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第101話 青春の過ちは酒から始まる

―――カタリーナとふたりで黒翼シュヴァルツ・フリューゲルに搭乗した八雲。


ふたりが来たのは『娯楽室』だった―――


誰もいないだろうと入ってみると、そこにはエディスがソファーに座って窓の外に広がる景色を見つめていた……


「どうした?エディス。具合でも悪いのか?」


八雲の声でようやく傍に立っていることに気がついたエディスが顔を上げる。


「あ、八雲さん……いえ、あ、其方の方は?」


エディスは八雲の後ろに従うカタリーナに気がつき首を傾げて問い掛けると、


「初めまして。カタリーナ=ロッシと申します。ロッシ商会の代表ジョヴァンニ=ロッシの娘ですわ」


「―――ええ!?あのロッシ商会の!?大店の娘さんじゃないですか!?八雲さん!誘拐は犯罪ですよ!?」


「―――ナチュラルに俺を犯罪者扱いするのやめてくんない?お前も自己紹介くらいしろ」


「あ、これは失礼致しました。私はエディス=アイネソンです。ティーグルの冒険者ギルドで受付兼サポーターをしています。八雲さんのサポーターでもあります」


「アイネソン?あの、もしかして……レオパールのアイネソン導師の所縁の方ですか?」


「あの、母をご存知なんですか?」


「まあ♪ アイネソン導師の娘さんですの!道理でお顔が似ていると思いましたわ♪ おふたりともお綺麗ですわ」


「そ、そうですか?ありがとう……ございます/////」


カタリーナの言葉に照れ臭くなったエディスが頬を少し赤らめている。


「アイネソン導師には父の商談の際に屋敷に来られまして、そこで何度かご挨拶とお話をさせて頂きましたわ。その時におっしゃっていた娘さんというのはエディスさんのことだったのですね」


「母が?……私の話を?」


カタリーナの話しにエディスは驚いた顔をしている。


「ええ。貴女が幼かった頃の思い出なんかを楽しそうに話しておられましたわ♪ でも、家を出られてからのことはいつも心配されているお話ばかりでした……」


「そう……ですか……」


自分の母が心配してくれていたという話を聴いて、エディスの表情は複雑だった。


そこからカタリーナと三人で八雲がエヴリンのことを質問したり、カタリーナからエディスに話し掛けたりして、そんなエディスを少しでも元気づけようと八雲は娯楽室にあるカウンターバーにふたりを誘う。


カウンターの奥にズラリと並ぶ飲み物の瓶を見て回るが、どれが何の飲み物なのか八雲にはハッキリ言って分からない。


そんな八雲の様子を見ていてクスリと笑みを溢したカタリーナとエディスがカウンターの中に来て―――


「飲み物はわたくし達がご用意いたしますわ。八雲様はどうぞ座ってお待ちになって」


カタリーナがそう言って棚の飲み物を見回していくと丁度良い飲み物があったのか、瓶を取ってワイングラスを用意する。


この世界では十六歳が成人となっているので十八歳の八雲と十七歳のカタリーナは勿論、エルフのエディスも当然年齢は超えているので差支えはない。


手慣れた手つきでグラスにワインを注いでいくカタリーナと、それとは別の飲み物に興味をもったエディスが何本か飲んでみたい瓶を抱えてやってきた。


「お前、そんなに飲むつもりなのか?別にいいけど……ほどほどにしておけよ?」


「分かってますよ♪ でもこんな高級なお酒なんて滅多に呑めませんから今だけは見逃してください」


「え?これそんな高級なの!?」


高級という言葉に八雲が反応するのは長年この歳まで一般人をしていた故のことである。


「八雲様……こういった高級な物とそうでない物の見分けくらいはつくようにしておいた方がいいかと……」


少し呆れ顔のカタリーナに八雲はバツが悪そうな顔で、


「皇帝になる前はただの学生だぞ。分かる訳ないし誰も教えてくれないからな」


そう答えるとカタリーナが少し笑みを浮かべて、


「では……わたくしがお教えいたしましょうか?お酒だけではなく色々他の物についても」


と提案してきたので、


「マジで!?いやぁ助かるよ。俺、物の価値なんかには本当に疎くてさぁ。この前もダンジョンで倒した階層主のドロップした魔法宝石二つが白金貨二枚になったんだけど、全然分からなくて―――」


「―――白金貨2枚!?そ、それはどうされたのです!?その話しもっと詳しく!!」


突然の高額取引にカタリーナは驚きの声を上げて食いついてくる。


「その時一緒にルドルフとレベッカの英雄ふたりと行ったんだ。そのレベッカがやっている孤児院を黒龍城のある土地に移転させて色々資金もいるだろうし、俺の分はレベッカに預けてあって使い道については話してあるから」


一緒の土地に住むことになったエルフの娘達の面倒も見て欲しいと頼んでいる件のことだが、正直なところ八雲は金に困っている訳ではない上に一番初めに持たされたノワールからの資金は殆ど残ったままなのだ。


「―――八雲様は英雄とも親交がおありなのですね。ですが、さすがに白金貨二枚になるとはそれほどの魔石だったということなのですね」


「ああ、このくらいはあったな」


八雲はそう言って両手を広げてドロップした宝石のサイズをカタリーナに教えた。


「そ、そんなに大きいだなんて!?ティーグルの商人達はさぞ驚いたことでしょうね!……羨ましい話ですわ」


「でも、そういった物の価値について俺は本当に無頓着なんだ。だからカタリーナが教えてくれると正直助かる」


八雲の言葉にカタリーナが頬を赤らめて、


「そ、それでしたら、八雲様のお傍で……ずっとお教えしても、よろしくてよ?/////」


「カタリーナ……そうだな。学院を卒業したら迎えに来るって約束していたからな。その時は頼む」


恥ずかし気に伝えてきたカタリーナに八雲はユリエルとは別の親しみを感じていた。


相手が学生というのも余計にそう思えたのだろう。


そして一緒にミネアでピザを作るのを頑張ったり、店の営業の手伝いを一緒に頑張ったりしたのもバイト仲間みたいな感覚だった。


しかしそこに思わぬ事態が発生する―――


「ぷはぁ~♪ ングッ!ングッ!ぶはぁ~♡ ヒック……ちょっとぉ~!なぁに見せつけてくれちゃってるんでしゅかぁ~/////」


ワインの瓶を既に一本空けて、二本目のワインも残りわずかといった瓶を手にしたエディスが、ドカッと八雲の背中から抱き着いてきたのだ。


「お、おい!エディス!?あ、お前もしかして……」


「ヒック♪……もしかひてなんれすぅ?わたひが、なにかおかしいれすかぁ~♡/////」


「大丈夫だ……お前は出会った頃からおかしい……」


「ウヒャッヒャッ♪ も~う、なに言ってんれすか?やくもしゃん!わたひがまるでダメみたいなこと言っちゃってくれちゃってぇ~♪ ホントは分かってるんれすよぉ~♡/////」


「何が分かっているのかまったく知りたいとは思ってないけど、なんだ?」


「ギルドにきたときぃ~♪ いっつも、わたひのおっぱい見てるでしょう~♡ 知ってるんでしゅからぁ~/////」


カタリーナの前で投下されたエディス爆弾に、


「―――み、見てねぇえしぃ!別にエルフのくせに大き過ぎんだよ!とか思ってねぇしぃ!!」


「ほら♡ やっぱり見てたんらぁあ♡ もぉお!言ってくれればぁ、やくもしゃんならいくらでも見せてあげるにょにぃ~♡/////」


「―――エッ!マジか!それ早く言ってよぉ!」


思わずエディスのおっぱいガン見許可が出て八雲もノリで興奮して返事すると、隣にいたはずのカタリーナが見ていない間にワインの瓶をひとりで空けていた……


「エッ?おま、ちょっ、カタリーナ!?―――飲み過ぎだろ?急性アルコール中毒とかなったらどうすんの!?」


「ええ~♪ 急激にあたしのチュウ独占?なんれすそれ?そんなこと言われなくってもぉ♪ わたくひのチュウはやくもしゃまのものれすぅ~♡/////」


「いやそんなこと言ってねぇし、最初の『急』しか合ってないんだけど?ていうかふたりともホント呑み過ぎだ!」


「酔ってましぇん!ヒック!ねぇエディスしゃん♪/////」


顔が既に真っ赤になったカタリーナがエディスに声を掛けると―――


「もちろんでしゅよカタリーナしゃん♪ このくらいで、ヒック!酔ってるとかないわぁ~/////」


「―――お前がないわ!でもエディスは兎も角どうしてカタリーナも急にそんなワイン飲んだんだよ?」


背中から抱き着いてくるやわらかな双乳の感触は楽しみながらもエディスを無視してカタリーナに問い掛けると、突然八雲の正面から飛びつき―――


「らって……エディスしゃんとイチャイチャしているの、羨ましかったんれす/////」


呂律が回っていないまま八雲にくっつくエディスに嫉妬を感じて、酒の力で自分も八雲にくっついてきたことを白状するカタリーナの赤い顔と潤んだ瞳を覗き込んだ時、八雲の中でドクン!と鼓動が走った。


「カタリーナ!!―――」


「エッ…んん!?…んちゅ!…んん……んあ♡/////」


気がついたら八雲はカタリーナの唇を奪っていた……


―――だが、そこで背中に貼り付いていたエディスがその情景を見て声を上げる。


「アアア―――ッ!!!ズルい~!やくもしゃん!わたしともチュウしましょうよぉ~♡/////」


とふたりを引き剥がしたかと思うと、八雲の首に腕を巻き付けて無理矢理に唇を奪ってくる。


「おい…んん!?…んお!……」


「んちゅう♡…ん♡……ちゅ♡……くちゅ♡/////」


「ああ~!エディスしゃん!舌を入れるのはズルいでしゅわ/////」


今度はカタリーナがエディスから八雲を引き剥がして、再び唇を押しつけるとすぐにワインの香りが漂う舌を突き入れて八雲の舌に絡みつけてくる。


「くちゅ♡……んん……れろ…くちゅ♡ ちゅる♡/////」


そこからは交互に何度も唇を奪い合う状況になり、段々と八雲の欲望も膨らみだし収まりがきかなくなってきたところに―――


『―――マスター、娯楽室の壁に隠し部屋を造っておいた。そこを自由に使ってもらいたい』


と娯楽室にディオネの放送が響き渡る。


「なっ!?お前見てるのか!?ていうか秘密の部屋って何だよ!?誰が造った?」


八雲すら知らない部屋を造ったと言われて正気に戻る八雲にディオネの放送が続ける。


『こんなこともあろうかと、ドワーフ達と一緒に造っておいた。マスターなら遠からず、こういうことがあるだろうと予測した上での艦長判断だ』


ディオネの放送が終わると娯楽室の壁にピシッ!と線が入ったかと思うと、そこから観音開きの扉になって開いていく―――


「なんたる隠蔽技術……まったく気がつかなかった……」


すると酔っぱらったエディスとカタリーナが八雲の両腕に巻き付いて、


「やくもしゃん♪ なんれすか?この部屋はぁ~♡/////」


「やくもしゃま、わたくしたちのために、こんなお部屋を準備してくれていたんれしゅねぇ~♡/////」


酔ってにこにこ状態にふたりは八雲を引き摺るようにして隠し部屋に入る。


すると―――パタン!と扉が自動で閉まって、その閉まった扉の裏に、


【交尾しないと出られない部屋♡】


と大きく書かれていた……


「ディオネェエ―――ッ!!!」


天井に向かって雄叫びを上げる八雲と、


「……交尾/////」


「ゴクリ……/////」


カタリーナとエディスもその『交尾』の文字を見て、ゴクリと息を呑むと同時にふたりの下腹部には、きゅん♡ という鈍い疼きが走っていた。


だが、それ以上に八雲は先ほどの交互キスからどうにも興奮が収まらずに―――


(もう、色々と気にするだけ無駄だな……)


と腹を括ってコートを脱ぎ捨て自分のシャツも脱ぎ捨てると、そこには引き締まった筋肉で形作られた逞しい雄の身体が現れる。


そんな逞しい八雲の身体をカタリーナとエディスはジッと見つめて息を呑み、ますます身体が熱くなる。


アルコールも入っていて判断力も鈍ってはいるものの八雲を慕う気持ちには変わりなく、ふたりとも蝶が花に吸い寄せられるようにして八雲の傍に近づいて行く。


「あの、八雲様……わたくし/////」


「八雲さん……さっきは突然あんなこと……すみません/////」


八雲の肉体に吸い寄せられながら、ゆっくりだが酔いが醒めだしたふたりは先ほどまでの醜態を徐々に思い出して恥ずかしくなってきたが八雲にはもうそんなことはどうでもいいことである。


「もう今さら引き返せないぞ。ふたりとも、覚悟は決まったか?」


真剣な眼差しでそう伝えられたふたりの唇から零れた返事は、


「はい/////」


の一言だった―――






―――娯楽室の壁に隠された『隠し部屋』


隠し部屋とは言っても広いスペースに内装は豪華に仕上げられており、複数プレイを想定しているのだろう大きなベッドにテーブルや椅子、娯楽室より小さいがカウンターテーブルに酒の棚も常備されていて、その隣のガラス戸の先には広い浴室が見えている。


そんなベッドの上から、女の卑猥な声がふたつ、交互に部屋の中で響き渡る―――


「あ♡…あん……んん!……あああ……/////」


「あん……んあ!……そこ……いや……ああ……/////」


ベッドの上で壁に手を突いたふたりの女が背中越しに尻を突き出して、八雲に向かってスカートを捲り上げて下着の上から指で撫で回されながら、発動した『神の手』スキルによって醒めかけていた酔いが違った意味で快感の酔いに変わっていく。


蒼いレースを施した下着を履いたカタリーナと、白いレースを施した下着を履いたエディス……


そんなふたりの尻に手を置いて円を描く様に撫で回す八雲の指に、ふたりは無意識にくねくねと腰を振って八雲の目を楽しませている。


「あ……やくも…さまの指……とっても…気持ちいい/////」


「もっと、もっと…触ってください…やくもさぁん♡/////」


酔いの回っていた頭で尻から伝わってくる『神の手』の快感に腰が震えだしてきたふたりはもっと触れて欲しいと思っていたが八雲は焦らしていく。


「そんなに厭らしく腰を動かして、俺を誘っているのか?」


後ろから言葉を投げ掛けると声だけでもビクリと震えて感じてしまうふたりはゆっくりと八雲に向かって振り返ると、そこには快感に蕩けだした笑みを浮かべるカタリーナとエディスが二匹の雌の表情を浮かべている。


「あん…だって……八雲様と少し離れているだけでも……寂しくて……/////」


「八雲さんは…んん♡……すぐ危ないところに……行ってしまって……連絡も…くれないし/////」


言葉だけ聞いていると八雲が女を放置して連絡も寄こさないクズみたいにも聞こえるが、ふたりのその態度が可愛くて仕方がない八雲はそっとふたりの耳元に顔を寄せて―――


「今からふたりに俺の『龍紋』を刻み込む。俺を受け入れると下腹部に『龍紋』が刻まれて今後遠くに離れていても話が出来たりするし、俺のステータスの影響を受けて力が上がる効果がある。どうする?今ならまだ間に合うぞ?『龍紋』が刻まれたらこれから先―――ずっと俺のモノだ」


囁くようにふたりに伝えると、ふたりは―――


『この先ずっと八雲のモノ』


―――という言葉にビクリと震えてそれがまた快感となって襲ってくる。


「はぁはぁ…わ、わたくしの気持ちは…うん♡…すでに決まっていますわ♡……ああ♡…あなたのお傍に…上がると決めました…時から…あん♡……わたくしのすべてをあなたに捧げますわ♡/////」


「あああ♡…わ、私だって……はぁ♡……八雲さんのこと……一生…サポートしていきますから……だから、どうか……八雲さんのものにしてください!/////」


「―――全部服を脱いで」


―――と優しく八雲が囁くとふたりは恥ずかしそうに顔を赤らめながらも一枚ずつ着ている服を脱ぎ始める。


それからその隠し部屋からは獣のような彼女達の声が響き渡っていった―――



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