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第73話 夜と朝


 ショーン達は、待機所に集まっており、そこには彼等以外の冒険者チームも来ていた。



「ワシントンとフリンカ達は、居ないらしいな? あと、ミーも親戚のシューさんの家に泊まったか」


「きっと、そうでしょうね?」


「ショーン、悪いな? 俺たちまで、泊まらせて貰って」


「と言うか、戦闘では疲れたぜ? 明日は休みだ…………やる事ないから爆弾でも作るか」


「休みか? だが、俺は待機しているぞ? 負傷者が運ばれてくるだろうからな」


 ショーンは、姿の見えない仲間たちを心配しながら待機室で、ソファーに座る。


 リズも同じく、三人が無事なことを祈りながら、不安そうな顔をする。



 元々、ルドマン商会の一員ではない、マルルンは遠慮がちな態度で呟いた。


 スバスとゴードン達は、休みだろうと戦闘に備えて、仕事を行おうと真面目な顔で言う。



「マルルン、礼なら? ルドマンさんに言ってくれ? それに、お前はリズやスバス達を守ってくれたしな? だから、気にするなって」


「そうだな、あの人が配慮してくれたんだしな」


「私も、ルドマンさんに会ったら感謝しないと、成りませんね」


 ショーンは謙遜するなと、マルルンに言うと、彼も納得したのか、少し表情が緩む。


 ジャーラも、疲れた顔で、宿泊施設を用意してくれた事に対して、礼を言わなければと呟いた。



「と言うか、ショーン? そっちも、チンピラ達が暴れてたのか?」


「もちろん、連中は街中に散らばっていたな? スバス、しかも海トカゲ団まで見たぜ」


 一足早く安全区域に、たどり着いていた、スバスは襲撃してきた、チンピラ達と戦っていた。


 一方、ショーン達も、ここに来るまでは、チンピラ集団や海トカゲ団との激闘を繰り広げてきた。



「海トカゲ団までか? やつら、いよいよ、ここも略奪の標的にしたか」


「それなら、私たちも気を引き締めないとね」


「海トカゲ団か…………それじゃ、他のチンピラ達より、武器は凄いだろうな」


「本格的な侵攻が、開始されたら、きっと壮絶な戦いになるでしょう」


 スバスは、海トカゲ団と聞いて、顔を険しくさせて、リズも真顔で呟く。


 マルルンは、連中が保有する装甲車や機関銃を脅威だと考え、ジャーラは右拳を強く握る。



「おおい? 出前が届いたぜ、もやし&コーン入りワカメ・ラーメンだ」


「それじゃ、皆さん? お食事を楽しんで下さい」


「アイツ等が、会計士のラザーラと、ここの警備員クロードか?」


「そうよ、後で挨拶をしていきましょう」


「ようやく食事か? 食ったら、クロスボウの電池を探しに、街に出るか」


「私も、太らないように、鍛練のために外へ出ないと」


 トロールに負けないほど、大きな体で、金髪碧眼の灰鎧を着ている冒険者が現れた。


 それから、直ぐに紺色スーツとスカートを履いた、女性リザードマンも登場した。



 ショーンは、やってきた男女二人を目にすると、リズに彼等のことを質問した。


 そんな話を余所に、テアンとサヤ達は、それぞれ食後の事を考えていた。



「アジア人組は、真面目で、ストイックだな? 俺は食ったら寝るぜ? 明日は休みだし、気を休めるのも仕事の内だ」


「こんにちわ~~出前ですっ! ん? ショーンじゃないか? お前、生きていたのかっ!?」


 ショーンは、かなり真面目な二人に対して、感心しながらも、自らは疲れた体を休めようと考えた。


 そうして、腹を擦っている彼の前に、青い和服を着ている料理人が現れた。



「ナカタニさん、生きていたのかって、こっちの言葉ですよっ!」


「いや、つい驚いてしまってな? そうか、お前も生きていてくれたか」


 ショーンは、行きつけのラーメン屋を経営するナカタニと再開できて、驚きと喜びを顔に浮かべる。



「今は仕事中だし、忙しいから明日、良かったら店に来てくれ…………と言いたいが、お前らには出前が支給されるからな」


「いや、時間が出来たら、ラーメンを食いに行きますよっ! 色々と俺も話がしたいし」


 ナカタニとショーン達は、互いの顔を見て、嬉しそうに会話を続ける。



「はっはっ! そう言ってくれると嬉しいなっ! じゃあ、是非きてくれ」


「はい、必ず行きますっ!」


 ナカタニは、他の冒険者たちに、配膳するため、ラーメンを運ぶ仕事に戻る。


 そんな彼に対して、ショーンは右手を上げながら真顔で、即答するのだった。



「あの人は、どういう関係なの?」


「なに、昔からの付き合いなだけさ? まあ、シューさんと同じく、冒険者として、駆け出しの頃に、かなり飯を食いに行ってたからな」


 リズが、不思議そうな顔で、ショーンに店主との関係を質問する。


 すると、彼はナカタニと親しいか、理由を目を瞑りながら説明した。



「それより、飯を食おうぜ? 明日も、どうなるか分からないからな」


 そう言って、ショーンは箸を手に取り、ラーメンの麺が冷める前へと口に運んだ。



 翌朝、ショーン達を含む冒険者チームは、昨晩のように待機室へと、皆集まっていた。


 今朝は、配達されたピザが振る舞われており、皆で朝食を食べていた。



「さて? マルルン達は、どうするんだ?」


「街の見張りを任されているんだが、実質的には、ショーン達と同じく休みだな? 街中には、チンピラは現れないだろうし」


「とは言え、遊んでばかりではなく、きちんと治安維持に貢献しなくては成りませんね」


「私たちも、休みだけれど? 何かしら、コミュニティーに貢献しなくちゃね」


 ショーンの問いに、マルルンは右手で、ピザを口に運ぶ前に答えた。


 二人の話を聞いて、ジャーラとリズ達も、働かなくては思い、何をしようかと考え始める。



「まあ、私は速く戦いたいから、バリケードの方に行くんだけど」


「俺は、爆弾を作る材料を買いに行くか」


 カーニャは、目をギラギラさせて、笑みを浮かべる中、スバスは眠たそうな目で呑気に呟く。



「スバス、なら? 海の魔物を退治しに行かないか? 爆弾を買いに行った後で、いいから?」


「だな? 他にやる事もないし、先に魔物退治を手伝いに行くよ」


「もちろん、私も行くわ」


 ショーンが魔物退治に、スバスを誘うと、リズも一緒に行動すると言った。



「だな? リズ、スバス、魔物退治をしている、ワシントンとフリンカ達を助けに行くとしよう」


 こうして、ショーン達は食事を終えてから、複数の冒険者チームと別れて、別行動し始めた。



「リオンとマーリーン達から、連絡が途絶えているっ! もうすぐ、定時連絡の時間なのに」


「アイツ等が、行方不明だとっ! 確か、豪華客船の方で、怪しい動きがあると言う報告があったから、確かめに向かったはずだ」


 スケルトン警察官とゾンビ族の兵士たちが騒ぐ姿を、ショーン達は目にした。



「何だって…………昨日の二人組だなっ!」


「ショーン、知っているの?」


「知り合いなのか?」


 事務所の前で、窮地に陥ってしまった、二人の聞いてしまって、ショーンは助けに行こうとする。


 リズとスバス達は、頭に?マークを浮かべつつ、行方不明となった警察官との関係を質問した。



「知っていると言うか、多少は顔見知りだっ! しかし、こうしては居られないっ!」


 冒険者として、正義感を捨ててないショーンは、いざ緊急事態となると、途端にやる気を出す。



「とにかく、豪華客船のある方向に向かうかっ!」


「分かったわ、私達も助けに行くわっ! 取り敢えず、ビーチに行きましょうっ!」


「ああ、そこから、北上すれば目的地に辿り着くからなっ!」


 ショーンは、今にも勢いよく走り出そうとするが、その後ろから、リズが行き先を教える。


 そして、スバスも二人に着いて、一気に海へと向かって、駆け出していった。

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