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第186話 フォンターナ迷宮の攻略 前夜

―――ヴァーミリオン皇国を出航して三日目の夜


夕食を終えて皆が振り分けられた白龍城の客室に戻り、明日に備えて早めに休むことにした頃―――


八雲の寝室からギシッ!ギシッ!と小刻みに、しかし激しくベッドの軋む音が響いてくる……


「あっ、あっ、あっ、んんっ♡!―――あああっ!!!/////」


ベッドに横になり八雲に向かって愛らしい声を上げるのは、長いブロンドの癖毛をベッドに波打たせて真っ白な肌に玉の汗を滲ませながら、金色と赤色のオッドアイを八雲に向けて快感に打ち震える―――スコーピオだった。


その美脚にはいつもの黒いニーソックスに黒のガーターベルトを装着していてモデルのような美しさを漂わせる美女のスコーピオが、普段より更に色気を醸し出して八雲を視覚でも高揚させていた。


そんな八雲の右側から抱き着き、キスをしてきては舌を絡めるもうひとりの美女―――


「んちゅ、んん、次は俺の番だからな、八雲様/////」


そう八雲の耳元で囁いて肩よりも少し短めの金髪を揺らしながら蒼い瞳で見つめてくるのは―――サジテールだった。


―――ふたりには天翔船雪の女王スノー・クイーンでの移動中にマキシとセレスト、そして蒼天の精霊シエル・エスプリ達の監視役を頼んでいた。


八雲として心情では彼女達を信じたいところだったが、船にはヴァレリアやシャルロット達も乗っていたのだ。


万一にマキシやセレスト達が何か事を起こしてもすぐに対応出来るように、このふたりを監視任務に就けていた。


勿論そのことはマキシやセレスト達にも宣言していたことで、同じく紅蓮の紅の戦乙女クリムゾン・ヴァルキリーからも当然だが監視の目を出すように要請していた。


そうして無事に白龍城まで到着したことでふたりに労いの言葉を掛けにいった八雲にそれならばと、ふたりが望んだことが今夜の八雲の相手をすることだった―――


「ハァ!ハァ!―――ふたりとも、船では我慢させて悪かった! ありがとうな!」


ふたりにそう語りながらも腰の動きを止めることなく、スコーピオと交わる八雲。


『神の手』スキルの快感も合わさり、今にも果ててしまいそうなのを八雲と共にと思い何とか自我を保っているスコーピオ。


目の前のスコーピオの乱れ振りに女として切なくなっていくサジテール。


そんな美女ふたりの淫靡な瞳を向けられて、八雲の身体を熱いものがグツグツと昇り出し始めた。


「―――スコーピオ!!」


堪らず上半身を前に倒してスコーピオを抱き締めながら激しく腰をぶつけていく八雲に、スコーピオも保っていた自我が一気に白く染まり高まっていく―――


―――激しくぶつかり合う互いの肉体から響く音が部屋に広がっていく。


高まるふたりの間で突然、八雲の背後に快感が走った。


「サ、サジテール!?―――お前、どこでそんなこと、ウオッ!!」


背後に回ったサジテールがその舌を突き出して突然、八雲の背中に舌を這わせたかと思うと先を窄めた舌で八雲の身体中を舌で這わせ始めたのだ。


「―――気持ちいいのか? 八雲様/////」


八雲を舐めたり吸いついたりしながら問い掛けるサジテールの言葉は八雲の限界を導く。


「ああ!気持ちいいぞ!サジテール!もう、スコーピオ!ウォオオオ―――ッ!!」


「アァアアアア―――ッ!!!/////」


抱き締められて逃げ場のないスコーピオは、襲い来る快感の大波に八雲の腰に両脚を巻き付けてビクビク!と何度も痙攣を繰り返す―――


―――そして八雲を労わるように背中から優しくマッサージを続けるサジテール。


半白目を剥いていたスコーピオは意識が遠のきながらも小刻みに震えて快感を覚えていた。


「まったく、どこでそんなの憶えてきたんだ?サジテール」


「その……以前に雪菜様に……八雲様が喜ぶからって/////」


顔を真っ赤にして俯きながら恥ずかしがるサジテールに八雲は頭をポンポンとしながら、


「気持ちよかったよサジテール。さあ―――次はお前の番だ」


そう言ってサジテールの上に圧し掛かっていく―――






「あっ、八雲様!あっ、ああっ、ンンッ!!アァアアアア―――ッ!!!/////」


すでに準備万端のサジテールに重なる八雲―――


「―――サジテール!」


八雲の問いかけに思わず恥ずかしくて反発しようとしたサジテールだが、何故か正直に―――


「……はい♡////」


―――と、可愛らしく答えてしまう。


これはLevelの上がった八雲が新たに手に入れたスキルのひとつ―――『調教』スキルが密かに発動していたことによる。


俺っ娘であるサジテールやスコーピオが、八雲に抱かれている時は女としての可愛らしい反応や従順な態度を取って、あまつさえサジテール自ら八雲を攻めるような行為を行ってきたのは、このスキルによる効果が発動している。


『神の手』 『絶倫』 『完堕ち』 そして新たに取得した『調教』スキル……


本来、この『調教』スキルは敵意のある者に効力を発揮させるスキルであり、それは魔獣や魔物といったものを『調教』することが出来る能力である。


八雲自身は使用していないがステータスには召喚サモンの魔術も取得している。


だが、『調教』済みの魔獣などがいないため、八雲の《召喚》に応じる魔獣はいないのが現状だ。


因みに胎内世界でレオやリブラが行っている《召喚》はノワールの胎内世界にいる魔物を『調教』関係無しに召喚出来る。


そのため召喚した魔物が召喚者のいう事を聴かないというリスクは発生するが……


―――息の荒いサジテールを八雲は上から包み込むようにして抱き締める。


「―――今からもっと気持ちよくするからな。いっぱい感じてくれ、サジテール」


耳元で八雲にそう囁かれただけで、サジテールの下腹部は甘い疼きを感じていた―――


―――そこから浅く、深く、あらゆる角度で動く八雲に、サジテールは何度も何度も意識が飛んでいた。


「あっ!また、ンアァアアア―――ッ!!!/////」


激しくなっていく八雲の動きにサジテールは何度も何度も快感に打ち震える。


だがそれでも、八雲は動きを止めない―――


快感で頭の中がボォッとしたサジテールの懇願に合わせるかのように、八雲の背中にヌメヌメとした感触が走った。


「スコーピオ!?―――お前もか!?」


以前まではそんな扇情的な行動を取らなかったふたりの変わりように驚く八雲だったが、今はサジテールのことしか頭にない―――


そうしているうちにスコーピオが八雲の背中に舌を伸ばして、チロチロと舐め上げる。


「うおおっ!いいか!!サジテール!!!」


「ハアァアアア―――ッ!!!/////」


大きな声を上げてから余韻に浸っていたサジテールがビクビクと反応して震えていく―――


「―――明日はダンジョンに行くから……あと一回ずつしたら、休もうか」


―――ここで終わらずにもう一回抱いてもらえる。


その八雲の言葉に徐々に『調教』スキルの影響を受けているふたりは、


―――「はい♡♡」と声を揃えて、まるで瞳にはハートマークが浮かんでいそうだった。


その艶のある笑みを八雲に向けて擦り寄ってくるのだった―――






―――そうして、もう一度ふたりを抱いた八雲。


浴室で皆揃って汗を流してから再びベッドに並んで横になる。


「―――なあ御子、明日はどう動けばいい?」


徐に八雲に問い掛けるスコーピオの頭を腕枕している手で撫でる八雲がスコーピオの方に向いて答える。


「ふたりとも明日からは俺の傍で迷宮攻略に力を貸してくれ。サジテールもバルバール迷宮に潜っていた期間が長かったし、ダンジョンについて不慣れな俺に色々教えて欲しい」


「承知した。スコーピオ、御子の御身を護ってみせます」


「―――俺も八雲様が危険な目に合わない様に全力で護衛しよう」


ふたりの頭をそっと撫でる八雲にサジテールが問い掛ける。


「もう……マキシ=ヘイトの監視はいいのか?」


少し心配気な表情で八雲を見つめながら問い掛けるサジテール。


「ああ、あいつの事はもう白い妖精ホワイト・フェアリー達に任せようと思ってる。此処は白龍城だし白い妖精ホワイト・フェアリー達もマキシが何かしないかは警戒くらいしているだろう。ブリュンヒルデ達もいるから。だから明日からの攻略はふたりには俺の傍にいて欲しいのと、第二階層までは雪菜の様子も気に掛けておいて欲しい。俺も注意しておくけど、あいつLevelを上げるのに無茶しないとも限らないからな」


「―――了解した。雪菜様には色々お世話になっているからな」


「俺も雪菜様には色々と教えてもらっている。あの方を危険な目に合わせる訳にはいかない」


随分と雪菜のことを慕っているふたりに八雲は少し驚いていた。


だが今は明日からの攻略に全力を注ごうと誓って眠りに就くのだった……






―――そして、翌朝。


朝食を終えて攻略組が全員で白龍城の地下一階にある巨大な金属の門前に集合していた。


「此処が―――」


「ええ……此処がフォンターナ迷宮の入口よ。この門の開閉は私しか出来ないわ。だから九頭竜八雲……万一に撤退の判断を出す時は私に伝えてちょうだい」


「わかった。そのときは同行してくれる白い妖精ホワイト・フェアリーに『伝心』で伝えてもらうよ」


その言葉に頷いた白雪がゆっくりと門の前にひとり立つと―――


「―――解錠オープン


―――その声と同時に巨大な門の前に広がる白い魔法陣。


そして―――ゴゴゴッ!という低い摩擦音と共に巨大な金属の門が開放し始める。


「よし、それじゃあ―――やりますか」


静かに告げる八雲の攻略開始の言葉と同時に全員が門に向かって前進を始める。


重厚な金属の門が開くと、その奥には―――


石造りの通路が奥に向かってやや下り坂になっていて、先に進む白雪に続いて八雲達も一歩を踏み出す。


壁には光を放つ魔法石が設置されていて足元まで明るく照らしてくれるので、迷ったり壁にぶつかったりするようなことはない。


「この先にもう一つ扉があって、その先が一階層目になるわ」


先頭の白雪から説明を受けると、確かになだらかなスロープになっている通路の先に通路の大きさに合わせた扉が見えてきた。


その扉の前に到着すると白雪は再び白い魔法陣を展開して、


「―――解錠オープン


《解錠》の魔術を発動すると扉がゆっくりと開く―――


「此処が、第一階層……」


―――扉の先には、


壁が石造りのところは今通ってきた通路と変わらないが通路幅が広がり、先程までの通路が幅3mほどだったのが、扉の先の通路は幅7mほどの倍以上の広さになっていた。


「―――それじゃあ前衛は俺、その次に雪菜とフォウリンにカイル、真ん中以降は密集形体で周囲と後方に注意して進もう」


八雲が冷静に前進の方法について指示を出した―――



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