ショーン達は、ワシントンとリズ達を残すと、ホテルの敷地を抜けて、レストランに向かっていた。
二人には、手摺からスナイパーや、もしもの時に火力支援を担当して貰う事に成ったからだ。
「リズ、ワシントンッ! 援護は頼んだぞ」
「分かっている、今屋根の弓兵を倒した」
「私は、いざと成ったら魔法を射つわ、それまで待機するからね」
階段を降りていく、ショーンは上で敵に狙いをつける二人に声をかけた。
それに、ワシントンは答えながら弓矢を放ち、リズは手摺の陰から、じっと動かずに居た。
「俺は、あのレストランの裏に回るっ! ミー、着いて来てくれっ! 正面の連中は、フリンカとスバスに任せた」
「分かったにゃ…………ショーン、素早く裏に回り込むにゃ」
「こっちは、私が連中を絞め殺していくからね~~? 暗殺は任せときな」
「いざと成ったら、爆弾を使うかも知れない? だが、豪華客船からゾンビが来るから、それはダメか」
建物の周りは、小さな木々に囲まれており、背中を丸めて、ショーンとミー達は密かに動く。
正面の方には、腹這いに成って、フリンカとスバス達が、静かに向かっていく。
「グッ!? うああ…………」
「ワシントンの奴、もう一人も倒してくれたな」
屋根に登っていた、クロスボウを持っていた、猿人の海トカゲ団員が倒れる。
ショーンは、それを見届けると、レストランの後ろ側である左へと、木陰を通って移動する。
「おい、早く作業を終えろっ! 何時までも、こんなゾンビが出そうな所で、働きたくは無いからな」
「そうは言っても、これだけの量だ? 一気に運ぶ何てできっこ無いぜ?」
「無駄口を叩いてる暇が有るなら、キリキリと動け」
「そうだ、さっさと物資を積んで、撤収するんだからな」
カエル人間のチンピラは、親指を後ろに向けて、遥か遠くにある豪華客船を指差す。
それを聞いて、金髪オールバックの白人チンピラは、両手を振って、軽口を叩く。
灰鎧を着ている、青い鉢巻きを頭に巻く、海トカゲ団員は、クロスボウを構えながら怒鳴る。
「連中、トラックの荷台に、レストランの飯を運んでいるようだな…………」
「待ってにゃ? どうやら、同時に、ダイナマイトも設置しているようだにゃ?」
「設置完了、C4爆薬も設置するっ!」
「了解、こちらは終わったな、テクニカルに乗れっ!」
ショーンは、運ばれていく物資が、酒樽や肉を積めたダンボール等である事を確認した。
ミーも、ゾンビ族の海トカゲ団員と青フードを被る海トカゲ団員たちが、歩く姿を見た。
「不味い、爆薬を起爆させたら、ゾンビが船から来てしまう」
「急いで、連中を排除しなくちゃ成らないにゃっ!!」
レストランの駐車場には、トラックが二台と、テクニカルが、一台だけ停められている。
そこに向かう、二人を暗殺するべく、ショーンとミー達は素早く木陰を走っていく。
「トラックの連中は、レストランを向いているっ!」
「行くなら今しかないにゃっ!」
他の海トカゲ団員やチンピラ達は、レストランから食糧を運ぶので忙しい。
そのため、トラックを隔てた、爆薬を準備していた、二人組が連中からは見えない。
ショーンは、足音を立てず、テクニカルへと、素早く向かっていく。
ミーも、同様に懐から、釘を何本か抜き取りながら、敵を目掛けて駆け出していった。
「よし、我々は先に行くとしよっ!? う」
「な、なっ! ぐえっ!」
「悪いが行かせる訳には、いかないんでな…………」
「確実に仕留めて、やったにゃ」
運転席に座ろうとした、ゾンビ族の海トカゲ団員は、ショーンが振るった剣に喉を斬られてしまう。
荷台の車載機関銃を握る、青フードを被る海トカゲ団員は、ミーが投げた釘が右目を貫いた。
「死体は、車の中に隠すぞ」
「こっちは、鉄板で見えなくなるにゃ」
ショーンは、ドアを開いて、車内に死体を放り込んでいる間、ミーは付近を警戒する。
「次は、四人だ? 海トカゲ団員の方は、俺が殺るっ! ミー、あのチンピラ達は任せたぞ」
「OKだにゃっ! ショーン、迅速に行動しようにゃっ!」
右側のトラックに向かい、ショーンは陰から、こっそりと、海トカゲ団員たちを眺める。
ミーは左側へと向かい、荷台の屋根にパルクールして、飛び乗ってから、チンピラ達を睨む。
「よし、行くぞ」
「分かってるにゃ」
ショーンが、トラック正面から顔を出して、手を振ると、ミーも親指を立てる。
こうして、二人は音もなく、敵に近付いていき、背後から奇襲を仕掛ける。
「こんにちはっ? そして、お休み」
「お前は? なぜ、仕事をサボって…………」
「て、敵かはああ…………」
ショーンが挨拶すると、青い鉢巻きを頭に巻く、海トカゲ団員は、何かと思い振り向く。
どうやら、奴はチンピラが仕事をサボっていると考えたようだが、その隙を突いて、首を斬られた。
その瞬間、灰鎧を着ている体と、クロスボウが地面に落下した。
そして、彼の腹に突き刺された、トリップソードは、左側に思いっきり横凪に振るわれた。
「ふぅ? ミーの方は?」
こうして、ショーンの活躍により、海トカゲ団員たちは素早く始末されるのだった。
「にゃあ? ニーハオ♡」
「おっ! 可愛い女がっ!?」
「待て、敵かも知れなっ! ガヒッ!」
背後から近寄っていった、ミーは両手を後ろに組んで、二人のチンピラ達に笑顔で挨拶する。
カエル人間のチンピラは、一瞬で虜にされてしまったが、それが命取りになってしまった。
その間に、奴は投げられた釘が喉に突き刺さり、口から血を吐きながら後ろに倒れた。
それを見た、金髪オールバックの白人チンピラは、鉄パイプを振るおうとした。
しかし、その前に彼女が指弾で飛ばした、ボルトが、眉間にめり込んだ。
「ショーン、終わったにゃ…………」
こちらも、ミーが軽く二人を瞬殺してしまったので、安全を確保できた。
「ミー? 次は、レストランだな? フリンカとワシントン達と内部で、合流できるかもな」
「そうだにゃ、中に敵が存在したら、連携して倒すんだにゃっ!」
ショーンとミー達は、レストランの裏口へと、二人で密かに迫っていく。
「クソ、まさかトイレのドアが壊れて使えないとはな? ん、敵かっ! 喰らえっ!」
「危ないっ! ミー、頭を下げろっ! うっ!」
レストランから、出てきた白人スキンヘッドの海トカゲ団員は、手裏剣を投げてきた。
それは、ミーに当たりそうになり、ショーンは彼女を庇うために、急いで背中を敵に向けた。
「ショーンッ!? 殺らせはしないにゃあっ!?」
「ぐああ…………」
ミーは、ショーンに守られながらも、指弾でナットを飛ばして、海トカゲ団員のこめかみに当てる。
「ショーン、大丈夫かにゃっ!?」
「心配するな、茶色い鎧を着ているだろ」
手裏剣に殺られたと思って、ミーは抱きついているショーンを心配した。
「そうかにゃ? 良かっ!? にゃああっ!! 何処を触ってるにゃっ!!」
「えっ? …………あ、済まん、そう言う積もりじゃなかったんだっ!!」
ミーは、助かった安心から、安堵していると、自らの体に異変を感じてしまう。
それは、ショーンが、何と彼女を包み込むように抱き上げ、股間と胸を触っていたからだ。
「わ、悪い…………つい、助けようとして? 本当に、そう言う積もりじゃないんだ」
「本当だにゃっ! そう言う積もりだったらにゃあ~~? 敵だにゃっ!」
ショーンは、ひたすら両手を合わせながら頭を下げるが、ミーは顔を真っ赤にしながら怒る。
しかし、そう言いながらも、彼女はレストランから、誰かが近付いてくる姿を見た。