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第273話 終戦の夜は……

―――すっかり陽も落ちて夕暮れ闇が広がる空


そんな空を飛行する天翔船黒の皇帝シュヴァルツ・カイザーには―――


「ありがとうございます……黒帝陛下。私達も乗船させて頂いて」


―――レーツェルと四騎士が貴賓室のテーブルに着いている。


「こっちこそ、このままイロンデルに行って状況を説明しないといけないから、レーツェル陛下に立ち会ってもらえたら助かるよ。その後にちゃんとフォーコンまで送りますから」


八雲も同じテーブルの席に着き、レーツェル達に説明しながらアリエスの淹れてくれた紅茶を口に含む。


「……この度は、イロンデル公国の行いで、シュヴァルツとフォーコンには多大なご迷惑をお掛けしてしまい、誠に申し訳ございません」


同じく同席しているイロンデル公国宰相デビロも恐縮して席に着いていた。


「エンドーサ殿には今後のイロンデルについて協力してもらわないといけないからね。まずは―――」


天翔ける船の一室でシュヴァルツとイロンデルの未来についての密談が始まる―――






―――黒帝競技場こくていスタジアムでの決闘を終えて、シュヴァルツ皇国騎士団にはティーグルに撤収を命じてイロンデル軍にも同じく生き残った将軍に母国イロンデルへ帰国を命じた。


フォーコンの血の総軍ブルート・アルメーは元々レーツェルの生み出したものなので、再びレーツェルの体内に一気に集まり戻って行き、その様子を見ていた八雲は驚かされた―――


そこで八雲はイロンデルにいち早く状況を伝えて今後のことを早急に話し合う必要を訴え、黒の皇帝シュヴァルツ・カイザーでイロンデルへ飛ぶことを提案した。


そして、その際にフォーコンの一団も使節団として同行を願い出たところ、レーツェルは快く承諾して同行することとなった。


天翔船に乗れることにダルタニアンは興奮し、アラミスに怒鳴られてアトスは呆れた溜め息を吐き、ポルトスは表情には出ていなかったがワクワクしている空気を漏らしていた。


何よりレーツェルが―――


「空を飛ぶ船に乗るのは生まれて初めてですわ……フフッ♪」


―――と、素直に楽しみにしている感情を表していることに四騎士はまた驚いていた。


そうして八雲の提案で予め敗戦国のイロンデルへの対応を決めておくために会議をすることにしたのだ。


「―――以上が、俺の提案するイロンデルへの対応についてだが、どうだ?」


八雲の提案とは―――


―――イロンデルはそのままの自治を認める。


但し、


―――イロンデルには自治権を認め王族が引き続き国政を執り行うが、シュヴァルツ皇国に対して賠償責任を果たすものとする。


その金額―――


―――国家予算の二割を五年間納めると定める。


大まかにはこの二点について取り決める内容だった。


しかし、そこでレーツェルが問い掛ける。


「今回の勝者であるシュヴァルツに従属させることも出来ますのに……賠償金の支払いだけで済ませてしまって……本当に宜しいのですか?」


その部屋にいる全員が八雲に視線を集中する―――


「ああ、以前にもレオパールにシュヴァルツ皇国に併合して欲しいって話があったんだけど、断ってるんだ」


「それは……何故ですか?」


「現実的な話で最近四カ国が一気にひとつの皇国になったシュヴァルツは、まだまだ整備する必要がある。その最たる対策として道の整備と、その道に間隔を置いて警備府を設置したことで安全に物流の動きを安定化させるところまでは進めている」


八雲の説明する内政にデビロは予想以上の行動力と政治力、経済発展への考えに背筋がヒヤリと凍えるのを感じる。


「なるほど……そこにレオパールやウルス、イロンデルなど加わってきても混乱するだけだということですか」


「―――そういうこと。後々に併合して欲しいってことなら、シュヴァルツの受け入れ態勢次第で実現することは可能だと思うけど、今の俺はヴァーミリオンに留学している学生の身分だし、学園を卒業するまでに整備を終わらせていきたいとは思っているけど」


「まあ……黒帝陛下は留学なさっているのですか?」


「ああ、ヴァーミリオンのバビロン空中学園っていうところに留学してる」


「ああ、あの空を浮遊している学園島のことですわね……私もそこに留学致しましょうかしら?」


レーツェルのその言葉に四騎士は思わず、


「―――エッ!?」


という顔つきに変わっていく。


「いいんじゃないか♪ 国元が安定しているなら、それもまた視野を広げる良い機会になるさ!」


「フフッ……では検討致しますわね」


それからは、他愛のない話をしてイロンデルの件は、まずはデビロが国元に残った王太子に説明することになった。


デビロは内心で八雲の力を思い返して母国のことを慮り、イロンデルの命運を決めるため明日の王太子との謁見に尽くすことを誓う。


「それじゃあ今日はもう皆疲れただろうし、客室で休んでくれ。アリエス―――案内を」


そう言ってアリエスにレーツェルと四騎士、そしてデビロに使わせる客室への案内を任せて八雲も自室に戻るのだった―――






―――自室に戻ってからの八雲は、


「ん……んちゅ……ちゅ……レロ……ちゅ……ちゅ♡/////」


疲れを癒そうとして戻って来た部屋には雪菜にマキシ、フォウリンの三人が既に派手な下着姿になって八雲を出迎えて、そのまま


「八雲を癒したい/////」


と言って部屋に備え付けの広い浴室に引っ張り込んでいた。


身体を流すと言われて全身を洗われた後に雪菜の愛情たっぷりのキスから始まり、マキシとフォウリンは左右から八雲の舌に自分の舌を伸ばして四人で激しいキスを交わす。


―――垂れた黒髪を耳まで掻き上げながら、ゆっくりとした癒しのキスを続ける雪菜。


そして藍色の髪に藍色の瞳をした美少女のマキシ―――


―――金髪に紅色のメッシュの髪をした美少女のフォウリン。


三人の愛情いっぱいのキスに、八雲はその身の内にいる獣が目を醒ます段階に入っていった。


「チュ♡ 我慢しなくてもいいよ、やくもくん♡ 今日はいっぱいがんばっていたから、僕たちでいっぱい気持ちよくなって♡/////」


「んちゅ♡ そうですわ♡ チュウゥ♡ 八雲様は、どうかいつでも好きなときに、わたくしたちで心を癒してくださいませ♡/////」


そこでひとり器用に舌を絡めながらも八雲の興奮を引き出す雪菜の様子をマキシとフォウリンは見つめながら、


「雪菜……ホントにエッチだね/////」


「雪菜はそれだけ八雲様の気持ちよくする技を知っているということですわね……羨ましいですわ/////」


「ウフフッ♪ ねぇ、八雲? 早く、ベッド行こう♡/////」


逸る雪菜にせがまれて、全員で寝室にベッドへと移動する―――






―――ベッドに向かってからは、


八雲の『神の手』によって魔族の血が目覚めていくマキシは、その種族の性質から淫乱な性格に変わっていく―――


―――次に八雲が狙いを定めたのは、


後ろを向いた体勢で形の綺麗な白い尻を弾ませながら、もっと八雲を感じたいとせがむフォウリンだ―――


―――枕に顔を埋めながらも腰を高く突き上げて、激しい八雲の腰の律動を受け止めては絶頂を迎えていく。


そして―――


―――仰向けになった八雲の上に跨り、


「八雲は動かなくていいからね♡ 全部、私が気持ちよくしてあげるから楽にして♡/////」


そう言ってM字開脚の体勢で、やや前屈になりながら腰を上下に動かしていく雪菜の胸元が上下に揺れる度にプルンプルン♪ と揺れているその胸を目で楽しむ八雲。


あくまで八雲を気持ちよくすることに全力を注ぐ雪菜の姿に、両手を目の前にある胸に持っていく。


「あんっ♡ おっぱい♡ さわって♡ あんっ♡ あ、ああ、アァアア―――ッ♡/////」


何度搾り尽くされても、八雲の『絶倫』スキルで萎えることはない夜が続いていく―――






―――それから、


雪菜の口走っていたことを有言実行するため、三人に目隠しをして両手を軽く縛り感覚を更に研ぎ澄ますように仕向けて、縛った本人の八雲からの快感地獄が始められる。


ひとりずつ『神の手』スキルを纏った両手で順番に全身をスリスリと愛撫されることで、目隠しをしながら何度も絶頂させられる三人は口の外に舌を震わせながら放り出して喘ぎ声を響かせていく。


見えない中で誰かの喘ぎ声が耳元で響き、次は自分かと期待しているところに身体を『神の手』で撫でられ、目隠しをされて見えないことで研ぎ澄まされた触覚と、八雲のスキルも重なって一気に絶頂へと導かれて背中を仰け反らせながら何度も繰り返し果てていった―――




「あっ♡ そこ♡ ダメェ! アアアッ♡♡!!ッグゥ―――ッ♡!/////」


「この声はフォウリン?つ、つぎはわたしぃ♡ あっ♡! きたっ♡ やくもぉ♡/////」




―――そうして数時間、


トロトロに溶け合うように交わり続けた四人……


雪菜、マキシ、フォウリンは止めどない絶頂の嵐に荒い吐息を吐きながらベッドに転がり眠っていた。


「ハァアア~! 気持ちよかったぁ……三人とも、充分癒されたよ!ありがとな♪」


満足した八雲がそう告げるも、三人の意識は絶頂の彼方に持っていかれてピクピクッ!と全身を震わせることしか出来なかった……






―――八雲が雪菜、マキシ、フォウリンと乱れ合っている頃


天翔船黒の皇帝シュヴァルツ・カイザーの別の広間では―――


ノワールとアリエスにクレーブスと紅蓮、イェンリンとブリュンヒルデが並んで座り、そして向かいには白雪とダイヤモンドにセレストとイノセントが座って大きなテーブルを囲い集っていた。


「集まってもらったのは―――八雲のあの『創造魔術』についてだ」


まず口を開いたのはノワールだった。


「ふむ……ブリュンヒルデ。お前あの時、八雲に向かって止めるように叫んでいたな?以前にも見たことがあるのか?」


イェンリンの問い掛けにブリュンヒルデが一瞬息を呑んだがゆっくりと頷いて、そこから説明を始めた―――


―――イェンリンの解呪のために向かったフォンターナ迷宮で八雲が発動した時に、あの魔術を初めて見たこと。


―――その世界創造に近い強大過ぎる力に脅威を感じたことなど正直に話す。


「―――余が【呪術カース】で眠っている間に、そんなことがあったのか」


イェンリンは残念そうな表情をして、そう口にすると紅蓮は難しい顔をしてノワールに視線を向ける。


「―――ノワール。貴女もあれを見るのは今回が初めてなのよね?」


「ああ。あの決闘の際に八雲から観客席に障壁を張って欲しいと『伝心』で伝えられて咄嗟に障壁を張り巡らしたが、下手をしていたらあそこにいる者達も建物も一瞬で焼け野原になっていてもおかしくはなかった」


ノワールの神妙な顔をアリエスは不安気に見つめていた―――



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