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第124話 天狐完堕

―――天孤を気絶させてから次の日。


八雲はシュティーアとドワーフ達を連れてカタリーナの手配してくれるリオンの職人達が住める家を建てるため、エルフの娘達の家の近くにやって来ていた。


職人達を誘致する計画を立てた時からこの『黒神龍特区』にも道路整備を行い、区画を振り分けて首都アードラーまでの道も整備してあった。


最早手慣れた作業で土属性基礎アース・コントロールによって土中の鉄分を集め鉄筋を建ち上げ、そこに土壁を纏わせて更にセメントも塗り上げて鉄筋コンクリートの家を建てていく八雲。


カタリーナから『伝心』で聴いているのは、此処に来ることを了承してくれた信用できる職人とその家族達で、家族合わせて八十人ほどが移住してくるとのことで大急ぎで家を建てていく。


世帯数としては三十世帯と聴いているので兎に角、家だけでも先に建ててしまって内装など細かいところは職人達が到着するまでにドワーフ達に造り込んでもらえばいいと考えた。


「フゥ―!―――これくらいで足りるかな」


朝から作業を開始していた八雲は昼間を過ぎた辺りで、ざっと百軒ほどの家を建てて終わっていた。


「―――お疲れ様!」


シュティーアが笑顔で八雲に労いの言葉を伝えると、振り返った八雲の前には立派な町と言える区画が出来上がっていた。


「ありがとうシュティーア。最初に建てたあの通り沿いの家には通りに面した方向に店が出来るような入口開放と間取りを取ってあるから、職人達が来たら内装の希望を訊いてやってくれ」


「―――承知しました!ドワーフ達もまた仕事が増えて喜んじまって、アタイも気合い入れないと!」


(あのドワーフ達、ブラックな労働のし過ぎで感覚が麻痺してんじゃないのか?)


そんなことを思ったりもしてみたが、その責任の大半は八雲にあるので、


「皆、ほどほどにしておけよ……」


とだけ伝えておいた。


「でも八雲様?店舗型の家は五十軒ほど建てて、向こうの五十軒の住居はどうするんです?」


「ああ、優先度は職人達が来るこっちの店舗型を優先させて仕上げてくれ。あっちの住居型の家はこれからもし此処に移り住みたいって人が出てきた用に先に造っておいただけだから、後から仕上げてくれたらいい」


八雲が行っているのは日本でいうところの建売住宅や賃貸物件に似たシステムだが、今移住してくる者達には今のところ三年間は税金免除の話しもカタリーナから説明してもらっている。


「―――誰か他にそんな予定があるんですか?」


シュティーアはキョトンとした可愛い顔で首を傾げる。


「いや、今はまだないよ。でも此処には人が集まりだしてきてる。そういう場所には新しい人が来てもおかしくはないだろう?その時すぐに住めるように予め用意しておくのさ」


「なるほど……もしそんな人間が訪ねてきた時はどうしたらいいですか?」


「その時はジェーヴァに任せておけばいい。その時の対応も指示してあるから」


「流石ですね八雲様♪ でも……暫くはお会い出来ないんですね……」


八雲はヴァーミリオンに随伴するメンバーにシュティーアは入れていなかった。


この住居の新築で内装や来た職人達の相談相手にはシュティーアが必要だと考えてのことである。


「大丈夫だ。何かあればすぐに帰ってくるし、『伝心』でいつでも話せる。それにシュティーアには移住してくる職人達の相談相手になってやって欲しいんだよ。いくら職人といっても生活基盤がガラッと変わるんだ。何かと必要な物や不便なこともあるだろう。そういう時に世話してやって欲しい」


自分にしか出来ないことだと八雲に頼まれたその言葉にシュティーアは笑顔の花を咲かせて、


「―――はい!お任せください!/////」


そう元気に答えるのだった―――






―――八雲が住宅建築に汗を流している頃。


雪菜の誘いでヴァレリア、シャルロット、ユリエルの三人は雪菜の寝泊まりしている客間に集まっていた。


そこにはアリエス、レオ、リブラも同席している。


ヴァレリアは王女、シャルロットは公爵令嬢、ユリエルは聖女という、このオーヴァストでもかなり高位の重要人物であり美少女揃いである。


ヴァレリアとシャルロットは王族ではあるが、親の躾が行き届いており着替えや簡単な事なら自分達でこなしているような子達だ。


ユリエルもまた聖法王とオーヴァストの各地を巡礼した際に自分のことは自分ですることを独りで身につけており、正直アリエスまで必要とは思えないのだが、そこは王族や重要人物なのでそうした相手を任せても安心できるアリエス、レオ、リブラにヴァレリア達の身の回りの世話をするよう八雲が指示を出したのだ。


アリエスが姫達の世話係に就くことでノワールには、ジュディとジェナがお付きのメイドとなっている。


そして雪菜がこの乙女達を集めた理由が―――


「―――それで、皆はいつ八雲に抱かれたいの?」


「ブホッ?!コホッ!コホッ!……ちょ、エ?雪菜様?いま、なんと?/////」


突然振り切れた質問から入った雪菜の過激なガールズトークに思わずヴァレリアが紅茶を吹き出しかけた。


「だから、皆はいつ八雲に抱かれたいと思ってるのかなって♪ ねえ、いつ?」


「……それは、やはり……その……/////」


「―――抱かれるとは、ギュッとしてもらうことでしょうか?雪菜お姉さま」


シャルロットは既に雪菜をお姉さま呼びすることを許してもらっていて、ヴァレリア、ユリエルも雪菜は呼び捨てでいいと言ってあるが、ヴァレリアは雪菜が白神龍の御子である以上、『様』は付けると譲らなかった。


ユリエルは雪菜さんと呼ぶことにしている。


「チッチッチッ!違うよ!シャルちゃん!それはね、男の子と女の子が結ばれて子供を作る行為のことだよ♪」


「―――子供!?赤ちゃん……/////」


それを聞いてシャルロットもようやく理解したのか、家庭教師から聴いた保健にあたる授業を思い出してしまった。


いくら箱入り娘といっても一般的な知識を持たないまま表に出すわけにはいかないと、アンヌが率先して教育を行っていたため、どういう行為をすれば子供が出来るかの知識はシャルロットも認識している。


「ちょっと、雪菜さん!?いきなりどうしてそんな話になったの?」


「え?アハハッ!いやぁ、ちょ~っと気になっちゃって♪ て、いうかユリエルは日本にいた時には彼氏とかいなかったの?」


「ふぇっ?!か、彼氏なんて、別に、いなかったけど……/////」


「ふ~ん、そうなんだね。私は話した通り八雲とは幼馴染でずっと一緒にいて、学校も一緒でお互いの初めての相手同士でもあるんだよ」


突然の雪菜の告白にヴァレリア達のみならず、アリエス達まで呆気に取られる。


「そ、そう……なんだ。なんだか羨ましいな……」


ポソリとそう呟いたユリエルに雪菜は問い掛ける。


「ユリエルは日本にいる時、どんな子だったの?」


そんな質問は八雲にもされていなかったユリエルは少し驚きながらも、雪菜には悪気も嫌味もなにも感じない。


ただ純粋に質問しているのが雰囲気から何となくユリエルに伝わっていた。


「別に普通の女子校生だったよ。でも、私向こうではハーフだったの」


「―――ハーフ!そうなんだぁ♪ 因みにどちらのお国で?」


「父がイギリス人で母が日本人だったの。だから生まれた時から髪は金髪だったし、瞳も蒼かったから小さい時はよく揶揄われていたの」


「ああ~あるあるだねぇ……」


そこで話を聴いていたシャルロットが疑問を口にする。


「ユリエルお姉さまはいまも金髪で瞳は青っぽい色ですのに、どうして揶揄われたのですか?」


実際にはユリエルの瞳は紫掛かった色をしている。


「えっと、それは……」


ユリエルはシャルロットの質問にどう答えるべきか考えていたら、そこで雪菜が割って入る。


「シャルちゃん。それは私の故郷だと皆、私みたいに髪が黒くて瞳も黒かったの。逆に今の私や八雲はこの国で目立っちゃうでしょう?それと同じことなの」


「ああ!そう言われますと、確かに目立ってしまいますわね。ユリエルお姉さま、変なことを訊いてしまってごめんなさい……」


「ううん!気にしないで!それに転生する前のことだから、本当に気にしてないの」


余計なことを訊いてしまったと沈んだシャルロットに笑顔で答えるユリエルを見て、今度は雪菜が話し出す。


「そうだ♪ ねぇ皆、八雲の昔の話―――聞きたくない?」


ニヤリとしながらそう言った雪菜をヴァレリア達のみならず、アリエス達までビクリ!として雪菜に注目する。


「おお!良い反応するねぇ♡ 皆のそういう素直なところ好きだよ♪ それじゃあ、何から話そうかなぁ~♪ うん、まずは―――」


そこから、八雲のいない間に雪菜の『八雲昔話』が始まり、これが後々にノワールや他のメイド達の耳に入り挙って雪菜の部屋を訪ねてくるという結果に繋がっていくのだった―――


そうして八雲との思い出を話し終えた雪菜は、この集まりの本当の目的を乙女達に話す。


「ねえ皆♪ 八雲と早く結ばれたいよね?だったらさ―――まずは練習♡……してみない?」






―――雪菜が乙女達と『八雲とイチャイチャ計画』を勧めているその日、また夜が来る。


昨晩と同じく、八雲は葵を連れ立ってあの天孤を捕らえている『空間』に入った。


目の前には相変わらず魔神拘束イーヴァル・バインディングで粘液と触手で拘束された天狐がいるのだが、昨日とは様子が違っている。


「あ―――!あ―――!……かせてぇええ♡ 今度こそ!今度こそぉおお!!!/////」


昨日まで殆ど眠ることも許されず、あれほど強制的な快楽に襲われて、何度も気絶を続けていた天狐は、今日は会ってすぐに快楽が欲しいと全身をくねらせて懇願してくる。


(あああ!!!昨日まであんなに攻めてきたくせにぃい!!/////)


何度も何度も無理矢理され続けてきた天狐は今日になって媚薬と過敏薬は投与されながら、束縛されているのに身体への刺激が動かない状況に思考がグチャグチャになっている。


「あれほど嫌だと言っていたから、今日は朝から希望通りにしてやったのに、我が儘なヤツだなぁ」


天狐の目の前に立ち、見下ろしている八雲がそう言い放つと、


主様ぬしさまのご厚意を無下にするとは、まだまだ躾が必要か?天孤よ」


何故今は天狐が快楽を求めるのか―――


それは、今日の朝から八雲は魔神拘束イーヴァル・バインディングで媚薬と過敏薬は投与しているが、その他の触手には殆ど仕事をさせていないからだ。


緩慢になった動きの触手達では刺激は得られない。


だが、それでも気絶しそうになると、触手はその緩慢な動きすら停止して、天孤はその過敏になり媚薬で淫らになった身体をずっと焦らされているのだ。


「あああ!どうして!なんで動きを止めるのぉおお!!!もう少し……もう少しでぇえええ!!!!!/////」


口からは涎を垂らし、身動きの取れない身体で、それでも触手に少しでも触れようと動かそうと腰をグイグイと前後に動かせるだけ動かしてみるが、天孤が求めるほどの快感は得られない。


「のう、天狐よ。そのままでは苦しかろう?昨夜お前もその目で見たはずじゃ。あの主様の逞しいモノをお主が受け入れて、何度も何度も寵愛を受けることを想像してみよ。どうじゃ?それはもう、今まで感じたことのない快楽を与えてもらえるぞ」


葵が血走った目で絶頂を求める天狐の耳元で優しく囁くと、天孤の視線は目の前に立つ八雲に釘付けになる。


そんな天狐がボソリと……


「……しい」


「ん?なんじゃ?はっきり大きな声で述べよ」


「……ほしい」


「ほれ、主様の耳にはっきりと届くよう、言うのじゃ!」


葵の煽るような言葉に最早まともな思考が出来ていない天狐はついに我慢が出来ず―――


「―――欲しいぃい!もうしてよぉお!!もう我慢出来ないのぉおお!もうなんでもするからぁあ!私に下さいィイイッ!お願いぃいいいい!!!/////」


―――と空間内に天狐の絶叫が響き渡った。


それは天狐の渇望の声であり、もはや八雲の足元にひれ伏すことに対して微塵の矜持も、天狐には存在していなかった。


「―――名のれ」


八雲は初めて名前を問うその静かな声に―――


「ハァハァ……し、白金しろがね


―――天孤は白金と名のった。


八雲はその頭に手を置いて銀色の長い髪を撫でると、それだけで感じてしまうのか、


「んうう♡♡♡ハァハァ……は、早く!早く私にィイイ/////」


もはや雌の蕩けた懇願する瞳を向け、崇めるように八雲を見上げている。


「卑しいことを主様に申すな。主様の精を頂きたいのであれば、それ相応の懇願の作法があろう」


「ハァハァ……さ、作法?」


すると葵は拘束された白金の耳元に唇を近づけると、なにかを囁き出し―――


「ッ?!―――な、なんだと!?/////」


―――葵の言葉を聞いた白金は顔を赤くしながら仰け反って驚きの声を上げる。


「お主が言わぬなら、妾がそれを言って主様に精を頂くことになるぞ?」


葵は白金になにかを囁いたあとスルスルと自分の巫女服を脱ぎ捨てていくと、その姿を見た白金が―――


「いや!待って!……分かった!分かったから!だから、この術を解いて……くださいませ/////」


葵に確認すると黙って頷きながら、その手には黒鉄扇=影神楽を握っているので八雲は魔神拘束イーヴァル・バインディングを解除する。


数日間拘束され続けていた白金の周りから遂に厭らしい粘液が姿を消し、異空間の床には白い肌の裸体を晒した白金だけが残った。


すると白金はゆっくりと仰向けになって足をM字に大きく広げる―――


「ぬ、主様、どうか、この卑しい女狐に、主様の貴重な子種を、ハァハァ、お恵み下さいませ/////」


(ああ……とうとうこのような卑猥な言葉まで口にしてしまって♡ それでも、私は……この雄に無茶苦茶にされたい♡ もうどうなっても……いい♡/////)


その言葉に八雲は無言で服を脱ぎ捨てる。


「ああ♡ なんと雄々しいのか♡ ああ!早く!主様!白金に!主様の好きにしてくださいませぇええ♡/////」


もう一秒も待てない白金は腰を浮かせて上下左右に振りながら八雲を誘う。


「ああ、今すぐ楽にしてやるぞ」


そうして身体を重ねていく八雲―――


―――そこから白金は記憶も飛ぶほどに快楽に包まれていく。


そんなふたりを見ながら葵は―――


―――白金の下腹部に眷属の確かな証しである『龍紋』が淡く輝きながら刻まれるのを確かに見届けて微笑みを浮かべていた。


(―――やっとしてもらえたぁ♡ これで、主様のモノぉになれたぁ♡ ああ、こんな、堕ちるのって……最高ぅ♡/////)


完全に撃ち砕かれたその矜持の代わりに、白金は八雲への忠誠と下腹部に『龍紋』を手に入れたのだった―――




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