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第56話 爆発五秒前、炸裂する前に倒せっ!!


 自爆ゾンビであるボンバーは、現れたと同時に、ショーン達を目標として、捕捉した。



「ギャルアアーーーーバクハツ? モウ、モタナイッ!?」


 ボンバーは、ショーン達を見ると、目を血走らせて、体中のこぶをブヨブヨと動かし始めた。


 それと同時に、奴は一気に急加速して、真っ直ぐ特効を仕掛けてきた。



「うわああっ! 来やがるっ!」


「魔法を喰らいなさいっ!」


「ダメだにゃっ! 投擲も効かない…………」


「アンタら、ここは退くしかないよ」


 ショーンは後ろに振り返り、無我夢中で、今来た道を戻ってゆく。


 リズは、彼を援護するため、後ろに下がりながら、強力な火炎魔法を連発する。



 ミーも、釘やナットを投擲したが、奴のコブに刺さるだけで、流石に勝てないと判断した。


 一度撤退しようと走り出した、彼女とともに、フリンカは全力疾走する。



「ウゴアアーー!! た、たすけて、クレレレレッ!?」


「心配するな、今助けてやるっ!」


 突撃してきた、ボンバーの顔面に矢が突き刺さり、直後に派手な爆発が起こる。


 ワシントンが、物置小屋の上から、じっと動かず、射程距離に入るまで待っていたからだ。



「ワシントン、狙撃に感謝するぞっ!」


「礼は別に要らん、それより前に行くぞっ!」


 ショーンを追って、物置小屋から飛び降りた、ワシントンは走り出す。



「ヨランダ、ヨランダは無事なのかっ!?」


「お前ら、大丈夫だったか?」


「みんな、待ってっ! 近づいちゃ、ダメよっ!」


「にゃあっ! 遅かったにゃ…………」


 曲がり角を曲がって、ショーンとワシントン達が、見た物は絶望だった。


 それを眺めながら後ずさる、リズとミー達は、同時に攻撃しようと身構える。



「アンタ、タチ、戻ッてきた…………うガア~~~~」


 四人とも驚きながら、それぞれの武器を構えたが、それはヨランダが転化していたからである。


 マッスラーと成った彼女は、スレッジハンマーを片手に、襲いかかってきた。



「良カッタ、間にああ、アアアアッ!?」


「グア、グア~~」


「ギィィィィ」


 ウォーハンマーを右手で、トンカチのように軽々と振り回す、ヨランダ。


 理性を失った彼女とともに、他の作業員たちを含むゾンビ軍団が向かってくる。



 アジア系のジョストは、ウォーリアー化して、バールを片手に走りだす。


 ライナーは、スピットゲローに成り果てて、鉄パイプを握りしめたまま、強酸を飛ばしてきた。



「足を射つ、その間に橫から攻めろっ!」


「アンタララララーーーーああアアッ!?」


「ああっ! こうなりゃ、殺るしかねぇっ!」


 強酸を避けた、ワシントンは狩猟弓を構えて、ヨランダを止めるべく、膝を狙い射つ。


 しかし、それだけで彼女が止まるはずもなく、スレッジハンマーが振り回される。



 地面に、重たい一撃が叩きつけられてから、その衝撃で、ショーンは倒れそうになる。


 だが、何とか彼は踏みとどまり、トリップソードで反撃しようと走り出した。



「おらあっ!! 斬りつけるだけでっ!!」


「何を、スルンダイ? グアアアアアーー!?」


「お前ララ、肉をクワセロ…………」


「ダメよ、余計に興奮しているわっ!」


「にゃっ! ヤバい、こっちにくるにゃっ!」


 ショーンが思いっきり振るった刃は、ヨランダの左腕を少しだけ切り裂いた。


 これで、彼女は混乱しながら、ゾンビ達を攻撃するだろうと考えていた、彼の算段は間違っていた。



 何故なら、薬の効果で、さらに顔を真っ赤にしながら派手に暴れ出したからだ。


 ジョストのバールを、マジックロッドで受け止めながら、リズは叫ぶ。


 くるんと一回転しながら、ミーは前方に転がると同時に、三本の釘を投げた。



「グアッ! ゲローー!」


「強酸を吐いてきた、気をつけなっ!」


「ギャアア~~~~」


「うわ、俺を狙って来やがったか」


 釘を腹に受けた、ライナーは反撃のために、息を深く吸い込み、強酸を弧を描いて飛ばす。


 フリンカは、前方にジャンプしながら、それを回避して、ポイズンソードを片手に突撃していく。



 黒人作業員ルーマスは、フレッシャー化しており、しかもトンカチを闇雲に振りまくってきた。


 スバスは、自らに向かってくる彼を倒そうと、ウニ鉄球を頭上から振り下ろした。



「ウララララッ!」


「何っ!? 防がれただとっ! うごおっ!」


「ちょっ! こっちもヤバいんだけど…………」


「ギャア、グアッ! ギィィ」


 ルーマスは、スバスのウニ鉄球をトンカチで弾いてしまい、懐に飛び込んでしまう。


 そして、無防備な彼の腹に、超強烈な蹴りを入れて、背中を丸めさせる。



 一方、リズは両手に握るマジックロッドで、ジョストのバールによる連撃を防ぐ。


 しかし、防戦に徹するだけで、彼女は手一杯であり、反撃する暇がなかった。



「な、ナンで攻撃す、ルノ? に、肉をクワセロ、クワセローーーー!!」


「弓矢で、狙う暇すら作ってくれないのかっ!?」


「いや、上から援護してくれてるぞっ!」


「ウガアアアア」


「ウギイイーーーーギイッ!?」


 ワシントンは、狩猟弓を構えたまま、ヨランダの顔面を狙っていたが、狙撃を断念する他なかった。


 彼女が、スレッジハンマーで、彼を叩き潰さんとして、勢いよく振り下ろしたからだ。



 そして、ショーンは立ち塞がる、ゾンビやフレッシャー達の首や腕を、切り飛ばしながら走り回る。


 彼は、左側にある簡易的なバリケードや建設途中のビルから、飛んでくる支援攻撃に気がついた。



「お前ら、気をつけるんだっ!」


「こっちからも支援してやるっ!」


 鉄筋やカッターが投げられて、ゾンビやフレッシャー達に投擲攻撃が加えられる。


 黄緑色のヘルメットを被る、キョンシー作業員は、金網から少し離れた位置から叫んだ。



 黄色いヘルメットを被る、東南アジア系作業員も、鉄パイプを投げる。


 こうして、ゾンビ達を倒せないが、ショーン達を狙う連中を妨害する事はできた。



「おっしゃ、援護してくれるなら、こっちも何とか戦えるっ!」


「とは言え、劣勢なのは変わらないぞっ!」


「グルアアッ!」


「その劣勢を覆すべく、私たちが頑張らないとねぇ」


「ギャ~~~~」


 味方の援護を見て、ショーンは近寄ってくる、ゾンビ達を交わしながら走りまくる。


 そんな彼に、ジャンピンガー化した、リザードマン族のアーヴィンが、スパナを手に飛びかかった。



 得意の狩猟弓による即射が行えず、ワシントンは右手に握るボウイナイフで、身を守ろうとする。


 そこに、ガス吐きゾンビ化した、アフマドが両手で高々と、スコップを頭上に掲げた。



「このっ! 退けっ! うらあっ!!」


「ギギィィッ!」


「はっ! 避けたっ! いや、不味いな」


「ブシャアアアアーーーー!?」


「ヤバいね、劣勢を覆すのが難しいよっ! ぐあ?」


「アナタたち、攻撃をやめめめめっ!!」


 ショーンを押し倒して、スパナで顔面を殴りまくる、アーヴィン。


 何度も、頬や鼻を叩かれながら、彼は腹にトリップソードを突き刺しつつ、奴のアゴを押さえる。


 スコップが、自らに振り下ろされる前に、ワシントンは後ろに退いた。


 しかし、今度は口から毒ガスが噴射されたので、地面に伏せながら攻撃を避けた。



 フリンカの左肩にも、ヨランダが両手で橫凪に振るう、スレッジハンマーが叩きつけられた。


 それでも、彼女は苦悶の表情を浮かべながらも、反撃で、脇腹をポイズンソードで斬りつける。



「かたっ! どんだけ、筋肉が硬いんだよっ! でも、殴り合いなら負けないよっ! 私だって、半分オーク族何だからねっ!」


「や、ヤヤヤメテーーーー!?」


「おら、おら、おらっ! そろそろ、くたばれっ!」


「グアアッ! グアアッ! グアアッ!」


「毒ガスは、吸うと不味いからなっ! あ? うわあっ! 釘がっ!」


「ブシャ~~~~!!」


「釘なら私だって、投げられるにゃあっ!」


「グガッ!?」


「退きなさいっ! 燃やしちゃうわよっ! 本当に殺るからねっ!」


「ギギギギィィーー!!」


 フリンカによる斬撃は、筋肉に多少ダメージを与えるだけで、ヨランダは全然平気であった。


 何度も、ショーンが必死で、突き刺さったままのトリップソードを動かす。


 すると、アーヴィンは薬の効果が効いたらしく、彼から興味を失くして、フラフラと歩きだした。



 アフマドの毒ガスから即座に離れた、ワシントンは、いきなり何処からか、釘を何発も射たれる。


 幸い、地面に伏せる事で、回避するのは成功したが、いきなり奇襲を受けた彼は戸惑う。



 それを射ちまくったのは、ゾンビ化した、白人作業員のリーであり、彼は電動釘打機を握っていた。



 しかし、速攻を仕掛けた、ミーの活躍により、奴は眉間に、ナットを指弾で射ち込まれて倒れた。



 カンッカンッと、金属音を鳴らしていた、リズとジョスト達だったが、彼女は一気に距離を取る。


 そして、奴のバールが振るわれる前に、マジックロッドから炎を噴射して、丸焦げにするのだった。



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