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第97話 敵の火力とゾンビに…………


 ショーンとフリンカ達は、ワゴン車から、海トカゲ団と、ゾンビ軍団に目を向けた。



「ヤバい、連中、ゾンビを出してきたぞっ!」


「上からも、ドローンが来るわっ!」


 ゾンビ、フレッシャー、マッスラーなど、様々なゾンビ集団が警備会社の前を埋め尽くす。


 しかも、二階や三階の窓からは、ドローン部隊が魔法や機銃で、いきなり空襲してきた。



 ショーンとリズ達は、これが待ち受けていた罠かと思い、ひたすらワゴン車の陰に隠れる。


 そうこうしている間に、アリ人間の部隊も反撃するため、ある物を用意していた。



「キラービーを放てっ! 奴らを攻撃するんだっ!」


「よし、今開けるぞっ!」


「ファイヤー!!」


「撃ちまくれ、撃ちまくるんだっ!」


 白いトラックの後部から、赤アリ人間たちが、両ドアを開けて、赤ん坊ほどもある大きい蜂を放つ。


 緑アリ人間は、レッドアントから火炎放射を放ち、黒人BB団員はAK47を乱射する。



「養蜂用と警備用の蜂だっ! 殺人針に殺られろっ! チッ! ドローンが厄介だっ!」


「うわっ! 撃たれた…………空の奴に気をつけろ」


「ゾンビが来るぞ、近寄らせるなっ!」


「ウオオオオ」


 キラービー達は、窓から攻撃してくる海トカゲ団の射撃部隊に、毒針を射っていく。


 対するドローン部隊は、青アリ人間とアジア系BB団員を、空から機銃で狙う。



 しかも、BB団員が火炎瓶を投げるが、それが当たっても、マッスラーが燃えながら歩いてくる。


 辺りは、地獄絵図と化して、混乱する中、ゾンビ達が押し寄せてきた。



「ウガアアアア」


「ゲロロロロ」


「ついに来たぞっ! これ以上は、進ませるかっ!」


「とにかく、撃ちまくれっ!」


「機銃やアサルトライセンスにも、撃ち返せ」


「魔法を喰らえっ! 燃えろっ!」


 フレッシャー達が走って来ると、トラックの陰から、アリ人間は、クーゼで敵を切り裂きまくる。


 スピットゲローが強酸を吐くと、アラブ系のBB団員は、ワゴン車に身を隠して、マカロフを撃つ。



 ビルの窓に、黒アリ人間が、トラック後部から、バーニーキャロンを構えて、何発も弾丸を放つ。


 ピックアップの陰に隠れるBB団員が、マジックロッドで火を射ちまくる。



 当然だが、彼等に対しては、機銃掃射やアサルトライフルによる射撃が浴びせられる。


 さらに、雷撃魔法や氷結魔法なども、ロケットランチャー、エリックスの弾とともに放たれる。



「ぎゃああっ!!」


「ぐああっ!?」


「うっ!?」


「ぐお…………」


「グエエエエーー!!」


「ギャアアアアアア」


 ゾンビ族のBB団員と白人BB団員たちは、ロケット弾により、トラックとともに爆炎に包まれる。


 ワゴン車に隠れていた、黒アリ人間は、機銃掃射に射たれ、赤アリ人間は雷撃魔法で黒焦げになる。



 こうして、車両部隊にも多数の死傷者が出ているが、さらにゾンビ集団も迫る。


 奴等は、血の匂いを嗅いだらしく、かなり殺気だっており、恐ろしい咆哮を上げる。



「味方が、かなり不利な状況だっ! あ、また、ゾンビに混じって何か来やがるっ!」


「アレは…………オオトカゲだわ? しかも、紫色で白眼? もしかして、ゾンビ化しているっ!?」


 新たな敵の登場に、ショーンとリズ達は、慌てながら、こっちに来ないでくれと願う。



「あんなの普通に生きていても、かなり脅威だぞっ! 近づく前に倒さねば成らないがっ!」


「その前に、機関銃手を倒す…………」


「あっ! 何か知らないが、かなり遠くから樽を投げてるねぇ? カタパルトだわっ!」


「にゃあっ! あの樽には、爆薬と煙幕が詰まっているにゃあっ! きっと、密かに準備していたんだにゃっ!」


 トリップソードを振るう準備をしながら、ショーンは敵を待ち構える。


 ワシントンは、狩猟弓を構えながら、ゾンビ化する毒矢を放つべく、窓を静かに狙う。



 真後ろの道路を塞ぐように、二台も並んでいるトラックを、フリンカとミー達は目にした。


 その荷台には、カタパルトが積まれており、そこから赤い樽が、放り投げられてくる。



「キラービー、カタパルトのおかげで、あまり機銃弾や魔法が、窓から飛んでこなくなったな」


「でも、まだまだ、ドローン部隊が残っているわっ! 連中、キラービや私達を狙っているわよ?」


 ショーンとリズ達は、ワゴン車の正面から、戦況を確認しようと、少しだけ顔を出す。



「うらああああっ!」


「喰らえーー!!」


「ん? …………ダンプも来るっ! BB団の連中、あんな物まで隠していたのか?」


「アレが突破したら、社内に侵入するわよっ! みんな、突撃の準備してねっ!」


 青く錆びた、ダンプが機銃掃射や集中砲火を受けながらも、駐車場を走り回る。


 白人BB団員と黒人BB団員たちが、無茶な蛇行運転しているさまを、ショーンは見る。



 リズも、マジックロッドから火炎魔法を乱発して、ゾンビ達に攻撃を加えながら走ろうとした。


 そうして、マシンガンのように炎が乱れ射ちされ、周囲から近寄る動く死体を燃やす。



「うらああっ!? 挽肉にしてやらあーーーー!!」


「どついたれっ! やって、やるんじゃああ~~!?」


「グオオオッ!?」


「ギャアアアアーーーー!!」



 白人BB団員と黒人BB団員の運転するダンプは、クラクションを派手に鳴らす。


 そうして、ゾンビの大集団を気にせず、巨体を突撃させていく。



 これにより、マッスラーは踏み潰されてしまい、ゾンビは弾き飛ばされ、派手に引き殺されていく。


 フレッシャーは、ぐちゃぐちゃになり、オオトカゲは頭から、大きな車輪に圧迫されて死ぬ。



「ぶち破ったぞ、アイツら、やりやがったっ!?」


 BB団員が、正面玄関を破壊すると、ショーンは機銃弾が降り注ぐ中を、走り回る。


 いくては、ゾンビ達が、邪魔をするように立ち塞がるが、彼は連中を切り捨てる。



「先にいけっ! 俺は機関銃手や射撃部隊を排除するっ! 特に、機関銃手は、ゾンビ化させてやるっ!」


「俺も、小型爆弾や小樽爆弾を投げながら、走るぜっ!」


「グアアアアーー」


「ギュオオッ!!」


 ワゴン車の後部から、ワシントンは密かに、狩猟弓を構えて、ビルに射撃を続ける。


 スバスは、小型爆弾を爆発させて、破片や釘を撒き散らし、樽型爆弾は転がりながら爆炎を上げる。



 爆風に巻き込まれた、フレッシャーは衝撃などに殺られて、倒れてしまう。


 火炎に包まれた、ウォーリアーは力なく燃え尽きて、崩れてしまった。



 しかし、それでも、ゾンビ化した、オオトカゲとエングラー達が、彼等を狙う。



「邪魔なゾンビは、私が切り刻みながら、走るからねぇっ!!」


「にゃあ、近寄るのは、私がドン突いてやるにゃあっ!!」


「グエエーーーー!」


「ウアーーーーーー!!」


 フリンカが振るう、ポイズンソードは、オオトカゲを含むゾンビ達を、一刀両断していく。


 彼女を追いかけながら、後ろから迫るエングラーやウォーリアー達を、ミーの風打棍が弾く。



「まだまだ、敵が来るぞっ! みんな、気をつけろっ! く、このままじゃ、正面まで辿りつけないっ!」


「わわっ! 機銃掃射も酷いわっ! まだ、二階や三階に敵が残ってるわっ! ドローンも相変わらず、厄介だわ」


「煙玉を投げるっ! これで、上の連中や、ゾンビ達は、こちらを見つけられないはずだっ!」


「オオトカゲのゾンビだけは、匂いを嗅いで、来るよっ!!」


 走り出して、一直線に社内を目がしたが、ショーンは、ゾンビ達の猛攻を前に足を止めてしまう。


 機銃掃射は、鳴り止まず、リズ達を狙って、ひたすら次々と弾丸を放ち続ける。



 正面や左右に、スバスの投げた、煙玉から灰煙が立ち上ると、一時的に攻撃が止まる。


 フリンカは、煙に紛れて、オオトカゲを含む様々なゾンビ集団が、周囲を徘徊するのを警戒した。



「ウギャアア~~~~!?」


「グルアア」


「ギャオオーー」


「不味い、何処からか、エングラーが叫び声を上げているっ!?」


「みんな、コイツの後ろに隠れろっ! 前方からの攻撃だけは防げるっ!」


 エングラーが叫ぶと、ジャンピンガー達が高く飛び上がり、フレッシャー達も走り出す。


 この危機的な状況に、ショーンは剣と盾を構えて、動く死者たちを迎え討たんとする。



 だが、ワゴン車が走ってきて、正面に防護壁のように立ち塞がった。


 もちろん、中から運転していた、ワシントンが出てきて、すぐさま狩猟弓を放つ。



「グエエーー!」


「危なかったぜ、ワシントン、助かった」


「ショーン、まだ気を抜くな」


 ゾンビ化オオトカゲが、頭を正面から射貫かれると、ショーンは溜め息を吐く。


 しかし、ワシントンは煙の中から次なる、ゾンビが出て来ないかと、警戒心を解かなかった。






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