ショーン達は、待機所に集まっており、そこには彼等以外の冒険者チームも来ていた。
「ワシントンとフリンカ達は、居ないらしいな? あと、ミーも親戚のシューさんの家に泊まったか」
「きっと、そうでしょうね?」
「ショーン、悪いな? 俺たちまで、泊まらせて貰って」
「と言うか、戦闘では疲れたぜ? 明日は休みだ…………やる事ないから爆弾でも作るか」
「休みか? だが、俺は待機しているぞ? 負傷者が運ばれてくるだろうからな」
ショーンは、姿の見えない仲間たちを心配しながら待機室で、ソファーに座る。
リズも同じく、三人が無事なことを祈りながら、不安そうな顔をする。
元々、ルドマン商会の一員ではない、マルルンは遠慮がちな態度で呟いた。
スバスとゴードン達は、休みだろうと戦闘に備えて、仕事を行おうと真面目な顔で言う。
「マルルン、礼なら? ルドマンさんに言ってくれ? それに、お前はリズやスバス達を守ってくれたしな? だから、気にするなって」
「そうだな、あの人が配慮してくれたんだしな」
「私も、ルドマンさんに会ったら感謝しないと、成りませんね」
ショーンは謙遜するなと、マルルンに言うと、彼も納得したのか、少し表情が緩む。
ジャーラも、疲れた顔で、宿泊施設を用意してくれた事に対して、礼を言わなければと呟いた。
「と言うか、ショーン? そっちも、チンピラ達が暴れてたのか?」
「もちろん、連中は街中に散らばっていたな? スバス、しかも海トカゲ団まで見たぜ」
一足早く安全区域に、たどり着いていた、スバスは襲撃してきた、チンピラ達と戦っていた。
一方、ショーン達も、ここに来るまでは、チンピラ集団や海トカゲ団との激闘を繰り広げてきた。
「海トカゲ団までか? やつら、いよいよ、ここも略奪の標的にしたか」
「それなら、私たちも気を引き締めないとね」
「海トカゲ団か…………それじゃ、他のチンピラ達より、武器は凄いだろうな」
「本格的な侵攻が、開始されたら、きっと壮絶な戦いになるでしょう」
スバスは、海トカゲ団と聞いて、顔を険しくさせて、リズも真顔で呟く。
マルルンは、連中が保有する装甲車や機関銃を脅威だと考え、ジャーラは右拳を強く握る。
「おおい? 出前が届いたぜ、もやし&コーン入りワカメ・ラーメンだ」
「それじゃ、皆さん? お食事を楽しんで下さい」
「アイツ等が、会計士のラザーラと、ここの警備員クロードか?」
「そうよ、後で挨拶をしていきましょう」
「ようやく食事か? 食ったら、クロスボウの電池を探しに、街に出るか」
「私も、太らないように、鍛練のために外へ出ないと」
トロールに負けないほど、大きな体で、金髪碧眼の灰鎧を着ている冒険者が現れた。
それから、直ぐに紺色スーツとスカートを履いた、女性リザードマンも登場した。
ショーンは、やってきた男女二人を目にすると、リズに彼等のことを質問した。
そんな話を余所に、テアンとサヤ達は、それぞれ食後の事を考えていた。
「アジア人組は、真面目で、ストイックだな? 俺は食ったら寝るぜ? 明日は休みだし、気を休めるのも仕事の内だ」
「こんにちわ~~出前ですっ! ん? ショーンじゃないか? お前、生きていたのかっ!?」
ショーンは、かなり真面目な二人に対して、感心しながらも、自らは疲れた体を休めようと考えた。
そうして、腹を擦っている彼の前に、青い和服を着ている料理人が現れた。
「ナカタニさん、生きていたのかって、こっちの言葉ですよっ!」
「いや、つい驚いてしまってな? そうか、お前も生きていてくれたか」
ショーンは、行きつけのラーメン屋を経営するナカタニと再開できて、驚きと喜びを顔に浮かべる。
「今は仕事中だし、忙しいから明日、良かったら店に来てくれ…………と言いたいが、お前らには出前が支給されるからな」
「いや、時間が出来たら、ラーメンを食いに行きますよっ! 色々と俺も話がしたいし」
ナカタニとショーン達は、互いの顔を見て、嬉しそうに会話を続ける。
「はっはっ! そう言ってくれると嬉しいなっ! じゃあ、是非きてくれ」
「はい、必ず行きますっ!」
ナカタニは、他の冒険者たちに、配膳するため、ラーメンを運ぶ仕事に戻る。
そんな彼に対して、ショーンは右手を上げながら真顔で、即答するのだった。
「あの人は、どういう関係なの?」
「なに、昔からの付き合いなだけさ? まあ、シューさんと同じく、冒険者として、駆け出しの頃に、かなり飯を食いに行ってたからな」
リズが、不思議そうな顔で、ショーンに店主との関係を質問する。
すると、彼はナカタニと親しいか、理由を目を瞑りながら説明した。
「それより、飯を食おうぜ? 明日も、どうなるか分からないからな」
そう言って、ショーンは箸を手に取り、ラーメンの麺が冷める前へと口に運んだ。
翌朝、ショーン達を含む冒険者チームは、昨晩のように待機室へと、皆集まっていた。
今朝は、配達されたピザが振る舞われており、皆で朝食を食べていた。
「さて? マルルン達は、どうするんだ?」
「街の見張りを任されているんだが、実質的には、ショーン達と同じく休みだな? 街中には、チンピラは現れないだろうし」
「とは言え、遊んでばかりではなく、きちんと治安維持に貢献しなくては成りませんね」
「私たちも、休みだけれど? 何かしら、コミュニティーに貢献しなくちゃね」
ショーンの問いに、マルルンは右手で、ピザを口に運ぶ前に答えた。
二人の話を聞いて、ジャーラとリズ達も、働かなくては思い、何をしようかと考え始める。
「まあ、私は速く戦いたいから、バリケードの方に行くんだけど」
「俺は、爆弾を作る材料を買いに行くか」
カーニャは、目をギラギラさせて、笑みを浮かべる中、スバスは眠たそうな目で呑気に呟く。
「スバス、なら? 海の魔物を退治しに行かないか? 爆弾を買いに行った後で、いいから?」
「だな? 他にやる事もないし、先に魔物退治を手伝いに行くよ」
「もちろん、私も行くわ」
ショーンが魔物退治に、スバスを誘うと、リズも一緒に行動すると言った。
「だな? リズ、スバス、魔物退治をしている、ワシントンとフリンカ達を助けに行くとしよう」
こうして、ショーン達は食事を終えてから、複数の冒険者チームと別れて、別行動し始めた。
「リオンとマーリーン達から、連絡が途絶えているっ! もうすぐ、定時連絡の時間なのに」
「アイツ等が、行方不明だとっ! 確か、豪華客船の方で、怪しい動きがあると言う報告があったから、確かめに向かったはずだ」
スケルトン警察官とゾンビ族の兵士たちが騒ぐ姿を、ショーン達は目にした。
「何だって…………昨日の二人組だなっ!」
「ショーン、知っているの?」
「知り合いなのか?」
事務所の前で、窮地に陥ってしまった、二人の聞いてしまって、ショーンは助けに行こうとする。
リズとスバス達は、頭に?マークを浮かべつつ、行方不明となった警察官との関係を質問した。
「知っていると言うか、多少は顔見知りだっ! しかし、こうしては居られないっ!」
冒険者として、正義感を捨ててないショーンは、いざ緊急事態となると、途端にやる気を出す。
「とにかく、豪華客船のある方向に向かうかっ!」
「分かったわ、私達も助けに行くわっ! 取り敢えず、ビーチに行きましょうっ!」
「ああ、そこから、北上すれば目的地に辿り着くからなっ!」
ショーンは、今にも勢いよく走り出そうとするが、その後ろから、リズが行き先を教える。
そして、スバスも二人に着いて、一気に海へと向かって、駆け出していった。