目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第107話 豪華な部屋は戦場に


 ショーンとリズ達が、長四角いテーブルに身を潜めている間に、海トカゲ団員とゾンビ達は戦う。



「スカルビーマーだっ! このっ! 殴り殺してやるっ!」


「気を付けろっ! エルフやトロールは下がれっ!」


「リズ、生きていたんだな? 良かった」


「ええ、だから、静かにして? 考えがあるの?」


 戦闘が進む中で、大量のゾンビ達が走り、さまざまな種類が群れに混ざる。


 天井から侵入してくる連中は、豪華な室内を、縦横無尽に暴れまわった。



 バトルアックスを振り回しながら、トロールの海トカゲ団員は臆する事なく、突撃する。


 エリート兵士は、指示を下しながら、クロスボウから矢を発射する。



 そんな中、ショーンは床に倒れているリズが生きていた事に、涙を流して喜ぶ。



「今、連中は向こうに気を取られているわ? なら、私達は左側から進みましょう」


「出来るなら、後ろのドアから出ていきたいんだがな? むしろ、向こう側に向かうしか道は無いか…………」


 リズは立ち上がると、テーブルの左側から顔を出して、そこに敵が居ない事を確かめる。


 ショーンも、同じ場所を眺めてから、背後に振り返ったが、そこは敵に姿を見られる可能性がある。



「分かった、姿勢を低くしながら移動しよう」


「ええ、ワームのように這ってね…………」


 ショーンとリズ達は、匍匐しながら左側の黄色いソファーが並ぶ場所に向かっていく。


 これだと、多少時間はかかるが、海トカゲ団員やゾンビ達に見つかる心配はない。



 連中は、互いに射撃や突撃を繰り返して、攻撃しあっているらしく、魔法を放つ音や金属音が鳴る。


 これにより、戦局がさらに混沌とするが、それは双方とも増援が来ているのか、延々と続く。



「回り込むわよっ! 左側から攻めるわっ!」


「よし、分かった」


 左側に並ぶ、ソファーに飛び込み、そこから、エルフの海トカゲ団員は、長弓を構える。


 トロールの海トカゲ団員も、そこを通り、こちらに狼牙棒を抱えながら走ってくる。



「ヤバいっ! 見つかってしまうっ!」


「不味いわわっ!」


「グアアアアーー!!」


「ハックションッ!?」


「きゃっ!」


「うわ…………」


 近づいてくる敵部隊に、ショーンとリズ達は、焦ってしまうが、そこにゾンビ達が攻撃を始めた。


 スカルビーマーは、口から横凪にレーザーを放ち、スニージンガーは花から、くしゃみを飛ばす。



 これを顔面に受けて、エルフの海トカゲ団員は、首から上が焼け焦げてしまった。


 くしゃみ散弾が頭に被弾して、トロールの海トカゲ団員は、力なく崩れおちる。



「どうやら、死んだようだな?」


「ヤバかったわね?」


 ショーンとリズ達は、匍匐しながら、二人が倒れている左側のソファー裏へと移動する。



「援軍だぞっ! 撃ち殺せっ!」


「撃つわよっ! 射線に入らないでっ!」


「騎士型ロボットが、破壊されたっ!」


「BB団だあっ! 奴ら、撃ってくるわ」


 HK416を撃ちまくりながら、黒髪白人の海トカゲ団員が、室内に入ってくる。


 ヘカートを確りと構えて、ソファーに上載せて、茶髪白人女性の海トカゲ団員は、すぐに狙撃する。



 トロールの海トカゲ団員は、ウォーリアーを、ロングバールで殴り倒しながら叫ぶ。


 MP5を撃ちながら、エルフの海トカゲ団員は、テーブルを盾にして、身を隠す。



「ここにも、敵がっ!」


「纏めて、皆殺しにしてやるっ!」


「速攻で殺すわっ!」


「死ね、死ね、死ね」


 グレイブを構える白人BB団員が、室内に突撃してくると、後続が続々と現れる。


 M2ブローニングを撃ちまくり、黒人BB団員は、ソファーや騎士型ロボットを穴だらけにする。



 AK47を乱射しながら、オレンジ・ウルフヘアのBB団員は、ソファーまで走る。


 赤アリ人間は、マテバを片手で撃ちながら、スライディングしつつ、テーブルの後ろに隠れる。



「射ちまくれっ! 牽制するんだ」


「ぐわっ! 殺られ…………」


「ゲロ~~ゲロロッ!」


「グルアアーー!!」


「ヤバいな、ここも敵や味方が増えてきた」


「援護しようかしら? いや、ここは…………」


 バシネットを被る、エリート兵は、クロスボウによる射撃を続ける。


 一方で、クモ人間の海トカゲ団員は、スローイングナイフを投げたが、逆に強酸が自身に当たる。



 スピットゲローは、騒ぎながら、ソファーの上に飛び乗り、さらに口から攻撃を放とうとする。


 ジャンパーは、回転しながら回し蹴りを、騎士型ロボットに放とうとしてきた。



 ショーンとリズ達は、ソファーの後ろから戦況を見ていたが、三勢力とも戦力が拮抗している。


 それだけに、下手に攻撃しようものなら、自分たちが、殺られるだけだと考えた。



「ここは? あ?」


「敵っ!? いや、貴女は…………」


「いや、味方だろうっ!」


「そうだ、撃つなっ!! 味方だっ!」


 リズが呟きかけたが、彼女が隠れている場所を発見した、銀髪ロングヘアの女性エルフが驚く。


 彼女は、HK416を向けたが、それを黄アリ人間の海トカゲ団員が止める。


 ショーンも、ソファーから頭だけを出して、海トカゲ団員の振りをして、上手く敵を騙してみせた。


 海トカゲ団員の中でも、女性エルフ兵士は数が多く、それ故に仲間だと騙せたワケだ。



「く、そっちに敵は居ないのねっ! ならっ!」


「だから、正面と左側に攻撃を集中させろっ!」


「そうだっ! 今、こっちは下がろうとしているんだ」


「援護するわっ! 味方の前進を助けるわよっ!」


 銀髪ロングヘアの女性エルフは、HK416を単発連射しながら、ソファーに体を引っ込める。


 黄アリ人間は、ゾンビの群れとBB団員たちに、MP5を横凪に連射する。


 ショーンは顔だけを出して叫び、リズも両手で、マジックロッドを構えて、火玉を何発か放つ。


 こうして、適当に戦っている振りをしながら、二人は黄色いソファーに身を隠した。



「ふぅ? 危なかったな~~? リズ…………お前が、ウッドエルフ族で良かったぜ」


「みんな、私と同じ種族だからね? て、言うか? バシネットの連中は、他の敵に気を取られているわね?」


 ショーンとリズ達は、匍匐しながら、顔を合わせて、密かに会話する。



「それなら、コイツらの制服を貰おう、変装しながら、後方に行って、指揮官を殺害する」


「それしかないわね? ここは、BB団員やアリ人間たちに任せて、私たちは先に進みましょう」


 ショーンは、クモ人間の死体から、左胸にOLPロゴが入っている弾帯ベストを剥ぎ取る。


 リズも同じく、顔面が焼けた、エルフから青いポンチョを脱がせて、自身が着る。



「よし、後は帽子を…………」


「私は、ストールを」


 ショーンは、床に頃がっていた、黄色いOLPロゴと、海トカゲが描かれた帽子を被る。


 リズは、OLPロゴの入っている青いストールを、顔を巻いて、変装した。



「よし、リズッ! 行くぞっ! 援軍が必要だな? 無線機は無いのか?」


「分かったわっ! 援護射撃するわ、先に進んでっ!」


 混戦が繰り広げられる中、ショーンとリズ達は、戦う振りをしながら、ドアに向かっていく。



「防弾兵の登場だぜっ!」


「ミニミを、連射しまくるぞっ!」


「気をつけてくれっ! M2ブローニングを持っている奴が居るっ!」


「エリート兵も、アレに殺られたし、ゴーレムも破壊されたわ」


 フェイスバイザー付きのフリッツ・ヘルメットを被る、重装備で身を固める防弾兵たちが来た。


 二人は、ドアから入ってくるなり、ミニミを連射しまくるが、反対に機銃掃射を受けてしまう。



 幸い連中は、直ぐに身を下げて、黄色いソファーに隠れたが、それを大口径弾が穴だらけにする。


 まるで、チーズ見たいに成っていく様を見ている、バッタ人間の海トカゲ団員は叫ぶ。


 ヘカートを握る、金髪ショートヘアの海トカゲ団員は、一発弾丸を発射した後、直ぐに身を伏せる。



 そんな中、ショーンとリズ達は、入れ替わるように室内から脱出することに成功した。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?