ショーン達は、ひたすら中央ホールを目指して、長い廊下を走っていき、十字路に達した。
「ウアアアア」
「グアア」
「ゾンビかっ! このっ!」
先頭を走るショーンの前に、ゾンビとウォーリアー達が、両脇から出てきて、立ちはだかる。
彼は、トリップソードを片手で振るい、ゾンビの首を勢いよく撥ね飛ばす。
「ウアア…………」
「グアアッ! ギャッ?」
「うんっ! 水晶玉が倒した?」
「こちらを攻撃しないように、細工したからなっ!」
「流石、ハッカーだわっ! この調子で進みましょう」
ゾンビを倒した、ショーンは次の標的として、ナイフを握るウォーリアーを狙った。
しかし、天井から下がる紫色の水晶玉から放たれた、レーザーが背後から奇襲をかけた。
今の射撃は、スバスによるハッキングにより、警備システムを乗っ取ったため行われた。
リズは、マジックロッドを抱えながら、呟きつつ中央ホールを目指して走っていく。
「もう少しだっ! ホールまで行ったら、俺が状況を確認するっ! もし、味方が不利なら正面突破するから援護してくれ」
「なら、私も付き合うよっ! 正面の敵なら任せなっ!」
「敵の注意を惹くんだろう? 援護と狙撃支援は任せろ」
「にゃあっ! 私達は側面から行くにゃっ! 投擲で、敵を倒すにゃっ!」
ショーンは、勇ましく叫びながら、中央ホールへと続く、長い廊下を爆走する。
フリンカも、ポイズンソードを真っ直ぐに構えながら、真剣な顔つきで、疾走していく。
狩猟弓を構えながら、ワシントンは力強く床を蹴って、前方を睨みながら呟く。
ミーは、風打棍を背中に背負い、敵との遭遇戦を想定して、指弾を準備しながら進む。
「グルオオーーーー!!」
「オオオオ」
「ギャアアアア」
「来やがったかっ! おらっ! 退け、中央ホールまで行かなきゃ成らないんだっ!」
廊下の両側にある開かれた、ドアからは、様々なゾンビが飛び出してきた。
ゾンビ化オオトカゲは、叫び声を上げながら、
頭に、赤いスポーツヘルメットを被る、白人BB団員のフレッシャーが走ってきた。
ウォーリアー化しているトロールの海トカゲ団員は、金砕棒を振り回しながら暴れまわる。
ショーンは慌てずに、その場に立ち止まり、トリップソードとバックラーを構えた。
「トロールは、射るからなっ!」
「グエッ!」
「フレッシャーくらい、簡単に斬り捨てられるんだよっ!」
「ギュアアッ!」
「助かった、なら俺は…………こうしてっと」
「ブグアア~~~~」
脳天を狙いワシントンは、一呼吸すると、狩猟弓から一発の矢を放ち、ウォーリアーを倒す。
フリンカも、一気に前へと飛び出ると、ポイズンソードで、フレッシャーを袈裟斬りにする。
ショーンは、不安を一瞬だけ感じたが、仲間たちの援護に勇気づけられた。
彼は、向かってくるゾンビ化オオトカゲに対して、ある物を両手で掴み、放り投げた。
「ゴガアアアアッ!! グエエーー!?」
「そらよっ! みんなで力を合わせれば、どんな困難も乗り越えられると言う訳だな」
ウォーリアーの死体を口に加えながら、頭を左右に振り回して、ゾンビ化オオトカゲは暴れる。
しかし、その隙を突いて、ショーンは奴に近づいて、頭頂部にトリップソードを刺し込んだ。
「これで、邪魔物は居なくなったな? また、走るぞっ!」
「次に、動きが遅い奴が来たら、私が焼き払うわ」
「にゃあっ! 私だって、敵が飛び出てきたら、コイツを突き刺してやるにゃあっ!」
「どうやら、その敵が来たらしいなっ! 銃声がする? 果たして、敵か味方か? 爆弾は近すぎて使えんな」
奥に見えた両ドアの前に向かわんと、走る速度を、ショーンは上げ続ける。
その背後で、リズは両手に、マジックロッドを抱えながら走り、前方を睨む。
ミーは、懐から三本の釘を取り出して、右手に握りしめながら進む。
スバスも、前から何者かが、廊下の左右両方にあるドアに近づく足音を聞いた。
「止まれっ! 撃ち殺すぞっ!」
「武器を捨てろっ!」
「死ぬのは、そっちにゃっ!」
「この距離なら銃より、剣の方が速いんだっ!」
グレートヘルムを被り、防弾ベストを着ている海トカゲ団員は、HK416を向けてきた。
金髪赤目女性の海トカゲ団員は、タワーシールドと、マシンピストルMP7を向けてきた。
連中は、左右の鋼鉄ドアを楯にしながら、こちらを威嚇する。
ミーは、釘を瞬時に投擲しながら、相手の懐に思いっきり飛び込む。
トリップソードを真っ直ぐ構えながら、ショーンは、臆する事なく突撃していく。
「ぎゃああああっ!! ぐふっ!?」
「ぐわあっ! がは…………」
「首は好きだらけにゃっ!」
「重い武器と防具が、
グレートヘルムの海トカゲ団員は、ミーによる釘投げを喉に喰らってしまった。
また、懐に飛び込んだ彼女により、下から顎に、アッパーを叩き込まれた。
金髪赤目女性の海トカゲ団員は、銃撃する前に、トリップソードで、タワーシールドを叩かれた。
そうして、体勢を崩した所を狙われて、ショーンにより、二度目の斬撃を胸に喰らわされた。
「まだ、生き残りが居たのか? しかし、後はドアを開けるだけだ、この先は静かだが、敵が潜んでいると考えていいだろう」
「なら、俺は左側から開けるぞっ! ショーン、準備はいいな? 入ったら、即座に矢を放つからな」
ショーンとワシントン達は、両ドアに辿り着くと、左右に張り付いて、開ける準備をする。
「後ろから、火炎魔法で援護するわ」
「弾丸や魔法は、私の剣で弾くよ」
「私も飛び込んだら、指弾を放つにゃっ!」
「爆弾は無理だな、ここはウニ鉄球を振り回すか?」
リズとフリンカ達は、右側に待機して、いつでも突入できるように腰を低く構えた。
ミーとスバス達は、左側で武器を持ちながら、敵との戦闘に備えて、呼吸を整える。
仲間たちも、それぞれの役割を確認し、緊張感が高まる中、ついに両ドアが開けられた。
そこには、重たく冷たい空気があるだけで、とにかく不気味な静けさが漂っていた。
「はあ、ここは増設された両ドアだったらしいな? 俺が居た時はなかった…………同じのが向こうに見えるから、たぶん、アレが出口だ」
「なんだよ、勘弁してくれ? しかし、敵が潜んでいる可能性は捨てきれないな」
ショーンとスバス達が、両ドアを蹴破り、中に入ると、薄暗い廊下が続いていた。
そこには、古い絵画や壊れた家具が散乱しており、まるで時間が止まったかのようだった。
「済まん、余計な緊張をさせて…………俺の勘違いだったわ」
「いや、そうでも無いにゃあ、あのドアの向こうから、戦闘音が聞こえるにゃ」
ショーンは気まずそうに謝るが、ミーは猫耳をピクピクと動かして、微かな物音を感じ取った。
「そうか、じゃあ、やはり決戦の時か」
ショーンは、仲間たちと目を合わせて、向こうに行くと、互いに頑張ろうと心に誓った。
彼等の向かう先には、どんな試練が待ち受けているか、誰も分からなかった。
だが、仲間たちは全員一緒に進むことで、内部で暴れてやろうと決意している。
こうして、六人は再び緊張しながらも、両ドアへと向かっていくのだった。
「行くぜっ! おらあっ!?」
「敵は射ち殺すっ!? は?」
ショーンとワシントン達は、両ドアを開けると、中に転がり込み、急いで周りを確認した。
「狙撃兵に注意しろっ! 敵の増援部隊が来ているっ!」
「こっちは負傷者を運ぶっ!」
「右側には行くなっ! 敵が押して来ているし、ゾンビも向かって来るからな」
「私たちも、援軍に向かわないとっ!」
赤アリ人間が、丸テーブルを転がしながら、廊下を歩いていく。
青アリ人間は、黄アリ人間を抱えながら、左側の部屋に入っていく。
銀髪エルフのBB団員は、箒を構えながら、右側を警戒している。
ピンクアフロの黒人女性BB団員は、AK47を背中に背負いながら、前方に走る。
「どうやら、ヤバイ状況だな」
「ええ、でも行くわよっ!」
ショーンとリズ達は、走りだし、廊下の先にある中央ホールへと向かった。