―――豪華な高級魚介の夕食を済ませてから、皆は自分の割り当てられた部屋へと休むために戻っていく。
八雲も自分用の個室に入り、ベッドの上でドカッと横になった―――
(今日も色々なことがあったな……)
などと思い返しながらウトウトしだしたところで、徐に扉がコンコンと軽くノックされた音で目が冴える。
「……どうぞぉ~」
気のない返事を返して入室を促すと扉がゆっくりと開いたかと思えば、そこには―――
「お邪魔しますよ」
―――と言って扉の縁に凭れるラーズグリーズが立っていた。
絹で出来ているのであろう光沢のあるワインレッドのナイトドレスを纏い、右手にはワインボトル、左手にはグラスを二つ持っている。
「―――ラーズグリーズ先生!?どうしました?」
平静を装おうとした八雲だが、内心は彼女のその妖艶な寝間着姿にドキドキさせられていた。
「ふふっ♪……こんな時間から眠るには少し興奮が収まらないようでして。ですから……こうしてワイン持参で、おつき合い頂こうかと思いましてね。迷惑でしたか?」
室内に入って来たラーズグリーズが、立ち尽くしている八雲に近づきながらやって来た理由を述べると、少しだけ上目遣いに妖しい輝きを放つ瞳で見つめてくる。
「迷惑なんてそんなことありませんよ。おつき合いします」
そうしてテーブルとソファーに腰掛ける八雲だが、向かいではなく隣に座るラーズグリーズ。
(何故お隣に?……というか目のやり場に困るぞ……)
薄布のナイトドレスは身体のラインをクッキリと際立たせていて、それに敢えてツッコミは入れていなかった八雲だが、ラーズグリーズの美しい胸の先端にはポッチリとした突起がふたつ盛り上がっていて、自己主張をしてくるので目のやり場に困る。
隣に座り持ってきたワインの栓を抜き、更に持ち込んだワイングラスにトクトクと赤ワインを注いでいく……
何気ない所作に八雲はなんとなく行ったこともないキャバクラのようなお店ではこんな光景が広がっているのかと、ラーズグリーズがグラスに注いでいる間、赤いナイトドレスの胸元の隙間から目が離せずにそんなことを考える。
「―――それじゃあ、第四階層踏破のお祝いということで♪」
「乾杯―――」
グラスを合わせた際にチン!と小さな高い音が部屋に響き、お互いに赤ワインを口にする。
この世界は十六歳で成人と認められるが、飲酒に関しては特に法的な縛りはない。
それは特に貴族や王族など上流階級の生まれとなると子供の頃からパーティーなど乾杯の席に出席することもあり、子供の頃から飲酒の席に参加することが多い。
それ以外の者達でもワインや酒は飲む機会があれば飲むのは日常のことだ。
ラーズグリーズが持ってきた赤ワインは芳醇な味わいと鼻に抜けるような香りが嫌味なく吹き抜ける味わいのある一品だった。
「美味しいですね、これ」
「そうでしょう♪ 私のとっておきの一本ですよ」
そう言って八雲の空いたグラスに再び注ぐラーズグリーズ。
「でも、どうしたんです?突然、こうしてやってくるなんて」
「コクッ……コクッ……フゥ……あら?八雲君なら察しがつくだろうと思っていましたが、女がこんな薄着で男の部屋に酒を片手に訪ねるなんて―――そういうことだと気がつかないのですか?/////」
自身のグラスを呷ったラーズグリーズが八雲にしな垂れ掛かって、その蒼い瞳を潤ませながら上目遣いで見上げてくる。
「いや、それは紅蓮とイェンリンにちゃんと話してから―――」
「―――ああ、その心配なら必要ありませんよ」
「―――エッ?」
言い終わる前に遮られた八雲は驚いた顔でラーズグリーズを見つめる。
「私が昔、他国の王に嫁いだことがあると言ったことは覚えていますよね?」
「……ええ。覚えています」
「もう数百年も昔の話ですが、その夫が亡くなり、その国も併合することが出来てヴァーミリオンに戻った私にイェンリンと紅蓮様はこう言いました―――」
『これから先は自分の幸せだけを考えて生きろ。心から愛しいと思える者が現れたなら、ラーズグリーズの想うままにしてよい』
イェンリンらしいと言えばそうだが、国のために自分を捧げたラーズグリーズに心からの手向けと幸せを掴んでもらいたかったのだろう……そう考えた八雲は黙ってラーズグリーズの話しを聴いている。
「―――ですから、私は愛する者と出会えたならばイェンリンにも紅蓮様にも断る必要はありません。私が愛したのなら、それを尊重すると言ってくれています。ですから―――んっ♡」
八雲の唇に柔らかくて微かにワインの香りがするラーズグリーズの唇が重ねられた。
「んんっ! んっ! んちゅ―――」
驚いた八雲だったがラーズグリーズの柔らかい唇の間から差し込まれるヌルヌルした舌が自分の舌に接触したところで、何かショートでも起こしたような衝撃と共に、自分も舌を絡めずにはいられない衝動に駆られた。
「んんっ……んちゅっ……ちゅ……レロ……ちゅう♡/////」
どのくらい唇を重ね続けていただろう……
そっとゆっくり離れたふたりの唇の間には透明な橋が架かるほど、深く絡み合った。
「はぁ、はぁ……ラーズグリーズ先生っ!」
そう呟いた八雲の唇にラーズグリーズの右手の人差し指が宛がわれる。
「ラーズと呼んで下さい。自分から愛を感じた人にはそう呼んでもらいたいと、ずっと決めていました/////」
そう言って右手をそのまま八雲の股間へと滑り墜としていく―――
「ラ、ラーズ……」
「はい♡……ああ♡ もうこんなに……初めて見たときから本当に逞しいと思っていましたよ♡/////」
そう言ってパンツの上から既に大きく反り上がった八雲の昂ぶりを上下に指先で撫でるラーズグリーズ。
「さあ、それではベッドに参りましょうか♡/////」
妖しく艶めかしい瞳を潤ませながら、八雲を閨へと誘うのだった―――
―――全裸になった八雲とラーズグリーズ。
八雲の予想通りラーズグリーズはナイトドレスの下に下着は付けていなかった。
自ら服を脱ぎさった八雲の逞しい肉体をベッドで横になりながら改めて見つめるラーズグリーズ。
「ああ♡ 本当によく鍛えてありますね♡ 貴方の日々の研鑽が伺えます……ではそんな貴方を気持ちよく致しましょう♡/////」
そう言って仰向けに横になる八雲にキスをしてから、首筋から鎖骨、そして胸へと唇と舌を這わせていき、八雲の胸に優しくその唇を吸いつかせる。
柔らかい唇に包まれ、チロチロと舌で舐めていくラーズグリーズに八雲も声を漏らす。
「ハアァ、ラーズ、気持ちいい……」
「レロ……チロ……ちゅ……うふふ♡ もっと感じて下さい♡」
そう言って上目遣いになったラーズグリーズは舌先で胸を舐めているところを八雲に見せつけながら、下半身は人差し指と中指で挟み込み、そのスベスベした指の脇腹で優しく擦っていく。
手慣れた手つきで扱うラーズグリーズに八雲は改めて彼女がかつて人妻だったことを再認識させられるようで複雑な心境だった。
「ちゅ……んちゅ……ああ、こんなに大きいなんて♡ 本当に貴方はどれもが規格外ですね/////」
八雲の胸を舐めながら手にした八雲の昂ぶりに魅了されているような表情のラーズグリーズに、今度は八雲がそっとその美乳に手を伸ばした。
「んんっ♡! んあああっ♡! や、八雲君!? 貴方、その力は!?/////」
八雲に触れられた瞬間、強烈な快感が全身を駆け抜けたラーズグリーズは、思わず大きめの声を上げてしまった。
「―――これは俺のスキル『神の手』だよ。このスキルで身体に触れられると強烈な快感が得られるんだ」
そう言って胸の先端を摘まみ上げるとラーズグリーズが背中を仰け反らせて反応する。
「んああああ♡ ダ、ダメ♡! これはいけません♡ こんなのを覚えさせられたら……/////」
「覚えさせられたら?」
八雲の問い掛けに―――
「……離れられなくなっちゃう/////」
―――まるで少女のような可愛らしい表情に八雲の中で何かが振り切れていた。
「―――ラーズ!!」
そのまま押し倒して強く唇を重ねる八雲―――
「んん! んんん♡ んあ♡……んちゅ……ちゅ♡/////」
唇同士の間から漏れてくる水音……
そんな激しいキスを交わす間にも、八雲の手はラーズグリーズの胸に添えられて、『神の手』が発動した指で胸を撫で回していく。
「ンン―――ッ!!ンンッ!んああ♡ ハァ♡ ハァ♡ あん♡ ああああ♡ ダメ!ダメです♡ それ♡ 感じ過ぎて♡ ああああああ♡♡♡/////」
人に嫁ぎ、女として経験のあるラーズグリーズにとって八雲の『神の手』がどれほど女を狂わせるものなのか、その力は身をもって体感することですぐに理解出来た。
現に今こうして胸を揉まれただけで、軽く意識が飛びそうになるのを引き起こされてしまうほど強烈な快感なのだ。
そんな八雲の手が胸から下半身へと伝わっていく……
「ダ、ダメ、そんな、こんなスゴイの♡ そこに触れられたなら、おかしくなります/////」
ゆっくりと自身の女に近づく八雲の指先に、快感への期待感と不安が入り混じった表情を浮かべるラーズグリーズ。
「大丈夫だよ、ラーズ。おかしくなんてならないさ。でも、忘れられなくはなるだろうけど!」
そう言ってラーズグリーズの女の部分にその手で触れた瞬間―――
「ンアァアアアア―――ッ♡!/////」
腰を浮かせて一気に絶頂してしまう。
しかし八雲は構わずに『神の手』の発動を強める。
すると指が動く度にラーズグリーズの腰がビクビクと何度も上下に痙攣したように震えていく。
「ヒュー、ヒュー、ンアアアッ! また!またイ、クッ!ダ、ダメェ!まって!あん!ンアアアアアッ!!/////」
半白目にまでなって涙を流しながら、唇の合間からビクビクと震える舌を突き出して再び意識を飛ばす―――
そんなラーズグリーズの膝を開いた八雲は、
「いくぞ、ラーズ」
「はぁはぁ……は、はい……どうぞ……/////」
ベッドに横たわるラーズグリーズはスレンダーなスタイルに美乳のモデル体型であり、白い肌と長い黒髪、蒼い瞳の美女だ。
そんな美女が膝を立てて股を開き、八雲をその女の大切な場所へと誘う。
「あっ♡! あっ♡! はぁ、き、きますぅ!!/////」
八雲は腰を突き出してゆっくりと突き進む―――
「んああっ!お、きいっ!やっぱりおおきいぃですぅ!!/////」
―――ラーズグリーズと繋がったところから八雲にも快感が伝わる。
寝室にはギシギシと軋むベッドの軋み音と、淫靡な水音が響き渡る―――
―――興奮を抑え切れないラーズグリーズは背中を仰け反らせて喘ぐ。
そんな状態のラーズグリーズの様子に八雲はそっと彼女の耳元で囁く―――
「……前の旦那と俺、どっちがいいの?」
―――それは夫を失った女に一度は口にしてみたい禁断の言葉だ。
だが、ラーズグリーズは躊躇う様子もなく―――
「これぇ!やくもくんです!!!―――これがいいのぉ!!だから!もっとぉ!/////」
―――と言ってのけたのだった。
妖しく揺らめく潤んだ瞳に吸い込まれるようにして、八雲はラーズグリーズの唇を奪う。
「んんっ!ん!ちゅ!ちゅ……んん―――/////」
絡み合う舌と舌で今の言葉を肯定するかのように、八雲の首に両腕を巻き付けて全身で愛情表現を示すラーズグリーズ。
その必死な姿に八雲は限界点まで一気に高まり、早くこの女を自分のものとして上書きしたいという欲望に呑まれていく。
「んちゅ!ハァ!ハァ!ラーズ!お前を!―――俺のものにするからな!!」
「んん!はい!あ、貴方のものに、う、上書きして、ください!////」
嬉しそうに答えるラーズグリーズに八雲は限界を迎える。
さらに腰を激しく動かして、
「クッ!ラーズグリーズゥウウッ!!!」
―――雄叫びを上げた八雲。
自分が認めた男が体内を満たしていく初めての感覚に、ラーズグリーズは何度も快感の波に襲われていく―――
―――そして下腹部に浮かび上がる『龍紋』が八雲の女になった証としてピンク色の淡い輝きを放っている。
ゆっくりと腰を前後に動かしながら、最後の最後までラーズグリーズを味わう八雲と、半白目で涙を流しながら舌を突き出してビクビクと震わせるラーズグリーズ……
ようやく迸り終えた八雲だったが―――
いまだに意識朦朧としたラーズグリーズの腕を掴み上げ、ゆっくり自分の膝の上に持ち上げる。
「ハァ♡ ああ……ハァ……あん!ど、どう、しました?/////」
朦朧とした中で抱え上げられたことの理由がわかっていないラーズグリーズ。
「どうしたって、そんなの俺のことが分かっていれば、これからどうするか、分かるよね?」
ラーズグリーズの膝下に手を回していく八雲―――
「えっ?ま、まだ、こんなに……まさか、まだ?/////」
「言ってなかったかな?俺には『絶倫』のスキルもあるんだ―――言葉の意味、分かるよね?」
自分の目を見つめながらそう告げてくる八雲に、ラーズグリーズはゴクリと喉を鳴らした……
「それじゃあ、二回戦始めるよ、ラーズ♪」
―――そう言い放つと同時に、ラーズグリーズの両膝下に回された八雲の腕に力が入り、M字開脚の姿勢のまま再戦が開始される。
連戦に驚くラーズグリーズ―――
「ちょっ!八雲君!?あん!うそでしょう!?―――ンアアッ!いい!あん!スゴイ♡!/////」
―――ふたりの夜はまだまだ終わらない。
―――四回戦目……
―――五回戦目……
―――六回戦目……
八雲の寝室から激しい喘ぎ声を上げるラーズグリーズの声は止まることはない―――
ようやく外が白み始めて……
全身をビクビクと波打たせているラーズグリーズにあらゆる快感を教え込んだ八雲は、満足して眠りに就いたのだった……