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第105話 突入っ! 廊下を駆け抜けろ


 ショーンとリズ達は、廊下の右脇で、海トカゲ団が、銃撃を止むまで待つ。


 さらに、自分たちに近づくであろう、ゾンビ達や彼等の強酸などによる射撃も警戒してだ。



 中からは、HK416に加えて、分隊支援火器ミニミによる機銃掃射が行われている。


 フェイスバイザー付き、フリッツ・ヘルメットを被り、防弾ベストを着用する連中だ。



 それより少し手前には、長方形のタワーシールドやバンカーシールドと言った盾が並べられている。



「う~~? どうすっかな? 流石に、無謀な俺でも、これじゃあーーいきなり突入はできないし?」


「私も火炎魔法なら、倒せなくは無いけど? これだけ、銃弾が飛んでくるんじゃ? 頭すら出せないわ」


「にゃあっ! ゾンビが来たにゃっ! 私の一撃を喰らえっ!」


「もう、爆裂アローも無いし…………はっ! うおおっ! 上からも来やがるぞっ! 頭上にも注意しろっ!」


 途切れる事なく放たれ続ける機銃弾に、ショーンは、何もできずに困り果てる。


 いつでも、火炎魔法を射てるように、マジックロッドを抱えながら、リズは突入準備する。



 その左側では、ミーが風打棍で、ジャンパーが飛びかかってくると、腹に思いっきり打撃を入れる。


 ワシントンは、床に転がりながら、スカルゴンによる空襲を避ける。



「チッ! まだ、中央ホールにも、敵の部隊とゾンビ達が居やがるからなっ! これじゃ、前に進めないぜっ!」


「あっ! ゾンビが来るわっ! ボンバーよ、不味いわっ!!」


 ショーンは、好転しない戦況に苛立ち、激しい戦闘が続く、周りに目を向ける。


 そんな中、リズが走ってくるゾンビを見つけて、廊下の入口から離れようと走る。



「じ、じじ、自爆だああアアアア~~~~!?」


「ヤバイ、奴を撃ち殺せっ!」


「攻撃を集中しろっ! 向かってくる前に、やっちまえっ!」


 ボンバーは、銃声が鳴り止まぬ廊下の奥に目をつけて、ひたすら突進していく。


 防弾装備を身に付ける、白人と黒人の海トカゲ団員たちは、奴を射殺せんと、ミニミを撃ちまくる。



「も、モウ、ダメだだだだぁぁ~~~~!? ドカーーーーンッ!!」


「やったぞ」


「危なかったな」



 ボンバーは、突進していたが、大量の銃弾を浴びて、後ろに倒れながら爆発した。


 白人と黒人の海トカゲ団員たちは、廊下が肉片と血だらけに成っても、弾丸を発射し続ける。



「ボンバーでも、ダメだったか? となると、リズ、俺が囮になるから、お前に頼むしかないな」


「待って、ショーン? また、何かが来るわっ!」


 ショーンは、突入する決意を固め、トリップソードとバックラーを力強く握りしめた。


 だが、その直前になって、リズは後方から走ってくる何かに気がついた。



「退けええーーーー!? 戦車で、突っ込むぞっ!」


「これなら勝てるっ! ついでに、魔法も喰らいなっ!」


「うわあっ!? 戦車が来たぞっ!」


「ダメだ、アレには勝てない…………引き下がれっ!」


 機銃掃射しながら特攻していく、豆戦車に乗っている黒アリ人間は、フランジメイスを振り回す。


 そのやや右後ろを、並走する豆戦車からは、赤アリ人間が、口から強酸を放つ。



 これらによる強襲を受けて、タワーシールドを握る銀髪エルフの海トカゲ団員は、盾を捨てる。


 バンカーシールドを握り、ベレッタを射っていた、インディアンの海トカゲ団員も逃げ出した。



 総崩れとなった連中を、アリ人間たちは、さらに追撃するべく攻撃を激しくさせる。



「くぅっ! 下がれ、次の十字路まで後退だっ!! ん、うわああああっ!!」


「な、今度は何が起きたっ! ギャアアアア~~!?」


「火炎放射だっ! 強烈な炎からは逃げられないぞっ!」


「この魔法の雷を喰らえっ! 敵はアリ人間だけじゃないぞっ!!」


 白人海トカゲ団員は、敵に背中を向けると、一目散に逃げ出したが、そこに火炎放射が噴いてくる。


 黒人海トカゲ団員も、逃げ出そうとするも、黄色い稲光を浴びて、前のめりに倒れた。



 ファイヤーアントは、立ち止まると炎を吹き、黒アリ人間は、手綱を叩いて再び走らせ始める。


 黒笛から、雷撃魔法を放ちまくる、赤雷モヒカンの白人BB団員を中心に、何人かが突撃していく。



 彼等以外の防弾兵も、豆戦車や大型騎乗アリを中心とする部隊を前に、撤退を余儀なくされる。



「やったぜっ! 味方が突破口を開いてくれたっ! リズ、ワシントン、ミー…………俺たちも行くぞっ!」


「ええ、今が突撃のチャンスだわっ! これなら、敵を撃退できるわ」


「分かったにゃあっ! でも、ここを守るから、二人だけで行くにゃっ! まだまだ、ゾンビが来るから私たちが死守するにゃ」


「だなっ? 次々と、ゾンビの群れは走ってくるっ! ここは任せてくれ」


 豆戦車やファイヤーアント部隊に続く、アリ人間やBB団員たちの後を、ショーンも追っていく。


 リズは、マジックロッドを抱えながら、彼に続いて走っていった。



 ミーは、仲間たちの無事を祈りながら、力を振り絞り、風打棍を振るった。


 ワシントンも、狩猟弓から矢を射ちまくり、ひたすら敵を攻撃しまくる。



 ジャンパーやジャンピンガーは、殴られて吹き飛び、逃げ遅れた海トカゲ団員は射殺される。



「二人とも、ここは頼んだぞっ! リズ、援護を任せるっ!」


「もちろんよっ! 私が後ろを守るわっ!」


 ゾンビの追ってが迫る中、ショーンとリズ達は、撤退していった海トカゲ団員を追撃するべく走る。


 恐怖と緊張が交錯する中、二人は十字路を、二回も越えると、やがて左側の通路に隠れた。



「ぐわあっ! 火炎放射が効かないっ! ぎゃああっ!」


「うわああ、豆戦車が、ひっくり返されたああっ!」


「ここから、先は敵が体制を立て直したらしいなっ?」


「また、シールド部隊…………しかも、ゴーレムまで起動しているわっ!」


 火炎放射を噴いても、ファイヤーアントは、ゴーレムを炎に包むだけで、破壊はできない。


 それに乗っていた、黒アリ人間は頭を捕まれて、天井に投げつけられた。



 豆戦車は、まるで、オモチャを転がすように、真後ろに倒されてしまう。


 もちろん、そこから飛び降りた、赤アリ人間を機銃掃射と氷結魔法の氷柱つらら散弾が襲う。



 ショーンは、トリップソードを握りしめるが、今は下手に飛び出していけない。


 リズは、マジックロッドだけを壁際から出して、海トカゲ団側に、何発か火炎玉を放つ。



「しまったな? ここは安全な道を探して、迂回するぞ」


「そうするしかないわね?」


 ショーンとリズ達は、アリ人間とBB団員らを救うために、決して後退することはなかった。


 だが、前身もできないので、右側から敵を奇襲するために、密かに移動していく。



「撃て、撃てっ!」


「ぐ、ゾンビが来たっ! うわああ」


「グオオーーーー!」


 廊下の先では、赤いニット帽を被る吸血鬼のBB団員が、AK47を撃ちまくる。


 さらに、向こうでも、二連散弾銃を白人BB団員が撃とうとしたが、フレッシャーに押し倒される。



「ぐああっ!?」


「この、この、死ねっ!」


「向こうは不味い、部屋の中を通るぞ」


「そうね、でも罠に気をつけましょう」


 フレッシャーに、白人BB団員が噛み殺されると、吸血鬼のBB団員は、AK47を向ける。


 それと同時に、ライフル弾が連射されて、両方とも瞬時に射殺される。



 ショーンは、ゾンビの群れが更に押し寄せてくる事を考慮して、左側にあるドアを開けた。


 リズも、周りに注意しながら彼の後を追い、部屋に飛び込み、異常は無いかと様子を探る。



「どうやら、ここは敵が居ないようだ?」


「でも、安心は出来ないわね…………」


 ショーンとリズ達は、オフィス内を通り、敵の裏を取るべく静かに進んでいった。


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