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第104話 アリ人間&BB団、海トカゲ団


 クジラの模型が落下すると、衝撃で骨が飛び散り、ゾンビ達が何体か犠牲になった。



「うわ、焦ったぜっ! あんなのの下敷きになったら確実に死んでたな」


「気をつけてっ! ショーン、まだまだ、ドラゴンの化石から狙撃兵が攻撃してくるからっ!」


 ショーンが唖然と立ち尽くしていると、リズは火炎魔法を連発しまくる。


 ドラゴン化石模型や上階からは、未だに海トカゲ団側による機銃掃射や狙撃が行われるからだ。



「く、このまま、ここに居ても的になるだけだっ! 前進するぞっ! 着いてこいっ!」


「分かったわっ! 援護は任せてっ!」


「私は、ここで敵を押さえているわっ! マッスラーやファットゲローが見えるからね…………」


「俺も、爆弾でゾンビ達を排除するぞっ! だから、先に行っててくれ」


 ショーンは、機銃手や狙撃兵による機銃掃射と狙撃を避けるべく、黄金の小山へと走っていく。


 リズは、ドラゴン化石や垂れ幕の裏から、ヘカートやクロスボウ等で攻撃してくる敵を狙う。



 彼女は、自分たちだけでなく、BB団やアリ人たちを支援しようと、大火球を何度も放つ。


 その間に、集まってくるゾンビ達を、フリンカは斬り捨て、スバスは爆弾を転がして吹き飛ばす。



「分かったっ! フリンカ、スバス、BB団の援護を頼むぞ」


「私たちは、裏側に続く中央廊下を目指すわよっ!」


「にゃあ、あそこを制圧すれば、敵を押し返せるにゃあっ!」


「お前ら、援護するっ! 今、味方が前線を上げる気だからな、俺も来たぞ」


 ショーンは、黄金の小山や木箱を避けながら、走り回り、やがて青いドラム缶に身を隠す。


 リズも、彼に着いていき、同じ場所から敵が集う廊下の入口を険しい顔で眺める。



 そこは、ドラム缶が並べてあり、その裏には、プラスチック製ケースが山積みされていた。


 また、何人かの海トカゲ団員が、雷撃魔法や自動小銃を撃つ姿が見える。



 ミーも、スライディングしながら、やってくると、風打棍を杖代わりにして、二人の側に隠れる。


 その左側にある段ボール箱が詰まれた山に、ワシントンが走ってくると、矢を一度だけ放つ。



「ワシントン、分かったっ! 急ぐか、早くしないと、ゾンビに殺られちまうからなっ!」


「ぐおお~~!?」


「ガギャアーー!」


「きゃあっ! いやあっ!」


「グルルッ!」


 ショーンが叫びながら、走っていくと、周りでは味方と敵が戦っている様子が見えた。


 クジラ模型の残骸を中心に、アリ人間とゾンビ達が入り乱れて、激しい攻防が続いている。



 黄アリ人間は、フレッシャーを三段警棒で押さえ、何とかしようと踏ん張る。



 ドラゴン模型に乗っていた、白人女性の海トカゲ団員は、短弓を構えていた。


 だが、背後から、ジャンピンガーに襲われてしまい、左腕を噛まれながら床に落とされる。



「不味いぜ、ゾンビが襲ってくるっ!」


「ギャアアアア、ギャッ!」


「うわっ! 殺られ…………」


「このっ! 味方側まで、逃げなきゃっ!」


「グルア~~!?」


 ショーンの突撃する先でも、敵味方が入り乱れる混戦が続いている。


 フレッシャーに顔を殴られた、黒アリ人間は、電磁警棒を床に落としてしまう。



 ダガーを振るう、インキュバスの海トカゲ団員は、踵を返すと味方陣地に走っていく。


 それを、ジャンパーは凄まじい速度で、ピョンピョンと飛びはねながら追いかける。



「あそこまで、逃げるぞっ! あの木箱の山だっ!」


「ええ、次は向こうね? 行くわよっ!」


 遮蔽物を指差しながら、ショーンは群がるゾンビ達を避けながら走る。


 彼は目立たないように、混乱する中央ホールを駆けていき、素早く木箱に身を隠す。



 リズ達も同じく、一直線に移動していき、そこから海トカゲ団側の様子を探る。


 連中は、奥から援軍が来ているらしく、攻撃が劣ろえる気配はない。



「警備装置を作動させるわっ! 敵の勢いを止めるわよっ!」


「なら、早くしろっ! このままだと、我々は後退しなくては成らなくなる」


 廊下の奥で、右側にある装置に、青服を着ている女性魔法使いらしき、海トカゲ団員が手で触れる。


 すると、ドラゴン化石が紫色のオーラを発して、空を飛び回り始めた。



 青いフリッツ・ヘルメットを被る、スケルトンの海トカゲ団員は、HK416を撃ちながら怒鳴る。


 奴を含め、廊下を塞ぐバリケード代わりに並べられた、ドラム缶から行われる射撃は途切れない。



「あそこを突破するには、爆弾が無いと…………誰か、何かいい手はないか?」


「なら、俺の爆裂矢を使うか? 火を着けなくても、リズの火炎魔法なら撃った後に着火できるっ! 大した威力は無いが、バリケードの連中を撹乱できるはずだ」


「なら、私も大火炎魔法を放つわっ! ワシントン、やってちょうだいっ!」


「にゃあっ! 近づいてくるゾンビは、私が引き受けるにゃあっ!」


「グエッ!」


「ギャアッ!」


 敵を密かに観察しながら、ショーンは方策を練りつつ、すぐにゾンビ達を見るために振り替える。


 左側から、ワシントンは、何度も小箱をガムテープで巻き付けた、爆裂アローを射ちまくる。



 それが、一発ずつドラム缶に突き刺さると、リズが扇状の全体火炎魔法を放った。


 彼女が、目立ってしまっため、ミーは近づいてくる、ゾンビ達の額に釘を投げつけまくる。



「何だ? 弓矢か?」


「うわっ! 火炎魔法がっ!」


「ぎゃああ~~!?」


「きゃああああっ!」


 ドラム缶に刺さっている、弓矢を気にする、黄色いリザードマンの海トカゲ団員。


 それと、自分たちに向かってくる火炎魔法を見て、赤アリ人間の海トカゲ団員は思わず叫んだ。



 その後、すぐに火炎と火薬が合わさり、爆発を起こして、遮蔽物を吹き飛ばした。


 それに、何人かの海トカゲ団員が、巻きこまれてしまい、彼等は負傷してしまう。



「グルア~~~~」


「グオオ」


「未だっ! 連中を追撃してやるぞっ! うわあっ! お前ら、ゾンビと上に気を付けろっ!」


「ギャアアッ!? ギュアーーーー!」


「きゃあっ! スカルゴンが来るわっ! 早く逃げないとっ!」


 派手な爆発音を聞き付けて、ゾンビ達が群がり、ショーン達の行くてに立ちはだかる。


 さらに、上空からドラゴンの化石模型が飛来して、ジャンパーを脚で鷲掴みにする。



 リズは、上に向かって、マジックロッドから火玉を連射しまくる。


 そうして、対空射撃をしている内に、他の仲間たちも奥に向かっていく。



「みんな、早くしろっ! でないと、ゾンビ達が向かってくる」


「グルア~~」


「ギャアアッ!?」


 ショーン達は、迫るゾンビの群れを掻い潜りながら、中央ホールから裏面に続く、廊下へと進む。



「あっ! 上から来るわっ!」


「不味いにゃっ!」


「アレは、俺の弓でも…………いや?」


「邪魔だっ! 撃ち落とせっ!」


「死にやがれっ!」


 リズとミー達は、上空から滑空してくるスカルゴンを見ると固まってしまった。


 咄嗟に、狩猟弓を構えるワシントンも、矢が弾かれる事を悟り、額から汗を垂らした。



 しかし、そこに豆戦車が現れて、二連装の銃塔を斜め上に向けて、対空射撃を始めた。


 それに乗っている、黒アリ人間が、バーニーキャロンを撃ち、茶アリ人間はマグナムを発砲する。



「行ったな? 流石に、ライフル射撃には耐えられなかったか? うわ、今度は敵が体制を立て直したぞっ! 仕方ない、左右に別れて、壁を目指そうっ!」


「タワーシールド、バンカーシールドを持ってこいっ!」


「防弾装備部隊も到着したぞっ!」


「私は、ショーンと行くわっ! ゾンビ達を露払いするからっ!」


「分かったっ! こっちは左側から、ミーとともに行く」


「任せるにゃっ! 近づく、ゾンビは私が相手するにゃあっ!」


 ショーンは、スカルゴンが飛びさっていくのを見ると、すぐに走り出す。


 彼は、ゾンビの襲撃や海トカゲ団が体制を立て直す前に、廊下に向かうが時既に遅かった。



 青いミイラの海トカゲ団員は、ひたすらHK416を撃ちながら叫ぶ。


 青いベレー帽を被る黒人の海トカゲ団員も、警杖から氷結魔法を連射しまくる。



 リズは、炎のカーテンを作りながら、自分たちが敵から見えないようにしつつ、走ってゆく。


 ワシントンは、狩猟弓を時おり射ちながら立ち止まる事なく、走り続ける。


 ミーも、釘を投げたり、風打棍で押し寄せるゾンビ達を撃退しながら、臆する事なく進んでいった。



「よし、着いたな? 爆弾でも有れば投げ込むが、生憎と今は無いからな」


「火炎魔法も、中の防弾装備に通じるかしら?」


 ショーンとリズ達は、廊下の右脇で、海トカゲ団を倒す方策を練る。


 もちろん、自分たちに近づくかも知れないゾンビ達を警戒しながらだが。




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