目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第101話 中央ホールを目指して


 ショーン達は、ひたすら中央ホールを目指して、長い廊下を走っていき、十字路に達した。



「ウアアアア」


「グアア」


「ゾンビかっ! このっ!」


 先頭を走るショーンの前に、ゾンビとウォーリアー達が、両脇から出てきて、立ちはだかる。


 彼は、トリップソードを片手で振るい、ゾンビの首を勢いよく撥ね飛ばす。



「ウアア…………」


「グアアッ! ギャッ?」


「うんっ! 水晶玉が倒した?」


「こちらを攻撃しないように、細工したからなっ!」


「流石、ハッカーだわっ! この調子で進みましょう」


 ゾンビを倒した、ショーンは次の標的として、ナイフを握るウォーリアーを狙った。


 しかし、天井から下がる紫色の水晶玉から放たれた、レーザーが背後から奇襲をかけた。



 今の射撃は、スバスによるハッキングにより、警備システムを乗っ取ったため行われた。


 リズは、マジックロッドを抱えながら、呟きつつ中央ホールを目指して走っていく。



「もう少しだっ! ホールまで行ったら、俺が状況を確認するっ! もし、味方が不利なら正面突破するから援護してくれ」


「なら、私も付き合うよっ! 正面の敵なら任せなっ!」


「敵の注意を惹くんだろう? 援護と狙撃支援は任せろ」


「にゃあっ! 私達は側面から行くにゃっ! 投擲で、敵を倒すにゃっ!」


 ショーンは、勇ましく叫びながら、中央ホールへと続く、長い廊下を爆走する。


 フリンカも、ポイズンソードを真っ直ぐに構えながら、真剣な顔つきで、疾走していく。



 狩猟弓を構えながら、ワシントンは力強く床を蹴って、前方を睨みながら呟く。


 ミーは、風打棍を背中に背負い、敵との遭遇戦を想定して、指弾を準備しながら進む。



「グルオオーーーー!!」


「オオオオ」


「ギャアアアア」


「来やがったかっ! おらっ! 退け、中央ホールまで行かなきゃ成らないんだっ!」


 廊下の両側にある開かれた、ドアからは、様々なゾンビが飛び出してきた。


 ゾンビ化オオトカゲは、叫び声を上げながら、大顎オオアゴが開くきつつ、猛烈な勢いで突進してくる。


 頭に、赤いスポーツヘルメットを被る、白人BB団員のフレッシャーが走ってきた。



 ウォーリアー化しているトロールの海トカゲ団員は、金砕棒を振り回しながら暴れまわる。


 ショーンは慌てずに、その場に立ち止まり、トリップソードとバックラーを構えた。



「トロールは、射るからなっ!」


「グエッ!」


「フレッシャーくらい、簡単に斬り捨てられるんだよっ!」


「ギュアアッ!」


「助かった、なら俺は…………こうしてっと」


「ブグアア~~~~」


 脳天を狙いワシントンは、一呼吸すると、狩猟弓から一発の矢を放ち、ウォーリアーを倒す。


 フリンカも、一気に前へと飛び出ると、ポイズンソードで、フレッシャーを袈裟斬りにする。



 ショーンは、不安を一瞬だけ感じたが、仲間たちの援護に勇気づけられた。


 彼は、向かってくるゾンビ化オオトカゲに対して、ある物を両手で掴み、放り投げた。



「ゴガアアアアッ!! グエエーー!?」


「そらよっ! みんなで力を合わせれば、どんな困難も乗り越えられると言う訳だな」


 ウォーリアーの死体を口に加えながら、頭を左右に振り回して、ゾンビ化オオトカゲは暴れる。


 しかし、その隙を突いて、ショーンは奴に近づいて、頭頂部にトリップソードを刺し込んだ。



「これで、邪魔物は居なくなったな? また、走るぞっ!」


「次に、動きが遅い奴が来たら、私が焼き払うわ」


「にゃあっ! 私だって、敵が飛び出てきたら、コイツを突き刺してやるにゃあっ!」


「どうやら、その敵が来たらしいなっ! 銃声がする? 果たして、敵か味方か? 爆弾は近すぎて使えんな」


 奥に見えた両ドアの前に向かわんと、走る速度を、ショーンは上げ続ける。


 その背後で、リズは両手に、マジックロッドを抱えながら走り、前方を睨む。



 ミーは、懐から三本の釘を取り出して、右手に握りしめながら進む。


 スバスも、前から何者かが、廊下の左右両方にあるドアに近づく足音を聞いた。



「止まれっ! 撃ち殺すぞっ!」


「武器を捨てろっ!」


「死ぬのは、そっちにゃっ!」


「この距離なら銃より、剣の方が速いんだっ!」


 グレートヘルムを被り、防弾ベストを着ている海トカゲ団員は、HK416を向けてきた。


 金髪赤目女性の海トカゲ団員は、タワーシールドと、マシンピストルMP7を向けてきた。



 連中は、左右の鋼鉄ドアを楯にしながら、こちらを威嚇する。



 ミーは、釘を瞬時に投擲しながら、相手の懐に思いっきり飛び込む。


 トリップソードを真っ直ぐ構えながら、ショーンは、臆する事なく突撃していく。



「ぎゃああああっ!! ぐふっ!?」


「ぐわあっ! がは…………」


「首は好きだらけにゃっ!」


「重い武器と防具が、アダになったな」


 グレートヘルムの海トカゲ団員は、ミーによる釘投げを喉に喰らってしまった。


 また、懐に飛び込んだ彼女により、下から顎に、アッパーを叩き込まれた。



 金髪赤目女性の海トカゲ団員は、銃撃する前に、トリップソードで、タワーシールドを叩かれた。


 そうして、体勢を崩した所を狙われて、ショーンにより、二度目の斬撃を胸に喰らわされた。



「まだ、生き残りが居たのか? しかし、後はドアを開けるだけだ、この先は静かだが、敵が潜んでいると考えていいだろう」


「なら、俺は左側から開けるぞっ! ショーン、準備はいいな? 入ったら、即座に矢を放つからな」


 ショーンとワシントン達は、両ドアに辿り着くと、左右に張り付いて、開ける準備をする。



「後ろから、火炎魔法で援護するわ」


「弾丸や魔法は、私の剣で弾くよ」


「私も飛び込んだら、指弾を放つにゃっ!」


「爆弾は無理だな、ここはウニ鉄球を振り回すか?」


 リズとフリンカ達は、右側に待機して、いつでも突入できるように腰を低く構えた。


 ミーとスバス達は、左側で武器を持ちながら、敵との戦闘に備えて、呼吸を整える。



 仲間たちも、それぞれの役割を確認し、緊張感が高まる中、ついに両ドアが開けられた。


 そこには、重たく冷たい空気があるだけで、とにかく不気味な静けさが漂っていた。



「はあ、ここは増設された両ドアだったらしいな? 俺が居た時はなかった…………同じのが向こうに見えるから、たぶん、アレが出口だ」


「なんだよ、勘弁してくれ? しかし、敵が潜んでいる可能性は捨てきれないな」


 ショーンとスバス達が、両ドアを蹴破り、中に入ると、薄暗い廊下が続いていた。


 そこには、古い絵画や壊れた家具が散乱しており、まるで時間が止まったかのようだった。



「済まん、余計な緊張をさせて…………俺の勘違いだったわ」


「いや、そうでも無いにゃあ、あのドアの向こうから、戦闘音が聞こえるにゃ」


 ショーンは気まずそうに謝るが、ミーは猫耳をピクピクと動かして、微かな物音を感じ取った。



「そうか、じゃあ、やはり決戦の時か」


 ショーンは、仲間たちと目を合わせて、向こうに行くと、互いに頑張ろうと心に誓った。


 彼等の向かう先には、どんな試練が待ち受けているか、誰も分からなかった。



 だが、仲間たちは全員一緒に進むことで、内部で暴れてやろうと決意している。


 こうして、六人は再び緊張しながらも、両ドアへと向かっていくのだった。



「行くぜっ! おらあっ!?」


「敵は射ち殺すっ!? は?」


 ショーンとワシントン達は、両ドアを開けると、中に転がり込み、急いで周りを確認した。



「狙撃兵に注意しろっ! 敵の増援部隊が来ているっ!」


「こっちは負傷者を運ぶっ!」


「右側には行くなっ! 敵が押して来ているし、ゾンビも向かって来るからな」


「私たちも、援軍に向かわないとっ!」


 赤アリ人間が、丸テーブルを転がしながら、廊下を歩いていく。


 青アリ人間は、黄アリ人間を抱えながら、左側の部屋に入っていく。



 銀髪エルフのBB団員は、箒を構えながら、右側を警戒している。


 ピンクアフロの黒人女性BB団員は、AK47を背中に背負いながら、前方に走る。



「どうやら、ヤバイ状況だな」


「ええ、でも行くわよっ!」


 ショーンとリズ達は、走りだし、廊下の先にある中央ホールへと向かった。




この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?