ショーンとフリンカ達は、ワゴン車から、海トカゲ団と、ゾンビ軍団に目を向けた。
「ヤバい、連中、ゾンビを出してきたぞっ!」
「上からも、ドローンが来るわっ!」
ゾンビ、フレッシャー、マッスラーなど、様々なゾンビ集団が警備会社の前を埋め尽くす。
しかも、二階や三階の窓からは、ドローン部隊が魔法や機銃で、いきなり空襲してきた。
ショーンとリズ達は、これが待ち受けていた罠かと思い、ひたすらワゴン車の陰に隠れる。
そうこうしている間に、アリ人間の部隊も反撃するため、ある物を用意していた。
「キラービーを放てっ! 奴らを攻撃するんだっ!」
「よし、今開けるぞっ!」
「ファイヤー!!」
「撃ちまくれ、撃ちまくるんだっ!」
白いトラックの後部から、赤アリ人間たちが、両ドアを開けて、赤ん坊ほどもある大きい蜂を放つ。
緑アリ人間は、レッドアントから火炎放射を放ち、黒人BB団員はAK47を乱射する。
「養蜂用と警備用の蜂だっ! 殺人針に殺られろっ! チッ! ドローンが厄介だっ!」
「うわっ! 撃たれた…………空の奴に気をつけろ」
「ゾンビが来るぞ、近寄らせるなっ!」
「ウオオオオ」
キラービー達は、窓から攻撃してくる海トカゲ団の射撃部隊に、毒針を射っていく。
対するドローン部隊は、青アリ人間とアジア系BB団員を、空から機銃で狙う。
しかも、BB団員が火炎瓶を投げるが、それが当たっても、マッスラーが燃えながら歩いてくる。
辺りは、地獄絵図と化して、混乱する中、ゾンビ達が押し寄せてきた。
「ウガアアアア」
「ゲロロロロ」
「ついに来たぞっ! これ以上は、進ませるかっ!」
「とにかく、撃ちまくれっ!」
「機銃やアサルトライセンスにも、撃ち返せ」
「魔法を喰らえっ! 燃えろっ!」
フレッシャー達が走って来ると、トラックの陰から、アリ人間は、クーゼで敵を切り裂きまくる。
スピットゲローが強酸を吐くと、アラブ系のBB団員は、ワゴン車に身を隠して、マカロフを撃つ。
ビルの窓に、黒アリ人間が、トラック後部から、バーニーキャロンを構えて、何発も弾丸を放つ。
ピックアップの陰に隠れるBB団員が、マジックロッドで火を射ちまくる。
当然だが、彼等に対しては、機銃掃射やアサルトライフルによる射撃が浴びせられる。
さらに、雷撃魔法や氷結魔法なども、ロケットランチャー、エリックスの弾とともに放たれる。
「ぎゃああっ!!」
「ぐああっ!?」
「うっ!?」
「ぐお…………」
「グエエエエーー!!」
「ギャアアアアアア」
ゾンビ族のBB団員と白人BB団員たちは、ロケット弾により、トラックとともに爆炎に包まれる。
ワゴン車に隠れていた、黒アリ人間は、機銃掃射に射たれ、赤アリ人間は雷撃魔法で黒焦げになる。
こうして、車両部隊にも多数の死傷者が出ているが、さらにゾンビ集団も迫る。
奴等は、血の匂いを嗅いだらしく、かなり殺気だっており、恐ろしい咆哮を上げる。
「味方が、かなり不利な状況だっ! あ、また、ゾンビに混じって何か来やがるっ!」
「アレは…………オオトカゲだわ? しかも、紫色で白眼? もしかして、ゾンビ化しているっ!?」
新たな敵の登場に、ショーンとリズ達は、慌てながら、こっちに来ないでくれと願う。
「あんなの普通に生きていても、かなり脅威だぞっ! 近づく前に倒さねば成らないがっ!」
「その前に、機関銃手を倒す…………」
「あっ! 何か知らないが、かなり遠くから樽を投げてるねぇ? カタパルトだわっ!」
「にゃあっ! あの樽には、爆薬と煙幕が詰まっているにゃあっ! きっと、密かに準備していたんだにゃっ!」
トリップソードを振るう準備をしながら、ショーンは敵を待ち構える。
ワシントンは、狩猟弓を構えながら、ゾンビ化する毒矢を放つべく、窓を静かに狙う。
真後ろの道路を塞ぐように、二台も並んでいるトラックを、フリンカとミー達は目にした。
その荷台には、カタパルトが積まれており、そこから赤い樽が、放り投げられてくる。
「キラービー、カタパルトのおかげで、あまり機銃弾や魔法が、窓から飛んでこなくなったな」
「でも、まだまだ、ドローン部隊が残っているわっ! 連中、キラービや私達を狙っているわよ?」
ショーンとリズ達は、ワゴン車の正面から、戦況を確認しようと、少しだけ顔を出す。
「うらああああっ!」
「喰らえーー!!」
「ん? …………ダンプも来るっ! BB団の連中、あんな物まで隠していたのか?」
「アレが突破したら、社内に侵入するわよっ! みんな、突撃の準備してねっ!」
青く錆びた、ダンプが機銃掃射や集中砲火を受けながらも、駐車場を走り回る。
白人BB団員と黒人BB団員たちが、無茶な蛇行運転しているさまを、ショーンは見る。
リズも、マジックロッドから火炎魔法を乱発して、ゾンビ達に攻撃を加えながら走ろうとした。
そうして、マシンガンのように炎が乱れ射ちされ、周囲から近寄る動く死体を燃やす。
「うらああっ!? 挽肉にしてやらあーーーー!!」
「どついたれっ! やって、やるんじゃああ~~!?」
「グオオオッ!?」
「ギャアアアアーーーー!!」
白人BB団員と黒人BB団員の運転するダンプは、クラクションを派手に鳴らす。
そうして、ゾンビの大集団を気にせず、巨体を突撃させていく。
これにより、マッスラーは踏み潰されてしまい、ゾンビは弾き飛ばされ、派手に引き殺されていく。
フレッシャーは、ぐちゃぐちゃになり、オオトカゲは頭から、大きな車輪に圧迫されて死ぬ。
「ぶち破ったぞ、アイツら、やりやがったっ!?」
BB団員が、正面玄関を破壊すると、ショーンは機銃弾が降り注ぐ中を、走り回る。
いくては、ゾンビ達が、邪魔をするように立ち塞がるが、彼は連中を切り捨てる。
「先にいけっ! 俺は機関銃手や射撃部隊を排除するっ! 特に、機関銃手は、ゾンビ化させてやるっ!」
「俺も、小型爆弾や小樽爆弾を投げながら、走るぜっ!」
「グアアアアーー」
「ギュオオッ!!」
ワゴン車の後部から、ワシントンは密かに、狩猟弓を構えて、ビルに射撃を続ける。
スバスは、小型爆弾を爆発させて、破片や釘を撒き散らし、樽型爆弾は転がりながら爆炎を上げる。
爆風に巻き込まれた、フレッシャーは衝撃などに殺られて、倒れてしまう。
火炎に包まれた、ウォーリアーは力なく燃え尽きて、崩れてしまった。
しかし、それでも、ゾンビ化した、オオトカゲとエングラー達が、彼等を狙う。
「邪魔なゾンビは、私が切り刻みながら、走るからねぇっ!!」
「にゃあ、近寄るのは、私がドン突いてやるにゃあっ!!」
「グエエーーーー!」
「ウアーーーーーー!!」
フリンカが振るう、ポイズンソードは、オオトカゲを含むゾンビ達を、一刀両断していく。
彼女を追いかけながら、後ろから迫るエングラーやウォーリアー達を、ミーの風打棍が弾く。
「まだまだ、敵が来るぞっ! みんな、気をつけろっ! く、このままじゃ、正面まで辿りつけないっ!」
「わわっ! 機銃掃射も酷いわっ! まだ、二階や三階に敵が残ってるわっ! ドローンも相変わらず、厄介だわ」
「煙玉を投げるっ! これで、上の連中や、ゾンビ達は、こちらを見つけられないはずだっ!」
「オオトカゲのゾンビだけは、匂いを嗅いで、来るよっ!!」
走り出して、一直線に社内を目がしたが、ショーンは、ゾンビ達の猛攻を前に足を止めてしまう。
機銃掃射は、鳴り止まず、リズ達を狙って、ひたすら次々と弾丸を放ち続ける。
正面や左右に、スバスの投げた、煙玉から灰煙が立ち上ると、一時的に攻撃が止まる。
フリンカは、煙に紛れて、オオトカゲを含む様々なゾンビ集団が、周囲を徘徊するのを警戒した。
「ウギャアア~~~~!?」
「グルアア」
「ギャオオーー」
「不味い、何処からか、エングラーが叫び声を上げているっ!?」
「みんな、コイツの後ろに隠れろっ! 前方からの攻撃だけは防げるっ!」
エングラーが叫ぶと、ジャンピンガー達が高く飛び上がり、フレッシャー達も走り出す。
この危機的な状況に、ショーンは剣と盾を構えて、動く死者たちを迎え討たんとする。
だが、ワゴン車が走ってきて、正面に防護壁のように立ち塞がった。
もちろん、中から運転していた、ワシントンが出てきて、すぐさま狩猟弓を放つ。
「グエエーー!」
「危なかったぜ、ワシントン、助かった」
「ショーン、まだ気を抜くな」
ゾンビ化オオトカゲが、頭を正面から射貫かれると、ショーンは溜め息を吐く。
しかし、ワシントンは煙の中から次なる、ゾンビが出て来ないかと、警戒心を解かなかった。