ショーンとリズ達が、長四角いテーブルに身を潜めている間に、海トカゲ団員とゾンビ達は戦う。
「スカルビーマーだっ! このっ! 殴り殺してやるっ!」
「気を付けろっ! エルフやトロールは下がれっ!」
「リズ、生きていたんだな? 良かった」
「ええ、だから、静かにして? 考えがあるの?」
戦闘が進む中で、大量のゾンビ達が走り、さまざまな種類が群れに混ざる。
天井から侵入してくる連中は、豪華な室内を、縦横無尽に暴れまわった。
バトルアックスを振り回しながら、トロールの海トカゲ団員は臆する事なく、突撃する。
エリート兵士は、指示を下しながら、クロスボウから矢を発射する。
そんな中、ショーンは床に倒れているリズが生きていた事に、涙を流して喜ぶ。
「今、連中は向こうに気を取られているわ? なら、私達は左側から進みましょう」
「出来るなら、後ろのドアから出ていきたいんだがな? むしろ、向こう側に向かうしか道は無いか…………」
リズは立ち上がると、テーブルの左側から顔を出して、そこに敵が居ない事を確かめる。
ショーンも、同じ場所を眺めてから、背後に振り返ったが、そこは敵に姿を見られる可能性がある。
「分かった、姿勢を低くしながら移動しよう」
「ええ、ワームのように這ってね…………」
ショーンとリズ達は、匍匐しながら左側の黄色いソファーが並ぶ場所に向かっていく。
これだと、多少時間はかかるが、海トカゲ団員やゾンビ達に見つかる心配はない。
連中は、互いに射撃や突撃を繰り返して、攻撃しあっているらしく、魔法を放つ音や金属音が鳴る。
これにより、戦局がさらに混沌とするが、それは双方とも増援が来ているのか、延々と続く。
「回り込むわよっ! 左側から攻めるわっ!」
「よし、分かった」
左側に並ぶ、ソファーに飛び込み、そこから、エルフの海トカゲ団員は、長弓を構える。
トロールの海トカゲ団員も、そこを通り、こちらに狼牙棒を抱えながら走ってくる。
「ヤバいっ! 見つかってしまうっ!」
「不味いわわっ!」
「グアアアアーー!!」
「ハックションッ!?」
「きゃっ!」
「うわ…………」
近づいてくる敵部隊に、ショーンとリズ達は、焦ってしまうが、そこにゾンビ達が攻撃を始めた。
スカルビーマーは、口から横凪にレーザーを放ち、スニージンガーは花から、くしゃみを飛ばす。
これを顔面に受けて、エルフの海トカゲ団員は、首から上が焼け焦げてしまった。
くしゃみ散弾が頭に被弾して、トロールの海トカゲ団員は、力なく崩れおちる。
「どうやら、死んだようだな?」
「ヤバかったわね?」
ショーンとリズ達は、匍匐しながら、二人が倒れている左側のソファー裏へと移動する。
「援軍だぞっ! 撃ち殺せっ!」
「撃つわよっ! 射線に入らないでっ!」
「騎士型ロボットが、破壊されたっ!」
「BB団だあっ! 奴ら、撃ってくるわ」
HK416を撃ちまくりながら、黒髪白人の海トカゲ団員が、室内に入ってくる。
ヘカートを確りと構えて、ソファーに上載せて、茶髪白人女性の海トカゲ団員は、すぐに狙撃する。
トロールの海トカゲ団員は、ウォーリアーを、ロングバールで殴り倒しながら叫ぶ。
MP5を撃ちながら、エルフの海トカゲ団員は、テーブルを盾にして、身を隠す。
「ここにも、敵がっ!」
「纏めて、皆殺しにしてやるっ!」
「速攻で殺すわっ!」
「死ね、死ね、死ね」
グレイブを構える白人BB団員が、室内に突撃してくると、後続が続々と現れる。
M2ブローニングを撃ちまくり、黒人BB団員は、ソファーや騎士型ロボットを穴だらけにする。
AK47を乱射しながら、オレンジ・ウルフヘアのBB団員は、ソファーまで走る。
赤アリ人間は、マテバを片手で撃ちながら、スライディングしつつ、テーブルの後ろに隠れる。
「射ちまくれっ! 牽制するんだ」
「ぐわっ! 殺られ…………」
「ゲロ~~ゲロロッ!」
「グルアアーー!!」
「ヤバいな、ここも敵や味方が増えてきた」
「援護しようかしら? いや、ここは…………」
バシネットを被る、エリート兵は、クロスボウによる射撃を続ける。
一方で、クモ人間の海トカゲ団員は、スローイングナイフを投げたが、逆に強酸が自身に当たる。
スピットゲローは、騒ぎながら、ソファーの上に飛び乗り、さらに口から攻撃を放とうとする。
ジャンパーは、回転しながら回し蹴りを、騎士型ロボットに放とうとしてきた。
ショーンとリズ達は、ソファーの後ろから戦況を見ていたが、三勢力とも戦力が拮抗している。
それだけに、下手に攻撃しようものなら、自分たちが、殺られるだけだと考えた。
「ここは? あ?」
「敵っ!? いや、貴女は…………」
「いや、味方だろうっ!」
「そうだ、撃つなっ!! 味方だっ!」
リズが呟きかけたが、彼女が隠れている場所を発見した、銀髪ロングヘアの女性エルフが驚く。
彼女は、HK416を向けたが、それを黄アリ人間の海トカゲ団員が止める。
ショーンも、ソファーから頭だけを出して、海トカゲ団員の振りをして、上手く敵を騙してみせた。
海トカゲ団員の中でも、女性エルフ兵士は数が多く、それ故に仲間だと騙せたワケだ。
「く、そっちに敵は居ないのねっ! ならっ!」
「だから、正面と左側に攻撃を集中させろっ!」
「そうだっ! 今、こっちは下がろうとしているんだ」
「援護するわっ! 味方の前進を助けるわよっ!」
銀髪ロングヘアの女性エルフは、HK416を単発連射しながら、ソファーに体を引っ込める。
黄アリ人間は、ゾンビの群れとBB団員たちに、MP5を横凪に連射する。
ショーンは顔だけを出して叫び、リズも両手で、マジックロッドを構えて、火玉を何発か放つ。
こうして、適当に戦っている振りをしながら、二人は黄色いソファーに身を隠した。
「ふぅ? 危なかったな~~? リズ…………お前が、ウッドエルフ族で良かったぜ」
「みんな、私と同じ種族だからね? て、言うか? バシネットの連中は、他の敵に気を取られているわね?」
ショーンとリズ達は、匍匐しながら、顔を合わせて、密かに会話する。
「それなら、コイツらの制服を貰おう、変装しながら、後方に行って、指揮官を殺害する」
「それしかないわね? ここは、BB団員やアリ人間たちに任せて、私たちは先に進みましょう」
ショーンは、クモ人間の死体から、左胸にOLPロゴが入っている弾帯ベストを剥ぎ取る。
リズも同じく、顔面が焼けた、エルフから青いポンチョを脱がせて、自身が着る。
「よし、後は帽子を…………」
「私は、ストールを」
ショーンは、床に頃がっていた、黄色いOLPロゴと、海トカゲが描かれた帽子を被る。
リズは、OLPロゴの入っている青いストールを、顔を巻いて、変装した。
「よし、リズッ! 行くぞっ! 援軍が必要だな? 無線機は無いのか?」
「分かったわっ! 援護射撃するわ、先に進んでっ!」
混戦が繰り広げられる中、ショーンとリズ達は、戦う振りをしながら、ドアに向かっていく。
「防弾兵の登場だぜっ!」
「ミニミを、連射しまくるぞっ!」
「気をつけてくれっ! M2ブローニングを持っている奴が居るっ!」
「エリート兵も、アレに殺られたし、ゴーレムも破壊されたわ」
フェイスバイザー付きのフリッツ・ヘルメットを被る、重装備で身を固める防弾兵たちが来た。
二人は、ドアから入ってくるなり、ミニミを連射しまくるが、反対に機銃掃射を受けてしまう。
幸い連中は、直ぐに身を下げて、黄色いソファーに隠れたが、それを大口径弾が穴だらけにする。
まるで、チーズ見たいに成っていく様を見ている、バッタ人間の海トカゲ団員は叫ぶ。
ヘカートを握る、金髪ショートヘアの海トカゲ団員は、一発弾丸を発射した後、直ぐに身を伏せる。
そんな中、ショーンとリズ達は、入れ替わるように室内から脱出することに成功した。