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第290話 エストへの旅立ち その夜は

―――東部エストのアズール皇国にある蒼龍城に向かう八雲達。


天翔船紺碧の歌姫アズール・ディーヴァは、ヴァーミリオン皇国からアズール皇国までの航路についてペルセポネが飛行計画を算定して翌日の昼に到着のフライトシミュレーションを八雲に報告していた―――


この紺碧の歌姫アズール・ディーヴァは風属性魔術推進部を三機、後方部に取り付けた速度増幅型の艦として八雲が設計している。


フライトシミュレーション通りに到着して三機の推進部が良好な機能を果たすようであれば、今後は黒の皇帝シュヴァルツ・カイザー朱色の女皇帝ヴァーミリオン・エンプレス、そして雪の女王スノー・クイーンにも随時改装で取り付けていこうと考えており、今回はその試験航行にもなっているのだ。


そして初日となる今日は乗船した皆に艦内の案内をペルセポネが行って、各人の個室まで案内したところで食事を用意することになる。


そこで八雲とマキシ、ウェンスにイノセントが料理を用意して、サファイア達は配膳に協力する。


「―――九頭竜君!この大きな銀色の箱は一体何だい?」


先ほどまで食堂室の窓から見える空からの景色に夢中になっていたメリーアンが、いつの間にか厨房に来て八雲の傍にある銀色の金属箱、つまり冷蔵庫に興味を持っていた。


「これは八雲様が考案なさった『冷蔵庫』と呼ばれる魔道具ですわ!この中には水属性魔術と風属性魔術で冷気を生み出す仕組みが施されていて、中に入れた食材を冷やして長持ちさせる効果がありますの!」


何故かウェンスが我が事のようにニコニコご機嫌で説明してくれた。


「へぇええ♪ そんな物まで九頭竜君は造れるのかぁ♪」


「八雲様に創造出来ないものなんて、この世にございませんわ♪」


「ちょっとウェンス、それは持ち上げ過ぎだって」


ウェンスに妙に持ち上げられて、むず痒い気持ちになった八雲が程々にさせようと制止する。


「八雲様はご謙遜が過ぎます!この様な素晴らしい船まで造られるのですから、もっと持ち上げてもいいくらいですわ!」


そこに調理を進めていたマキシが、


「ウフフッ♪ ウェンスはすっかり八雲君のこと大好きになっちゃったね♪」


その言葉に一瞬固まってしまったウェンスの顔が次の瞬間にボンッ!という音が聞こえそうなくらい真っ赤に変わった。


「なっ!なっ!何をっ!ママママ、マキシ様ぁ!わ、わた、わたくしは別にその様な、浮ついた―――/////」


「―――おやおやぁ♪ これは恋バナの匂いが漂っていますなぁ♪ そういう話も私は大好物さ!ウェンスさん!いつでも相談に乗るからね!!」


「で、ですから!わたくしはそのような恋などと浮ついた気持ちなど持ち合わせておりませんわ!!/////」


揶揄気味に言ってきたメリーアンにウェンスは全否定の姿勢を示すので、


「なんだ、俺の勘違いだったのか……ウェンスとは色々と打ち解けてきたつもりだったんだけど……」


ワザと落ち込んだ振りをして八雲が告げるとウェンスが、アワワッ!と慌てだして―――


「そ、それは、わたくしは八雲様のこと、こ、心から尊敬しておりますわ/////」


―――と、恥ずかしそうに告げる。


「そうか、ありがとうウェンス。俺も誠実なウェンスのこと好きだぞ」


「すっ?!―――好きぃ!?ああ、あわわ、プシュ~!/////」


そのままオーバーヒートしたように真っ赤になってその場にしゃがみ込んだところで、


「ちょっと揶揄いすぎたかな?ウェンスはホント、可愛いよね♪」


そう言って微笑みを浮かべるマキシのことを、八雲は小悪魔なの?と心の中で突っ込んでおいた―――






―――それから皆で楽しく食事を終えた後は、


「よしっと!―――此処も特に問題はないな」


八雲はシュティーアとマキシ、それにペルセポネを連れて処女航海の紺碧の歌姫アズール・ディーヴァの艦内を順番に点検して回っていた。


「八雲様、三本の推進部の状況も良好みたい。艦体はセレスト様の鱗で装甲を覆っているから空中分解はしないと思ってたけど、飛行速度が他の艦よりも速いのが不安だったから、まずは安心だね」


―――シュティーアが後方の推進部の状況を確認して、三本それぞれに注入される魔力量や、発生する風属性魔術の風力量を慎重に検査し、艦体への負荷もペルセポネにより計算されて問題ない水準だという結果に辿り着く。


「今まで三隻も『創造』してきたんだ。得てきた経験が詰め込んであるからな!そう簡単に壊れるような船は造らないさ!Gの発生も艦内の重力補正魔術が上手く効果を発揮しているみたいだしな」


ヴァーミリオン皇国のレッドからアズール皇国の蒼龍城までの距離はおよそ一万四千kmの距離になる。


紺碧の歌姫アズール・ディーヴァの状況を確認しながら、且つ今回は高速飛行するので飛行予定は明日到着予定日として組んでいる。


時速約六百kmの速度で二十四時間停泊することなく飛行する航路だった。


天翔船の最高速度からするとマッハを越える飛行も可能ではあるが、内部に発生する加速度Gは相当な数値を生み出す。


戦闘機で掛かる5Gの加速度は体重60kgの物体が300kgにまで跳ね上がる。


そんな状態までいくと人間は意識を失う「G-LOCジーロック」に至る。


神龍やその眷属、八雲であれば余裕で耐えられるが、メリーアン達のような普通の女の子には到底耐えられるものではない。


速度を上げることで艦内に発生するGを八雲は一般の人間でも平気で活動できるようにと、更に重力系の魔術を用いて艦内の重圧のバランスも調節出来るようにしている。


これによりメリーアン達のような人間であっても、超スピードの航行に問題無く艦内で動けるのだ。


四隻目の天翔船ともなると八雲の『創造』にも磨きがかかり、建造時間も大幅に短縮されていた。


「そうだねぇ……一番艦の黒翼シュヴァルツ・フリューゲルを造る時には、ノワール様の『胎内世界』で何度も飛行実験を重ねて死ぬ思いをしたことも一度や二度じゃなかったくらいだったからね……」


シュティーアが当時を思い出してどこか遠いところを見る様な、二度とあんな目に遭いたくないと言っている様な力のない光を失った目をしている……


「そ、そうだったな。あれは我ながら無茶をした実験の日々だった……でも、あの時の苦労があるから今の天翔船があると思えば、苦労した甲斐があっただろ?」


「確かにあの時、八雲様が艦と一対型の自動人形オートマタを思いついてディオネを『創造』してくれてから飛躍的に建造技術が上がったからね」


―――初代の黒翼シュヴァルツ・フリューゲルを建造中は度重なる実験事故に業を煮やした八雲が、ヤケクソ気味になって『創造』したのがディオネだった。


だが、このディオネの存在が建造に急速な進展をもたらして建造ナビゲーターとして問題点を即座に洗い出し、完成を早める結果となったのだった。


「私もこの紺碧の歌姫アズール・ディーヴァの建造では全力を注いだと自負しているぞ!」


この艦の艦長ペルセポネがフフン!とドヤ顔を見せるとマキシが笑っていた。


「どうだ?マキシ。大まかな説明だったけど、この艦のこと少しは憶えられたか?」


「え?うん、そうだね。魔術的な装置や伝達経路については凡そ理解出来たよ。細かいところについてはまだペルセポネに訊かないと分からないと思うけど」


マキシも魔術系統の実力は申し分ない魔術師としての能力を持っているので、八雲の建造した天翔船の魔術回路についてはある程度理解を示している様子だった。


「マキシ様、何か分からないことがあれば、いつでもこのペルセポネに訊いてくれ!」


「ありがとう♪ これからも宜しくね♪」


そんなマキシの笑顔を見た八雲とペルセポネは―――


「―――尊い」


―――と、まったく同意の台詞を述べるのだった……






―――艦内の点検を一通り終えた頃


すっかり時間が経っていて、窓の外に広がる世界は夜の闇が近づき始めていた。


昼食の時と同様に八雲達が食事の準備をしているとメリーアンを始めとしてアイズ、ロレイン、ラミアの四人も手伝いたいと申し出てきた。


「ずっともてなされているようでは申し訳ない!遺跡の探索や様々な場面で食事を自分達で用意することは当然のことだからね♪ だから私達も手伝わせてほしい」


そう告げるメリーアンの言葉に勿論と快諾した八雲達と一緒に広い厨房に入り、他の人の邪魔にならない様にして料理を始める彼女達を横目で観察する。


八雲の見立てでは四人ともに料理の経験はしっかりしている様でアイズはメリーアンの幼馴染だと聞いていて、ロレインは実家がヴァーミリオン皇国でも大店のアルメニー商会だということを後から聞かされていた。


(皆が皆、お嬢様育ちかと思っていたけどラミアも含めて全員包丁捌きや料理の火の扱いも手慣れてるなぁ)


そんな感想を思い浮かべている八雲を余所に、次々と美味しそうな料理が出来上がって食卓に並べられていった。


サファイアやルビー、レーブといった厨房に入らない者達は昼食時と同じように食事の配膳に協力している。


セレストも楽しそうにして皆の料理を褒めて喜んでいた。


葵は何故かお客様ポジションですっかり配膳などを白金に任せて寛いでいる……


サファイアは相変わらず八雲に絡んでくるものの、此処にはストッパーの白雪や雪菜もいないだけに八雲も余計な軋轢をつくらないよう、揶揄方も調節して相手をしていく。


そんな楽しい夕食が終わり一日目の夜が更けていく―――






―――紺碧の歌姫アズール・ディーヴァの処女航海、初日の夜


皆が自室に戻って旅の初日の疲れを癒そうと眠りに就く頃……


「……あっ……あっ♡……んんんっ♡……やくもさま……どう?……きもち、いい?/////」


ベッドの上で仰向けになって横になった八雲の腰の上に跨り、ゆっくり身体を上下させていくシュティーア。


シュティーアが身体を動かしていく度に厭らしい音が寝室に響く……


「うぅ……シュティーア、メチャクチャ気持ちいぃ……」


ギシッ、ギシッ、ギシッ、ギシッ!と一定のリズムを打つかのようにして軋むベッドの上ではその上下運動に合わせて、たわわな胸を縦にゆらすシュティーアが目に映り、その露わな痴態が余計に刺激を与えて来ていた。


そこからゆっくりと前に倒れ掛かってきて八雲に向かって唇から可愛い舌を伸ばすシュティーアを見て、何をして欲しいのかをすぐに察した八雲は自らも舌を突き出して絡ませていく―――


「あむっ♡ れろっ♡ ちゅっ♡/////」


―――絡ませた舌を八雲の口内でゆっくりと躍らせ、舌を小刻みに吸い上げていくシュティーアの繊細で情熱的なキスに、八雲の脳内で火花が散るような感覚が過ぎっていく。


前のめりに身体を重ねていることで、大きな胸は八雲の胸板に押し付けられてムニムニ♡ と形を変え、その先端の突起が八雲の胸に擦り付けられると、それもまた刺激にアクセントを加えていった。


まるで全身をシュティーアで包まれているような感覚に囚われた八雲は、そこから欲望が高まりだしているのを感じた。


シュティーアは八雲の唇のみならず頬や額、首筋などあらゆるところにキスの雨を降らし舌を這わせながら、腰の動きはあくまで欲望の爆発まではいかないくらいのゆっくりとした小刻みな動きに止めているのが余計に八雲を煽っていた。


「はぁ~はぁ~♡ はぁ~はぁ~♡ んんっ! ああっ……あんっ♡/////」


包んでくるような感触に爆発しそうで出来ない感触が続く八雲は、欲望が高まる感触がもどかしく出口を求めて沸騰しているような感覚に囚われていく。


「シュ、シュティーア……」


名前を呼ぶ八雲にシュティーアは八雲の頬を舌で舐めながら、


「もう、吐き出したいですか?……アタイの奥に?/////」


そう耳元で問い掛けるシュティーアに、八雲の限界が近づき―――


「……シュティーア!!!」


―――名前を叫んで答える八雲を、嬉しそうにクスリと笑ったシュティーアが、


「いいよ……いっぱい欲望を吐き出して♡/////」


そう唱えたシュティーアの厭らしい呪文と同時に、両足首を八雲の膝に引っ掛けて力み、シュティーアのまるで搾り取るかのような動きで、すぐそこまで上がってきていた欲望を呆気なく一気に吐き出させる―――


「あ……♡! んん……♡! すっごいぃ♡ やくもさまのぉ……アタイの♡ はねてぇ♡ あっあっ♡ スゴッ、まだ♡/////」


ピンと両脚を張った八雲が、腰を持ち上げては押し付けて欲望を吐き出していく度に、シュティーアは興奮して紅潮した全身を震わせながら全部受け止めていった。


「あああっ♡―――もっとぉ♡ もっとぜんぶ!ちょうだぁいぃ♡/////」


それどころかシュティーアは跨った状態で美尻を左右にゆさゆさと振って、全部搾り取らんばかりのテクニックを披露する。


「あっ♡ うんっ♡ ぜ、全部、吐き出せた?/////」


「うぐっ……うっ……ああ……」


長く絞り出されてシュティーアの劇的に向上しているテクニックに驚かされた八雲だが、これはどう考えても雪菜の指導が入っていることは間違いない。


八雲がシュティーアだけ連れて行くと決めた日から、雪菜がやたらとシュティーアを誘っている姿を目撃していたからだ。


だが、そんな雪菜の行動もすべては自分のためにと思ってしてくれていることだと思えば、シュティーアに問い質す必要などもない。


「シュティーア……」


そう呟いて、身体の上に重なって横になっているシュティーアをそっと抱きしめる。


「すごく気持ちよかった。最高だったよ」


耳元でそう囁くと、シュティーアが照れ笑いを浮かべながら、


「ハァハァ♡……アタイ、ちゃんと、上手く出来てた?」


「ああ、ありがとうな、シュティーア。愛してるぞ」


「うん♡ アタイも、やくもさまのこと、いっぱい愛している♡/////」


そう告げたシュティーアにキスをプレゼントしながら八雲は上半身を起こしていく―――


「んあっ♡ や、やくもさまの、まだ♡/////」


―――対面する恰好になって、いまだに萎えることなく自己主張する八雲の分身にシュティーアは再び欲望が湧き上がってくる。


赤い髪のポニテ―ルを揺らしながら濡れた赤い瞳を八雲に向けると、期待する様に瞳が光り欲望を求めている信号を送っていた。


「今度は俺の番だ……シュティーア、お前も気持ちよくしてやるから」


そう耳元で告げた八雲は、その状態でシュティーアの膝の裏に両腕を差し込んでいく―――


「ああっ♡ ああっ♡ やくもさま!はげ、しいぃ♡! あんっ♡ あおっ♡!―――/////」


―――そうして、


そこから窓の外が明るくなっていくまで続いていき、シュティーアが意識を失うまで欲望を何度も注ぎ込んでいくのだった―――



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