「―――や、八雲君……私、もうダメかも♡/////」
顔を真っ赤にして熱い吐息を漏らすユリエルと、そんなユリエルの胸をベビードールの上から優しく揉んでいる雪菜が艶のある笑みを浮かべて八雲に近づく―――
「待たせ過ぎたか?悪かったな」
金色のセミロングの美しい髪をしたユリエルは白いレースベビードールに白い下着姿だ。
そして艶のある黒髪ストレートロングの雪菜は黒いレースベビードールに黒の下着を身に纏っている。
八雲はそっとユリエルの金髪を撫でながら問い掛けると、
「ううん!違うの。その……何て言うか……シャルロットちゃんとヴァレリアさんのふたりを見ていたら……私も、早くして欲しいなって/////」
「うふふっ♪ ユリエルはシャルちゃんとリアちゃんを見て嫉妬しちゃったんだよね♡」
「ちょ、ちょっと!雪菜さん!?でも……そうなの……かな?私、八雲君と出会うまでは、向こうの記憶も失っていて、養ってくださったお祖父様について神様に祈り続けてきたから、恋愛感情ってよく分かってなかった」
「ユリエル……」
さっきまで揶揄うような瞳をしていた雪菜が今は同じ年頃のひとりの女の子を労わる様な、慈しむ様な表情で見つめている。
「でも、あの時……八雲君と出会って向こうの世界にいた頃のことを思い出して向こうに残してきたお父さん、お母さんに会いたいって気持ちが溢れてきて……本当なら絶望して自暴自棄になりそうなんだけど、そうはならなかった」
そこで俯き加減だったユリエルが顔を上げた。
「お祖父様がいて、フォックで良くしてくれた皆がいて、そしてなにより八雲君がいた。私は自分がどうしてこんな目にあうんだろうって思い返したこともあったけど、そんな気持ちなんかを吹き飛ばしてくれるくらい、私に幸せを伝えてくれる人達がいてくれたことに今は心から感謝しているの」
八雲と雪菜は黙ってユリエルの言葉を聴いている。
「だから、同じ世界から来た八雲君に出会えて幸せです。そして同じ世界から来た雪菜さんに出会えて幸せです。そして、これからはふたりと家族になれることが本当に幸せだって伝えたかった」
「俺はもう向こうの世界に家族はいない。だからこっちに飛ばされて初めは戸惑ったけど、受け入れるのも早かったんだ。でも、ユリエルに出会って雪菜と再会できて、もしもこの先ふたりと離ればなれになるようなことがあったら、その時は立ち直れる自信がない」
「もう!―――らしくないよ!八雲!私が白金に誘拐されそうになった時、真っ先に助けにきてくれたじゃない!だから私は……ううん!私達は絶対に八雲と離れたりしない。助けてもらってばかりになっちゃうかもだけど、それでも八雲の傍にいたいよ」
「いや……きっと助けてもらっているのは俺の方だ。だから俺は全力で俺の家族を守る。きっと先に逝った祖父ちゃん達もそれでいいって言ってくれる気がするんだ」
「そうだね♪ お爺ちゃんなら絶対、「家族を作ったなら責任を取れぇ!」とか言ってそうだもんね♪」
雪菜が八雲の祖父の口調を真似たつもりの台詞を吐くと、
「微妙に似てるのが逆に引くわ……」
と八雲は笑いながら、そう雪菜に返した。
そこでユリエルが八雲の胸板に飛び込んでくる。
「おう!―――どうした?」
驚いた八雲がユリエルの頭に手を置いて撫でてやると、
「ううん……やっぱりこれって、嫉妬なのかな?ふたりしか知らない話を聴かされていたら、何だか無性に八雲君にくっつきたくなったの/////」
その言葉を聴いて八雲と雪菜は顔を見合わせた後、
「ユリエル―――可愛い!!」
と声を合わせてユリエルを抱きしめながら、メチャメチャ可愛がった―――
―――それから一頻り可愛がられたユリエルはいつの間にか八雲と雪菜に押し倒されていた。
「もうこれは全力でユリエルを抱くしかない」
「―――安心して♡ 私はあくまでサポートだから♪ ここからはユリエルが主役だよ♡/////」
「あの、ふたりとも。なんだかとっても不安なんだけど?」
本気モードに突入した八雲と雪菜にユリエルは気圧されてしまうが、ふたりはそんなことはまったくお構いなしだ。
ユリエルを挟むようにして左右に分かれた八雲と雪菜。
まずは八雲がユリエルにそっと口づけを交わす。
「ん……んん♡……あん……/////」
口づけをしては少し離し、また口づけをしては離してを繰り返していきながら、徐々に口づけをしている時間を長くしていき、そしてゆっくりと舌先を触れ合わせて絡めるまでになった。
「んん……んちゅう……/////」
お互いに柔らかな舌の感触を味わい、そうしている間に雪菜はいつの間にかユリエルのベビードールの紐を解いて脱がせていき、彼女をブラとショーツだけの姿に変える。
雪菜の手際を確認して八雲はディープキスをしながら、そっとブラのホックを外して、そこには白い肌の綺麗な形をした豊かな胸が現れた。
「あうう……やっぱ、これは恥ずかしいね/////」
ダンジョンで服を溶かされたときに見られてはいるものの、こうして寝室のベッドで見られるのとはわけが違う。
ユリエルは敬虔なシスターであり、フォック聖法国においては聖女と呼ばれる立場なのだ。
養女とはいえ聖法王の孫という立場であり、男性の前で素肌を晒すことなど当然いままでにはなかった。
それ以前に転生する前のユリエルはイギリス人の父と日本人の母のハーフとして生まれ、容姿も美しく子供の頃からたくさんの男子に告白されていた。
だが当時のユリエルにとって、恋愛感情というものがわからず、誰とも付き合った経験もなくその一生を終えてしまった。
そしてその記憶も封印されたまま八雲と出会い、その頃の気持ちが戻ってきたことで地聖神の奇跡を引き起こす鍵となった八雲のことが自分でも驚くほど気になってしまった。
シャルロットやヴァレリア達と違い、どうしても現代日本の知識や余計な照れが邪魔をしてきていたが、今夜ついに八雲と結ばれるところまで来て、もう自分に素直になろうと誓った。
胸を隠していた両手をスゥーッと下ろしていくと、八雲がその曝け出された胸に手を伸ばす。
「ん!……あ……はぁ/////」
触れられる瞬間にキュッと目を閉じてしまったユリエルだが、それが余計に五感を研ぎ澄ませてしまい、触れられた肌の感触がより鮮明に脳へと伝達されてくる。
するとユリエルの身も元にくすぐったいくらいの吐息がかかって、
「大丈夫だよ。八雲はユリエルの嫌がることや痛いことなんて絶対にしないよ」
雪菜がそう言ってユリエルの手を優しく握りながら身元で囁いてくれた。
瞳を開くと、そこには笑顔の雪菜が自分を見つめている。
(―――ああ。本当にこの人は可愛らしいな。誰よりも八雲君のことを知っていて、それでも独占したりせずにこうして私達のことも包みこもうとしてくれている……きっと本当の聖女は彼女みたいな人のことを言うんだわ)
それは嫉妬などではなく、ユリエルはただ雪菜のことを敬う気持ちがいっぱいになっていた。
胸の周囲を堪能するように触れていた八雲は、『神の手』スキルを纏った指で突っついてみると、
「ヒャアア?!エッ!な、なに?いまのは……/////」
「それは八雲の『神の手』っていうスキルだよ。相手の身体に触れるだけで快感を与えてくれるの♪」
八雲の代わりに雪菜が説明する。
「そんな反則的なスキルがあるの!?触れられただけで意識がもっていかれそうだったんだけど……背徳的すぎるよ/////」
「意識をもってイクためのスキルなんだけど?強さの調節は出来るからそんなに強くは使わないよ」
「う、うん……わかった」
そうして再び胸をその指先で揉まれると、意識して保とうとしてもやはり快感が先走る。
「んん♡……はぁ♡ あん……これ♡ ん、あっ!す、すごいよぉ/////」
シャルロット、ヴァレリアと同様に国では高貴で重要な立場にある聖女が目の前で見悶えている……そう考えると八雲の背中にはゾクリと背徳感が走ったが―――
「ダメだよ?八雲。ユリエルは女の子なんだから」
―――そこで雪菜の言葉で我に返る八雲。
雪菜は八雲がヴァレリアのときのように余計な趣向に走らないよう、諫めてくれたのだ。
「ああ、分かってる。ありがとな、雪菜」
「エヘヘ♪ 私も、この後に、待ってるんだからね♡/////」
「―――結局それが目的かよ!勿論やりますけど!」
ふたりのやり取りを聞いていて、ユリエルが思わず吹き出してしまう。
「ふふっ♪ ゴメンナサイ。ほんと仲がいいよね。ふたりとも」
「あら♪ ユリエルもこれからもっと仲良くなるんだよ?そのためにも、まずは八雲に初めてを受け取ってもらおう♡」
雪菜の言葉に頬を赤らめながら黙ってコクリと頷くユリエル。
これまで神に仕えてきた自分がこうして性欲を現わしていることが恥ずかしくなったユリエルだが、救いと言ってはなんだが、この世界の修道女は普通に結婚をしている。
元々の世界のような戒律や規律などといったものはなく、夫婦生活を営みながら修道女として神に奉仕するのが当たり前の世界なのだ。
「ユリエル、お前の初めてを俺が貰う」
すると朦朧とした意識の中で、ユリエルの口から―――
「ハァハァ、は、はいぃ、や、病めるときも、健やかなるときも、ハァハァ、あなただけを愛することを、誓います/////」
「俺もユリエルを愛することを、誓います」
「ンアアアァア―――!!!/////」
―――こうして聖法国の聖女と結ばれた八雲。
こうして、ユリエルの下腹部にも『龍紋』が浮かび上がった―――
だが、それと同時に今度は八雲の胸が突然、光り輝くのだった―――
―――部屋中に広がる眩しい輝き、
その中心である八雲の胸板には何か紋章が浮かび上がってくるのが見えた。
「―――こ、これは!?」
「なに!?何が起こったの!?」
突然の出来事に目を丸くする八雲と雪菜だったが、やがてその光は収まって八雲の胸の中央に刻まれた『紋章』だけが残った……
『龍紋』と比べると一回り小さな丸い紋章だが、八雲はそれを見たことがない。
「なんだったんだ、一体?」
「その紋章、どこかの本で見た覚えがあるような……」
雪菜がこちらで見せてもらった文献などの記憶を呼び起こそうとしているところに―――
「ハァハァ……ハァハァ……そ、それは、地聖神様の『神紋』……」
激しい絶頂から意識を取り戻して、八雲の胸に刻まれた『神紋』と呼ばれる紋章を見てそう告げるユリエルを八雲と雪菜が見つめる。
「その『神紋』てのは何なんだ?なにか意味があるのか?」
「……神紋は四柱神様達がそれぞれ自身の力の源を書き表した紋章とだけ伝わっているけど……具体的にどういった効果や力があるのかは分からない……/////」
恍惚とした表情を浮かべるユリエル。
「ねぇ八雲。ステータスは何か変化とかしてないの?」
雪菜の言葉に八雲は己のステータスを見てみるが、
「いや、まったく変化なしだな……『神紋』の項目すら出てない」
するとユリエルが―――
「もしかすると……これはあくまでもかなり強引な推論だけど、八雲君に四柱神すべての『神紋』が集まったら、なにかが起こる……とか?」
「なにその摩訶不思議なアドベンチャーみたいな予感……何でも願いが叶えてもらえるとか?」
「コギャルのパンツとか?」
「―――誰がいるか!そんなもん!」
「あはは……でも、あの時に地聖神様がふたりを引き合わせてくれたのは、この『神紋』を八雲君に渡したかったから、じゃないのかな?今思えばそんな気がするよ」
「確かに……まぁ、明日ノワール達にも相談してみよう」
「そうだね♡ それじゃあ!八雲はこれから私と、だよ?いいよね♡/////」
「俺の『絶倫』スキル、知らない訳じゃないだろ」
そうして雪菜を押し倒して、八雲は本領を発揮するのだった―――
―――静かに寝息を立てる四人と共に、八雲も眠りについたのだった……
「明日は、いや、もう今日か……ノワール達にこれのこと訊いてみよ……」
そう呟きながら、八雲は瞼を閉じていった。
こうして姫達の初夜は明けるのだった―――