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第75話 レストランを制圧しろ


 ショーン達は、ワシントンとリズ達を残すと、ホテルの敷地を抜けて、レストランに向かっていた。


 二人には、手摺からスナイパーや、もしもの時に火力支援を担当して貰う事に成ったからだ。



「リズ、ワシントンッ! 援護は頼んだぞ」


「分かっている、今屋根の弓兵を倒した」


「私は、いざと成ったら魔法を射つわ、それまで待機するからね」


 階段を降りていく、ショーンは上で敵に狙いをつける二人に声をかけた。


 それに、ワシントンは答えながら弓矢を放ち、リズは手摺の陰から、じっと動かずに居た。



「俺は、あのレストランの裏に回るっ! ミー、着いて来てくれっ! 正面の連中は、フリンカとスバスに任せた」


「分かったにゃ…………ショーン、素早く裏に回り込むにゃ」


「こっちは、私が連中を絞め殺していくからね~~? 暗殺は任せときな」


「いざと成ったら、爆弾を使うかも知れない? だが、豪華客船からゾンビが来るから、それはダメか」


 建物の周りは、小さな木々に囲まれており、背中を丸めて、ショーンとミー達は密かに動く。


 正面の方には、腹這いに成って、フリンカとスバス達が、静かに向かっていく。 



「グッ!? うああ…………」


「ワシントンの奴、もう一人も倒してくれたな」


 屋根に登っていた、クロスボウを持っていた、猿人の海トカゲ団員が倒れる。


 ショーンは、それを見届けると、レストランの後ろ側である左へと、木陰を通って移動する。



「おい、早く作業を終えろっ! 何時までも、こんなゾンビが出そうな所で、働きたくは無いからな」


「そうは言っても、これだけの量だ? 一気に運ぶ何てできっこ無いぜ?」


「無駄口を叩いてる暇が有るなら、キリキリと動け」


「そうだ、さっさと物資を積んで、撤収するんだからな」


 カエル人間のチンピラは、親指を後ろに向けて、遥か遠くにある豪華客船を指差す。


 それを聞いて、金髪オールバックの白人チンピラは、両手を振って、軽口を叩く。



 灰鎧を着ている、青い鉢巻きを頭に巻く、海トカゲ団員は、クロスボウを構えながら怒鳴る。


 権杖ジェズルを持ちながら、僧侶の格好をした海トカゲ団員は、ゆっくりと歩いてくる。



「連中、トラックの荷台に、レストランの飯を運んでいるようだな…………」


「待ってにゃ? どうやら、同時に、ダイナマイトも設置しているようだにゃ?」


「設置完了、C4爆薬も設置するっ!」


「了解、こちらは終わったな、テクニカルに乗れっ!」


 ショーンは、運ばれていく物資が、酒樽や肉を積めたダンボール等である事を確認した。


 ミーも、ゾンビ族の海トカゲ団員と青フードを被る海トカゲ団員たちが、歩く姿を見た。



「不味い、爆薬を起爆させたら、ゾンビが船から来てしまう」


「急いで、連中を排除しなくちゃ成らないにゃっ!!」


 レストランの駐車場には、トラックが二台と、テクニカルが、一台だけ停められている。


 そこに向かう、二人を暗殺するべく、ショーンとミー達は素早く木陰を走っていく。



「トラックの連中は、レストランを向いているっ!」


「行くなら今しかないにゃっ!」


 他の海トカゲ団員やチンピラ達は、レストランから食糧を運ぶので忙しい。


 そのため、トラックを隔てた、爆薬を準備していた、二人組が連中からは見えない。



 ショーンは、足音を立てず、テクニカルへと、素早く向かっていく。


 ミーも、同様に懐から、釘を何本か抜き取りながら、敵を目掛けて駆け出していった。



「よし、我々は先に行くとしよっ!? う」


「な、なっ! ぐえっ!」


「悪いが行かせる訳には、いかないんでな…………」


「確実に仕留めて、やったにゃ」


 運転席に座ろうとした、ゾンビ族の海トカゲ団員は、ショーンが振るった剣に喉を斬られてしまう。


 荷台の車載機関銃を握る、青フードを被る海トカゲ団員は、ミーが投げた釘が右目を貫いた。



「死体は、車の中に隠すぞ」


「こっちは、鉄板で見えなくなるにゃ」


 ショーンは、ドアを開いて、車内に死体を放り込んでいる間、ミーは付近を警戒する。



「次は、四人だ? 海トカゲ団員の方は、俺が殺るっ! ミー、あのチンピラ達は任せたぞ」


「OKだにゃっ! ショーン、迅速に行動しようにゃっ!」


 右側のトラックに向かい、ショーンは陰から、こっそりと、海トカゲ団員たちを眺める。


 ミーは左側へと向かい、荷台の屋根にパルクールして、飛び乗ってから、チンピラ達を睨む。



「よし、行くぞ」


「分かってるにゃ」


 ショーンが、トラック正面から顔を出して、手を振ると、ミーも親指を立てる。


 こうして、二人は音もなく、敵に近付いていき、背後から奇襲を仕掛ける。



「こんにちはっ? そして、お休み」


「お前は? なぜ、仕事をサボって…………」


「て、敵かはああ…………」


 ショーンが挨拶すると、青い鉢巻きを頭に巻く、海トカゲ団員は、何かと思い振り向く。


 どうやら、奴はチンピラが仕事をサボっていると考えたようだが、その隙を突いて、首を斬られた。



 その瞬間、灰鎧を着ている体と、クロスボウが地面に落下した。



 権杖ジェズルを持つ、僧侶の格好をした海トカゲ団員には、素早く抜き取られた刃が迫る。


 そして、彼の腹に突き刺された、トリップソードは、左側に思いっきり横凪に振るわれた。



「ふぅ? ミーの方は?」


 こうして、ショーンの活躍により、海トカゲ団員たちは素早く始末されるのだった。



「にゃあ? ニーハオ♡」


「おっ! 可愛い女がっ!?」


「待て、敵かも知れなっ! ガヒッ!」


 背後から近寄っていった、ミーは両手を後ろに組んで、二人のチンピラ達に笑顔で挨拶する。



 カエル人間のチンピラは、一瞬で虜にされてしまったが、それが命取りになってしまった。


 その間に、奴は投げられた釘が喉に突き刺さり、口から血を吐きながら後ろに倒れた。



 それを見た、金髪オールバックの白人チンピラは、鉄パイプを振るおうとした。


 しかし、その前に彼女が指弾で飛ばした、ボルトが、眉間にめり込んだ。



「ショーン、終わったにゃ…………」


 こちらも、ミーが軽く二人を瞬殺してしまったので、安全を確保できた。



「ミー? 次は、レストランだな? フリンカとワシントン達と内部で、合流できるかもな」


「そうだにゃ、中に敵が存在したら、連携して倒すんだにゃっ!」


 ショーンとミー達は、レストランの裏口へと、二人で密かに迫っていく。



「クソ、まさかトイレのドアが壊れて使えないとはな? ん、敵かっ! 喰らえっ!」


「危ないっ! ミー、頭を下げろっ! うっ!」


 レストランから、出てきた白人スキンヘッドの海トカゲ団員は、手裏剣を投げてきた。


 それは、ミーに当たりそうになり、ショーンは彼女を庇うために、急いで背中を敵に向けた。



「ショーンッ!? 殺らせはしないにゃあっ!?」


「ぐああ…………」


 ミーは、ショーンに守られながらも、指弾でナットを飛ばして、海トカゲ団員のこめかみに当てる。



「ショーン、大丈夫かにゃっ!?」


「心配するな、茶色い鎧を着ているだろ」


 手裏剣に殺られたと思って、ミーは抱きついているショーンを心配した。



「そうかにゃ? 良かっ!? にゃああっ!! 何処を触ってるにゃっ!!」


「えっ? …………あ、済まん、そう言う積もりじゃなかったんだっ!!」


 ミーは、助かった安心から、安堵していると、自らの体に異変を感じてしまう。


 それは、ショーンが、何と彼女を包み込むように抱き上げ、股間と胸を触っていたからだ。



「わ、悪い…………つい、助けようとして? 本当に、そう言う積もりじゃないんだ」


「本当だにゃっ! そう言う積もりだったらにゃあ~~? 敵だにゃっ!」


 ショーンは、ひたすら両手を合わせながら頭を下げるが、ミーは顔を真っ赤にしながら怒る。


 しかし、そう言いながらも、彼女はレストランから、誰かが近付いてくる姿を見た。

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