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第100話 決戦の場へと向かうか


 ショーン達に向かってくるゾンビの集団は、透明なバリアを越えてくるゴーレム達と衝突する。



「お前ら、後は監視室に入れっ! 戦闘は、ゴーレム達に任せるんだっ!」


「分かったわっ!」


「確かに、ここは戦いに巻き込まれる前に、逃げなきゃな」


 皆に指示を出しつつ、ショーンもドアの中に入ろうして、すばやく走っていく。


 リズは、一気に飛び込み、ワシントンも中に入り込んで、邪魔にならないように奥へと向かう。



「さあ、ショーンもっ!」


「はやく、くるにゃあ」


 フリンカとミー達も、室内に入ると、ドアの左右から、彼を手招きする。



「ああっ! 今、行くぜっ!」


 ショーンは、とにかく、ドアを目指しながら必死で走っていった。



「ブェックションッ!」


「うわわ、危ないっ! は、踏まれるっ!」


 しかし、短い距離にも関わらず、ショーンは床に伏せることを余儀なくされた。


 右側から、いきなり散弾銃のように、くしゃみが発射されたからだ。



 しかも、避けた先で、今度はゴーレムが迫ってきており、その歩行に踏まれそうになった。


 だが、体を転がしながらドアの側まで逃げた事により、それも運良く回避できた。



「今のは、ヤバかった」


 難を逃れた事で、ショーンは再びドアまで走り出し、ゴーレム達を避けながら進む。



「ショーン、早く中に入って」


「ああ、今行くっ!」


 手招きするリズに答えながら、ショーンは監視室に逃げ込むと、ドアを閉めた。



「上階は? 裏側が、シールドとシャッターで、封鎖されているな? どうやら、別の監視室があるようだ…………」


「監視室は、複数あるっ! 外部と三階まで用、四階から7階用、それより上の幹部用のだっ! 恐らく、もうBB団とアリ人間たちが戦っているだろう」


「私たちが隠れているのは、この辺りね? 今、各フロアの様子を映し出すわ」


「まだ、敵が優勢だにゃあっ! 警備用の装置やゴーレムがあるからだにゃ?」


 PCを動かし続け、スバスはビル全体の様子を、3D画像として、映し出す。


 ショーンは、それを見ながら説明して、激しい戦闘を予想しながら険しい顔つきになった。



 リズは、社内の内部構造を確認しながら、各地で行われている戦闘を目にする。


 ミーも、監視カメラの映像に移る、天井に設置された電球を兼ねた、レーザー水晶を眺める。



『レーザーに、ゴーレムだっ! アサルトライフルくらいじゃ破壊できないぞ』


『俺の魔法でも、アレは無理だっ! 撤退しろっ!』


『ウガアアアア』


『アリ人間のゾンビかっ! 体が半分くらい溶けているっ! 強酸に殺られたかっ!』


 天井の水晶によるレーザー射撃は、顔を赤布で巻いているBB団員を、テーブルから出させない。


 警杖から、風斬魔法を放って、黄アリ人間は、すぐさま事務机に顔を引っ込める。



 別な場所では、ゾンビと化した、黒アリ人間が、海トカゲ団員に他のゾンビ達とともに襲いかかる。


 HK416による一斉射撃で、連中は崩れるように倒れてしまった。



『このアリ野郎っ! あっ!』


『うっ! 死ね、海トカゲ団っ! うわっ!』


『グルルッ!』


『ギャアアアア』


 青アリ人間が、釘を溶接した鉄パイプを振るうと、海トカゲ団員は、サーベルで攻撃を受ける。


 しかし、両者の背後から、ゾンビとウォーリアー化したBB団員が、ロングナイフを振るう。



『うらああっ! 死ね、死ね』


『撃ちまくれっ!』


『ぐはあっ!』


『ぎゃっ!?』


 オモチャの拳銃から、紫ビームを連射する銀色アリ人間は、エネルギー切れになるまで射ちまくる。


 金髪ウッドエルフBB団員も、レミントン散弾銃のポンプを何度も引いて、敵を射殺しまくる。



 デザートエルフの海トカゲ団員は、ナイフを投げようとしたが、腹を射たれて、後ろに倒れる。


 ドライアドの海トカゲ団員も、リピーター・ボウを射とうとしたが、時すでに遅かった。



『行くぞ、まだ上に敵が残っているっ! うわっ! 来やがった』


『エレベーターは、使えないっ! 非常階段から行くぞ』


『ウガアア』


『ギュアーーーー』


 オモチャの拳銃に、左手から魔力を充填して、する銀色アリ人間は、すぐに廊下を走りだす。


 金髪ウッドエルフBB団員は、散弾銃ベネリM3に下から弾を込めながら、颯爽と去っていく。



 死体と化した、デザートエルフの海トカゲ団員に、OLゾンビが近づいていく。


 ドライアドの海トカゲ団員にも、ジャンピンガーが飛び掛かった。



『ガツガツ、ムシャムシャ? ウアア』


『ウガアアァァ?』


『バクバクバクバク…………グルオオ』


『アア、グオオ~~?』


 OLゾンビが立ち上がると、デザートエルフの海トカゲ団員も、ゾンビ化して起き上がる。


 ジャンピンガーが興味を失くすと、ドライアドの海トカゲ団員も、同じく廊下を歩いていく。



「地獄絵図だな、どうやら社内で、三つ巴の激闘が繰り広げられているようだっ! 何とか、味方を助けてやりたいが」


「ここに、隠された兵器があるようだわ? ルドマン商会本社の事務所にも、同じ装置があったわ」


「本当かい? なら、ソイツを動かして欲しいねぇ」


「これかっ! 豆戦車ロボットだっ! リズが魔力を注入するなら、その前に俺はハッキングして、プロトコルを書き換えないとな」


 スクリーンに映し出される画像や、会社全体の3D映像を見ながら、ショーンは険しい顔で呟く。


 リズは、社内を映した画像の中で、セキュリティ装置が設置された場所を発見する。



 それを見ながら、フリンカは長剣を手に取り、すぐに戦闘へと向かう準備をする。


 スバスは、隠された兵器を稼働させるため、タッチパネルの上で、指を動かし続ける。



『ブェックションッ!』


『スニージンガーだっ!』


『頭を狙えっ!』


「どうやら、監視カメラの映像から察するに、敵は社内の裏側に集結しているようだな? そこで、籠城戦を展開するらしい? あと、中央ホールが激戦区となっているようだ」


「もし敵が、そこで待ち構えているなら、俺が先に行くっ! BB団とアリ人間を案内する予定だったが、こんなに混乱するとわな…………」


 映像の中では、相変わらず、ゾンビ達と海トカゲ団による銃撃戦が続いている。


 くしゃみを受けて、クモ人間の海トカゲ団員は、ソファーに身を隠す。



 額に札を貼る、キョンシーの海トカゲ団員も、ステッキから火炎魔法を放つ。


 それを見ていた、ショーンとスバス達は、急いで、敵を殲滅するべく位置を特定する。



「激戦区か? 中央ホールは広い、俺が居た頃は、ラペリング訓練やボルダリング訓練に使われていたっ!」


「なら、今から行くか? 豆戦車ロボットは放ったぞ、これで、こちらは有利になるはずだっ! 敵はコイツも使う予定だったが、使う暇なく撤退したのか」


「それより、急ごうにゃあっ! 私達も戦列に加わるにゃあっ!」


「俺の射撃支援も、必要だろうしな…………敵の射撃部隊も、相当な数だし」


 元海トカゲ団員であるショーンは、訓練生だった頃の記憶を思いだす。


 スバスも、ハッキングを終えて、椅子から立ち上がり、懐から小樽型爆弾を取り出す。



 ミーは、ドアから廊下の様子を確認して、ゴーレム達が、歩く様を見た。


 スバスは背中に手を回し、矢筒から、一本の矢を取り出しながら呟く。



「ゴーレム達は、敵を探して、何処かに行ってしまったようだにゃ?」


「なら、連中に期待は出来ないな? せっかく、戦力化できると思ったんだが」


「連中なら、ホールに向かわせたが、あちらは激戦区だし、そっちには、ゾンビも行ってるからな」


「だとしたら、何体かは撃破されているだろうねぇ~~? まっ! 結局は、私達が活躍するしかないさっ!」


 ドアから飛び出た、ミーは散乱するゾンビの死体を見ながら、慎重に歩きだす。


 ショーンは、スニージンガーと呼ばれた特殊なゾンビの亡骸を見下ろしながら呟く。



 小樽型爆弾を右手に握りながら、スバスは廊下の奥を目刺しながら、進んでいく。


 フリンカは、ポイズンソードを正眼に構えながら、不適な笑みを浮かべる。



「取り敢えず、行くぞっ! ここを潰せば、この区域で、海トカゲ団は活動できなくなるからなっ!」


「いよいゃ、決戦ね…………」


 走り出して、廊下の奥へと向かっていく、ショーンに、リズは着いていった。

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