―――あられもない姿を披露していく美女達に、思わず後退する八雲を背中から抱きしめる者がいた。
「ッ!?―――お前!サファイア!!おい!しっかりしろ!!!」
後ろを振り返って見えるサファイアの顔に、怒鳴りつけるようにして正気を取り戻させようとする八雲―――
しかし―――
「クッ!……うるさいですわよ……この、変態……貴方は……大人しく……」
そう言って八雲を突き飛ばし―――
「―――わたくしを抱けばいいのですわ!!!/////」
―――そう叫んだサファイアは既にすべてを脱ぎ捨てた生まれたままの姿だ。
つまり全裸の姿ですべてを晒して仁王立ちしながら八雲を睨みつけていた―――
「―――オフッ?!……ブルータス、お前もか……」
コートを着ていると着痩せしていて目立たないが、服を脱ぎ捨てたサファイアの見事な胸に目線が集中する八雲の周囲には、一糸纏わぬ姿になった探索チームの美女達が取り囲んでいる。
「何を訳の分からないことを―――言っているのですかっ!!!」
―――叫ぶや否や、サファイアのしなやかで細い右脚が八雲に向かって上段回し蹴りとなって飛んでくる。
その蹴りに対して身を屈めて躱す八雲だが―――
「ブフゥ―――ッ?!」
―――屈んだ目の前には、開脚した体勢のサファイアの綺麗な股がパックリと広がって見えた。
『思考加速』でスローモーションの様になった感覚の中、じっくりとその光景を網膜に焼き付けるように堪能する八雲は今日も通常運転だ―――
―――だがサファイアの通り過ぎた右脚が次に軸足となり、今度は左脚が後ろ回し蹴りで八雲に襲い掛かる。
「ウオッ!―――旋風脚かよ?!」
見事な体重移動と流れるような回転蹴りをバックステップで回避した八雲だったが、その着地点で背中にムニュン♪ とした感覚が密着した―――
「ウォアッ!?―――ルビー!?おい!放せ!!」
―――推定Gカップはありそうな巨乳を押し付けて、同時に後ろからガッシリとハグされた八雲は身を翻して離れようとするが、そこは神龍の眷属である
「……御子殿ぉ……私をこんなに熱くして……どうする気だ?ん?」
「そのセリフを真面な時に聴きたかった……おい!目を覚ませ!!」
正気とは思えないトロンとした瞳のルビーに必死で正気に戻るように話す八雲だが、まったく正気に戻る様子がない―――
―――更には八雲を抱き締める腕の力が上がっていき、八雲の骨が物理的にミシミシと軋む。
「グウァアア―――ッ!!ル、ルビー!!クッ!この!馬鹿力すぎんだろ!!」
だが、そんな苦悶の表情を浮かべた八雲の周囲は―――
―――見事なプロポーションと、愛らしいプロポーションをした美女、美少女が取り囲む。
そしてニヤニヤした顔のマキシ、シュティーア、サファイア、ウェンス、コレッジ、リベルタスと、生徒会役員であるメリーアン、アイズ、ロレイン、ラミアが八雲の傍に近づいてくる―――
(ウオォッ!!!ル、ルビーを振り解けない!このままだと―――)
焦燥感に駆られた八雲は彼女達を力尽くにして傷つけることも出来ず、八方塞がりに陥る。
その間、覆面天使も天使騎士達も八雲達に手を出すことはなく、その状況を見守っているかのように動かない……
周囲に迫り寄る美女達―――
「やくもくぅん♡ みんなでぇ、いいことしよう?エヘヘッ♡/////」
―――ルビーに後ろから羽交い絞めにされて動けない八雲。
ルビー以外の仲間達は八雲の頬や首筋、手や腰に手を伸ばして撫で回し始める―――
―――こんな状態で不気味な笑みを浮かべ、正気とは思えない瞳をした美女達に欲情よりも恐怖が勝る。
そうしてマキシの右手が八雲の股間へと伸びてくる―――
―――ゴクリッと息をのむ正気を失った乙女達。
だがその時、八雲の魔力が膨張した―――
「ウォオオッ!!お前等……いい加減に……しろォオオ!!!
―――
―――《魔神拘束》が発動した瞬間、八雲を中心に美女達の身体には地面から湧いて出た紫色に輝く粘液が襲い掛かり、纏わりつくようにして獲物である美女達を絡め獲っていく。
スレンダーなマキシの白い身体に纏わりつき、引き締まった身体をしたシュティーアに巻き付いた粘液の触手が胸の周囲を包み込んで揉みしだく。
「アウゥ♡ なにこれっ!?やくもくぅん、これ、取ってよぉ~♡/////」
「ンアアァ♡ や、やくもさまぁ♡ アタイ、こんな趣味なんてないよぉ♡/////」
サファイアは両足首を絡め獲られ、M字開脚で空中に釣り上げられるようにしてすべてを曝け出し、ウェンスは全身を包まれるように粘液に絡まれて地面に転がり、コレッジは後ろ手に縛るように粘液に囚われてショートカットの金髪を揺らしながら前方へ胸を張る様にしゃがみ込んでいた。
「キャァアッ!この、へ、変態ぃ!わ、わたくしに、アアァ♡! こ、こんな、屈辱的な格好をっ!/////」
「イヤッ♡ やくもさまぁ♡ わ、わたくし、初めてですのにぃ♡/////」
「イヤァン♡ やくもさま♡ ぼく、恥ずかしいよぉ♡ おっぱいちっさいし/////」
そしてリベルタスも襲い掛かってきた粘液の勢いで地面に押し倒されて、脚を開いたまま地面に縛りつけられ、青いポニーテールを振り乱しながら眼帯をしていない右目が恍惚とした表情を見せ、八雲を拘束していたルビーはというと、特に念入りに亀甲縛りのように何重にもなって触手化した粘液が全身を縛り、隙間からはみ出した胸が更に存在感を強調する。
「クッ!……俺のことを、押し倒すなんて♡ あとで必ず、責任取ってもらうからなぁ♡/////」
「おい……私をこんな姿にして……あとで、覚えていろよ♡/////」
妖艶な大人の魅力を醸し出す美女の拘束姿に八雲も格別にグッとくるものを感じる。
そして、バビロン空中学園生徒会役員達は―――
白い肌に美乳と呼ぶに相応しい神々しい乳を露出しながら両手両足を拘束されてプルプルと胸を揺らす眼鏡美少女はアイズだ。
「こんな♡……私は、副会長なのよ!……それを、アハァ♡ いや、見ないで♡ ハァハァ♡/////」
その横には年齢からすると発育のいい方だといえるロレインが、両肘と両膝を密着させるように拘束され、強制的に開脚状態でツルンとした肌を晒しながら拘束されていた。
「く、くずりゅうせんぱぁいぃ♡……この恰好、恥ずかしいよぅ♡ これ解いてぇ~♡/////」
モジモジとしたロレインの隣には、後ろ手に拘束されてお尻を突き出すようにうつ伏せになったラミアがいる。
「見ないで……見ないでくださいぃ/////」
粘液塗れになりながら、突き出した美尻をプリプリと揺らして、大切なところを八雲に晒しているラミアは羞恥心がまだ勝っているようで、人一倍顔を真っ赤にしている。
そして―――
「く、九頭竜くん……これは……ハァハァ……やりすぎだぞ♡ 感じ過ぎるよぉ♡♡♡/////」
生徒会長メリーアンはしゃがんだ体勢で拘束されて、粘液に包まれながら腰を突き出して開いた膝の間からはツルンとした肌が晒され、ポヨン♪ と一際目を引く巨乳には触手化した粘液が貼り付き、ツンと上を向いたピンクの先端が呼吸と共に上下に揺れていた。
「俺もここまで一緒に来たチームの皆を、こんな形で拘束するのは心苦しいんです……」
(ヤバいっ!―――俺の『理性の強化』でも理性が決壊しそうな絵面になっているだと?!)
なんとか全員を無事拘束した八雲は、ムクムクと胸の内で膨らむ欲望を抑えるのに必死だった……
だが、その様子を見ていた覆面天使は再び天に向かって
「チッ!またそれかよ!―――でも、そう好き勝手にはさせない!!!」
―――両手に黒刀=夜叉と黒小太刀=羅刹を握った八雲は、覆面天使に向かって天に飛び立つ。
空中の覆面天使に
「なにっ!動きが速いっ!?―――さっきの
―――各段に俊敏さが上がった天使騎士の動きに驚いた八雲だったが、すぐに先ほどの覆面天使のベルが『身体強化』系の効果を発動して天使騎士達の動きを向上させたことに気づく。
空中で激突した夜叉と羅刹の攻撃を二体の天使騎士の剣が防ぎ、覆面天使は何食わぬ様子で八雲に視線を向けている―――
「―――おい、そんな目隠しなんてしていて、俺が見えるのかよ!」
―――空中でバックステップをした八雲は次の瞬間すぐに前に出て、剣で攻撃を防いだ天使騎士達を斬り倒す。
そして再び覆面天使を狙うが、そこに襲い掛かってくる百体はいるだろう天使騎士達に阻まれてしまう―――
「クッソ面倒な奴等だなっ!!!だったら―――」
八雲は一旦大きく距離を取ると―――
「神龍の鱗を鍛えし剣、槍、弓、盾……さあ、数多の武装!此処に集え!!!」
八雲の詠唱が響き渡る―――
「八雲式創造魔術
―――
そう叫ぶ八雲の周囲に無数の虹色に輝く魔方陣が生じる―――
―――覆面天使も天使騎士も八雲に視線を向けたままだ。
するとその魔方陣が八雲の周囲を規則正しく取り囲んでいき、ゆっくりと回転していく―――
―――そしてその虹色の魔方陣の中心から、これまでに八雲が『創造』した武装達が飛び出し、その姿を現す。
黒大太刀=
黒脇差=
黒弓=
黒細剣=
黒戦鎚=
黒槍=
黒大剣=
黒直双剣=
黒曲双剣=
黒戦斧=
黒籠手=
黒包丁=
黒鞭=
黒短剣=
黒斬馬刀=
黒十文字槍=
漆黒杖=
黒盾=
黒鉄扇=
黒鉄扇=
漆黒刀=
漆黒刀=
黒手甲鉤=
黒手甲鉤=
黒大筒=
―――そして八雲の手にする黒刀=
八雲が『創造』してきた黒神龍の鱗を鍛えた数々の武器達が空中で編隊を組むようにして舞い踊る。
「とっとと片付けて、お前の覆面を剥ぎ取ってやるよっ!!!」
そう叫んだ八雲に呼応するかのように、黒き神器達は天使殲滅を開始するのだった―――
―――次々と光の粒子に帰される天使騎士達。
―――ある者は飛び交う剣に斬り倒され、
―――ある者は直線的に突撃する槍に貫かれて、
―――またある者は周囲を交差する短剣に斬り刻まれ、
―――そしてある者は大鎚の一撃に叩き潰されていく。
そして大筒の射線に入った数体が弾丸に撃ち抜かれて、光の粒子へと回帰していった―――
自らの意志を持つかのように周囲を飛び交いながら敵である天使騎士を追い詰め、確実にその数を殲滅していく
八雲も自ら夜叉と羅刹を握りしめ、次々と天使騎士を狩っていく―――
―――
そして八雲は―――
「ウオォオオオ―――ッ!!!」
―――突風のように走る八雲の夜叉は天使騎士の脇腹をすり抜けながら真横に斬り裂き、羅刹は心臓の位置に突き立てられ、そこから回転し旋風となってまた次の天使を斬り裂く。
その軌跡は身に纏うオーラから蒼白い流星のように天使騎士の合間を疾走する―――
―――自らも一振りの刃と化した八雲を止められる天使など、この場には存在しなかった。
いつの間にか異空間からの天使の召喚も途絶え、その数は秒刻みに数を減らし、周囲の空間が消滅していく天使騎士の光の粒子で満たされてまるで昼間の様に明るくなったかと思うと、やがてそれも消えていき、最後には覆面天使だけがその場に残っていた……
六枚の羽根を生やした銀髪の神々しい天使―――
周囲を無数の黒神龍装に囲まれていても、眉ひとつ動かさないでジッとその場に佇んでいる。
「……あとはお前ひとりだけだぞ?降参したらどうだ?」
覆面天使に降伏を促す八雲だったが、覆面天使からの返事はない……
「ああ、そうかい……天使は無口どころか言葉を知らないのか」
そう呟いて、周囲の黒神龍装に攻撃の指示を出そうとしたその時―――
―――重苦しい黒い雲の空から、再び光の柱が覆面天使の元に差し込む。
「なんだ!?―――今度は何が!!」
すると、その光に包まれた覆面天使に―――
―――胸には黄金の鎧が纏われ、
―――腕と脚にも黄金の手甲、足甲が装備され、
―――腰回りを護る黄金の脇盾と草摺が巻き付き、
―――そして頭部に黄金の兜を被って相変わらずの目元を覆う黒いベルトと鼻口を黒いマスクで覆っている。
その全身が輝きを放つ黄金のプレートメールで覆われた覆面天使が姿を現す。
その右手には黄金の直剣型のロングソードが握られて、左手には黄金の縦に長い菱形のカイトシールドを握っている……
「ああ、そうか……本気モードのやる気満々って受け取って、いいんだな?」
フル装備を纏った覆面天使に、八雲も上等だと言わんばかりに決戦へと臨むのだった―――