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第275話 思わぬ展開

―――イロンデルの戦後処理を終えた八雲。


レーツェルと四騎士達をフォーコンに送るため、黒の皇帝シュヴァルツ・カイザーで一路フォーコン王国の首都ファルコにあるアルコン城へと向かっていた―――


八雲がレーツェルに相談したいことがあったので艦内の娯楽室を訪れるとテーブルでカードゲームをするダルタニアン、アトス、ポルトスが目に留まった。


「なあダルタニアン、レーツェル陛下は一緒じゃないのか?」


「うん?いや、陛下ならアラミスと一緒に客室に戻ったけど、何か用事でもあるのか?」


ダルタニアンが近づいてきた八雲に答える。


「ああ、イロンデルで話した道の整備の件をフォーコンにも話してみようかと思ってさ」


「確かにシュヴァルツに行った時に道がしっかりとしていたから驚いたもんなぁ~!警備府っていうのも兵達がしっかり巡回していたし、商人達の行き来も活発だったのを覚えているぜ」


「物流が滞らないことと安全を確保出来ることが生活の安定に繋がると思っているからな。それをレーツェル陛下とも相談したかったんだ」


八雲がそう告げるとダルタニアンは何か思いついたのかニヤリとした笑みを浮かべて、


「さっき戻ったばかりだから、今から客室を訪ねてみたらどうだ?」


「うん?ああ、そうか。分かった。そうしてみるよ!ありがとな」


そう言って向きを変えて娯楽室を出ていく八雲の背中に向かって、


「―――いいさ♪ 気にするなよ。ガンバってなぁ~♪」


と手を振って八雲を送り出すダルタニアン。


そうして八雲が出ていった後で、アトスが溜め息混じりにダルタニアンに向かって―――


「おい、ダルタニアン―――悪戯が過ぎるんじゃないか?」


―――と諫める。


「別にいいじゃねぇか♪ 陛下も八雲のこと気になっている様子だし、親睦を深めるチャンスさ!」


悪びれることなく、そう答えるダルタニアンにアトスも苦笑いを浮かべ、そしてポルトスは手元のカードをオープンする。


「……ロイヤルストレート」


「―――嘘だろぉおお?!」


頭を抱えるダルタニアンにアトスはまた溜め息を吐くのだった―――






―――レーツェルに使ってもらっている客室に向かって、ドアの前まで来た八雲はノックする。


「……どなたかしら?」


「あ~!俺だ―――九頭竜八雲だ。少しいいか?」


そう言って自動ドアとなっているスライドドアをオープンさせると―――


「ちょっ?!―――エエッ!?」


―――中からアラミスの声が聞こえた瞬間、そこには赤いレースの下着を身に着けた美しいレーツェルの姿と、青いショーツだけを身に着けた形の良い乳房とピンク色をした上向きの先端を此方に向けて晒しているアラミスが驚いた表情をしたまま、あられもない姿を八雲に見られていた。


「え?おっぱい―――ウオォオオッ!?」


その瞬間、室内のレーツェルを中心にレーザー光線のように直線的に飛び交う血の帯が壁や天井を反射するように部屋中に広がって飛び交い、入室してきた八雲の身体へ蜘蛛の糸の様に巻きついて一瞬で天井から逆さまに吊り下げていた……


自らの指に長い牙を突き刺し、そこから流れ出た血を膨張させ部屋中に放出して八雲を絡め獲ったレーツェルが、無表情のまま逆さ吊りになっている八雲に近づくと―――


「……黒帝陛下……見ましたわね?」


―――無表情で冷たい視線を向けるレーツェルに、逆さまの八雲は焦りながら答える。


「いや!その―――ワザとじゃないんです!えっと……ホントに、お綺麗ですね陛下、アハハ……」


冷や汗を浮かべながら言い訳にならない言葉を並べる八雲の顔を覗き込むようにして、


「……レディーの部屋に入る時は、入室の許可を貰ってから入るのが常識かと思いますが?」


「―――仰っている通り!誠に申し訳ございません……」


言われていることは至極真っ当なことを注意させているので謝罪する八雲に対してレーツェルは更に追及する。


「……それで、見ましたわね?」


「陛下の下着姿を見たことは謝罪します!―――ごめんなさい!!」


「其方ではありません……アラミスの秘密を、見てしまいましたね?」


それは金髪の長い髪を後ろの青いリボンで緩く纏めた蒼眼の美男子……だったはずのアラミスが、実は抜群のプロポーションをした美女だったというのを目撃してしまったことを指摘していることは明白で八雲に逃げ場は精神的にも物理的にもない。


当のアラミスは胸を覆うように両手で隠しながら、涙目で顔を赤くして八雲のことを睨みつけていた……


「え~っと、その……男にしては美人だなぁ~と思っていたんですけど、ホントに女性だったんですね」


「うぅ……九頭竜八雲……絶対、許さない!」


涙目のアラミスは怨嗟の唸り声を上げて八雲に殺意を向けていた。


「アラミスが女であることは……私と四騎士達しか知りません……ですので……」


「ごくりっ……で、ですので?」


「……黒帝陛下には、アラミスに対して責任を取ってもらわなければなりませんね?」


「ウグッ……確かに、これは俺の不手際なので言い訳のしようもありません。俺の出来ることなら何でもします……あと、そろそろ下ろしてもらえませんかね?」


「言質は取りました……ですが、それだけでは足りません……ですので……黒帝陛下の血を少し頂きますわね」


「エエッ!?それって、俺のことを吸血鬼の眷属にするのか!?」


さすがにそれは勘弁してもらいたいと内心で焦る八雲だったが、


「いいえ、血を吸うのは私ではありません……アラミスです」


「エッ?―――アラミスが?……でも、それでも同じことなんじゃ?」


「いいえ……吸血した相手を眷属の吸血鬼に変えられるのは、王家の血を継ぐ者だけです。私の眷属である吸血鬼達は家族を作り、吸血鬼の子を産むことは出来ますが……吸血によって眷属を好きに増やすことは出来ません」


「な、なるほど……心得違いした者がいたら、世の中が吸血鬼だらけになるもんな……でも、それでどうしてアラミスに俺の血を?」


「吸血鬼が吸血したり吸精したりする行為の中には、『血の契約ブルート・フェアトラーク』という特別な儀式があります。吸血鬼にとっては相手と儀式を行うことで絶対に裏切らない、血や精を吸った相手と永遠の契りを結び、お互いを助け合うという意味を持つのです」


「な、なるほど。因みに……もしも裏切ったりすると?」


「その時は……」


「……その時は?」


「この世界のすべての吸血鬼から永遠に命を狙われることになります。『血の契約ブルート・フェアトラーク』を破った者は、独特の不味い血の匂いを発するようになり、その臭いを吸血鬼が嗅ぐと本能で敵と認識して攻撃します。永遠に吸血鬼から命を狙われることになります」


「……重すぎません?その契約」


「悪いことばかりではありません。アラミスもまた貴方を裏切ることは出来ません。お互いに同等な条件の関係となるのです」


「な、なるほど……因みに精を吸うっていうのは?」


「より深く繋がる能力を得られます。この場合、黒帝陛下の能力が強いので、アラミスに陛下の能力が強く反映されますが、血と精と……どちらにいたしましょうか?」


「精はどうやって吸うんです?」


「ひとつは口による搾精……もうひとつは男女の営みで搾り取る方法ですね」


「マジっすか!?……因みにアラミスは経験があるのか?」


「あ、ある訳なかろう!!!というか……吸精の方を選ぶのか?そうなれば血の契約よりも強く束縛されるのだぞ?/////」


「アラミスみたいな美人にされるなら血を吸われるより精を吸われる方がいいだろう?」


「―――貴方はバカなのか!?」


「このような場合でも……流石と言うべきなのでしょうか……黒帝陛下がそれでいいと仰られるなら私は反対致しませんが、アラミスはどうしますか?」


「ウウッ……さ、搾精で……/////」


「では彼方の寝室をお使いなさい。私はその間に浴室を使わせて頂きます……それでは黒帝陛下……よしなに……」


そう言って逆さ吊りの刑から漸く解放された八雲は、アラミスと共に隣の寝室へと向かうのだった―――






―――寝室に移ったふたりは、八雲がベッドに腰掛ける。


「それで、どうやるんだ?」


アラミスに儀式について特別なやり方があるのか問い掛けると、


「そ、そこで下着を下ろして座っていてくれればいい!!!/////」


八雲は言われた通り、立ち上がってズボンと下着を下ろすと―――


「ヒャアアッ?!―――こ、これ、嘘……/////」


―――アラミスは顔面に黒く大きな影を落とすモノが目の前に現れて、あからさまに狼狽える。


そうして、再びベッドの縁に腰を下ろした八雲の前に、しゃがみ込んで震える指を恐る恐るそれに伸ばしてくるアラミスを見て、八雲は少し悪戯心が湧いてくる。


そこに『神の手』スキルを強めに纏わせて、触れただけでも快感を得られるレベルにしてアラミスが触れるのを待ち伏せしていると指先が少し触れただけで―――


「ヒャウゥウン♡!―――な!?い、いまの、何!?/////」


―――快感が全身を駆け抜けて女声になって悲鳴を上げ、一気に欲情の渦が下腹部から広がっていくのを感じるアラミス。


「どうした?ちゃんと気持ちよくしてくれないと」


悪戯心がムクムクと大きくなって、そう言ってニヤつく八雲に意地になったのかアラミスが憤慨する。


「わ、分かっている!貴方は黙って精を迸らせればいいのだ!!/////」


そう言ってギュッと右手でそれを掴んだアラミスだが、『神の手』を纏ったそれをガッチリと握ってしまっては脳髄にまで電流のような快感が貫き、まるで電気に触れたようにビクッ!ビクッ!と身体を震わせていく。


「あっ……ンクッ!……な、なに!?……あっ、んん♡……ハァ、ハァ、か、からだが、あ、熱いぃ……/////」


「興奮しているのか?ほら、まずはちゃんとそこの先にキスしてから始めるのが作法だぞ」


「そ、そうな、のか?……ハァハァ……ん、んちゅ♡/////」


『神の手』スキルに翻弄されて、頭がボゥ~としてきたアラミスは、優しく囁きながら作法と偽って教えてくる八雲の言う通りにしていく。


「そう、上手だ、アラミス。それじゃ、舌で舐め上げるようにして」


「ンッ……こ、これで、いいのか?……レロ、チロ、ニュプゥ♡/////」


普段の凛とした麗人として振る舞うアラミスとのギャップに八雲も興奮が高まってくる。


上目遣いで潤んだ瞳を向けるアラミスの姿に八雲はドクン!とさせられる―――


「ああ、気持ちいいぞ……でも、アラミスも気落ち良くなったら、もっと興奮して早くイケるかも?」


「……ど、どうすれば、いいんだ?……/////」


「俺もアラミスの身体に触れさせてもらうけど、いいよな?」


「ふぇっ?……し、仕方ない……は、早く、終わらせるためには……/////」


『神の手』の快感によって酔ったような感覚になり、判断力が堕とされたアラミスは軽く答えてしまう。


だが、それは八雲にとって確かな言質を取った瞬間だった―――


「それじゃ、軽く触れるからな」


「……わ、わかった……/////」


そして八雲は手を伸ばす。


まずは背中を両手で優しく撫でるように滑らせながら『神の手』を両手に纏い、アラミスの身体に染み込ませるように撫でていく。


背中から感じる快感がアラミスに反映されて簡単なレクチャーだけにも関わらず、早くもテクニックのレベルが一足飛びに上がっていく。


そのことを動きで感じ取った八雲はゆっくりとアラミスの脇腹に手を滑り込ませて、そして肩まで手を昇らせると今度は肩の前に両手を滑り込ませて胸元に手を突っ込む。


下向きに釣鐘型になっている胸の周りを撫で回していき、やがて目標である薄桃色の突起に手が触れると―――


「―――ンンンッ!!ンアッ♡ ちょ、どこを、アアッ♡ や、やめ―――ンアァアアッ♡!/////」


「ほら、離したらダメじゃないか」


一度口から離したアラミスに再び続けさせる。


「いいぞ……上手いよ、アラミス……もうそろそろ……」


八雲のその言葉を聴いたアラミスは、早く終わらせようとしているのか、それとも早く欲しいのか、羞恥心も相まって動きが早くなっていく―――


自分の精を求めて美女が涙目になりながら必死で奉仕する姿に、高まっていた八雲の欲望が限界を迎えた―――


「イ、イクぞ!―――アラミス!!!」


両手に『神の手』を強く発動しながらアラミスの頭を快感漬けにすると同時に欲望を解放した―――


初めてのことに驚いたアラミスだったが、『神の手』から与えられる快感で無意識に女の性で喜び、その精を受け止めていった。


「んっ♡ ハァハァ……いっぱい……/////」


「ああ、最高だった。上手だったよ、アラミス」


そう言って頭を撫でてやるとアラミスが、無意識におかわりをお強請りするような、それ以上のことを望んでいるような瞳を向けている。


「……もっと……もっと……それ、欲しぃ……」


か細い声でそう言ったアラミスの言葉を聴いて、八雲は足元に屈んでいたアラミスを抱き上げベッドに横たえる。


そうしてアラミスの返事も何も聞かないまま、ショーツの中に手を入れる。


「ンアアアッ♡ ダ、ダメ、そこは♡/////」


「イヤならここでやめるけど、アラミスはそれでいいのか?もっと、気持ちよくなれるのに」


耳元で優しく囁かれながら、ビクついて絶頂を迎えそうになり悶えるアラミスは言葉とは裏腹に少しずつ閉じていた脚を開き始めて八雲の指を迎え入れていく―――


「あぁ♡ イヤッ♡ やめ……ないで……もっと……続けて……おねがい♡/////」


―――もはや完全に女言葉に変わっていたアラミスに八雲は上から重なって唇を奪うと、そこから『神の手』をお見舞いしながら指の動きを早めた。


「あっ、あっ、おっ♡♡!! ああっ♡ わたし、何か、変になるぅ~♡/////」


また感情が高まり、絶頂を迎えるアラミス―――


ビクビクと痙攣を続けるアラミスを見ていて八雲の我慢も限界だった。


イッたばかりで意識が朦朧としているアラミスに、『神の手』を発動した指先で触れてやると、触れられただけで重ねて絶頂したアラミスに八雲は―――


「―――俺も我慢出来ない。アラミス。いいな?」


―――優しく問い掛ける。


朦朧としたアラミスは黙ったまま瞳を伏せて、小さくコクリと頷いていた―――




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