガス吐きにかーー!?」
「ショーン、任せなっ! オラッ!」
「にゃあっ!」
ガス吐きゾンビと化した、レスターから、ショーンは急いで離れていく。
その好きに、フリンカが奴に死体を投げつけ、ミーは丸ノコを
「ゲガアアッ! ブガアッ!」
毒ガスを、体や口から噴出させようとしていた、レスターは死体を当てられて怯んでしまう。
次いで、そこを狙われた投擲により、眉間に回転しながら飛んできた、丸ノコが突き刺さった。
「ふぅ~~! 吸血鬼やグールと聞いて、油断したが? まさか、二人とも感染していたとは…………」
「まさかのまさかで、私は動けなかったわ…………」
「アンデッド族、感染者っ! 両者の区別は、中々しづらいからな? 最初から分かっていれば、ウニ鉄球を喰らわせたんだが」
「大変だっ! 今度は、真正面の連中が劣勢に立たされているっ!」
ショーンは、ガスを発するレスターの死体を見ながら、険しい表情で呟く。
あまりの出来事に、リズや作業員たちは体が動かず、恐怖に震えていた。
額から頬へと、汗を滴しながら、スバスは両腕を組んで立っていた。
そこに、黄色いヘルメットを被る、バッタ人間の作業員は、左側から走りながら救援を求めてきた。
「こっちは、何とかバリケードを作ったが、反対側から、ゾンビが走って来るだろうっ!」
「もう見えているっ! アガニ・アローを喰らわせるっ!」
「グアアアアッ!」
「ギャイイイイッ!」
黄色いヘルメットを被る、バッタ人間の作業員は、ショーン達が通って来た道を指差す。
それより前に、ワシントンは爆薬から伸びる導火線に着火しながら、弓矢を放ちまくった。
剣と盾を握るウォーリアー、叫び声を上げるエングラー達の奇声と怒号が轟く。
連中の勢いは凄まじかったが、炸裂した矢の爆発で、何体かが吹き飛ぶ。
「仕方ない、行くしかないか? おいっ! アンタ等は向こう側から回れっ! 俺達はゾンビを倒しながら救援に向かうっ!」
「分かった、じゃあ任せたぞ」
「そっちは頼むっ!」
「先方は、私が務めるよっ! ワシントン、援護してくれっ!」
「言われなくても、そうするぜっ!」
ゾンビの群れに突撃していく、ショーンは叫びながら、トリップソードを振るう準備をする。
黄色いヘルメットを被る、バッタ人間の作業員は、彼とは反対方向へと走っていく。
黄色いヘルメットを被る、リザードマン作業員も、とにかく急ごうと駆け出していった。
ポイズンソードを、横凪に何度も振り回し、フリンカは、フレッシャー達を薙ぎ倒しまくる。
狩猟弓を何度も引きながら、ワシントンは小走りするゾンビ達の頭を射貫いていく。
「っと、この数は流石に危ないね」
「にゃあっ! にゃあっ! 私の打突を喰らうにゃっ!」
「火炎魔法の援護よっ!」
「この距離だと、一体ずつ、ウニ鉄球を振り回すしかないな」
フリンカは引き下がると、代わって、ミーが前に出ながら、風打棍を何度も突きだす。
風を纏った強力な打撃を、連続で受けて、ゾンビ達は次々と後ろに弾き飛ばされる。
しかし、路地の後方から走ってくる群れに押されて、連中は再び前に戻ってくる。
これでは、埒が明かないので、リズは火炎球を上空に放ち、火花を地上に降り注ぐ。
さらに、飛び出てきた敵は、ウニ鉄球の重たい一撃を、スバスが喰らわせる。
「お前ら、助かったぜっ! 俺も前に出るっ!」
ショーンも、フレッシャーの首を斬ったり、ゾンビ達をバックラーで弾きながら突き進む。
「ガアアーー!!」
「グルアアッ!!」
「うわっ! 危ねっ!」
突っ走るショーンの前に、グレイブを振り回す、ウォーリアーが現れた。
その後ろには、レイピアを振り回しながら走ってくる、ウォーリアーが見える。
「ショーン、下がって」
「近距離戦は避けろっ!」
リズは、火炎放射を浴びせて、ウォーリアー達を燃やしてしまう。
スバスも、敵から離れた位置から、ウニ鉄球を振り下ろして、相手の頭を叩きつける。
「お前ら、助かったぜっ! 絶対に負けるわけにはいかないからなっ!」
ショーンは叫びながら、ヨランダ達を助けるために、剣を振るいながら必死で走り続ける。
建築現場のゾンビを掃討するため、彼等は全力を尽くさんと、とにかく戦い続ける。
「みんなっ! 曲がり角だっ! あそこまで行けばっ!」
「ええっ! もう少しで、たどり着くわねっ!」
ショーンと、仲間たちも同じ思いを抱き、全力で路地を駆け抜けた。
彼等の眼前には、言葉通り曲がり角が迫っており、そこには、ゾンビ達も存在しなかった。
「おっし、このまま行けばっ! あっ!!」
「みんな、下がってっ!」
「にゃあーーーー!! 不味いにゃあーーー!!」
「これは、不味いっ!? 逃げろっ!!」
ショーンは急に立ち止まり、いきなり現れた敵を見て、驚いてしまった。
火炎魔法を乱発しながら、リズは叫んで、仲間たちを下がらせようとする。
ミーは直ぐさま、三回も後ろにバックステップして、相手から距離を取ろうとした。
自身の爆弾が爆発するよりも、先に殺られてしまうと判断した、スバスは踵を返して走り出す。
「ゲルアア~~~~ば、バクハツスル?」
何故なら、そこに自爆ゾンビであるボンバーが、曲がり角の右側から登場したからだった。