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第103話 アリ人間とゾンビに挟まれて


 ショーンとミー達は、BB団を助けるべく、中央ホールを突破してきた、ゾンビ達に向かっていく。



「ゾンビが見えたな? ファットゲローか?」


「アレは、スカルビーマーだにゃっ!」


「ウオオオオ~~」


「グアアアアアアアア」


 ショーンは、大勢のゾンビ達に混じっている、背が高いファットゲローを見つける。


 ミーも、紫色に光る特殊感染者であるスカルビーマーが、口を開く姿を見る。



「うおおっ! 撃ちまくるんだよっ!」


「弾が切れるまで、撃つぜぇ~~!」


「グギャギャッ!?」


「ガア~~~~~~!?」


 赤髪ショートヘアの女性エルフBB団員は、廊下に向けて、M2ブローニングから火を吹かせた。


 顔に赤いマフラーを巻いている、トロールのBB団員は、ガトリングガンを左右に連射する



 これだけで、かなりのゾンビ達が穴だらけになって、手足が吹き飛び、次々と死んでいった。


 だが、これは第一陣であり、奥から第二陣が直ぐに向かってくる。



「ウオオ~~~~」


 薄暗い廊下の先からは、かすかな呻き声が、こちらまで響いている。



「弾が切れた、クソッ! 鉄パイプ槍を振るうしかないわっ!」


「こっちは、消化斧を振るうぜっ!」


「助けに来たぜっ! 俺達も、援護するぞっ!」


「にゃあっ! 雑魚なら、釘や指弾で倒せるにゃっ!」


 廊下の左右からは、無数のゾンビ達が、ウジャウジャと蠢きながら現れた。


 ひしめき合い、我先にと走るフレッシャーとジャンパー、ウォーリアー達。



 そんな連中を前にして、赤髪ショートヘアの女性エルフBB団員は、両手で鉄パイプ槍を構える。


 顔に赤いマフラーを巻いている、トロールのBB団員は、消化斧を片手で握った。



 そこに現れたばかりのショーンは、トリップソードを握りしめ、ミーに目を向けた。


 彼女も、懐から釘を取り出し、投擲範囲に敵が入るまでは、じっと待ち構えた。



「ウォーーーー!」


「グオオオ~~!」


「行くぞ、みんなっ! 敵を食い止めるために、ここを突破させるワケにはいかない!」


「そうだにゃっ! にゃっ! 喰らえ、喰らえっ! 頭を狙えばっ!」


「お前ら、ここは俺たちに任せろっ! さっき、手榴弾を見つけたしなっ! 子樽型に比べれば、爆発範囲は狭いが、威力は高いぜ」


「グアアーーーー!?」


「ガエエ~~~~!!」


「白兵戦なら、私が相手になってやるよっ? ポイズンソードで、一刀両断さっ!」


「グエッ!」


「ギャアアーー! グギャアア…………」


 向かってくるゾンビ達の中から、ジャンパーが来ると、ショーンはトリップソードを振るう。


 一撃目は避けられるが、二撃目は脇腹を切り裂いて、違法薬物を浸透させる。



 ミーは頷き、心臓が高鳴るのを感じて、彼とともに戦うべく、右隣に並びながら釘を投げる。


 それは、群れの中から飛び出てくる、フレッシャー&ジャンピンガー等に当たり、額を赤く染める。



 周囲を見渡して、スバスは手榴弾のピンを抜くと、転がすように下から投げた。


 その後、間も無く爆風が舞い上がり、動く死者たちを纏めて、吹き飛ばす。



 フリンカは、ポイズンソードで、ウォーリアーが走ってくると、簡単に切り捨てた。


 次に、飛び出てきたばかりのエングラーが叫ぶ前に金髪ロングヘアーを掴んで、敵側に放り投げた。



「グオオオオッ!!」


「ガアアアアーー」


「頭を狙えば殺れるっ!」


「ぶった切るぜええ」


 赤髪ショートヘアの女性エルフBB団員は、両手で鉄パイプ槍で、マッスラーを突き刺す。


 顔に赤いマフラーを巻いている、トロールのBB団員は、消化斧で頭からジャンパーを叩き割る。



 ゾンビ達が、こちらを睨むが、目は虚ろで、まるで何も感じていないかのようだった。


 しかし、連中の大半は動きが鈍く、彼らの間をすり抜けてくる特殊感染者だけが脅威だった。



「グルエエエエ? グルエ~~?」


「ガアアアッ! アア、ア?」


「グルル、グギイッ!?」


「来たなっ! なら、コイツを喰らえっ!」


 ショーンは、フラフラと歩く、ジャンパーを見ながら、後ろから走ってくる他のゾンビ達を睨む。


 彼は、トリップソードで、敵を混乱させれば、勝てるチャンスがあるはずだと信じていた。



 さらに、フレッシャーの腹を斬った後、スピットゲローが吐いた強酸を、バックラーで防御する。


 そして、次は口を開く前に、奴の胸を袈裟斬りにして、直ぐにバックステップで距離を取った。



「グアア、じじじじ、自爆するぞ、ゾゾッ!?」


「自爆野郎が、来たにゃあっ!」


 廊下の奥から新たに走ってくる群れだが、そこには自爆ゾンビこと、ボンバーが存在した。


 ミーは、奴を自分たちへと、近づく前に起爆させようと、指弾でナットを飛ばしまくる。



「お、お前ら、ジジ自爆に巻き込みミミミミ?」


「不味い…………あっ! 右から味方が来るわっ!」


「銃を持っているぞ」


「援護するっ! これで、何体かは倒せる」


「なんだ、この数はっ!」


 まだ少しだけ、知性と自我が残っているボンバーは、訳も分からず、ただ自爆しようと走ってくる。


 赤髪ショートヘアの女性エルフBB団員は、鉄パイプ槍を構えながら、援軍に気がついて叫ぶ。


 顔に赤いマフラーを巻いている、トロールのBB団員は、消化斧を右肩に担いで、味方を見て喜ぶ。



 右側から走ってきた、赤帽子のキョンシーBB団員は、曲がり角からAK47を撃ちまくる。


 赤肌オーガー族のBB団員は、二連散弾銃コーチガンから、弾丸を無数発射した。



「グアッ! バクハツする、ルルルルッ! ドッカーーンッ!」


「グギャアッ!?」


「ギギャアッ!!」


「死んだかっ! もう、こっちは任せて、大丈夫そうだな?」


 ボンバーの体を弾丸が貫くと、奴は膨れ上がりながら大爆発を起こした。


 こうして、周りを走るゾンビ達も、爆炎に巻き込まれながら、肉片と化した。



 ショーンは、素早く反応して、バックラーを構えて、トリップソードを振り下ろした。


 彼が廊下を見ると、奥は血塗れになり、鼻を突くほどの腐臭が立ち込めていた。



「撃ち殺せっ! こっちに近寄らせるなっ!」


「ギャアアアアーーーー!! グギイ…………」


「ウオオオオ~~」


「他の場所からも、来たぞっ!」


 頭に、赤バンダナを巻いている、ワーウルフBB団員は、機関拳銃イングラムを連射しまくる。


 それは、絶叫するエングラーの体中に命中して、鈍い音を立てて倒れ込む。



 マッスラーが右肩を前に出しながら、タックルを繰り出しつつ、突撃してくる。


 オークのBB団員は、風刃魔法により、空気砲を背中に背負った掃除機から放ち、応戦する。



 しかし、いつの間にか中央ホールは、一階だけでなく上階まで、ゾンビ達が溢れかえっていた。


 連中は、アチコチから現れては、金銀財宝の山を中心に走り回って、叫び声や唸り声を上げる。



「今度は、後ろから来たかっ! お前ら、廊下はBB団の連中に任せて、俺たちは再び中央ホールに戻るぞっ!」


「ウアア~~」


「厄介だにゃっ! 退くんだにゃあーー! 次は、こっちから来るのかにゃっ! にゃ、にゃ、にゃあっ!」


「当たったわっ! あっ! みんな、離れてっ! 上から、クジラの模型が落ちてくるわよ」


「不味い、あっちの連中が、下敷きになるぞっ!」


 中央ホールに侵入してきた群れは、津波のように押し寄せてくる。


 ショーンは、連中を殲滅せんと、剣と盾を構えて、敵の方へと走っていった。


 ミーは、隙を突いた攻撃に気がつき、後ろから迫るゾンビを回りし蹴りで、黄金の山に飛ばした。



 そんな中、海トカゲ団の狙撃兵部隊や機関銃手と戦っていた、リズが叫んだ。


 ついに、彼女が放っていた大火球が、天井に備えられた吊り下げ装置を破壊したのだ。


 紫色のレーザー糸が消え失せ、支えを失った骨を見て、スバスは叫んだ。



「うわああ~~~~!? 逃げろーーーー!!」


「こ、後退だ、ひええええっ!?」


「グルアア~~?」


「ガオオオオオオ~~~~!!」


 ブラックアントに跨がる、緑色のアリ人間は、急いで、落下地点から離れていく。


 床に、巨大な黒い影が大きくなる度に、青アリ人間は、包丁を握りしめ、焦りながら逃げていく。



 マッスラーは、逃げるアリ人間たちを、不思議そうに思い、ドシドシと足音を鳴らして追いかける。


 フレッシャーは、勢いよく走り、獲物を追撃せんと、近くの海トカゲ団側へと向かっていく。



 その後、クジラ模型は、落下と同時に轟音を立てて、バラバラに飛び散った。

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