目次
ブックマーク
応援する
6
コメント
シェア
通報

第150話 女教師に魅せられて

―――アマリアの突撃があった日の学園からの帰り道


「黒帝陛下の屋敷は突然一晩でそこに現れたと聞いたが、本当だろうか?」


既に噂となっている八雲の屋敷について問い掛けてくる―――


「―――ああ、本当だぞ」


「それを魔術で建てたというのは本当だろうか?」


「―――ああ、本当だぞ」


「黒帝陛下はあの『災禍戦役』で数万の兵を圧倒的な力で倒したと聞いたが本当だろうか?」


「……そのことは話したくない。戦死した者達に失礼な話だ。お前の国の兵士もいたんだぞ」


「あ、そうか……無礼な物言いを詫びよう。少し調子に乗り過ぎてしまって……」


アッサリとその件については謝罪してきたことに八雲は少し驚いたが、


(根は素直な子なのかも知れない……いや、そうだといいなぁ……)


最後は少し希望的観測を願っていた。


屋敷を目指して共に歩むのはヴァレリア、シャルロット、ユリエル、雪菜、ブリュンヒルデにヘミオスとコゼロークとアマリア……


傍から見れば美少女の集団に男ひとりのハーレムタイムに見えるだろうが、アマリアのことはどう扱えばいいのか判断がつかない八雲はムウッと考えながら家路を歩む。


―――すると、


街路樹の続く歩道の途中で八雲達に向かって、どうやら俗にいうチンピラ風の男達が道を塞ぐ―――


「よぉ~♪ お嬢ちゃん達ぃ~♪ みんなスゲェ可愛いじゃん♪」


「ねぇねぇ♪ 俺ら街で自警団してるんだけどぉ、よかったら俺達とこれから呑みに行こうぜぇ♪」


「ウヒョオ♪ マジで可愛い子ばっかじゃん!―――どうよ?俺達がお嬢様じゃ経験できないような気持ち良いこと教えてやるぜぇ~♪」


「グヒィッ♪ いやいやそんなこと言ったらお嬢さん達が怖がっちゃうでしょう?」


「おい、そこの細ちょろい男!サッサとお前はママのところに帰っておっぱいでも吸ってろ!!」


五人の男は道を塞いでそんな下衆な暴言を投げ掛けてくるがヴァレリア達は身体をキュッと固めて後退り、八雲の後ろに隠れた。


前に立つのは八雲とブリュンヒルデ、そしてアマリアだった。


【―――ヘミオスとコゼロークは手を出すな。皆を護衛しといてくれ】


『伝心』でそう伝えると、


【―――了解だよ!兄ちゃん!】


『伝心』では普段の口調でヘミオスが返事をして、コゼロークは黙ってコクリと頷いていた。


「さて、それじゃあこのゴミ共を―――」


―――八雲がナンパ集団を片付けようと思って前に出ようとした時、


先に前に出る影がある―――


「私は確かに可愛いだろうが、少なくともお前達のような街のゴミの相手をしてやるなど―――たとえ白金貨を積まれてもごめんだね!!」


―――飛び出したのはアマリアだった。


(ワァオッ……いきなりホントのこと言って、あいつ等のこと煽りにいっちゃったよ……)


突然前に出たアマリアに生意気な口を叩かれて、顔がピクピクし出すチンピラ達―――


「おいおい、ねえちゃん随分威勢がいいじゃねぇか?もしかしてそこの男の子きゅんに助けてもらえるとか思ってる?そこの彼さっきから黙りこくって、なぁんにも言ってこねぇんだけどぉ?」


―――八雲の方をチラチラと見ながらそう大声でアマリアに伝えるチンピラに、


「ああ?―――臭ぇえ息吐きながら喋りかけんな!お前の口……ゴキブリの臭いがするんだよ」


(―――どこのヤンキーだよ!?ホントにお姫様なんだよね!?)


と、心の中でツッコミを思い浮かべる八雲を横に啖呵を切ったアマリアにヒクつく笑顔のまま、一人目のチンピラが無言で拳を放つ。


一応いつでも止められるように 『思考加速』 と 『身体加速』 を発動している八雲だったが、驚いたことにアマリアも 『身体加速』 を発動していることに驚愕する八雲。


スローモーションのように見える 『思考加速』 の中で 『身体加速』 を発動しているアマリアが、八雲に向き直って片目を瞑りウィンクを飛ばしてきたのだ―――この間0.0003秒。


(コイツ、俺が 『身体加速』 と 『思考加速』 を発動したことに気づいていたのか!)


龍の牙ドラゴン・ファング達や紅の戦乙女クリムゾン・ヴァルキリー達以外でここまで高い潜在能力の女性は珍しい。


―――そう考えた八雲が見守る中でアマリアはそのまま前に向き直って、ゆっくりと接近してくるチンピラの拳を掌で受け止めたかと思うと、


「ウギャアアア―――ッ!!!」


殴ってきたチンピラの拳をパシッ!と音を立てて受け止めた掌を、絶妙のタイミングで捻り上げ、殴ってきた勢いがそのまま男の肘にフィードバックされ、手首、肘、肩の関節まで衝撃波が走ると肩から外れて砕けた上腕骨が腕から突き出して肩口に異様な骨の出っ張りが目に見えて膨らんでいた。


(驚いた……喧嘩っ早いお姫様って訳じゃない。今のは間違いなく武術の心得がある動きだ……)


目の前で腕から骨が飛び出すほどボコンと膨らみ、その異様な形の腕と激痛で藻掻いている男がいても、眉一つ動かさないアマリアに八雲は戦慄を覚える。


ヴァレリア達は見ないようにとブリュンヒルデから告げられて、その惨状から目を背けていた。


「イデェエエ―――ッ!!!!ほ、骨がぁああ!!!!」


「お、おい!!しっかりしろ!!!―――おい!テメェええ!!!こんなことしてタダで済むと思ってんのか!!!」


ふたり目の男が同じく殴り掛かっていくがアマリアは首を軽く横に振って拳を躱すと相手のその右手首を掴み、逃げられなくしたところで左脚による回し蹴りを相手の側頭部に撃ち込んだ。


勢いで倒れた男の背中に乗って手首を掴んだ腕を跨ぐと一気に逆関節をキメて―――バキリッ!と激しい音を立てて折った。


そんな激しい動きによってアマリアのプリーツスカートが捲れ上がり下着が一瞬八雲の位置から丸見えになる。


(―――ピンク!?てか俺にだけ見えるようにして動きやがった!コイツ……ごちそうさまです)


「アギャアアア―――ッ!!!!!」


腕が強制的に逆に折れ曲がった男は、ひとり目と同じく地面に転がり、これで残りは三人になった。


「コ、コイツゥうう!!!おい!一斉に掛かるぞ!!!」


(―――おいおい!女の子相手に三人掛かりとか情けないと思わないのか?)


そう嘆く八雲だったが、アマリアの言葉は更にその上をいく―――


「女相手に三人掛かりとかお前等金玉ついてんのかぁあ!!オラァァアア―――!!!!」


「―――ちょっと君?お姫様だよね?!?誰にそんな言葉教わったの!?」


「オヤジにだぁあ―――ッ!!!」


怒号を上げたアマリアの拳が三人目の男の顔面に向かって走る。


男の顔面に突き刺さるアマリアの拳の勢いで、歩道の端まで吹き飛ばされた。


「レオォ―――ン!!!」


(あの親父!自分の娘になんて言葉を教えてんだよ!?)


顔面を殴られた男の左右から襲い掛かってきた四人目、五人目のチンピラの目には、目の前にいたアマリアが突然掻き消えたように見える。


「へ?―――ッゴバァアア!!!」


「どこへ―――ッンゴオオ!!!」


直後に顎の下から掌底をくらい変な声を上げて空中に飛ぶチンピラ達はスローモーションのように宙を舞い、そして激しく頭から地面に落ちていく。


立つ者が誰もいなくなった歩道に、唯ひとり腕を組み勝ち誇った顔で男達を見下ろすアマリア。


その場には男共の呻き声が響いていた……


「……あれ?珍しく俺の出番なくない?」


こうした揉め事には必ず中心になっている八雲がこの状況に戸惑っていると、


「いや、そういう時もあるんじゃない?知らんけど」


と、静かに告げる雪菜からの言葉である意味トドメを刺された……






―――それから、


浮遊島の警備隊が現場に駆けつけるのにそう時間は掛からなかった。


普段からしっかりと訓練しているのか、それともこんなゴロツキの事件が多いのかは八雲には分からないが、とにかく迅速な対応が取られたのはグループの中にブリュンヒルデがいたことが大きい。


警備兵達はブリュンヒルデの顔を見るや否や、問答無用でチンピラ五人を引き摺ってビシッ!と敬礼をしてその場を去って行った。


「―――事情も訊かないで、どうなってんだ?」


ブリュンヒルデに問い掛ける八雲に彼女は笑みを浮かべながら、


「イェンリンだろう。この間のダンジョンの件もあるし私達にそれとなく警護をつけているのは気づいていたんだろう?」


「―――ああ、あの『先駆者』の部下達なら安心だろうから目を合わせたりしていないさ」


「やはり気づいていたんだな……ヒルドが今度は精鋭を差し向けるとか言っていたが、気づかれていたのを知ったらまた悔しがってしまう」


「それじゃあそのことは、ふたりだけの秘密にしよう」


「―――ふ、ふたりだけの!?……んん!そうだな、分かった/////」


赤くなったブリュンヒルデに首を傾げた八雲だが雪菜とユリエルは顔を見合わせて、ハァ~と溜め息を吐いていた。


そうして屋敷に辿り着くと、エントランスに入ってすぐに見える大きなガラスへ向かっていくアマリア。


「なんだこれは!?すごい!!こんな大きなガラス窓見たことないし!それに中庭も綺麗だなぁ♪」


食い入るようにして窓に貼り付くアマリアに思わず笑いそうになっていると、


「―――帰ってきたのか?んん?誰だ?そいつは?」


そこにシェーナ達を連れたノワールがエントランスに現れた。


「ただいま、ノワール。この子は―――」


「ノワール様!?ということは―――貴女が黒神龍様なのですか!!!」


八雲が紹介するよりも先にノワールの前に走ってきて膝をつくアマリア。


「たしかに我は黒神龍ノワール=ミッドナイト・ドラゴンだが、お前は誰だ?」


「はい!私はエレファン獣王国改め、エレファン公王領の先代国王レオンの娘、アマリア=天獅・ライオネルと申します!」


「レオンの娘?―――ああ、たしか留学しているとか何とか言っていたな。それで?今日はどうしてここにいるのだ?」


すると、ノワールの問いにアマリアは深々と頭を下げて、


「父と兄より黒帝陛下に嫁ぐよう命じられました!しかし、私は自分の認めた男しか夫にするつもりはありません!」


オーヴェストの象徴たるノワールを前にしてハッキリとした言葉で伝える。


「ふむ。たしかに一国の姫としては親の決めた相手と結婚するのが王族や貴族では当たり前の世界だ。だが我はそのような世情には一切関わっておらん。故にお前がどうしたいのかは、お前の自由だ。それで?親父に我から断りを入れろとでも頼みに来たか?」


静かに、そして穏やかに問い掛けるノワールにアマリアはバッと顔を上げて己の希望を告げる。


「いえ!違います!―――私が此処に住まい、九頭竜八雲という男を見定めることをお許し願いたいのです!!」


「八雲を見定めるだと?……フ、フッ!フハハハッ!……なかなかに面白いヤツだ。妻である我を前にして我の夫を見定めると言い放つか。よかろう―――好きにせよ」


「―――ありがとうございます!」


そう言ってアマリアはまた深々と頭を下げた。


突然の出来事に八雲達はポカーンと呆気に取られていたが、ノワールは八雲に向かってニカッと笑みを浮かべると、


「お前は本当に良い女を連れてくるなぁ♪ 本当に飽きることのない男だ!」


そう言って自分の足に纏わりついているシェーナ達を連れて、中庭の砂場と遊具に向かって行った。


ノワールにいきなり許可を貰ったアマリアを見て、八雲も彼女がただの暴れん坊姫様ではないことは感じ始めていた。


彼女の部屋はアリエスを呼んで案内させることにして、八雲達は夕食までは解散して休むことにした―――






―――ヴァレリア達と一旦別れて部屋に戻った八雲だが、


課題の件を思い起こし、何を創るかと頭を悩ませて何かヒントは得られないかと思い、学園から戻ってきていたクレーブスの部屋を訪ねた。


そして今回の課題の話しとアマリアの話しと、それからあの死神グリム・リーパーとラーズグリーズの話しをしていくうちに、学園から戻ったばかりで『女教師』スタイルのままだったクレーブスに八雲の我慢はすぐに限界となった―――


「―――あう…あん…ああ…や、やくも…さま…そこは…ダメ♡/////」


クレーブスの部屋で話していた八雲は我慢出来ずに、その『女教師』を後ろから襲うようにして抱き締め、タイトスカートを捲り上げた。


「こんなにもう……課題の相談をしている時から期待していたんですか?厭らしいですね、先生は」


「い、いや!それは……んん!……だって……/////」


後ろから伸ばした八雲の右手は白いボウタイブラウスのボタンを襟元から外していき、大きく開いた胸元からそのブラウスの中に手を伸ばすと、溢れんばかりの大きさに実った乳房を堪能する。


「こんな厭らしい恰好して教壇に立っていたら、きっと男子生徒の視線が集中しているでしょうね?先生」


「―――八雲様がこれを着ろとおっしゃったんじゃありませんか!/////」


「違うでしょう?先生。いまの俺は生徒なんだから、八雲君って呼ばないと」


「うう/////……や、八雲君―――んん/////」


顔を後ろに向けさせて強引に唇を奪う八雲に、初めは驚いていたクレーブスも、徐々に舌を絡め合い、唾液を交換することでトロンとした蕩け顔に変わっていく。


何度もお互いの舌が唾液を交換し、汗に蒸れ出した女教師は益々色気を湛えている。


その間にもフロントのホックを器用に片手で外して、たわわな胸がポロンと飛び出してくると、ディープキスを重ねながらも、その胸に手を伸ばしてゆっくりと揉み上げる。


「んん……胸、弱いのぉ……あんん……あう……あ、そこは、ダメ!ダメです!/////」


八雲の手の動きを敏感に感じ取ったクレーブスは、いつの間にか両手で胸を鷲掴みにされ、優しくゆっくりと揉まれながらも、接近される先端に意識が集中しだしていた。


「分かってる……先生の敏感なところ、いっぱい可愛がってあげるから―――」


―――そうして久々にクレーブスと身体を重ねていき、しかも自信をもって着せた『女教師』スタイルを堪能したことで八雲は満足感に満ち溢れていったのだった―――



この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?